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観劇日記(劇場編)2001年  −−−−−−−−−−− 


自分で足を運んで劇場で見た芝居の感想です。(≠批評、ネタばれあり)
★は、自分のお気に入り度

法王庁の避妊法/Fabrica[10.0.1]/ロープ/えっと、おいらは誰だっけ?/地獄でございます
僕たちの好きだった革命/橋を渡ったら泣け/シルバーホスト/妻の家族/猿股のゆくえ
レミゼラブ・ル/ジューゴ/ウェルカム・ホーム/回転する夜/苦労人
あたらしいバカを・・・/東京ノート/ジューゴ/ジューゴ/犬は鎖につなぐべからず
ツグノフの森/ヒトガタ/ファイナルファンタジックスーパーノーフラット/ヒトガタ/悔しい女
少女とガソリン/ゼリーの誘惑/東京タワー/花火、舞い散る/砂利
ロマンス/ひーはー/LOVE30/狐狸狐狸ばなし/エンジェル・アイズ
戦争には行きたくない/ディレクション/カロリーの消費/きっと長い手紙/楽園
FLOWERS/FABRICA[12.0.1]/流れ姉妹/犯さん哉/ゆらめき
ツーアウト/棄憶/ゼブラ/欲望という名の電車/デンキ島
Get Back!/わが闇/偏路/前橋市立南高校演劇部/URASUJI


No:055  URASUJI幕末編 / 敦・杏子プロデュース
★★★☆
Theater:ザ・スズナリ
Date:12/31 M
Sheet:H-9
Price:\4,800
 幕末、黒船の来航で揺れる幕府。その裏で、大奥が闇のお金を動かしていてた。一方、倒幕を志す志士は、それに、利用され勘定奉行の暗殺をしようとするが失敗。大奥に通じている侍に殺されてしまう。弟の為の金作りに、裏の殺し屋稼業に身を置いていた銃の名手の姉は、殺し屋達と共に大奥に乗り込み、彼らを倒す。そんなべたべたなお話。
 大奥側近を演じる藤田さんの下品な暴走に大笑い。杏子さんの歌にうっとり。森貞君はちょっと浮き気味。草野さん、自由。年末の締めとしては、軽めで楽しめました。右斜め後ろで、古田新太様が、豪寝していていびきがうるさくて仕方ありませんでした。舞台の上では大好きな人なので、がっかりです。
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No:054  前橋市立南高校演劇部 / X−QUEST
★★★
Theater:サンモールスタジオ
Date:12/24 M
Sheet:自由
Price:\3,500
 一人しかいなかった演劇部に、新入生の入学をきっかけに、舞台活動を始めて、上演するまでを描く。そこのメンバーが後に、ブロードウイの演出家になるというきっかけを作ったという話。
 途中にコントや、ダンスで繋ぐ2時間。思ったことをやっとこそのまま繋いだような展開。ダンスもきれなし、コントも中途半端。久しぶりに見たけど、このまま続けるなら、やめたほうが良いんじゃないかなって思っちゃう。
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No:053  偏路 / 劇団本谷有希子
★★★★
Theater:紀伊國屋ホール
Date:12/13 M
Sheet:Q-18
Price:\5,000
 女優になるといって飛び出した娘は、劇団に所属していたが泣かず飛ばず。劇団の解散をきっかけに、猛反対だった四国の親の元に返ろうとする。その告白のきっかけを、父がお遍路参りで泊まっている親戚の家でもとうと里帰り。親戚の家は、キャラクタこそ濃い面々であるが、団欒を画に描いたような家庭。放蕩する長男とどこかさめている娘に、おせっかいな母。そして、だまされ易いステレオタイプな母の従姉妹。そんな家庭を見ていると、気持ちが悪くなる娘は毒づく。娘の告白に今度は自分が夢を追うと言い出す父。次の日、一家の娘の貯金通帳がなくなり大騒動。長男のこころを正そうと部屋に通帳を置く娘の父。しかし、そのお金を使い改造車を買ってしまう長男。葛藤のある父への告白から、物語が動き出し、舞台となる親戚の家庭の団欒が崩れかけて、持ち直す。人の善意と悪意が渦巻くお話。
 いつもより毒の少ない本谷さん。コンパクトにまとめたキャストで、さらりと描く家族、父子。父と娘の感情の移ろいが浅い感じがしたけど、池谷、吉本おばさんキャストコンビは、やっぱりたのし。江口のりこさんは、朴訥とした台詞回しに、ちょっと違和感。加藤啓さん、近藤さんとも素敵。
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No:052  わが闇 / NYLON100℃
★★★★
Theater:本多劇場
Date:12/16 M
Sheet:D-9
Price:\6,000
 とある田舎に移り住んだある作家の家族、妻と娘三人。長女は、幼くして文壇に登場、父に一番可愛がられる次女に、女優になった三女。子供達が幼い頃、妻は、精神が不安定になり、別居をする。夫に愛人ができ、離婚。20年後、作家は寝たきりになり、結婚した次女夫婦と作家生活を続ける姉と暮らす。そこには、晩年純文学から演芸評論家になった作家の半生を残すためのテレビスタッフと、姉の作品の編集者が出入りする。ドラマの撮影をすっぽかし、東京で暮らしていた行方不明になった三女が戻ってくる。外の人たちをきっかけに、家族のそれぞれの気持ちが、浮き彫りになってくる、笑いと切なさの物語。
 じんわりとした悲しみが浮き出るコメディ。とっても興味深く素敵な作品だったけど、中盤の自分にとって冗長な部分があって、疲れた体出見ていたので集中力が。大倉さんを飛び道具として使いすぎ感があるが、笑いの部分としてはかなり楽しめる。犬山さんと峯村さんの悲の部分と背中合わせになった笑いは秀逸。最後、編集者の妹で長女に想いを寄せる兄のためと思い乗り込んでくる皆戸さんをエキセントリックにかき回させて終わるあたりがケラさんらしい。皆戸さんの役を植木さんで見たかったけど。客演陣は適材適所、坂井さんのサービスシーンは、全く持ってのサービス。映像になったらもう一度、観たい作品。
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No:051  Get Back! / グリング
★★★★
Theater:ザ・スズナリ
Date:12/2 M
Sheet:F-10
Price:\4,000
 山村の町で民泊の宿を営む夫婦は、子供の病気を気に妻の実家のある町に東京から移り住んできた。そこに、夫の従姉妹である漫画家のストーリー担当である女と、画の担当の女とそのアシスタントがしばしの癒しを求めてやってくる。長年の関係に行き詰まりを感じていた二人は、アシスタントの助言にいい機会と旅に出てきた。町は、過疎化も進み世ね探しにも困るようなところ、妻の兄は、画の担当の女に恋心を抱く。ストーリー担当の女は、他にも仕事を抱えており、自分達の作品に話を書いててくれない画担当は、イライラの気持ちをぶつける。そこから、大きく二人に入る亀裂。その夜に、宿に来た不思議な医学生の占いに気を良くした妻の兄に飲まされた画の方は泥酔。残ったアシスタントの男は、宿に出入りしている妻のバイト先の若い女子が気に入り、いい雰囲気になったところ兄が昔ホテトル嬢をしていたことを罵り、アシスタントの狂気が爆発、兄のエアガン撃とうとするが、流れ弾が、宿に戻ってきたストーリー担当に。ほとぼりが冷め、二人の女達は、お互いの心の区切りのためのお話をする。人と人との綺麗には終わらせられない関係を描いた作品。
 後半の漫画家演じる片桐はいりさんと萩原利映さんの二人の会話シーンは、とても丁寧に作られていてさすがグリングって感じのお芝居。ちょっと前半にあっち行ったりこっち来たりするのでもったいない感じ。急変するアシスタント役の中野さんの部分も、伏線が弱い感じがするので、なんとなく説得力が無い感じに思えてしまう。妻役の高橋理恵子さんの強かな感じと、萩原さんの我慢していた気持ちがはちきれるところが秀逸。片桐さんはエキセントリックさを抑えて好演。
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No:050  デンキ島−白い家編− / 道学先生
★★★☆
Theater:THEATER/TOPS
Date:11/24 S
Sheet:K-4
Price:\4,500
作・演出:蓬莱竜太
出演:山本亨、井之上隆志、三鴨絵里子、土屋裕一
 能登の先の日本海に浮かぶデンキ島、ヤクザ稼業から足を洗い本土に行っていた男が、元の稼業に戻り、跡継ぎの息子と子分と女を連れ、島に戻ってくる。女は、同級生で、島には、男と同級生だった警官と漁師がいた。警官は、長い物には巻かれろ的な男で、漁師は、男への嫌悪感を露わにした。それを侮辱ととった男の息子は、金に困る若い漁師を使い漁師の船に火をつけてしまう。漁師の妻は、本土で前夫が借金をつくり島に逃げ偽装結婚をしていた。妻は、借金のせいでヤクザの元に行く。ヤクザは、船に火をつけたのが息子と知る。男達の確執は・・・
 井之上さんと三鴨さんが、いつものキャラを抑えているところが、それはそれでよかったり。話し自体は可もなく不可もなく。
