観劇日記(劇場編)2022年


自分で足を運んで劇場で見た芝居の感想です。(≠批評、ネタばれあり)

2020年2010年2000年
2019年2009年1999年
2018年2008年1998年
2017年2007年1997年
2016年2006年1996年
2015年2005年1995年
2014年2004年−−−
2013年2003年1993年
2022年2012年2002年−−−
2021年2011年2001年−−−


恥ずかしくない人生/宝飾時計/奇事故/磁界/長い長い恋の物語
蜘蛛巣城/なるべく派手な服を着る/Don't Freak Out/歌うシャイロック/たぶんこれ銀河鉄道の夜
誤餐/帰ってきたマイ・ブラザー/ソウル市民/そこ、つままないで/もうがまんできない
人魂を届けに/パラサイト/ウェルカム・トゥ・ホープ/兎、波を走る/ピエタ
オイ!/桜の園/熱く、沼る/我ら宇宙の塵/S.ストーリーズvol.2
いつぞやは/絡め取りプリンセス投げ/燕のいる駅/切り裂かないけど攫いはするジャック/眠くなっちゃった
バカ息子は光を放つ/リムジン/無駄な抵抗/剥愛/ジャイアンツ
モモンバのくくり罠/たわごと///

No:037  たわごと / 豊橋文化振興財団
Theater:東京劇術劇場 シアターイースト
Date:12/10 M
Sheet:J-17
Price:\5,500
Time:1幕 2:00
作・演出:桑原裕子
出演:渋川清彦、渡辺いっけい、田中美里、松岡依都美、松金よね子、谷恭輔
 引退した作家・越間亭タク(こしまていたく、タクの字は木へんにモのような字)は死の瀬戸際にある。別れの挨拶に集まったのは元家族、元愛人、医師ら6人の男女。亭?の残す不可解な遺言書を巡り、"戯言(たわごと)"に翻弄されながらも、言葉の裏側に隠された心の有り様を描く。
 ちょっと主題がピンとこなかったけど、人を丁寧に描くバラちゃん節は健在。自分な好きな「ひとよ」とか「痕々」とか「らぶゆ」みたいな話ではないので、ちょっと期待するものは違うかもしれない、それはそれで。離れて時間がたってしまった父と子、その兄弟も父とのかかわり方の違う兄弟。そこに、元秘書の松金さん(これがまた普段見ない不思議な役)、面倒を見ている医者、看護師、長男の妻とみんななんか訳あり。父は一体何を願っていたのだろうか。そして、兄弟の気持ちやいかに。渋川さんは2度目、松岡さんは初見かな。是枝さんの映画にちょいちょい出ている松岡さん、今回とっても適役、渋川さんとの絡みのシーンめちゃいい。田中さんの壊れっぷりは面白く、いっけいさんの演技がちょっと演技おおきく感じちゃた。終演後のアフタートークで、久しぶりにバラちゃん見られたのはとてもうれし。「たわごと」と言いながら本音を言うとか、時間がたつと言葉の意味が変わったしまうなんということを言っていて、そういったことが物語に入っているよう。
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No:036  モモンバのくくり罠 / iaku
Theater:シアタートラム
Date:12/03 M
Sheet:F-6
Price:\5,500
Time:1幕 1:45
作・演出:横山拓也
出演:枝元萌、祷キララ、緒方晋、橋爪未萠里、八頭司悠友、永滝元太郎
 山中に住居を構えたある夫婦。猟期には、くくり罠で鹿や猪を捕獲、小さな畑で野菜もつくり、出来るかぎりの自給自足生活を目指した。娘は、幼い頃から当たり前に山で暮らしてきたが、徐々にこの生活に違和感をもち、また、周囲から「モモンバ」と呼ばれる母のことも嫌で、ついには山を降りて一人で生きていくことを選んだ。iakuの最新作は、親が形成した「家族価値」と、そこに縛られた子の生き方を見つめる。(パブリックシアターHPより)
 枝元さん目当て、最近の枝元さんは商業演劇っぽいのに出ることが多く、観てなかったので、映画にもなった同じくiaku「あつい胸さわぎ」以来かも。永滝さんM.O.P.以来のお久しぶりで、その他は橋爪さん以外のメンバーは多分みんな初見。シリアスだけど。少し軽めな感じでちょいちょい話がそれるけど、テンポよくうまく(自分には違和感なく)バランスがとれていた感じ。生まれたときから選べない環境、自我と価値観、宗教の話にも繋がるようなテーマ。そして、価値観を植え付けるという表現がストンと腑に落ちた。「獣害は獣による害だけど、害獣と呼ぶのは人のエゴ」みたいな台詞や、「なんでそんな上手に蓋できるん?」と言い台詞だったなぁ。枝元さん、厳しさや傲慢さを見せる、今までに見たことない感じの役だけど、これもまた良しな怪優ぶり。前回のトラムのロ字ック「剥愛」が同じような環境設定で親子の関係を描いた話なのはちょっと面白い。
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No:035  ジャイアンツ / 阿佐ヶ谷スパイダース
Theater:シアタートップス
Date:11/25 M
Sheet:D-8
Price:\6,500
Time:1幕 2:00
作・演出:長塚圭史
出演:中山祐一朗、大久保祥太郎、坂本慶介、志甫まゆ子、伊達暁、智順、富岡晃一郎、内藤ゆき、長塚圭史、中村まこと、村岡希美、李千鶴
 ”私”は歩いた。“あいつ”が暮らした街をあてどなく。この街はかつて私も暮らした街。やがて歩き疲れた私の目の前に立っていたあいつ。あいつは私を、家族が住む家へと誘う。餃子とビール、それからわさび漬けを振る舞われた私は、翌日お礼を持って再訪した。するとその部屋はすっかり違う人間のものになっていた。混乱する私のもとに目玉探偵が囁く。「あなた、目玉を失くしましたね」。私は“あいつ”を探す奇妙な冒険へと誘われていく。(阿佐ヶ谷スパイダースHPより)
 息子と疎遠になった父が、記憶と幻想の狭間で、周りの人々と目玉探偵という時空間を彷徨う人と共に時間や場所を息子とのかかわりの中で旅する話。目玉探偵、12年前に、安藤聖さん、まだあんまり映像に出ていなかった黒木華さんが出ていた「荒野に立つ」の続編みたいだった。その時に比べてストーリー性があって、見やすかったけど???。だけど、中山さん、伊達さん、トミーこと富岡さんが久しぶりに観られたのはすごくよかった。まことさんや村岡さんに至っては、言わずもがな素敵すぎ。キャストが良すぎて、つい観ちゃう。しかも、20年近く前の「みつばち」とか、「桜飛沫」とかやってたスパイダースがまた観られんじゃないかとどこか期待して。
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No:034  剥愛 / ロ字ック
Theater:シアタートラム
Date:11/19 M
Sheet:H-5
Price:\7,000
Time:1幕 2:05
作・演出:山田佳奈
出演:さとうほみ、瀬戸さおり、山中聡、岩男海史、柿丸美智恵、吉見一豊
 帰るより他なかった。漫画喫茶に寄って時間を潰すのも、コンビニのイートインスペースを陣取るのも気が引ける。循環バスだと実家まで片道四十分、おそらく帰れば夕飯時だ。こんなクソ田舎で暮らすことに、いまの自分は耐えられるだろうか。先日離婚すると戻ってきた菜月は、街に覆いかぶさる薄暗い雲を眺めてため息をついた。地方都市はたいてい山が身近だ。周りには田畑も多く、隣近所に行くにも買い物に行くにも、不便な立地であることを当然として誰もが暮らしている。そういう意味では、山間の集落でどこに需要があるのかわからない剥製の工房なんかを営んでいる菜月の実家も例外ではない。仕留めた動物の皮を剥ぎ、鞣して縫製し、さらには仕上げとして着色を施して、生きていた頃の姿にまで復元する剥製師。剥製業界のピークはいまからおよそ50年前。狩猟家が五十二万人ほど存在し、バブル期だったこともあって作れば売れる時代ではあったが、動物の尊厳を訴える動物愛護団体やビーガンの出現など、社会の動きが変化して需要も今では殆どないといって等しい。客と言えば、先日ペットの猫が亡くなり剥製にして欲しいとやってきた物好きぐらいなもので、時代に取り残されつつある剥製師に依頼をしてくる人の数は少ない。そんな伝統的で希少な職業を生業とする父のもとに、ある日、男がやって来る。父は、「尊い沢山の命の犠牲の上に成り立っている仕事だから」と、その男が生きていく為に雇うことを決めるが、一方で、菜月は、過去にあった事件以降つきまとう、振り払いたくても難しい業のようなものに頭を悩ませていた。愛されるべきは被害者か加害者か。それともそれを傍観する者たちか。物質的な美しさを愛する自然主義者の想いは、寂しい動物たちの雄叫びに変わっていく――。「化けの皮剥がれたら全員同じなんでしょ。人間なんて、みんな」正義の在り方が多面的であり、他者の正義を糾弾するという現在の社会に垣間見える問題を反映し、愛情のゆがみ、欲望、人が過ちを犯していくまでを丁寧に描く。(ロ字ックHPより)