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No:049  欲望という名の電車 / アトリエ・ダンカン
★★☆
Theater:東京グローブ座
Date:11/17 M
Sheet:N-40
Price:\7,800
演出:鈴木秀勝
出演:篠井英介、北村有起哉、小島聖、伊達暁、明星真由美、菅原永二、鈴木慶一他
 アルコール中毒で元教師のブランチは、妹のステラが暮らしている街ニューオリンズのフレンチクォーターへ、「欲望」という電車に乗り「墓地」という電車に乗り換え、「極楽」で降りてたどり着いた。二人は南部の大農園ベル・リーブで育った、古き良き時代の上流階級の出である。上品に振舞うブランチの態度に、ステラの夫でポーランド系のスタンリーは我慢できず、事あるごとにステラとブランチにあたりちらす。スタンリーの友人ミッチは、清楚なブランチに惹かれてゆき、ブランチはミッチの愛に、最後の望みをかけるのだったが・・・・・。(アトリエダンカンHPより)
 伊達さん、明星さん、菅原さんが出るので観てみたけれども、自分には退屈。篠井さんの良さがちゃんと分かる人がいいのかな。篠井さんの邪の方の感情を吐露している部分では、観てるのが辛くなった、なんか肌に合わないみたい。伊達さんは相変わらずいつものままな感じで、ふり幅を感じない。明星さんは出るとこと、引くところのメリハリがあって好き。
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No:048 ゼブラ / ONEOR8
★★★★☆
Theater:THEATER/TOPS
Date:11/11 M
Sheet:A-2
Price:\3,200
 2年前に劇場で観た作品の再演。キャストも全く変えないという、もの凄く楽しみにしていた再演で、それを裏切らない内容。まとまりが前回よりもいい感じがするが、ちょっと演技や演出がダイナミックになった感じがする。その分コメディー色がより強くなったかな。前回のときに大きな地震が起きた時の長女夫婦の会話のシーンが、夫+4姉妹になっていた。今井さんのトーンの変わらない演技にちょっと違和感。今年4回目の喪服での演技の麻紀様、柿沼兄弟は、最高。千秋楽、カーテンコールに涙の恩田さん。
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No:047  棄憶 / G−up Backup Series
★★★
Theater:恵比寿Site
Date:11/04 S
Sheet:自由
Price:\3,300
作:野木萌葱
演出:板垣恭一
出演:大内厚雄、有馬自由、有川マコト、工藤潤矢他
 終戦の数年後、軍事病院の跡地に集められた人々。彼らは、薬物兵器を研究していた医学者達だった。戦争が終わって、戦犯を逃れた男達は、集まることによりお互いを監視しあう。首謀の男の意図は、彼らの意思を確かめるためであった。今もなお、人類のためにを盾に、人々の命を省みない男達。背負った罪と恐怖、そして、研究者としてのエゴを密室でぶつけ合う。
 なんか芝居じゃなくてもという感じが。ギャラリーに仮設の舞台を作ったため、劇場としては最悪。何人かの人の声が大きく響きすぎ、興ざめ。舞台におけるリアルって、実際とまるっきり同じことではないのを実感。工藤さん可もなく、不可もなくな感じ。有馬さんは、他に比べて、圧倒的な存在感。
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No:046  ツーアウト / 自転車キンクリートSTORE
★★★
Theater:THEATER/TOPS
Date:10/21 M
Sheet:B-9
Price:\3,800
 舞台は、秋の休日、草野球のグラウンド、三塁側ベンチ。草野球チーム・ホケッツの監督・秀吉は、何事もなく日々を無難にやり過ごす人生を送りたいと思ってきた。ややこしい問題はすべて先送り。妻や大学受験を控える息子とコミュニケーションが上手く取れていないと自覚はしていても、何らかの対策を取ろうとしてこなかった。そして、今朝、「妻の家出」という危機的状況に直面することになった。が、あまりの大問題に思考が停止したか、あるいは現実逃避か、秀吉は草野球の試合に来ていた。しかし、もちろん心中は野球どころではない。試合中の秀吉に、息子・塁治が、「母が家出したのに、草野球かよ!」と、文句をつけに来る。行動力や決断力のない父親・秀吉に、いつもイラついている塁治だが、実は自分も父に似ている気がしていて、尚更に腹を立てている。そのうえ、なぜか恋愛に悩む、秀吉の会社の女子社員・真坂も現れ・・・・・・。(劇団HPより)
 「またもや、休むに似たり」みたいなテイストのお芝居を期待していたけど、全然違う空気。岡田さん、太田さんの二人が、自分の肌に合わず、その他も特に気に入りの役者さんがいたわけではなかったので、残念な感じ。草野球の守備の時間のベンチで毎回ツーアウトまでの繰り返しで暗転が多すぎ。話もストレートすぎるし、落としどころも見つからない。唯一、客演の瀧川さんが空気を変えられるお芝居で奮闘。
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No:045  ゆらめき / ペンギンプルペイルパイルズ
★★★★
Theater:吉祥寺シアター
Date:10/19 S
Sheet:B-5
Price:\3,800
 ほんの小さな心のすれ違いがあった夫婦、妻が職場で若い男に声をかけられ、その男から電話があった事から、男が友達と訪れてくるはめに。男は友達を連れてくるが、それがまた曲者。男と夫は仲良くなり、頻繁に出入りするようになるが、夫は、妻が浮気をすると妄想の中に入っていく。そして、次は男の友達と浮気をするんでは無いかと妄想する。それともこれは、妻の妄想なのか。夫婦のことが大好きな夫の店のアシスタントの男。同じアパートに住む前妻の影を妄想する妻とその夫。亡くなった母と暮らしていると妄想する女。人を嫌な気持ちにする理屈ばかりの若い男の友達。その人たちの夫婦の部屋に出入りして、話が絡み合う。一体誰が正気なのか。
 役者さん自体は、特に目立っている人がいるわけではないけど、話も難解で着陸する先が見つけられないんだけど、日常を切り取っているのにリアリティが無いのに、身を委ねているととても気持ちのいい倉持ワールド。高鹿さんの嫌な男は、ほんとに嫌で、ぼくもとさんはキャラは一緒だけど、いつもとちょっと違う役どころ。坂井さんはとってもなじんでいて、小劇場が好きなのかも。
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No:044  犯さん哉 / cube presents
★★★☆
Theater:PARCO劇場
Date:10/15 M
Sheet:I-10
Price:\8,500
作・演出:ケラリーノ・サンドロビッチ
出演:古田新太、中越典子、犬山イヌ子、姜暢雄、大倉孝二、八十田勇一、入江雅人、山西惇
 幼少期書くことが大好きだったちょっと変わった古田新太少年が、大人になってゴーストライターになるという話をコント仕立てに永遠とするナンセンスコメディ。
 笑いまくったけど、8500円はいかがなものか。1年に一度なら良いか。PARCOでやったてことに意味があるんだろうけど、かえってちっちゃい小屋で観たい。
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No:043  流れ姉妹〜ザ・グレートハンチング〜 / 真心一座
★★★★
Theater:赤坂RED/THEATER
Date:10/13 M
Sheet:J-6
Price:\5,500
作:千葉雅子
演出:河原雅彦
出演:千葉雅子、村岡希美、坂田聡、河原雅彦、高田聖子、相島一之他
 第一章の終りから、またもや離れ離れになった二人。妹かつこは、旅回りの貧乏劇団の土さ周りについて、姉を探すたびに出ていた。姉たつこは、北に向かって、街々で暮らしながら、札幌の呑み屋でけんかをして、警察へ。そこで知り合った男に、追いかけられ、心を許していく。男は、左遷され鳥取の境港に行ってしまう。劇団の着いた先も境港、座長は小さな頃の元座長の母親からうけた性的虐待で、女を抱けない体になっていた。そのために舞台に上げられなかった艶物の芝居をするため、男を取り戻そうと、かつこを襲う。そこに、現われる男を追いかけてきたたつこ。また二人は出会う。
 ゲストレイパーの座長演じるは、高田聖子さん。そこまでやるかって位の男っぷり。千葉さん大暴れ、小林さん、正岡さん、伊達さんのガヤ陣が、早替えに告ぐ早替えでたくさんのキャラクタを演じわけ大活躍。村岡さんが、目立たなくなっちゃうのがちょっと残念だけど、いい企画もので、続けて欲しいな。前回も、牛も登場し、今回はワニも。
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No:042  Fabrica[12.0.1] / ROBOT・ポニーキャニオン
★★★☆
Theater:THEATER/TOPS