 さほど知っている役者さんおらず、吉見さん、柿丸さんくらいで山田さんの作品目当て。グサグサと刺さる台詞がいっぱいで、引き込まれる。「選択肢が無いのはつらい」、「正義のための悪と戦おうとすると自分が恐くなる」、「立場で正義のあり方は違う」、「分からない事を分からないままにしておけない弱さ」、「中和したかった」、「私だって許されたい」、「誰かに足元を掬われるのが恐いのか、剥ぎ取られてむき出しにされるのが恐いのか」、ほんと刺さる。正しいことってなんだろ、悪いものを作ったり、人のせいにして、自分の居場所を作る。なんか、今の自分や家族にも当てはめて見てしまった。パニック障害の甥の役は必要性がよくわかんなかったけど、最後の方がなんとなく、でもちょっと話のために作られた感じ。
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No:033  無駄な抵抗 / 世田谷パブリックシアター
Theater:世田谷パブリックシアター
Date:11/12 M
Sheet:G-9
Price:\8,500
Time:1幕 2:00
作・演出:前川知大
出演:池谷のぶえ、渡邊圭祐、安井順平、浜田信也、穂志もえか、清水葉月、盛隆二、森下創、大窪人衛、松雪泰子
 その駅は半年前に電車が停まらなくなった。どの電車も通過するだけ。住民は困惑しながらも、隣の駅まで行くなり、他の交通手段を使うなりして日常を守っていた。駅ビルは寂れ、駅前の広場は活気を失った。占い師として活躍していた桜(松雪泰子)は地元に戻ってカウンセラーとして再出発する。クライアントとして現れたのは、同級生の芽衣(池谷のぶえ)だった。芽衣は、かつて桜に言われた言葉に強く影響を受けていた。その言葉が自分の性格と人生を決定づけ、苦しんでいると言う。あれは予言であり、呪いだったと。駅前広場で始まる対話は、次第に芽衣を取り巻く奇妙な運命を明らかにしていく。幼い頃の父の態度、叔父との関係、予言を避けるためにした選択、母の残した手紙、芽衣の入れ込むホストの出生の秘密。叔父が探偵まで雇い、芽衣を監視していたこと。二人は、芽衣を苦しめているものが何なのか、そして芽衣の心に深く刺さった桜の予言をどうするべきなのか、考える。広場では、関係者たちが二人の会話に聞き耳を立てている。(世田谷パブリックシアター HPより)
 今回はSFチックな要素はなく、だんだんに物語が解き明かされていく作り、ストーリー的にはあまり好みのものではないけど、引き込まれる舞台。浜田さん、安井さんを中心とした脇を固めるイキウメのメンバーが効果的、池谷さんは何やらせてもこなしてくる、しかも、ちゃんと魅せる。松雪さんとの絡みがまたよく、松雪さんの妖艶さと芯ある感じがまたいい。パブリック3週間近い公演でほぼ満員、池谷さんがセンターに立っているのがなんとも感慨深い。
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No:032  リムジン / M&O Palys
Theater:本多劇場
Date:11/11 M
Sheet:H-24
Price:\8,000
Time:1幕 1:50
作・演出:倉持裕
出演:向井理、水川あさみ、小松和重、青木さやか、宍戸美和公、田村健太郎、田口トモロヲ
 田舎町で小さな工場を営む康人(向井理)は、町の実力者・衣川(田口トモロヲ)から後継者に選ばれる。ところが、その喜びもつかの間、康人は誤って衣川に怪我を負わせた上にごまかしてしまう。そうして濡れ衣を着せられたのは康人の友人・坂(小松和重)。「全部正直に話そう」と、妻・彩花(水川あさみ)に説得されて、ようやく覚悟を決めた康人だが、いざ衣川を前にすると、夫婦ともども再び迷い出し……。小さなコミュニティーの中で起こるささいな事件。そのさざ波のような波紋が静かに拡がっていき、康人は、これまでの選択すべてに疑念を抱き始める。(M&O Plays HPより)
 サスペンスというよりは心理劇のコメディーかな。倉持さんらしいブラックさと台詞、役者さんがみんな適役でとても見やすいテンポで面白かった。ちょっと、主題がよくわかんなかったけど、嘘なのか、言わなくていいことは人は言わないなのか、人の心持を描いた作品なのかな。
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No:031  バカ息子は光を放つ / 加藤啓アワー
Theater:駅前劇場
Date:10/22 M
Sheet:B-2
Price:\6,200
Time:1幕 2:00
作:小林顕作(宇宙レコード、コンドルズ)、岩崎う大(かもめんたる)、マンボウやしろ、加藤啓(拙者ムニエル)
演出:加藤啓
出演:明星真由美、野口かおる、小林けんいち(動物電気)、木ノ本嶺浩、廣瀬智紀、加藤啓
ゲスト出演:小林顕作(宇宙レコード、コンドルズ)
 4作のオムニバスだけど、1時間半くらいは加藤さんの作品。それでもカットしたらしい。カーテンコールでゲストの小林さんに、だったらそれだけでよかったじゃんって突っ込まれてた。 小林顕作「4人の男女」:男女4人集まるとなあるある。
岩崎う大「今夜、抱かれます」:マッチングアプリで浮気相手を探したホテルに行ったら。
マンボウやしろ「愛のベクトル」:大金持ちの未亡人に年下の恋人、ほんとに愛はを確かめようとな裏工作の末。
 明星さん、野口さんが共演ってことで観に行ったら、前回のこの企画でも二人は出ていたのね、知らなかった。この二人に加えて野田地図出てた苅部園子さんがいた双数姉妹の女優陣はあの世代だと最強だよなぁ。好きな人たちで集まって楽しむ勢い系の舞台、ゲストの顕作さんはノープランでやってきて、やりたい放題、これもまた楽し。う大さんの作品は、劇団かもめんたる「S.ストーリーズ」の時の変形で出だしが一緒だった。駅前劇場満員、\6,200、いったい誰を目当てなんだろ。いっぱい笑ったけど、ちょっとお高いかなぁ。
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No:030  眠くなっちゃった / ケムリ研究室
Theater:世田谷パブリックシアター
Date:10/14 S
Sheet:D-20
Price:\12,800
Time:2幕 1:50 1:20
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
振付:小野寺修二
映像:上田大樹
出演:緒川たまき、北村有起哉、音尾琢真、奈緒、水野美紀、近藤公園、松永玲子、福田転球、平田敦子、永田崇人、小野寺修二、斉藤悠、藤田桃子、依田朋子、山内圭哉、野間口徹、犬山イヌコ、篠井英介、木野花
 サーカス団にいた時に人を誤って殺してしまった女ノーラは、監察官リュリュの保護のもと娼婦としてアパートに暮らしていた。夫と死別して夫のロボットと暮らしていたノーラは、妻を失った同じ境遇の監察官と互いに思いあっていく。街は不明のカビのため、政府は大気の温度を調整。貧富の差のもと、貧しい人々は身を削り、寄り添うように生きている。ある時、一人の記憶だけが抜かれるという不明なことが起こっており、面倒見の良かったアパートの大家夫婦の妻がノーラの記憶を抜き取られ、アパートを追い出されることに。ノーラは監察官としての掟を破ったリュリュと街を追われる。高官の息子である人気歌手のボルトーヴォリは、歌の肥しのために人の記憶を盗ませていた。波乱万丈の人生を歩んでいるノーラの記憶を欲しがり、彼女を捕まえるように街の裏を牛耳るゴーガに命じる。ゴーガは手籠めにしているノーラの娼婦仲間のシグネからノーラの行方を聞き出す。はたして街はどうなってしまうのか、そして、ノーラとリュリュの運命は。
 ノーラとリュリュの物語としながらも、他の登場人物も魅力的な群像劇。世の中の不安を反映したような街や公害、犯罪がより興味を寄せる。一人一人の描き方や見せ方も丁寧で魅力的。合わせて、3時間以上の舞台も飽きさせない。小野寺さんのダンスが嫌味なくなじみ、上田さんの映像がいつものように素敵。過去の作品が引用されているのも面白く、Dr.ホフマンとか、修道女とか、ギッチョダって台詞とか出てきてニヤッとしてしまう。
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No:029  切り裂かないけど攫いはするジャック / ヨーロッパ企画
Theater:本多劇場
Date:10/08 M
Sheet:H-11
Price:\7,000
Time:1幕 2:00
作・演出:上田誠
音楽:青木慶則
出演:石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、藤谷理子(以上、ヨーロッパ企画)、金丸慎太郎 早織 藤松祥子 内田倭史 岡嶋秀昭
 18世紀のイギリス、街では人攫いジャックにより人々が攫われていた。探偵、街の人々の推理でてんやわんや。そこには、色々な事情が絡んだ人々のがあり、その真相はなミステリー・コメディ。
 いつもの突っ込みいっぱいの会話劇、時代を古くした分、いつものIT系の武器が使えず色々と工夫している感じはするけど、なんとなく違和感。犯人捜しの方向性が何回か変わって、見てて飽きないけど、ちょっと、最初のわちゃわちゃした分、最後の方に詰め込みすぎかなぁ。西村直子ちゃんが出てなくて残念。力君も出てないと思ったら、去年対談してたんだ・・・めちゃくちゃ残念。
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No:028  燕のいる駅 / ニッポン放送
Theater:紀伊國屋ホール
Date:09/30 M
Sheet:K-18
Price:\9,000
Time:1幕 1:45
作・演出:土田英生
出演:和田雅成、高月彩良、小沢道成、奥村佳恵、佐藤永典、尾方宣久(MONO)、久保田磨希
 色々なユニットの上演でもう五度目の作品。オリジナルは映像のみ。
 ずいぶんと脚本を変えたらしいけど、場面の順序が入れ替わったり、他の作品にもあったけど登場人物が少し変わっていたり。エキセントリックな人がいなくなり、途中にも世紀末の予感の怖さが出ているので、最後のカタルシスが薄い感じ。キャストはあまり好みの人がいなかっし、尾方さんもちょっと違った感じの役で、うーんどうかなぁって。でも、やっぱり元がいい作品だなって再認識。
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No:027  絡め取りプリンセス投げ / MCR
Theater:劇場MOMO
Date:09/16 M
Sheet:自由(F-2)
Price:\3,800
Time:1幕 1:20
作・演出:桜井智也
出演:稲葉捺月、樋口双葉(マチルダアパルトマン)、瀧澤依由(BuzzFestTheater)、若月海里、夏アンナ、堀靖明、日栄洋祐(キリンバズウカ)、(以下、MCR)櫻井智也、おがわじゅんや、北島広貴、上田房子、伊達香苗
 「朝、目を覚ます時の気持ちは、面白い」と、あの女学生は言った。わたしは、そんな気持ちになった事なんか一度もない。新しい朝が瞼を剥ぎ取ろうとする度に、祈りがどこにも届かない事を知る。好きな人は総じて嫌いな人になるし、美味しいものは総じてアレルギーになる。もう寝よう、おやすみなさい。わたしは、王子様のいないシンデレラ姫。明日もきっと、世界は私に意地悪だ。+++MCRの新作は、自らの価値を見誤ったまま世界と向き合う女学生が間違った計算式を武器にして奮闘する、愉快な罵詈雑言が飛び交うおはなしです。(MCR HPより)
 一日だけ寝たきりで意識のない女の子の魂が憑依した女子高生、取り繕う友達たち、こんなタイミングで告白してくる同級生、憑依したことを知って女子高生の家を訪れる寝たきりのこの父親が繰り広げる物語。
 コメディベースだけど、看護するお父さんの感情なんかちょっと人の裏の感情なんかを黒く描いてゾクゾクするような話。セリフがめちゃめちゃ面白くってテンポもいい、で、エグいとこにも切り込んで来るのでとても見応えあり。女子高生たちの会話が集団の中の人たちのいいとこ悪いとこ色々な部分の普遍性みたいなのを面白おかしく紡いでて最初の方から持っていかれちゃう。告白する男子高生の「どこがいいかはわかんないけど、捺月じゃなきゃだめなんだ」とか、父との対面のシーンで、「ありがとうじゃなく、ごめんなさいって言っちゃうでしょ」って、台詞とか結構ツボ。3,800円、今どき貴重なロープライス、ハイクオリティ。そして、役者さん達が楽しそう。途中流れるチャットモンチーもとてもあっててよかったなぁ。
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No:026  いつぞやは / シス・カンパニー
Theater:シアタートラム
Date:09/09 M
Sheet:F-3
Price:\9,000
Time:1幕 1:45
作・演出:加藤拓也
出演:平原テツ、橋本淳、鈴木杏、夏帆、今井隆文、豊田エリー他アンサンブル
 かつて一緒に活動していた劇団仲間のところに、一人の男が訪ねてきた。故郷に帰る前に顔を見にやって来たというのだが、淡々と語り出した彼の近況は……。第67回岸田國士戯曲賞受賞で注目度が高まる加藤拓也が紡ぐ緻密な会話劇。(シス・カンパニーHPより)
 癌になって死んじゃう人の東京の旧友や地元の元カノとの亡くなるまでの時間を描いた作品。
 窪田さんが頸椎剥離骨折で降板、平原が代役、当日もらったチラシのクレジットは平原さんに代わっていた。お涙頂戴な話じゃ無いけど、ヒリヒリする感じ。SNSに残る亡くなった方のアカウントの話とか、副作用で混濁とした中で東京も地元の人々も幻想の中に出てくる場面とか生命線を爪で傷をつけて伸ばそうとする場面なんかが印象的。加藤さんの芝居のシンプルなセットはいつもの感じだけど、テーブルを移動するのが場面転換の合図だったり、橋本さんが飴配りながら登場したり、ちょっとトリッキーな演出があったりというのは今までと違う感じかな。夏帆さん、もうちょっと前に出る役で観たかったかなぁ 。平原さんは好きだけど、窪田さんは観たことないから、観てみたかったかなぁ。
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No:025  S.ストーリーズvol.2 / 劇団かもめんたる
Theater:座・高円寺1
Date:08/14 S
Sheet:B-6
Price:\5,000
Time:1幕 1:45
作・演出:岩崎う大
出演:岩崎う大、槙尾ユウスケ、もりももこ、土屋翔、野口詩央(以上、劇団かもめんたる)、マギー、成松修、石井亜早実、高畑裕太(ハイワイヤ)、犬山イヌコ(ナイロン100℃)
 劇団かもめんたるのS.ストーリーズ公演の短編コメディオムニバス。
・知らない間に体を乗っ取られてしまう。乗っ取られ屋サトルというドラマ。家族旅行天候の悪いハワイのホテルのトイレで乗っ取られる。
・メイクしないピエロ(ローピエ)の変なテンションの事務所、羞恥心がないのはローピエではないと。
・名監督の実家近くに住んで行き来していた同世代の男がオーディションに、全然話にならないが、ダンスをすると死んだ父親の亡霊が彼の首を絞める。父は彼に殺されていた。
・老若4人のクリーニング屋のパートの女性たち、一番歳の女性が「Fuck you! おばあさん」と若者に言われる。ショックを受けたのは、Fuck youなのか、おばあちゃんなのか。
・マッチングアプリでホテルへの二人、旦那に浮気された腹いせにと言う女性に、俺べえは棚ぼたと気持ち悪いことを言う男。浮気されたというシチュエーションが好きなだけの女。未来から、タイムトラベル乱交で彼らの孫娘がやってくる。
・多様性なんてなんとやらな女性蔑視の託児所スタッフ、インタビューされていると、背の小さいスタッフたちを侮蔑する他の託児所の体のでかい男たち。
・乗っ取られ屋サトル最終回。作者AIが作る物語は何様もあり得え、これは非々・・・公式な採用されない物語だと、作者が出演者の前に。彼らは他の前出の物語の中に飛び込んでハチャメチャに。
 結構下世話な下ネタ多くて、後ろに小さい子いたのでいいのかしらなんて思いながらも楽しく観劇。マギーさんはジョビジョバだからこういう舞台は水を得た魚かな。犬山さんとのコンビで、コクーンでやった、ケラさんの「祈りと怪物」で夫婦役だったのを思い出す。あの時はとっても切ない役、昨日の池谷さん、異儀田さんじゃないけど両方に振れる役者さんって好き。ただ、コントなの演劇なのなもやもやな感じはなくもないかなぁ。そう意味では、ショートではない本公演の方が好きかな。
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No:024  我ら宇宙の塵 / EPOCH MAN
Theater:シアタートップス
Date:08/13 M
Sheet:C-10
Price:\5,500
Time:1幕 1:35