Date:10/10 S
Sheet:A-3
Price:\4,000
脚本:高井浩子
演出:本広克行
出演:近江谷太郎、峯村リエ、ムロツヨシ、中野英樹他
 四十半ばにして、美大時代の友人と再婚した男、美大を目指す浪人生の息子が一人。妻にとっての初めての子供をと、試行錯誤の子作り励む。息子は、幼なじみの憧れの子がいるが、彼氏の子を妊娠してしまい、堕したいと相談をされてしまい、父に自分が妊娠させたと相談しお金を借りる。そのほかに、父親の同窓生の友人との交友や、彼らの行くスナックに集まってくる劇団関係の人々のエピソードをコラージュして、夫婦と親子の心の動きを描く。
 役者さんたちを観ている分には、楽しくて仕方の無い舞台。でも、高井さんの本は、ちょっと自分には合わないのかな。峯村さんの存在感や、中野さん、近江谷さん、本間さんの掛け合いなど、見所はいっぱい。ヨーロッパの本多さんは、劇団内で諏訪さんとかぶってるのかなと思ったけど、なんか全然違うのね。今回の演技は、ちょっと違和感。前回と話は繋がっているため、瓜生さんと双子役だったムロさん、今回も瓜生さんぽくって、大笑い。他にも、いいところで笑いを持っていくムロさん。
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No:041  FLOWERS / 経済とH
★★★☆
Theater:青山円形劇場
Date:10/8 M
Sheet:H-9
Price:\4,800
作:田村孝裕/演出:坂口芳貞
出演:土屋裕一、有馬自由、大草理乙子、今林久弥、高井浩子、萩原利映、山口良一他
 あるマンションの屋上、隅田川の花火を見るために、住人が集う一日。一人暮らしをしている娘が妊娠し、結婚したいと言い出す管理人家族。妻の浮気と夫の暴力から離婚をしてマンションを引っ越そうとするが娘がごねる家族。余命が限られた男。ホモのカップル。新婚の入居者に、書けない作家。そんな人々の花火前の数時間を描く。
 ちょっと人数が多くて、短い時間なのに色んなキャストに焦点当てすぎな感じ。一つの事象ををじっくり描く感じの田村さんの今までの印象とは違っていた。役者さんの巧拙に差がありすぎな感じもする。大草さん、有馬さん、高井さん、花組の溝口さんが素敵。今林さんと萩原さんも良いんだけど、ちょっと声張りすぎで過剰な気がする。このキャストでこの値段は、ちょっと高すぎな気が。
 時間間違えて、5分程遅刻。劇場の方、申し訳ありません。
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No:040  楽園 / モダンスイマーズ
★★★☆
Theater:三鷹芸術文化センター 星のホール
Date:10/7 M
Sheet:A-16
Price:\3,000
 空威張りをしている同級生に秘密基地に呼び出された転校生。想いを寄せている幼なじみの女の子から、手紙をもらったことの腹いせに、他の子分達を一緒に転校生をいじめる。そこに女の子が登場、彼がいかに弱いかを放され、翻る子分達と転校生が彼をいじめる。しかし、陰湿に逆襲する転校生も、やはり嘘つき。女の子もみんなのマドンナを気取っているが、実はからかわれていただけ。虚構や見栄を子供の世界で描く挑戦作。
 舞台設定は、87年であるが、衣装は現在の自分達。シンプルな中でも、繊細な蓬莱さんの演出が垣間見える舞台は、くすって笑う場面も。ガキ大将演じる津村さんは、本当に味がある。客演種子さんは、本当に自分には合わないなぁ。
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No:039  きっと長い手紙〜かもめ郵便局物語〜 / 石井光三オフィス
★★★☆
Theater:本多劇場
Date:9/29 S
Sheet:O-7
Price:\5,000
出演:矢口真理、春風亭昇太、小宮孝泰、井之上隆志、福島まり子、佐藤真弓、吉本菜穂子他
 伊豆の港町の町の人々に愛される郵便局。局長は、あと少しで交代してしまうという時、幼い頃から郵便局に遊びに来ていた女の子が、役者を目指して東京に行ってしまった彼からの返事が来ないとやってくる。最後の仕事にと、東京に彼を探しに行く局長。彼には会えず、一緒に芝居をしている男と帰ってくる。しかし、心配になった彼は、ローカル局のヒーロー者のポストマンに扮して帰って来て、様子を伺う。局長の送別会にヒーローショーをすることになり、リハーサルで彼に気付き、彼は逃げてしまう。彼が心変わりが心配な女と一人前になれずに彼女に騒動と出来ない男のもどかしさ。暖かい郵便局の曲者たちと新任のお堅い局長を交えて描くハートフルコメディー。
 とってもベタな話だけど、井之上さん、福島さん、佐藤さんの局員コンビと、葬儀屋の娘演じる吉本さんが、ドッカンドッカン笑いとっていて、コメディーとしては良い出来と。井之上さんのギターと佐藤さん達で歌うの「喝采」になぜかウルって。郵政民営化にあわせた風刺的な要素もありながら、ほんわかした雰囲気。
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No:038  カロリーの消費 / サンプル
★★
Theater:三鷹芸術文化センター 星のホール
Date:9/17 M
Sheet:G-18
Price:\2,500
 アルツハイマーの母を施設に預ける夫婦。患者を薬漬けにする施設、そこに働く男は衝動的に母をベットごと連れ出し町を彷徨う。母よりも逃げた飼い猫を心配する夫婦、汚れた刑事、歌を探し続ける少女、言葉を歌にする看護士の女。街と夫婦の家と施設の場面を紡いで物語とする。
 黒い部分を描きたかったのか、救いか。途中胸焼けしてくる。辻さんが出てるので観てもいいかなって思ったけど、好みじゃないかな。
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No:037  ディレクション / 劇団たいしゅう小説家
★★★☆
Theater:東京芸術劇場 小ホール2
Date:9/16 S
Sheet:E-22
Price:\6,000
 元はヒットメーカー、今は書けない劇作家。彼を訪ねて、新人のプロデューサーが作品を取りに別荘へやってきた。この劇作家は女優と密かに婚約中。彼女は大手興行会社のご令嬢、本を仕上げなければ結婚して将来安泰の夢は幻?プロデューサーも本ができなければ帰れない。このプロデューサー、果たして最後まで書かせることができるのか?やがて、別荘には劇中の登場人物も登場し、虚実入り混じり…。男2人、そして女優の間には奇妙な関係が芽生え始める。さて、この劇作家とプロデューサーと女優、果たしてどこへ行くのやら〜。作家・プロデューサー・女優の3人を中心に恋人や地元民や来訪者が入り乱れディレクションしていく幕が開いたら止まらない! ノンストップコメディ。-紹介文より-
 女優は、若い頃ひと夏の恋で出来た子供がいて、それを隠して歳をごまかし女優になっていた。そして、ひと夏の恋の相手は作家であった。
 出所の違う役者さん集めて、ミュージシャンの石川さんを加えての公演。べったべったな内容で、コンセプトもはっきりしないのでお客さん半分くらい。思ったより楽しめる舞台、石川さんの演奏の際に、薫人さんがパーカッションというおまけ付。曽世さんは、なんかやっぱり顔が苦手、なすびさん以外の部分では勲人さんがほとんど笑いを持って行っているので発砲ファンとしてはうれしい限り。やっぱり、他の小劇場で観てみたい薫人さん。女優の方達は皆さん綺麗だった。
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No:036  戦争には行きたくない / らくだ工務店
★★★☆
Theater:「劇」小劇場
Date:9/15 M
Sheet:A-7
Price:\3,000
 それぞれに問題を抱える町工場の工員たちのお話。他ではほとんどもてない技術を持っているのねじ工場を営んでいる男は、妻にアルツハイマー頂上が出始め入院、工場の経営と妻の介護の悩みを抱えている。そこで働いている一番の技術者は、内戦をしている祖国に家族を残し、長年日本に出稼ぎに来ている男。なかなか戻れない現実と、家族の心配を抱えながら働いている。そして、過去に影のあるベテラン、リストラ後社長に救ってもらった男と、若い頃ぐれていた男。そこに出入りする保険屋の男と手伝いで雑務をする姪。そんな工場の何日かを描く会話劇。
 舞台セット、設定、役者さんと申し分なし。一人一人のエピソードが中途半端で、終りも同じように中途半端。観る側に、結末を委ねるのであれば、もっと丁寧に背景を描いてくれないと消化不良。しかも、一つだけ結末をつけた経営者の男の部分も、何の解決もしていないのに、工場続けて、奥さんと暮らすというのは、説得力がなさ過ぎ。演出も、100分にこだわったのか、置いて欲しい間の部分で台詞がかぶさってきたり、笑わさせようと意図しているところで、滑っている感があったりとちぐはぐ。
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No:035  エンジェル・アイズ / 劇団M.O.P.
★★★★
Theater:紀伊國屋ホール
Date:9/1 M
Sheet:C-8
Price:\5,500
 OK牧場の決闘があった寂れてしまった街、復興にと企てた偽の街荒らしの集団。それに寄ってくる荒くれ者ども、再び決闘。街は潤う様に見えたが、それは、荒くれ者を一箇所に集めて、抹殺してしまおうと言う政府の作戦であった。そして、政府と戦う荒くれ者と騙された街の人々。開拓時代直後の西部劇
 どちらも拙い感じだけど歌あり、踊りありのエンターテイメントに徹した作品。小市さんが出ていないのが残念だけど、MOPって言うのは、本当に役者のかっこよさを観に行く劇団だなって思う。一番若手の神農さんの存在感あり、客演多すぎな感もあるけど、その分華やかに。塩湯さんは、メイクで誰だか分からなくなってた。
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No:034  狐狸狐狸ばなし / トム・プロジェクト
★★★☆
Theater:カメリアホール
Date:8/26 M
Sheet:F-13
Price:\4,500
原作:北條秀司
演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:篠井英介、ラサール石井、六角精児、板尾創路、他
 生臭坊主と不倫する妻、ふぐの毒に当たったと見せか夫に毒をもって殺してしまう。しかし、夫は妻を騙し、死んだふりをしていた。そして、夫は妻と縁りを戻すが、妻は気が狂ってしまう。これは、妻が夫を騙す。って、話をケラさんが演出。
 六角さんのおとぼけぶりが面白く、篠井さんは格。植木さん、皆戸さんのナイロン2人のボケ合いがたのし。でも、何であえて再演?
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No:033  LOVE30 / パルコプロデュース
★★★★
Theater:PARCO劇場
Date:8/18 M
Sheet:B-22
Price:\7,000
全演出:宮田慶子
■北向きの女
作:青木豪
出演:純名りさ × 内田滋
とあるマンションの一室。男はこの部屋を女に売り込もうと必死だが、女に突っ込まれてしどろもどろである。「降参です、先輩」男が女に向かって言う。そう、実はこの二人は不動産屋の元同僚で先輩後輩の仲だった、先輩の女性に呼び出されて、やってきた男だったが、思い出話をしているうちに変な方向に話が曲がっていき・・・
先輩女性は、社長と不倫をしていて、男はそれをやめさせるために仕組んでいた。臆病な女に、言い訳せずに前に進めという。
■アルゼンチンにて
作:赤堀雅秋
出演:鈴木砂羽 × 尾美としのり
高校の二次会だったカラオケボックスの一室。何故か最後に残った女と男。実はこの二人は一時は結婚まで考えた仲である。しかしひょんなことから別れて数年、この同窓会で別れて以来初めて顔を合わせたのだった。歌わないカラオケボックスの個室は、微妙に沈黙が痛い。そんなときに男が取り出した一枚の写真とは・・・。
写真家を目指した男が最初にとった、二人のベットでの写真。男は、東京へ、女は他の男との結婚を決意していたが、戻らないと決めていながらも、言い訳を探すように部屋から出られない二人。
■箪笥の行方
作:田村孝裕
出演:小西美帆 × 羽場裕一
引っ越しの荷物が散らばっているアパートの一室。この部屋で男と女は3年間一緒に暮らしていたが、今日限りで同棲を解消するようだ。それぞれに引っ越すようで、荷物の仕分けもすんでいる・・・ようだが、たったひとつ何の変哲もない箪笥を巡って、結論が出ない。まもなく運送屋もやってくるのに、お互いに何故相手がそんなに箪笥にこだわるのか探ろうとするが・・・。
結婚を言い出さない男に、最後の手段に出た女だったが、鈍感な男はなかなか気付いてはくれない。
PARCO劇場HPより転記、加筆
青木さん、赤堀さんの話は、らしい感じのお話。青木さんはグリングとはちょっと違うが、赤堀さんの話の湿度は、SHMPOOの感じと似たものを感じる。田村さんのお話は、他に比べてかなりライトコメディに仕上げた感じ。純名さんは、なんか役作りが最後まで固まらなかったような気がしてしまう。小西さんは、話の内容もあってかはじけていて、どんどんストーリーを引っ張っていく。他の舞台でも見てみたいと思う役者さんだった。
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No:032  ひーはー / Piper
★★★★
Theater:本多劇場
Date:8/12 M
Sheet:J-11
Price:\6,000
 「スプーキーハウス」とそっくりなお話。舞台は、恐ろしく町外れの使われなくなったアメリカ西部風のレストラン、”あの家族”が店を預かり隠れ住んでいる。友人の紹介でアメリカから訪れてくる来客を待つ日、町のイベントに出演するクロード・チアリを乗せた車を沼に落としてしまったプロモータの男女、ミクシーのOFF会でこっそり忍び込み仲間を待っている西部劇マニアの二人。夫婦の同級生でいじめられっこだった男(武装組織で鍛えて数年ぶりに日本に帰って来ていた)、それを追う上官といった人間達が、勘違いを重ね続けるドタバタ劇。
 ほぼ、笑いっぱなしの2時間、終わったあとにだからなんだったんだ。後藤さんのお得意のお芝居に、お腹いっぱい。山内さんと平田さん演じるあの親子はいつ見ても笑える。
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No:031  ロマンス / こまつ座&シスカンパニー
★★★☆
Theater:世田谷パブリックシアター
Date:8/11 S
Sheet:I-27
Price:\8,400
作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:木場勝己、段田安則、生瀬勝久、井上芳雄、大竹しのぶ、松たか子
 劇作家チェーホフの生涯を、年代に分け4人の俳優で演じるお芝居。兄を慕う妹と、妻オリガの確執、評価とは裏腹にヴォードビルが書きたかった彼の想いを交えながら描く。
 井上さんの戯曲は、本当に自分には合わないなぁ。俳優さんは本当に素敵、演技としてはちょっと浮いちゃう感じの井上芳雄さんも、歌の場面では、観客独り占め。生瀬さんの作る笑いが舞台をつなぐ。大竹さんは、天才的、本当に役の人物に見えてくる。
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No:030  砂利 / ダンダンブエノ
★★★☆
Theater:青山スパイラルホール
Date:7/29 M
Sheet:5-14
Price:\6,500
作:本谷有希子
演出:倉持裕
客演:坂東三津五郎、田中美里、片桐はいり
 雪国のある旧家、親の介護のために議員秘書を辞めていた男は、幼い頃にいじめた女の子の仕返しにおびえながら、引きこもって暮らしている。ある年から毎年くる年賀状と幼い記憶から、男はだんだん追い詰められていた、そして、身籠っている妻もその影におびえるように。妹の相談をうけて数年ぶりに再会する妻の姉は、東京から訪れたまま出産の手伝いにと、そのまま居ついてしまう。幼い頃父と母の離婚により離れ離れになった姉妹。姉は、幼い頃にいじめた女の子であった。しかし、姉はそのことをほとんど覚えていないという。そこに、それは姉の仕返しの作戦の一つだと煽る男の弟。実は、毎年来る年賀状は、2年目以降は弟の仕業。弟に暗示にかけつづけられる兄夫婦。肺病を患って田舎に居候しているのに全く節制してない男と、自分の悲しみや苦しみを箱に詰めて埋めようとする庭に舞い込んで来る男を含めて、男の心を揺すぶる人々の物語。弟の義姉の恋心もスパイスに、暗示をかける人、かけられる人とそれに翻弄される周りの人々を描く。
 マスコミや風潮に翻弄される現代日本や、戦争へ突き進む大戦前の国民心理を風刺したのかと感じてしまうのは、喉もと過ぎればを感じさせるハッピーな人々の様子を描いたラストシーン。本谷さんの作品としては、暴走する弟にスポットが当てられそうであるが、こんかいは翻弄される側が主役。三津五郎さんは、スウェットを着ていても立ち姿が綺麗で、台詞は口語なのに歌舞伎を感じさせる。もしかしたらはじめての片桐さん、映像ではすごく拒否感があったけど、抜群のコメディエンヌぶり。ダンダンは、メインの人たちがいつも脇役なので、ちょっと寂しいね。
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No:029  花火、舞い散る / 椿組
★★★★☆
Theater:花園神社
Date:7/22 S