 少年は、父の行方を捜しに家を出た。その少年を探しに、母も家を出た。長い長い旅の途中、出会った街の人に聞いてみた。どこに行けばいいのか、と。---残された者達が辿る、宇宙とこの地球の物語。(チラシより)
 小沢さんは役者としては根本さんの舞台で観た気がするけど、作演の作品は初めて。池谷さんと異儀田さんの組み合わせなんてとっても至福。二人ともほんといい味出してる、壊れキャラとシリアスのどっちもいいというギャップが素敵。パペットという人形を使ったり舞台三面がすべてディスプレイになっているという映像をつかった舞台。ディスプレイに星空を映すなどの映像効果との組み合わせは面白かった。導入部ちょっとテンションが高めでひいちゃった部分があって、あまり物語と繋がってない感がある感じがしたけど物語的には嫌いじゃないかも。子供がしゃべらない設定は、人形マターなのかたまたまなのかどっちなのかな。
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No:023  熱く、沼る / トローチ
Theater:赤坂RED/THEATER
Date:08/12 M
Sheet:C-6
Price:\5,000
Time:1幕 2:05
作・演出:深井邦彦
出演:辻親八、東地宏樹、小林さやか(以上トローチ)、青山勝(道学先生)、有馬自由(扉座)、伴美奈子(扉座)、堀靖明、横井翔二郎(青年座映画放送)、土本燈子
音楽:中村中
 マイノリティな悩みを丁寧に描く。生き辛さを感じている全ての人達へ。女は少し思っていた『何が楽しくて生きているのだろう』。スナックのママである52歳の依田玲子は、笑いながら客の感情のサンドバックになる、そういう毎日を生きていた。しかしその日々は突然彩り始めた。見知らぬ若い女が店へ入ってくるや否や玲子にこう投げかけた『お母さんですよね?』。その瞬間自分の中の母性が疼いたのがわかった。その日から何もなかった女に家族ができ、彩る日々に沼っていった。この物語は生き辛さを感じる全ての人間に贈る生活劇である。(Confetti公演案内より)
 娘が一緒に住むことを強要してくるのを嫌がる所から、母性を感じだすまでが突然でちょっと設定が無理やり感があるんだけど好きなテイスト。小劇場で2時間以上の舞台だけど、全然長く感じなかった。小林さんは相変わらず可愛らしいし、有馬さん、東地さんはいい味。土本燈子って方は多分初見だけど独特な魅力。伴さんは弱いを重ねたなぁ。辻さんがいや〜なおじさんを演じてちょっと意外な感じだけど、こちらもいい味。何かに期待するって怖くないですかが印象的な台詞だったかな。
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No:022  桜の園 / PARCO
Theater:PARCO劇場
Date:08/11 M
Sheet:H-32
Price:\11,000
Time:2幕 1:25 1:15
演出:ショーン・ホームズ
出演:原田美枝子、八嶋智人、成河、安藤玉恵、川島海荷、前原滉、川上友里、市川しんぺー、松尾貴史、村井國夫
 チェーホフも、翻訳劇も、外国人演出家も相性が良くないけど、原田さん、安藤さん、川上さん、市川さんとキャストに心惹かれて観てみた。なんかほんのり現代に置き換えたり、イメージしたセットやダンス、ビートの聞いた音楽など、なんとなく肌に合わなかったかぁ。終始ウトウト、日ごろの早朝覚醒による睡眠不足が・・・。松尾さんは、ストレートな芝居だと魅力半減な気が、安藤さん、川上さん、市川さんも個性的な部分が消されちゃっている感じで残念。自分が求めているものと、舞台で表現しようとしていることがちがうのかな。
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No:021  オイ! / 小松台東
Theater:ザ・スズナリ
Date:08/06 M
Sheet:B-7
Price:\4,500
Time:1幕 1:55
作・演出:松本哲也
出演:瓜生和成、今村裕次郎、小園茉奈、松本哲也(以上、小松台東)、小椋毅(モダンスイマーズ)、尾方宣久(MONO)、吉田久美(演劇集団 円)、竹原千恵
 今40過ぎの人たちの高校時代の日常、そして、今な話。父が働かなくなった男の家にたむろ、夜道襲われた友達の復讐をしようの相談も・・・、女子高生、転校生も交えた高校時代。そして、同級生の葬儀に久しぶりに集まった男女。
 松本さんの本、ワンオアの田村さんや、向田邦子さん、小津安二郎さんなんかよりも市井の人の話でなんとなく見ちゃう小松台東。多感な時代とそれぞれに背負ったもの、なんでもない時間を描いて今。襲われたり、復讐しようとしたり、父が仕事なくしたり、女の子と付き合ったりな高校時代。「オイ!」は、最初にシーンで高校生の一人が職がなくなって寝転がっている父にいう言葉。これが最後のシーンで彼自身に少しフィードバックされる感じ。終演後は、音響担当の佐藤こうじさんが音響解説のアフタートーク。色々と面白い裏話もあったけど、佐藤さんががっしりした大きな人だったのが意外だった。
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No:020  ピエタ / assatte produce
Theater:本多劇場
Date:08/05 M
Sheet:D-16
Price:\8,500
Time:2幕 1:20 1:00
原作:大島真寿美
脚本・演出:ペヤンヌマキ
出演:小泉今日子、石田ひかり、峯村リエ、広岡由里子、伊勢志摩、橋本朗子、高野ゆらこ
演奏:向島ゆり子、会田桃子、江藤直子
 8世紀、爛熟期を迎えた水の都ヴェネツィア。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児を養育するピエタ慈善院で〈合奏・合唱の娘たち〉を指導していた。時は経ち、かつての教え子エミーリアのもとに、恩師の訃報が届く。そして一枚の楽譜の謎に、ヴィヴァルディに縁のある女性たちが導かれていく――。ピエタで育ちピエタで働くエミーリア、貴族の娘ヴェロニカ、高級娼婦のクラウディア……。清廉で高潔な魂を持った女性たちの、身分や立場を超えた交流と絆を描く。運命に弄ばれながらも、ささやかな幸せを探し続ける女性たちの物語。
 ちょっとチェーホフみたいな、生きるとはな感じが???だったんだけど。孤児院ピエタにかかわった人たちは、それぞれ人としての矜持みたいなものをもって生きている的な感じかな。最後に探した楽譜の裏にはヴェロニカが書いた詩が書かれているというくだりが素敵。これだけの女優さんの共演と生演奏と最後のカタルシスな感じが素敵。
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No:019  兎、波を走る / 野田地図
Theater:東京劇術劇場 プレイハウス
Date:07/2 M
Sheet:U-28
Price:\12,000
Time:1幕 2:10
作・演出:野田秀樹
出演:高橋一生、松たか子、多部未華子、秋山菜津子、大倉孝二、大鶴佐助、山崎一、野田秀樹他アンサンブル
 白い兎を追って穴に入ってしまったアリス。それを追いかけた母親。不思議の国のアリスを下地に、ピーターパン、現代のSNSや対話型AIなども交えて、北朝鮮の拉致事件をモチーフに描いた作品。
北朝鮮の拉致問題の史実を織り込み、横田さん、曽我さんをモチーフにお話が構成されている、松さんはその母親役、ラストのそれでも娘を待っているというシーンはぐっとくる。なんか既視感のある作品を作る二人の作家は、AIの暗喩なのかなぁ。ガラスなのか合わせ鏡なのか画が重なるような美術が素敵。鏡の国のアリスも入ってるのかなぁ。大きなカンバスのように見える舞台ではなかったけれど、紐を横方向に張って、波にしたり、38℃線にしたりとやっぱり絵面が美しい。上田さんの映像は、ケラさんの時と似ていて、人がそのままマッピング映像に入れ替わったり、動くものに映したりと効果的。堀尾さんの美術やひびのさんの衣装と合わせてより世界観を作っていた気がする。
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No:018  ウェルカム・トゥ・ホープ / ラッパ屋
Theater:紀伊國屋ホール
Date:06/25 M
Sheet:A-6
Price:\6,000
Time:1幕 1:30
作・演出:鈴木聡
出演:岩橋道子、中野順一朗、弘中麻紀、浦川拓海、宇納佑、大草理乙子、熊川隆一、武藤直樹、岩本淳、林大樹、俵木藤汰(以上、ラッパ屋)、谷川清美(演劇集団円)、上大迫祐希、ともさと衣、松村武(カムカムミニキーナ)