Sheet:自由
Price:\4,000
作・演出:田村孝裕
 地方の花火職人の家族とそこに働く人々。親方である父は、失明の危機のある病気で、この先の仕事が出来なくなる。長男は、伸び悩み、次女は、花火をビジネスとし確立しようとプロデュースへ力を注ぐ。次代への継承に悩む家族と職人達。そして、職人の妬みからくる行動と、悩む長男のタバコの火から、発火し長男はなくなってしまう。葬式の日も花火は作られ、そして、打ち上げられる。長男や職人達の仕事への葛藤。家族や夫婦の絆。伝統芸の継承といった話題を描いた作品。
 野外劇、20人近いキャストなのに、家族を描くという難しいシチュエーションをあんなにもテンポ良く、おかしく、切なくまとめ上げた田村さんってすごい。しかも、キャストをそれぞれしっかり描いてる。井之上さんの笑わせるところは、カクスコを思い出させるなぁ。和田ひろこさんは、ここでも好演。三田村組の富田さんといいONEOR8の女優陣はいい味出している。
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No:028  東京タワー / 日テレ・キューブ
★★★☆
Theater:銀河劇場
Date:7/15 M
Sheet:A-23
Price:\7,500
脚本:蓬莱竜太
演出:G2
出演:萩原聖人、加賀まりこ、林隆三、石田ひかり、三上市郎、千葉雅子、八十田勇一、新谷真弓、津村知与支
 テレビ、映画とは違って、オカンの闘病よりも、僕の心情を前に出した作品で蓬莱さんらしさ。幼少の僕を人形にしたり、ウサギが気ぐるみだったりと、舞台らしい演出、スピード感というかテンポのよさがG2らしさ。映像の大御所VS舞台役者的構図もいいアンサンブルにしあっがっていると思うけど。どこか無難さが。
 加賀さん、林さんや小劇場界の猛者たちと一緒に、モダンの津村さんが好演。後半新谷さんが、ウサギの気ぐるみを来て、僕とオカンの部屋にいるが、喋らないのに目立ちすぎちゃって、本筋からはずれちゃう気がするのが残念かな。
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No:027  ゼリーの誘惑 / 東京ハートブレーカーズ
★★★☆
Theater:中野ザ・ポケット
Date:7/8 M
Sheet:K-2
Price:\3,800
 ある日居候している会社の元後輩に、元の彼女が乗移ってしまう。実際の彼女は、行方不明で兄が探しに彼の部屋を訪れる。そんな中であたふたしているうちに、彼女が彼の元を去った理由が明らかになる。音楽の道に進もうと思った彼の夢を実現させるため、大事な時期に自ら身を引いた彼女。彼女が突然いなくなった喪失感で、やる気がなくなってしまった彼。異常な事態の中で、10年以上の時を隔てて、2人の気持ちが明らかになる。
 歌手である石川よしひろさんは、初舞台出そうどけれども、なかなかコミカルで素敵でした。首藤さんは、台詞忘れにカミカミ。細見さんは、なんかキャラメル臭さが抜けない感じ。勲人さんは、ほんと色んな舞台で見てみたいと思うな今回も。石川さんの歌もアクセントで、それなりに飽きない舞台。
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No:026  少女とガソリン / 阿佐ヶ谷スパイダース
★★★★
Theater:ザ・スズナリ
Date:7/1 M
Sheet:G-11
Price:\6,300
 汚い川の流れる郊外の街。人々は、他の街から疎まれて、暮らしてきていた。少し前製造をやめてしまった酒蔵を復活させようと、杜氏たちは、密かに酒場に集まっていた。あるアイドルリポリンを女神と崇め活動を続け、都市化の波がやってきた街に反発しするようになる。ある日街に大きなマンションを竣工するためのセレモニーが催されることになり、リポリンがそれになんかするという。かれらは、誘拐の計画を立てるが、リポリンはマネージャーの女と一緒に、酒場に現われる。酒場の主人の元妻がマネージャーで、彼らに迎合するリポリンに戸惑いながらも、拉致を続ける。中の一人が、リポリンを襲うことから崩壊が始まり、酒場の主人を元妻からリポリンが娘であることを明かされる。主人は二人を逃がそうとするが、仲間にばれ、殺してしまう。父と娘は、唄を歌う。
 役者陣、圧倒的な存在感。まさに、役者が支える舞台。前半導入部の軽妙さが、後半への狂気の加速感をまして、2時間半の長さを感じさせない。アイドルに群がる中年男をどのように舞台で見せるかと思ったけど、意外にストレートなオタク像。幻の不味い酒”真実(まこと)”に恨みを抱き、全てを飲み干そうと最後に酒蔵の街にやってくる松村さん、キャラが前半と後半でつながりがないのが残念。中村さんは、本当に素敵な役者さん。犬山さんも、ナイロンではあまり見ない役柄も、好演。ヒステリックになるところを冷静になっているところがギャップがすごくいい感じ。日本の女からのシリーズ物なので、メインの役者さんたちは、息ぴったりで素敵。
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No:025  悔しい女 / 青年座
★★★
Theater:紀伊國屋ホール
Date:6/24 M
Sheet:D-20
Price:\5,000
 日本のどこか…のどかな田舎、あるのは動物園を持つエネルギー研究所(通称エネ研)と「おやじゼミ」が棲息するという森 そんな地方の町の喫茶店。近所に住む絵本作家高田悟はその店に足繁く通う一人、そんな彼のもとへ、美人で明るい笠原優子が嫁いでくる「お互いこれで最後にしよう」高田二度目、優子四度目の結婚生活が始まる。誰にもある普通の生活、夫と妻、店に集う顔見知りの人たちとの他愛の無いおしゃべり、昔ばなしに噂ばなし。しかしそこに見え隠れする虚実ないまぜの会話に、反応し、突き詰めていく優子、不倫の匂い、エネ研、「おやじゼミ」。ちょっとした言葉の食い違いに、高田と優子の間に小波がたつ、やがてそれは喫茶店に集う人たちをも巻き込んで波紋を拡げていく。(青年座HPより)
 優子の病的ともいえる過剰な過敏さ、エキセントリックさを全面に出した演出。実際の本の意図はどうだったんだろうか。全体的に気持ち悪い仕上がりになってしまっているような。芝居自体は、全員固めな感じの構成、喫茶店のマスターのキャラ作りが安物っぽい感じがしてしまう。「おやじゼミ」は、別な名前のセミにかわっていた。
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No:024  ヒトガタ / グリング
★★★★★
Theater:THEATER/TOPS
Date:6/18 M
Sheet:M-3
Price:\3,500
 再度見たくなり、チケットを確保。数日後には、前売り売り切れ、当日券はキャンセル待ちの状態に。
 前回最前列、今回後ろから2列目で観劇も、この小屋の大きさであれば、いいものはいい。冒頭の井出さんのリモコンのシーン、部屋の外の騒ぎの音は作っているのに、ヒステリックになって叫んでいるのに誰も部屋に入ってこなかったり、家の外に出て行った人間の入ってくるタイミング等、突っ込みどころもあるにはあるんだけど、それを帳消しにするくらいの完成度と、役者さんが適材適所。やっぱり今回も、最後の弘中さんに涙。
 客席には、八嶋さん、山寺さん、峯村さん、山西さん、池谷さん、青年団の松田さんなど、豪華な役者陣。業界でも評判が良いらしいが、そういう方たちは、平日ソワレにして欲しい。
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No:023  ファイナルファンタジックスーパーノーフラット / 劇団本谷有希子
★★★★
Theater:吉祥寺シアター
Date:6/13 S
Sheet:E-14
Price:\4,300
 地方の会社社長の息子は引きこもり、溺愛する母に説得させ、売りに出ていた遊園地を手にする。その目的は、ネットで知り合った急に睡魔に襲われ寝入ってしまうという奇病をもった女の子を遊園地の連れて行ってあげるため。その一日以後、その女の子は、彼の元からいなくなり、遊園地にはその女の子を模倣させた女の子達が集まりだす。そこに集まるのは、行き詰ってネットの掲示板で彼との会話で救われた人たちだった。作家の妻が遊園地に住み始めた編集者は、妻に憧れる若手作家と一緒に、彼女を連れ出そうと訪れる。そこから、物語の紐解きが始まる。奇病の女の子は、実は若い主婦で、病気はほんとであり、それをきっかけで彼に心を寄せていたが、真実を告白することが出来ずに当日会ってしまい告白をする。彼は女の子の虚像を抱き続け、それを手助けするために、掲示板を使って女の子を集めたのは主婦であった。そんな歪んだ男の周辺の物語。