 タワマン暮らしで「ここだけバブル」のような毎日を送っていた希(自称イケてる女・50歳)は事業で大失敗した。タワマンを引き払い、家賃の安さに惹かれ引っ越した先は「ここだけ昭和」のようなオンボロアパート「ホープ荘」。もうね、今までとは別世界。住んでる人たちも、よく言えば「味がある」んだけど、希の目からすれば「底辺」。夢も希望もない、「ホープ荘」じゃなくて「絶望荘」ね、と嘆く希だったが、このアパートで思いがけない人物と出会う。それは青春の記憶を呼び覚ます、一番会いたかった、でも一番会いたくなかった人物で・・。
 パチンコに明け暮れる高校の同級生、そこの訪れてくるパパ活中の娘。漫才コンビを組んでいて、コンプライアンスで昔の漫才ができなくなったと舞台を降りた男と説得に来る相方など。安アパートに事情を持ちながら暮らす人たちの物語も描き、そこに降ってくる耐震強度を理由に立退き要求と一致団結する住人な物語も。
 鈴木節は、今の社会を覗き見るような場面もあるけど、人と人が絡んだほっこりなお話。相方の説得に来る松村さんのみんなきれいなとこしか見なくなるみたいな台詞は、笑いの合間にチクってくる。ラッパ屋さん、安定の安心感に、ゆるりと大笑い。主演の岩橋さんは、こういう女性が似合うなぁ。麻紀ちゃんはすっかりおばさん役だけどやっぱりキュート。出始めた頃は学生役ばっかりだったほぼ劇団員的立ち位置のともさとさんも大人の女性。来年は40周年だそう、自分も長く見てるけど、半分強なのかな・・・。90分とちょっと時間が短かったけど、さっぱりしてそのくらいも見やすくていいなって。
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No:017  パラサイト / コクーンプロデュース
Theater:THEATER MILANOーZa
Date:06/17 M
Sheet:D-19
Price:\12,000
Time:2幕 1:05 1:25
台本・演出:鄭義信
出演:古田新太、宮沢氷魚、伊藤沙莉、江口のりこ、キムラ緑子、みのすけ、山内圭哉、恒松祐里、真木よう子、青山達三、山口森広、田鍋謙一郎、五味良介、丸山英彦、山村涼子、長南洸生、仲城綾、金井美樹
 堤防の下にあるトタン屋根の集落。川の水位より低く一日中陽がささず、地上にありながら地下のような土地で金田文平(古田新太)の家族は家内手工業の靴作りで生計を立てて暮らしている。一方対照的な高台にある豪邸では、永井慎太郎(山内圭哉)、妻の千代子(真木よう子)、娘の繭子(恒松祐里)、引きこもりの息子賢太郎がベテラン家政婦の安田玉子(キムラ緑子)とともに暮らしている。文平の息子の純平(宮沢氷魚)は妹の美姫(伊藤沙莉)が偽造した大学の在籍証明を利用し、繭子の家庭教師としてアルバイトを始める。息子の賢太郎のアートセラピーの教師として、美姫が、慎太郎の運転手や玉子がクビになるように仕向け、その後釜に、文平と妻の福子(江口のりこ)が、と一家は永井家に寄生していく…。
 話を日本に置き換え、神戸の震災も描いた作品は鄭義信さんらしさもあって、神戸の震災の下りは、政府や警察の対応の遅さを語ったり、高台に人々と下に住む人の違いを語ったりと、なんかはちょっと辛口。氷魚さんがモノローグを担ってて、印象のナイーブさは舞台ではあまりない感じ。で、前半はちょっと商業演劇な感が強く、氷魚さん、真木さん、緑子さんが、やりすぎな感じではめ外した感じもご愛敬かな。古田さんと山内さんはいつものまんまな感じ。後半は、ちょっとスリリングとシリアス。古田さんとドリさんというかねてからの激押し舞台役者が同じ舞台に、そして、そこに大好きな沙莉ちゃん、みのすけさん山内さんも絡んでの、真木さんと氷魚君。恒松さんもいいいし、アンサンブルとして、ワンオアの山口森広さんがいい役で出てるのもまた至福。みのすけさんは原作にないキャラ。沙莉さん、可愛すぎます、そして、何やっても器用にこなす・・・
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No:016  人魂を届けに / イキウメ
Theater:シアタートラム
Date:05/27 M
Sheet:H-15
Price:\6000
Time:1幕 1:50
作・演出:前川知大
出演:浜田信也、安井順平、盛隆二、森下創、大窪人衛(以上、イキウメ)、藤原季節、篠井英介
   人魂(ひとだま)となって、極刑を生き延びた政治犯は、小さな箱に入れられて、独房の隅に忘れもののように置かれている。耳を澄ますと、今もときどき小言をつぶやく。恩赦である(捨ててこい)、と偉い人は言った。生真面目な刑務官は、箱入りの魂を、その母親に届けることにした。森の奥深くに住む母は言った。この子はなにをしたんですか?きっと素晴らしいことをしたのでしょう。そうでなければ、魂だけが残るなんてことがあるかしら。ところで、あなたにはお礼をしなくてはいけませんね。母はベッドから重たそうに体を起こした。魂のかたちについて。(イキウメHPより)
 母のもとには、森でさまよい倒れた人々が、そして過去にも。過去ここから、街へ出て行った人々は、復讐と言う名の元に犯罪を犯していた。
 篠井さんは要の役どころ、藤原さんがもっと前に出る役かと思いきや、劇団員さんと同じような役どころ、KAATで観た「ぽに」比べより良い印象、映像は大好きな役者さん、舞台も良いなぁ。安井さんはいつものように前に出てるけど、浜田さんは少し控えめ。くるまった毛布を抽象化して別のものに見せたりする演出、自分には何か分かりにくかったかなぁ。魂ってなに的な部分もなんかピンと来なかったかなぁ。でも、やっぱりここ最近いつも観たくなるだけあって、サイコなのか、SFなのか、ファンタジーなのか独特の世界観見ごたえは十分。
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No:015  もうがまんできない / 大人計画
Theater:本多劇場
Date:05/03 S
Sheet:J-3
Price:\8,000
Time:1幕 2:05
作・演出:宮藤官九郎
出演:阿部サダヲ、皆川猿時、荒川良々、宮崎吐夢、平岩紙、少路勇介、中井千聖、宮藤官九(以上、大人計画)、仲野太賀、永山絢斗
 東京は渋谷。ラブホテルや雑居ビルが立ち並ぶ猥雑な裏街。出来たばかりのセレブリティなマンションの前に、古びたビルがある。そんな猥雑な街の一角で、メジャーになれない解散寸前のお笑いコンビ、デリヘル嬢と店長、浮気妻と間男など、訳ありな人々がたまたま出会い、ワンシチュエーションで交差し、ノンストップで駆け抜ける物語。(大人計画HPより)
 松尾さんのように不条理さの中で負の方向にどんどん進んでいくのではなく、不条理さはあまりなく、一つ一つとればぎりぎりありそうなことなんだけど、スピーディーにてんこ盛りのキャラ祭り。一癖も二癖もある役者たちが演じて暴れまわる。壊れていないのは、宮藤さん演じる社長と芸人コンビを演じる大賀さんと永山さんのみ。芸人役の二人も、役柄もあって吹っ切れたお芝居。阿部さん、皆川さん、宮崎さん、少路さんは、言わずもがなな壊れっぷり、女性陣の狂気の沙汰で笑いっぱなし。テレビじゃ放送できないようなセリフ連発だけど、世の中のうるさ型がいろいろという時代、せめて劇場だけは自由であってほしい。何やってもいいってことではないと思うけど・・・。
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No:014  そこ、つままないで / なないろ満月
Theater:OFF・OFFシアター
Date:04/29 M
Sheet:自由
Price:\4,500
Time:1幕 1:20
作・演出:松本哲也
出演:野々村のん、松永玲子、弘中麻紀
 20数年ぶりにトリオを復活させ、地域のイベントの楽屋に集まった50過ぎの女性3人のお話。その歳なりの女性の悩み、家族のこと、そして、過去の確執などを覗かせながら、ボケ、突っ込みあう3人の楽屋でのお話。
 女優三人のみ、三人とも関西出身で同い年だそう。松永さんと麻紀ちゃん同い年なんだぁ。野々村さんの松本さんへの依頼が、コメディだったらしいけど、このメンバーで松本さんの本だったら、もっと人の内面や関係性なんかを描いたひりひりした部分のあるものが見たかったかなぁ、そこに笑いが加わるような。松永さんのガシガシ攻めてくる感じやラッパ屋ではあまり見ない麻紀ちゃんの関西弁が面白かった。OFF OFFで、この二人が見られるなんて言うのもなかなかない機会なので野々村さんの企画に感謝!