 酷評が多かった芝居だったけど、自分はそれなりの良かった。ただ、社会適合できず、現実逃避してバーチャルは世界を築くというのはありきたりかな。場面々々で、こういうところが演出とかが良いんだなって、思う部分があったけど忘れた。笑いの場面の演出が、展開を細切れにしているような気が。吉本さんは、本当に良いけど、一場面で母親役は、作家の役とキャラがかぶってしまい残念。
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No:022  ヒトガタ / グリング
★★★★★
Theater:THEATER/TOPS
Date:6/6 S
Sheet:A-10
Price:\3,300
 雛人形の生産で成り立っている旧い城下町。人形の頭(かしら)職人の家で行われるお通夜の夜、息子は久しぶりに実家に戻ってきた。過去にわだかまりを持つ息子と、職人である父との再会。しかし、過去は意外な事実を含んでいた・・・ (シアターガイドHPより)
 父と離れたいた浪人時代、父親が家を離れたいた間に弟が自殺してしまったことへ、わだかまりをもったままでいた。父の講座での教え子で弟の高校の同級生の女性が、鍵となり2人の関係を解いてゆく。そこに、妻との確執や、高齢化社会、相続などの話題をスパイスとして、聞かせる。
 一場一幕の話に引き込まれっぱなしで、最後には息子の妻役の弘中さんの台詞に涙。一度離れていった父と息子の距離の説明のエピソードの織り込み方と、和解するまでの構成が秀逸。隣の奥さん演じる歌川さんの脇役振りが最高。ちょっと、人の出入りが激しいのと、冒頭のシーンが現実味がないのが残念。「虹」の時に、自分には合わなかった井出みな子さんも、今回はいい感じ。とにかく、初日だというのに舞台の雰囲気が素晴らしい。
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No:021  ツグノフの森 / G2プロデュース
★★★★
Theater:三鷹芸術文化センター 星のホール
Date:5/30 S
Sheet:D-7
Price:\4,500
作・演出:G2
出演:片桐仁、坂田聡、久ヶ沢徹、岩橋道子、水野顕子他
 大きな地震で、土地のあちこちが入れ替わってしまう。三鷹に大きな森ができ、隣の武蔵野市とその利権をめぐり内戦が起こる。そんな森の中には、一人の画家が住む。画家は、心を寄せいていた女性が、内戦で意識不明になり、ずっと看病していて、彼女が目覚めるまで絵がかかないことにしていた。そこには、絵描きに組長の為に絵をせがむヤクザと、内戦の指揮を執る元自衛隊員、見えない生き物「バ−クレイ」をいつもなだめている気の違った男が出入りしていた。そこに、自殺した数学者の母を持つ姉弟が入ってくる、地盤の変化で庭の柿の木の下に埋めたものを探しにたどり着いたのだった。この中で、回想を繰り返しながら進む話は、意識不明の女は画家のカウンセラーで、そのためにやさしくしてくれていただけで、画家の勘違いであり、目覚めて落胆させられる。「バークレイ」は、姉弟の母の呪縛霊であり、気の違った男は、ヤクザが昔撃ってしまった男の体をかりて現われたほかの魂であった。
 ちょっと、話が唐突な部分が多いけど、つながないエピソードが最後に繋がっていくところは結構ひかれる。ただ、台詞で説明しきっちゃうところがあるのはどうだろう。元自衛隊員役の久ヶ沢さんがおかし過ぎ、岩橋さんはなんか違う感じ。水野さんは、噂の男からなんかエロい役ばっかり。
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No:020  犬は鎖につなぐべからず / NYLON100℃
★★★★
Theater:青山円形劇場
Date:5/26 S
Sheet:C-41
Price:\6,000
 姉夫婦の元に一人で新婚旅行から帰ってくる妹。世間知らずからか、理想の高さからか、男に幻滅する妹をさとす姉夫婦。夫婦のちくりとしたやりとりを交えた話。-驟雨-
 隣の夫婦の相手がそれぞれ良く見えてしまう。二組の夫婦の話。-隣の花-
 それぞれの男女の形を描いた話。-紙風船-
 幼い頃の淡い恋心の話。-ぶらんこ-
 都会に音楽の勉強に出た弟を訪ねると、女と同棲していた。幼い頃からの兄へのコンプレッスクと、弟や家族を思う兄の気持ちを描いた話。-ここに弟あり-
 成り上がった学友とデパートの屋上で会った男の葛藤の話。-屋上庭園-
 知恵遅れの息子を持った、英語教師の夫と妻。飼い犬が近所で悪さをして、近所からのクレームをうける表題作。-犬は鎖につなぐべからず-
 本公演での新しい試み、オムニバス形式で、一つ一つの話を少人数で構成、役者VS役者の色を強める。話の合間にケラさんならではナンセンスさや、小さなギャグを盛り込む。客演陣と劇団員のマッチングもいい感じ。本当になんでもない日常の切り取りを、役者の力量で見せきる感じの仕上がり。個人的は、藤田さんがちょっと違和感を感じるが、全体的には適材適所かと。ただ、休憩挟んで3時間盛り込むよりのさっぱりと2時間強でやりきってもらった方が良いかな。緒川たまきさんは、存在感があるなぁと。意外とえらが張っていて、楠見さんっぽい感じの顔だった。萩原さんは真面目そう。
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No:019  ジューゴ / TEAM発砲・B・ZIN
★★★★
Theater:つくばカピオホール
Date:5/19 M
Sheet:D-9
Price:\4,500
 本当に発砲最後の公演になってしまった。やっぱり寂しい。森貞君の刀が折れるハプニングに、きださんがラストをちょっとアレンジのおまけ付。度重なるカーテンコールに、最後はスタンディングオベーション。ありがとう発砲、そんな感じ。
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No:018  ジューゴ / TEAM発砲・B・ZIN
★★★☆
Theater:松下IMPホール
Date:5/13 M
Sheet:I-6
Price:\4,500
 自身大阪初進出。遊びつかれて観てしまったせいかウトウト。大阪のファンは熱い。サービス満点のカーテンコールに大満足。
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No:017  東京ノート / 青年団
★★★★
Theater:駒場アゴラ劇場
Date:5/5 M
Sheet:自由
Price:\3,500
これで3度目のこの作品。あそこに流れてる空気が良いんだよね。人が生きていく日常と、世界で繰り返され続ける戦争を点で結んだ美術館のロビー。2つの物語の普遍性が、一つの空間で融合する。松田さんの演技がちょっと過剰な気もしたけど、山村さん、ひらたさんの二人は惚れ惚れする。
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No:016  あたらしいバカをうごかせるのは古いバカじゃないだろう / 劇団道学先生
★★★★
Theater:THEATER/TOPS
Date:5/4 M
Sheet:B-9
Price:\4,200
 70年代初めの九州の港町。ある女子高生のファンレターから、街でフォークジャンボリーが開かれることに、そこには吉田拓郎も参加するということで、チケットは完売になった。しかし、そこに来たのは、東京ではそこそこ名前が売れていても地方では全く知られていない、アンダーグラウンドな歌手達だった。女子高生は、心寄せる歌手を目指す先輩のために、やったことに戸惑い。イベントが企画倒れになり、大赤字になることに大慌て。息子の歌手願望を止めようとする網元の父親、歌手達の現実との葛藤などを、コミカルに描いた作品。
 音楽劇と言ってもいいくらいの音楽なりっぱなしの舞台で、役者さんたちもそれを器用にこなす。一人なんか温度が違う感じのする役者さんがいたけど、劇団の人だった。元カクスコの井之上さんは、面白いんだけどちょっと出すぎな感じがしてしまう。草野さんは、訛の台詞を喋らすと、天下一品、というかあのうそ臭さはどこからくるんだろう。
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No:015  苦労人 / 猫のホテル
★★★☆
Theater:シアタートラム
Date:4/28 M
Sheet:I-1
Price:\4,500
 戦国の時代の農民山城家の業を背負った人々の歴史的オムニバス作品。半分コント?