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No:013  ソウル市民 / 青年団
Theater:駒場アゴラ劇場
Date:04/22 M
Sheet:自由
Price:\3,500
Time:1幕 1:30
 2000年にアレンジした1919バージョンを観たお芝居。
 ちょっと表現が過剰だったり、笑いの部分がぎこちなかったり、どこか不条理な行動だったりと、初期の作品だなぁって感じる部分も。ただ言葉にこだわっているオリザさんらしさは感じる。前に観た時もちょっとほかの作品ほどの好感触はなかったけど、今回もやっぱりちょっと好みとは違うかなぁって。そのころ、若手から中堅だった永井秀樹さんが堂々ベテラン感なのにしみじみ。
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No:012  帰ってきたマイ・ブラザー / シス・カンパニー
Theater:世田谷パブリックシアター
Date:04/15 M
Sheet:1F-B-13
Price:\11,000
Time:1幕 1:35
作:マギー
演出:小林顕作
出演:水谷豊、段田安則、高橋克実、堤真一、寺脇康文、峯村リエ、池谷のぶえ
 かつて大ヒット曲を放ちながら、あっという間に表舞台から姿を消した兄弟グループ“ブラザー4フォー”の物語。今は別々の道を歩む4兄弟(水谷×段田×高橋×堤)だったが、なぜか令和の現代に、その存在が再び脚光を浴びることに、かつてのファン(峯村リエ・池谷のぶえ)やマネージャー(寺脇康文)も集まって、ついに再結成の日を迎えるのだが…。果たして、4兄弟は往年の歌声と絆を取り戻せるのか?!(シス・カンパニーHPより)
 パブリックで超満員を見るのは久しぶりな気が。今まで見たことなかった地球ゴージャスのメンバー2人目だけど、ほんと人気ある人たちなんだ。御大たちの王道コメディーもたまには良し、このメンバーの中で池谷さんと峯村さんが暴れる暴れる、それが至福。意外にも話しまわしている役が水谷さんで楽しそうにやっていた。小林さんの絡んだ作品も観るのも久しぶりな気が。年齢層も高く、終始笑いっぱなしの娯楽作品は、ほんとキャスト贅沢すぎ。だけど、\11,000/1:35はちょっと高いかな、長くやればいいわけじゃないけど・・・。
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No:011  誤餐 / 赤信号劇団
Theater:ザ・スズナリ
Date:04/01 M
Sheet:D-2
Price:\6,800
Time:1幕 1:55
作・演出:桑原裕子
出演:渡辺正行、ラサール石井、小宮孝泰(以上、コント赤信号)、室井滋、若狭勝也(KAKUTA)、青年座の那須凛(青年座)、岩男海史
 懐かしい人に逢う午休み、浮き立つ気持ちとざわめく想い、凪いだ日々に僅かに泡立つときめきをすべて台無しにしそうな 予感。空は曇天 まがまがしい遠雷 これはきっと まちがいだらけの午餐会。ついさっき 胸に跳ねたワインのしみが嗤う「こうなったのはお前のせいさ」(石井光三オフィスHPより)
 ある大学教授の家、帰ってみると若い妻が浮気しようとしていた男とばったり、大騒ぎしているところに、会うはずだった昔の彼女で、友人の妻である女から電話で家に来るという。一方、しばらくして妻のもとに訪れてきた大学生は、昔の彼女の息子、そこに彼女の夫まで現れて・・・・。昔の彼女は、息子の出生について、なにか含みを持たせて、話をしたいと言って来たのであった。そして、そこには、教授になった論文の秘密も。てんやわんやの1日の物語。
 赤信号、リーダーだけは初かも、あっという間の時間。最初のドタバタ感はあんまりバラちゃんっぽい感じがしないなって思ったけど、人のいびつさや甘さ、そこから起こる確執、そして、それをも包む暖かさはやっぱりバラちゃん。ちょっと、サービスしすぎなカーテンコールは長かったかな・・・。
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No:010  たぶんこれ銀河鉄道の夜 / 日本放送
Theater:紀伊國屋サザンシアター
Date:03/25 M
Sheet:13-14
Price:\8,800
Time:1幕 2:00
作・演出:上田誠
出演:久保田紗友、田村真佑(乃木坂46)、鈴木仁、戸塚純貴、後藤剛範、加藤啓、岩崎う大(かもめんたる)、 槙尾ユウスケ(かもめんたる)、藤谷理子、石田剛太、土佐和成、中川晴樹(以上、ヨーロッパ企画)  アナウンス「銀河ステーション、銀河ステーション」。ナオは気がつくと列車の中にいた。桔梗色の空、銀河の岸。あー、たぶんこれ銀河鉄道の夜。まえに劇でやったから知ってる。けどなんで私が。いや、心当たりはある。裏山に登ったのだ。なんで私ばっかり、みたいな心持ちで。ナオは地方住みの美容師。日々を生きているが、なかなかつらい職場ではあり、練習会でライブへも行けず、そしてツイッターがプチ炎上。そうしてジョバンニよろしく裏山へ。同じ車両には、ライブに行ったはずのレナも乗ってる。っていうかあれ、職場の先輩。なんで? っていうか、思ったより人、多いな。こんなんだったっけ。窓の外は、宮沢賢治が描いたあの風景。幻想的ってこういうことか。えっまだ乗ってくる? 全員座れなくない? ここで車掌が出てきてアナウンス。なんか乗車率のおわびと、ゲームの説明みたいのが始まった。えっと、これは銀河鉄道の夜、と思うんだけど、たぶん。
 銀河鉄道の夜の夜をベースにしたオリジナルのコメディ。いろんなディテールをヨーロッパっぽく現代のものに置き換えてるのが企画ものだけど、上田さんっぽい。相変わらずのつっこみつっこまれのドタバタだけど、SNSが人を傷つけたり、壊しちゃったりな社会派な部分も。藤谷さんはヨーロッパとは違う役回りだけど、嫌な奴前回だけど大活躍、歌もウマッ。
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No:009  歌うシャイロック / 松竹
Theater:サンシャイン劇場
Date:03/21 M
Sheet:1F-7-7
Price:\12000
Time:2幕 1:20 1:55
作・演出:鄭義信
出演:岸谷五朗、中村ゆり、真琴つばさ、岡田義徳、渡部豪太、和田正人、小川菜摘、マギー、福井晶一、駒木根隆介
 ヴェニスに暮らすユダヤ人の金貸しシャイロック(岸谷五朗)は、冷酷な取り立て故に町の嫌われ者。愛する一人娘のジェシカ(中村ゆり)も心を痛め、そんな環境から逃れようと恋人のロレンゾー(和田正人)と父親の金を持ち出して駆け落ちをはかる。その頃落ちぶれ貴族パッサーニオ(岡田義徳)は、恋の成就の為に親友の商人アントーニオ(渡部豪太)に金の融通を頼む。しかしアントーニオは所有する商船が全て海に出ており手持ちの金がなく、仕方なく日頃嫌っているシャイロックから「肉1ポンド」を担保に金を借りることにする。パッサーニオの求婚相手ポーシャ(真琴つばさ)は、父親から莫大な遺産を譲り受け多くの男たちに求婚されてきたが、父が遺言で残した求婚試験に合格したものはこれまで一人もいなかった。そんな中、パッサーニオがやっとの思いで試験に合格、ポーシャと結ばれ喜んでいるところへ、一通の手紙が届けられる。アントーニオのすべての商船が嵐のため難破したというのだ。借金が返せなくなったアントーニオは、シャイロックとの裁判で負ければ「肉1ポンド」を切り取られてしまう。果たして裁判の結果は?そしてシャイロック親娘の運命は?(松竹HPより)
 まあ、笑いと歌をベースにした商業演劇のヴェニスの商人です。休憩はさんで、3時間35分の長丁場、ちょいちょい冗長なシーンも、興行的な要素が強いのでそんなものかなぁ。とはいえ、鄭さんのメッセージみたいな部分は結構あって、そういうとこは好きかなぁ、ちょっとアンバランスな感じかするけど。マギーさんが笑いを担って場を温める役、上手いなぁって。そして、随所に吉本みたいに入り込んでくる小川菜摘がスパイス。中村さんは、本当に美しい・・・。和田さんは最初に吃音の若者を演じるけど、なんか違和感。真琴さん、福井さんの歌も見どころです。当日はWBC準決勝の日、対メキシコ戦で再び勝ち越されるところでRADIKOを消してしまっていた。舞台途中の「村上様」って、アドリブでもしかしてWBC逆転したのって知るのもまた生の芝居の面白さか・・・。
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No:008  Don't Freak Out / NYLON100℃
Theater:ザ・スズナリ
Date:04/18 M
Sheet:G-1
Price:\7,600
Time:1幕 2:20
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:松永玲子、村岡希美、みのすけ、藤田英世、安澤千草、新谷真弓、廣川三憲、吉増裕士、小園茉奈、大石将弘、松本まりか、尾上寛之、岩谷健司、入江雅人
 山奥の精神病院を経営していた豪家。大家だった兄は、心を患ったとされ地下に幽閉されている。家も妻も娘もその弟のものとなり、実権を握る祖母、弟と妻の間に小さな男の子とともに暮らす。一家の周りには、一癖ある警官、警官に紹介されてやってきた新米女中、わがまま極まりない娘と婚約している町長の次男。祖母をよく思わない妻と息子、義父をも手玉に取る娘、欲と業にまみれた一家には、長く務める女中姉妹。過去の出来事と今を行き来しながら、次々と死んでいく人たち、そして、女中姉妹のピュアな恋心を描く。
 スズナリで休憩なしの2時間20分でも、全然長く感じない舞台、業と欲にまみれた救いようにない人たちのデストピア。その中で、強かさは見せても染まらない女中の松永さん、村岡さんの姉妹は、役も上手くはまってて、物語紡いでいく。この二人の淡い清い恋心が真っ黒な中にほんとに小さな灯。個人的には、人の機微や普遍性みたいなのを描いた話が好きだけど、こういう話を魅せきるということに圧巻。なんとも上質な時間なんでしょう。作りこまれた古民家の女中部屋、スズナリならではの空間、相も変わらずの映像の美しさ、今回は役者紹介のマッピングはないけど、冒頭のタイトル映像、闇をイメージさせる光の当て方がなんとも素敵。新谷さんの久々のナイロンは、新谷さんのまんま戻ってきてくれてうれしいし。みのすけさん、薄気味悪く、岩谷さん強欲非情、松本さん、わがまま上等、尾上さんをナイロンでみられるのもまたうれし、これもまたはまり役。そして、犬山さん、峯村さん、三宅さん、大倉さん抜きでも、このメンバーで構成できてこのクオリティー、ナイロン懐深いなぁ〜、ケラさんすごいなぁ〜。
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No:007  なるべく派手な服を着る / MONO
Theater:吉祥寺シアター
Date:03/12 M
Sheet:D-14
Price:\4,300
Time:1幕 1:50
作・演出:土田英生
出演:奥村泰彦、水沼 健、金替康博、土田英生、尾方宣久、渡辺啓太、石丸奈菜美、高橋明日香、立川 茜
 2008年劇場で観た作品。 土田さんがロンドン留学から帰ってから一番印象の良かった作品、そのあと花組芝居の企画公演でも観たけど、全然内容を覚えてなかった。なんかほかの作品といろいろとごちゃまぜになって覚えてる。特に、床下のホラ吹き男と。 相変わらず、変な言い回しやどうでもいいヒエラルキーが逆転するお話は自分好み。覚えてなかったけど、やっぱり面白かった。メンバーが前より歳とった分をなんとなく無理やり若作りにしてる感がちょっと面白い。あとからメンバーになった女優さんたちがすごく馴染んで来ていい感じのMONO。
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No:006  蜘蛛巣城 / KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
Theater:KAAT神奈川芸術劇場ホール
Date:03/11 M
Sheet:1F-14-4
Price:\8,500
Time:1幕 2:15
原脚本:黒澤明、小國英雄、橋本忍、菊島隆三
脚本:齋藤雅文
上演台本:齋藤雅文、赤堀雅秋
演出:赤堀雅秋
出演:早乙女太一、倉科カナ、長塚圭史、中島歩、佐藤直子、山本浩司、水澤紳吾、西本竜樹、永岡佑、新名基浩、清水優、川畑和雄、新井郁、井上向日葵、小林諒音、相田真滉、松川大祐、村中龍人、荒井天吾・田中誠人(W キャスト)、久保酎吉、赤堀雅秋、銀粉蝶
日本の戦国時代、天下統一の野望を抱いた者たちが群雄割拠の様相を呈した頃、蜘蛛巣城の城主・都築国春は味方の謀反により苦戦をしいられていた。一の砦の大将・鷲津武時と二の砦の大将・三木義明は隣国との激しい戦いの末、蜘蛛手の森の中をさまよっていると、二人は森に棲む謎の老婆と出会い、二人は予言めいたことを告げられる。武時には「今宵からはあなたは北の館のお殿様、やがては蜘蛛巣城のご城主様」、義明には「あなたのお子はやがて蜘蛛巣城のご城主様」。この予言を聞いてから武時とその妻・浅茅の運命は大きく変わり、予言に誘われるかのように動き出す――。(KAAT HPより)  KAAT芸術監督の長塚さんは、旧の名作を拾い出して、評価されているようだけど、自分は始めたころのスパイダースの方が好きかな。ちょっと、どうして今この作品って感じがしちゃう。前半日ごろも疲れもあって、めちゃうとうと、後半物語が進むにつれて、やっと2人に引き込まれていく、早乙女さんは、最初ちょっと線の細い感じがしてたけど、葛藤の中で突き進む感じが迫力。倉科さんは、したたかさのある女性で普段と違う感じだけど、舞台では貫禄。ほんとは長田奈麻が出るはずだったけど、体調不良で降板、かもめんたるに続きまたもや残念・・・。赤堀さんは、シャンプーの芝居をまた観てみたいなぁ。
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No:005  長い長い恋の物語 / 玉造小劇店配給芝居
Theater:ザ・スズナリ
Date:02/18 M
Sheet:F-1
Price:\4,500
Time:1幕 2:10
作・演出:わかぎゑふ
出演:コング桑田、野田晋市、うえだひろし、長橋遼也、松井千尋、吉實祥汰、澤田紗菜、わかぎゑふ(以上、リリパットアーミーU)、みやなおこ、美津乃あわ、笑福亭銀瓶、みょんふぁ(SORIFA)、カン・ソンヒョ、川飛舞花
 1910年から日本の統治に置かれていた朝鮮半島では、日本語教育も実施され、朝鮮人は基本的に「日本人」であった。大正中期になると、多くの人が 働き手として日本に強制的に、 自主的に渡ってきたのである。そして昭和になり働き盛りのパク・ソジンも自国にいても食べていけないという事情で、先に日本に 出稼ぎに来ていた兄を頼って朝鮮半島から 日本にやってくる。仕事は土木作業だったが、米飯が食えるだけで幸せだった。しかし、生活するうちに段々と日本人から差別の目で見られている事に気がついていく。ある日、作業中に怪我をしたのだが、偶然作業事務所に来ていた建設会社の令嬢、桜子に手当てをしてもらう。ソジンは美しくて優しい桜子に恋をしてしまうのだが…。それは彼らの人生の長い長い恋の物語の始まりでもあった。(玉造小劇店HPより)
 前説、カーテンコールに、コングさん大暴れ、ひとしきり懐かしい気分に浸る。途中の主人公のひどい扱いに胸が痛くなるも、心底に優しさがある戦後の在日大河、やっぱりふっこさんの本は暖かい。鄭さんの焼肉ドラゴンにもつながる感じだったり、大好きな鷺沢萠さんには在日の話がでてくるので、そんなこんなでも物語に入りこんじゃった。そういう物語を描きながらも、実らないけどほわって温かくなるような恋を描いているのが素敵。ヒロインの松井千尋さん、今回存在感あって、素敵な女優さんだなって思った。相手を支配する権利があると思ったら残酷になる。刺さる台詞だったなぁ。朝鮮人が変わったのでなく日本人が朝鮮を占領するようになって変わった。とかも刺さる。