 疲れすぎているのか、眠かったので、ウトウトのまま2時間以上。良く話が分からなかった。役者さん達は、楽しそうに生き生きしていたし、やっぱり猫ホテは役者が命の劇団って言う気が。隣で、遅れて席に着いた佐藤治彦氏が、自分よりウトウトしていた。けっして、つまらない作品ではないのに・・・
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No:014  回転する夜 / モダンスイマーズ
★★★
Theater:THEATER/TOPS
Date:4/22 M
Sheet:D-9
Price:\3,300
 父が貿易商をしているひきこもり気味の男、両親は海外に行って年中留守にしている為、父の後を継いだ兄夫婦と暮らしている。ある日の寝込んだ夜、部屋に入ってくる姉と交わす言葉、そこから回想される過去。過去とは、5年前後を都合と勉強ばかりしていた日、兄の幼なじみが借金を申し込みに来た兄の心配して訪れた日、同時に、兄が弟の家庭教師であった義姉を初めて連れてきた日であった。そして、その義姉は憧れでもあり、街には娼婦まがいのことをしていると悪い噂も立っていた。そんな、二つのシーンが、もしもあの時こうだったらと繰り返される。
津村さんが主役で、客演陣が脇を固める構成。どこか思わせぶりな感じで、いまいち入り込めない。でも、津村さんは、内に暗さを秘めたような役は、はまり役だな。弟の部屋に、兄の友達達が入り込んでくるって言う設定がなんかリアリティがなくて、ぴんと来ないのかも。
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No:013  ウェルカム・ホーム / Msquare's company produce
★★★☆
Theater:ウッディシアター中目黒
Date:4/21 M
Sheet:自由
Price:\4,000(当日)
 2004年の鷺沢さんの遺作をプロデュース公演で再演。演出もする小林さん以外のキャストは、総入れ替え。
 お父さん役の野添さんっていうSETの役者さんが出来てきて、とたんに舞台が活気好き、流れがでだす。どこかアンサンブルが足りない感。
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No:012  ジューゴ / TEAM発砲・B・ZIN
★★★☆
Theater:本多劇場
Date:4/15 M
Sheet:C-7
Price:\4,500
 発砲の解散公演。アニメのバトルをシミュレートしたアトラクションに集まった人々とそこの案内役の女の子とその様子を見に来た兄。閉空間の中で行われるバーチャルアクションゲームは、何者かによって制御され、中の人々が閉じ込められてしまう。中には、アニメに心を奪われなりきっている男、ギターを抱えている訳しり顔の男、ヤクザのぼんぼんとそのお付の組員、大手チェーンの居酒屋の女経営者と秘書、アニメの原作者とキャバクラ嬢。パニックになり、案内の女の子に詰め寄り、それぞれが自分勝手な事を言い出す客達も、謎のマントの男の出現により、それぞれに疑いをかけ犯人探しに。そんな中にそれぞれの日常への悩みから、バーチャルの世界へ逃避してきたエピソードを交えて、話は進む。マントの男は、外部からバーチャルに作られた物であり、最後はお約束の解決が待っている。
 最後もやっぱりきだワールド。現実とはかけ離れたところから、人を思う気持ちにアプローチするところはいつもの発砲。過去の作品のイメージをさせるシーンがちらほらで、詰め込みすぎ感が強く感じる。一人一人のキャラを作りこみすぎて、話が散漫な気もする。兄役のきださんが、妹役の愛ちゃんを思う最後のシーンは、なんかジーンってくる。
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No:011  レミゼラブ・ル / 演劇キックプロデュース
★☆
Theater:シアターアプル
Date:4/8 M
Sheet:D-8
Price:\4,800
作・演出:ブルースカイ
出演:廣川三憲、大堀こういち、原金太郎、猫ひろし、いとうせいこう、池谷のぶえ、吉本菜穂子、加藤啓、辻修他
 意外に原作には忠実らしい。小劇場界のいい役者さんを集めての公演だけど、どこかスタッフの身内の盛り上がり的な感覚がある。廣川さんは好きだけど、主役として弱いし、幕間をつなぐための加藤啓さん、辻修さんの使い方なんか、もったいなくてしょうがない。池谷さん、吉本さんを観に行った感じの舞台。
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No:010  猿股のゆくえ / 三田村組
★★★★☆
Theater:サンモールスタジオ
Date:4/7 S
Sheet:D-8
Price:\3,500
作・演出:田村孝裕
 バイク屋を営む老いた父親と子供達。母の四十九日の日と、亡くなる直前の仮退院した一日を描いた作品。4人いる子供は、ちょっと成金長男、家を継ぐことを投げ出したフリーターの次男、最近一人暮らしをし始めて、婚約相手を連れてくる長女、チャキチャキの旦那を尻に敷いている次女。母の仮退院の日、些細なことから長年喧嘩している男兄弟が揃い、長女は両親より年上の不倫していた会社の重役を連れてくる。長年連れ添った夫婦の最期と、その子供達のそれぞれの心のうちを丁寧に描いた作品。
一人一人の描き方がとても丁寧で、人の持つ二面性や芯ある心の優しさをそれぞれの形で表現してくれている。田村さんの本は茶の間の向こう側にある廊下の使い方が絶妙。ゼブラの時もこれでやられた。岡本さんのキュートさも素敵だけど、富田さんの演技がすごく素敵。
身内らしきおばちゃんたちがいっぱいいたが、あの人たちの開演前のうざったさはどうにかしてほしいものである。これからお芝居を観るんだって気持ちが高揚してこない。
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No:009  妻の家族 / ラッパ屋
★★★★
Theater:紀伊國屋ホール
Date:4/1 S
Sheet:E-15
Price:\4,500
 三鷹にある旧家、一人身で母の面倒をみる長男を気遣い母は、他の子供達を「母危篤」のいたずらメールで呼び寄せる。兄弟6人は、3度の結婚をした母の子で、それぞれの夫に2人ずつの子供達だった。男、女、女、男、女、女の6人で、三女が夫と庭の離れに暮らしていて、一人目の夫は他界しているが、2、3人目の夫はこの家に入り浸っている。そんな兄弟が全員集まった日、長男以外の兄弟、元夫がそれぞれが作った借金で、家を手放してもらおうと画策をしだす。話を持ちかけられた長男は、激怒、集まった兄弟に母をまかせて、自転車のツーリングに出て行ってしまう。その日、落雷にあった死体から長男の遺留品が見つかる。葬儀を執り行い、兄を思う気持ちから、兄弟の心が固まり、借金は家を売らずにどうにかしようということになる。そこに戻って来た兄、遺留品は温泉に入っている最中に盗まれたものだった。
 やっぱりラッパ屋は観ていて幸せな気持ちになれる。舞台が広くなった分、ダイナミックな演出がされているが、大雑把になった感じと間延びした感じがして、やっぱりTOPSで観たいなって。それぞれのキャラクタにそれぞれ細かく背景を与えた分で、2時間20分ぐらいになっているが、2時間弱に絞って欲しいな。おかやま−三鴨ペアの夫婦は最高、木村さんのうそ臭さも相変わらずで、今回は大草さんがいつもと違った味。そして、お決まりのおじさんたちの罵りあい。
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No:008  シルバーホスト 黄色太陽 / 劇場まがりかど
★★★
Theater:銀座小劇場
Date:3/31 S
Sheet:自由
Price:\0(もらった)
 おじさんばかりのホストクラブ、昔の杵柄で営業を続けているが、めっきり客が。若いホストを入れるも、人気ホスト以外は客を連れてくることさえままならない。人気ホストの上客も借金まみれで逃亡。人気ホストも責任を取って、借金肩代わりのため他のホストを連れてやめてしまう。残ったおじさんたちは。
 知人よりもらったチケットがあるとのことで観劇。結構入っている客席も知り合いが多いらしく、カーテンコールのタイミングもたどたどしい。趣味で続けている感じだけど、ベテラン陣は結構できる感じだけどちょっと華がない。若手は、かなりきびしいなぁ。本は、穴だらけ。
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No:007  橋を渡ったら泣け / シアターコクーン
★★★☆