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No:004  磁界 / オフィスコットーネ
Theater:小劇場B1
Date:02/11 M
Sheet:D-1
Price:\4,500
Time:1幕 1:55
作・演出:中村ノブアキ
出演:青山勝、大滝寛、谷仲恵輔、西尾友樹、井上拓哉、狩野和馬、柿丸美智恵、異儀田夏葉
 生活安全課に配属になった警察官の首藤は、自ら望んでいた配属先であったこともあり、新しい仕事にやりがいを感じていた。ある日、向坂という相談者がやってきて妹を探して欲しいという。高額な金銭の要求やその理由から、事件に巻き込まれているのではないかという内容だった。上司に相談するも、事件性はないとの判断を受け、日々の業務に忙殺され、だんだんとおざなりの対応になっていく・・・。警察組織の人間関係、体質に絡めとられていく思考、隠蔽さえも正当化されていく世界、モラルとは、正義とはなんだ。(当日無料パンフより)
 警察批判一辺倒な感じなのかと思って観てたけど、最後には考える余白もある作品。探してくれという姉の根拠がちょっと薄く感じて、何となく最初の方に説得力を感じなかったのが残念。タイトルになる「警察という磁界」「行き過ぎた正義感は暴力」「弁護士の正義はお金で買える」「その時出来ることをすれば結果は結果」「暇だから人を殺す」など、面白い台詞いっぱい。青山さん貫禄・迫力があって素敵だし、言わずもがなな異儀田さんは殺される前のやさぐれた役で新たな面が観られてこれもまたよし。狩野さんは以前円形で観た芝居でものすごく肌の合わない感じの役だったけど、今回は熱演の弁護士役で変な印象が払拭されたかなぁ。
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No:003  奇事故(KIJIKO) / 劇団かもめんたる
Theater:あうるすぽっと
Date:01/28 M
Sheet:M-3
Price:\5,000
Time:1幕 1:50
作・演出:岩崎う大
出演:岩崎う大、槙尾ユウスケ、もりももこ、土屋翔、野口詩央、小早川俊輔、高畑裕太、浅野千鶴、宮下雄也、キャロパン平岡(代役)
 昭和XX年、とある親子が催眠術ショーの会場に足を運んだ。この事件の被害者となるのは戸田雉子(きじこ)ちゃん、当時9歳、彼女は大人気催眠術師・木村トーゴ―に舞台上で海賊のキャプテンになる催眠術をかけられる。実際この事件で有名なのは、この後舞台上で起きた殺人事件だ。木村トーゴ―が関わったとされる詐欺事件の被害者・山中正太郎の息子山中幸一が、舞台上に乱入し木村を刺殺する。ショーは即座に中止された。このニュースは当時のワイドショーを賑わす丁度良い事件となったが、雉子ちゃんにかけられた催眠術が解かれないままだったことを知る人間は少ない。雉子ちゃんと家族の生活はあの事件をきっかけに大きく変わってしまった。9歳の少女は消え、代わりに海賊のキャプテンが誕生してしまったのだから・・・。もはや都市伝説のように捉えられてしまっているこの事件・通称「奇事故」。あの家族はその後の人生をどう歩んだのか。(チラシより)
 最初、寒いのに歩き回った後劇場は行ったらウトウト、その上ちょっとシュールで客席の雰囲気も重く笑いも少なめだったけど、後半になって展開が進むにつれて笑いも出てきた。キャロパン平岡さん演じる雉子の小学校時代の先生が空気読まない発言して、周りが突っ込む下りが後半はずっと続くんだけど、これが鉄板でおもしろい。コメディと言いながらも、障がい者の話とか絡めて、意外とシリアスな面も。コント的な要素もあるけど、ちゃんとお芝居なんだけど、なんとなくスタンスがしっくりこないかぁ。劇団員となっているナイロンの長田さんが今回は出てないのは残念過ぎ。
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No:002  宝飾時計 / ホリプロ/博報堂DYメディアパートナーズ
Theater:東京劇術劇場 プレイハウス
Date:01/21 M
Sheet:J-4
Price:\9,800
Time:2幕 1:10 1:10
作・演出:根本宗子 出演:高畑充希、成田凌、小池栄子、伊藤万理華、池津祥子、後藤剛範、小日向星一、八十田勇一  主人公のゆりか(高畑充希)は子役から女優として活躍しているが、驚くほど業界に染まれていない。30歳を迎え、同級生たちが次々と結婚し子供を産んでいく中、「私は何のためにこんなことをやっているのだろう」と自分の存在の意味を見つけられずにいた。そんな彼女の心を日々支えているのはマネージャーの大小路(成田凌)。ある日ゆりかのもとに「21年前にやったミュージカルの記念公演のカーテンコールで、テーマ曲を歌ってくれないか?」という依頼が飛び込んでくる。それは彼女の原点となった舞台だった。仕事を引き受けたゆりかは現場で、当時一緒にトリプルキャストとして主演を務めていた真理恵(小池栄子)と杏香(伊藤万理華)と再会する。自分の人生を肯定したい3人は、他者を否定することでなんとか自分を保っていた。その会話は21年前も今も変わらない。過去と現在を行き来しながらゆりかは自分の人生を振り返り、孤独に押しつぶされそうになる。日々増える無力感の中、ゆりかは自分の人生の肯定の仕方を考え始め・・・。
 公開されているあらすじに、いろいろなエピソードちりばめての本当の自分の気持ちとは、気持ちを伝えるとはなお話な感じだった。好み過ぎるキャストに、演劇サイコロ実践中の根本さんの組合せ、たまんない。今まで観てきた根本さんのお芝居とはちょっと違った感じの2幕、長いモノローグあったり少ししっとり目な感じ。1幕いつものようなまくしたてるようなスピード感や女子トーク、2幕は意表を突かれたかな。しかも、いつもはちょっと歪んだ感じの人間関係だったり、恋愛関係だったりするけど、ファンタジーな純愛。成田さん、映像大好きなんだけど、大きなサイズの劇場向きの芝居っぽくってちょっと硬い感じかな、もっとナチュラルな芝居を小さい劇場で観てみたいかな。高畑さんは椎名林檎さん作の劇中歌も含めて、圧巻、堂々の大女優。小池さんと伊藤さんは根本さんっぽい部分を表現、八十田さん、後藤さんを含めて、笑いの土台を作ってく、特に伊藤さんは根本さんのお芝居とめちゃめちゃ相性がいい気がした。小日向さんはとても雰囲気のいい役者さん、池津さんは役どころ的にちょっともったいないかな。
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No:001  恥ずかしくない人生 / 艶∞ポリス
Theater:シアタートップス
Date:01/14 M
Sheet:J-4
Price:\4,400(イベント割)
Time:1幕 1:35
 女性留置所のバツイチ女性部長看守、真面目ではあるけど、空回りだったり、不倫してたり。いい加減は不倫相手の上司と、後輩にパワハラする部下や理屈ばっかりの部下。留置される受刑者は、薬物中毒、マザコン夫との確執から間違って姑を刺した女、なんでも謝っちゃっう冤罪の女などなど、そんな人たちの留置所でのお話。
 パワハラ、冤罪、賄賂、薬物、不倫、嫁姑と色々出てくるある意味社会派?、間に笑いを挟んでるけど毒いっぱい。と言っても嫌な感じはなくカラッとした笑い。伏線の引き方やコミニティの行き違いなんかの切り取り方が絶妙で上手いなぁって。近江谷さんのマザコン男、嫌なやつを好演。今藤洋子さんが主演ということでチケット取ろうと思っていたら怪我をしたらしく、代役になっていた。前に艶ポリスで観たことのある関絵里子さんってかたは印象が悪くなかったから観に行ってみた。それはそれでよかったけど、最初の2日間の代役は異儀田夏葉さんだったので、大ファンの自分としてはそれが観たかったなぁ。で、やっぱりトップスって、いい劇場だなぁ。
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