Theater:シアターコクーン
Date:3/21 M
Sheet:O-9
Price:\8,500
演出:生瀬勝久
出演:大倉孝二、八嶋智人、奥菜恵、六角精児、小松和重、岩佐真悠子、鈴木浩介、戸田恵子
 2002年にMONOの公演を観た作品をコクーンの企画物にした芝居。
 原作に女性キャストが一人増えて、時間もかなり長くなっている。豪華役者陣にそれぞれに見せ場を与えて間延びした舞台になっちゃうかと思ったけど、それほどがっかりした内容にはならず。ただ、MONO独特の間がないのは残念。ストーリーとしての人間の怖さみたいなのは、意図を感じるんだけど、MONO版で感じた人個人のどうしようもなさみたいなものが伝わらない。八嶋さん、大倉さんの力技での笑いは、さすがだけど、あえてコクーンでやるお芝居なのでしょうか。
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No:006  僕たちの好きだった革命 / KOKAMI@network
★★★☆
Theater:シアターアプル
Date:3/4 M
Sheet:8-8
Price:\7,500
脚本、演出:鴻上尚史
出演:中村雅俊、片瀬那奈、塩谷瞬、森田彩華、GAKU-MC、大高洋夫、長野里美、武藤晃子他
 激動の1969年、高校2年生だった山崎義孝(中村雅俊)は、校庭で自分たちの自由な文化祭の開催を宣言していた。ところが、突然機動隊の催涙弾を受けて意識を失い、長い眠りに陥ってしまった。30年もの長い年月を経た1999年、彼は目を覚ました。そして、高校2年への再入学を決意したのだった。そこで出会ったのは、小野未来(片瀬那奈)や日比野篤志(塩谷瞬)、高島希(森田彩華)といった現代を生きる高校生たちだった。彼らは文化祭に憧れのラッパー(GAKU−MC)をゲストに迎えたいと願っていたが、学校側はそれを禁じていた。なんとか呼びたい・・・そんな思いをこらえてしまうみんなの気持ちを見つめる山崎。やがて・・・。
鴻上さんの話なので分かりにくいと思ったけど、もの凄くストレート。ちょっと、現代への戸惑いや驚きの場所がストーリーのポイントとなるところでは、ピックアップされ、そうでないところは、すうなり主人公が受け入れてしまうところに違和感。雑な感じがする。当時の学生運動にかかわる人間の熱さと、根底にある個人の目的意識みたいなものの温度差が面白かった。武藤ちゃんは、ほんとどこ行っても武藤ちゃん。大高さん、長野さんは、鴻上さんが信頼して使っているので、芝居の箍を担う。
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No:005  地獄でございます / MONO
★★★★
Theater:三鷹芸術文化センター 星のホール
Date:2/11 M
Sheet:D-11
Price:\3,000
 サウナのような部屋に来ている男達。なぜか入れない熱さと、元の場所に戻れない彼ら。自分達が死んでしまっていることに気付き、いる場所が地獄であると分かる。自転車に乗って車にはねられた男、その男をはねたブレーキの壊れたレンタカーに乗っていた会社員達。そのレンタカーを貸していた店の支店長。支店長は、がけ崩れで死んでいたが、そのがけ崩れの原因は、自転車の男の悪戯だった。メビウスの輪のような構造の中での責任の転嫁、一人だけ抜けられると分かった中で抜け駆けする男。人間のエゴやどうしようもなさ、正義感やモラルをライトに、笑い盛りだくさんで描く。
 今回は、笑い多めで、非現実的な設定の新たな試み。それでも、彼らの得意とする間で芝居を成り立たせているところは変わりなく、とても楽しい。今回は、独特の嘘方言は無しで、土田さんが以外に普通っぽくなっている。傲慢な支店長を演じる奥村さんの役どころにちょっと違和感かな。体調のせいで、こんなに面白かったのに、途中ウトウト、もったいない。チケット代3,000円、こうあるべきでしょ。
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No:004  「えっと、おいらは誰だっけ?」〜Cash On Delivery〜 / ネビュラプロジェクト他
★★★★☆
Theater:青山円形劇場
Date:1/28 M
Sheet:A-32
Price:\6,800
脚本:マイケル・クーニー 演出:綾田俊樹
出演:小林隆、岡田達也、綾田俊樹、木村靖司、峯村リエ、村岡希美他
 ロンドン郊外の趣味の良い住宅に妻と住む、エリック・スワン。彼らの家の二階には間借り人のノーマン・バセットが住んでいる。ある朝、妻のリンダが急かすにも関わらず、なかなか出勤しようとしないエリック。妻が先に出かけたのを見計らって彼は電話に戻る。 その相手は社会保障省。実は彼は、勤めていた電力会社を2年前にクビになって以来、社会保障省からあらゆる手当を不正に受け取って生活していたのだ。あまりにも手当の数が増え、多少なりとも良心の呵責を感じていたエリックは、いくつかの手当の受け取りを断るために電話していた。そこに風邪気味のノーマンが現れる。彼は三日後に恋人・ブレンダとの結婚式を控えているため、用心して仕事を休んでいた。エリックが電話の中味をごまかしながらノーマンと喋っているところに突然、社会保障省の役人、ミスター・ジェンキンズが訪ねて来て……。エリックの叔父で共犯者でもあるアンクル・ジョージ、福祉事業担当員のサリー、結婚生活指導カウンセラーのドクター・チャップマン、葬儀屋のミスター・フォーブライトまで巻き込んで、嘘が嘘を呼び、のっぴきならない状況に追い込まれるエリックとノーマン。そして社会保障省の厳格な調査官、ミズ・クーパーが現れ……。いよいよごまかしきれなくなったエリック、巻き込まれたノーマン、二人の運命はいかに!?<ネビュラHPより>
 嘘を隠すための嘘、それに巻き込まれ一緒に嘘をつく間借り人。スピーディーに、テンポ良く、笑わせてくれる二人に、おとぼけの役者さんたちの絶妙さで、笑いっぱなしの2時間強。村岡さんにもうちょっとはじけて欲しかったのと、途中休憩をわざわざ挟んだのが残念か。ナイロンとキャラメルの役者さんという異色の組み合わせがまた妙。
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No:003  ロープ / NODA・MAP
★★★☆
Theater:シアターコクーン
Date:1/27 M
Sheet:M-10
Price:\9,500
出演:宮沢りえ、藤原竜也、渡辺えり子、橋本じゅん、宇梶剛士、三宅弘樹、松村武、中村まこと、明星真由美他
 八百長を信じないひきこもりの小さな父が残した団体のプロレスラー。思惑だらけの周囲は、彼を利用しようとするが、ある日彼は、相手のレスラーをぼこぼこにしてしまう。しかし、逆にリアルがうけてテレビもそれを利用。周りには嘘の上に嘘を重ねる人間ばかり。そこに現われたコロボックルの末裔を名乗る女。彼女は、今まで身を隠して暮らしてきた。そんな女がリングの実況をかねたストリーテラーとなる。虐待、詐欺などの問題も散りばめ、リングはベトナム戦争下へと、転化していく。大国の作り上げた虚実と無謀な独裁を映しだす。そして、コロボックルは、戦下を逃れてきた大国の兵隊が連れてきたベトナムの乳児だった。
 前半と後半の話の展開が急すぎる感じ。今あえてベタ警鐘を鳴らす本は書いた勇気は、パンドラやオイルから続いている野田さんの危機感の表れか。宮沢さんは、コミカルな時は素敵だけど、シリアスな時がちょっと疑問。藤原君は、声がおかしかった気がする。中村さんは、罪と罰に続きいい味。橋本さん、松村さん、明星さんは、使い方がもったいない気がするけど、それもまた野田地図。えり子さんと宇梶さんは、どうも肌に合わないなぁ。
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No:002  Fabrica[10.0.1] / ROBOT・ポニーキャニオン
★★★★
Theater:赤坂RED/THEATER
Date:1/21 S
Sheet:C-8
Price:\3,500
脚本:高井浩子
演出:本広克行
出演:瓜生和成、富岡晃一郎、永野宗典、野口かおる、弘中麻紀、吉本菜穂子他
 大学時代に、一緒に映画を作った仲間達。大成することなく、10年後の現在を迎えていた。それぞれの今をかかえる仲、再び、自主映画を撮ろうとする彼ら。今と過去をコラージュして織り成す。夢が成し遂げられなかったという話ではなく、同じ時代を共有していた者たちの今の現実を描いた群像劇。就職、両親の病気、性錯誤や、世の中の中堅という世代感を織り交ぜられて淡々と進む話。
 本広監督の演出がどの変なのかはちょっとぴんと来ない。高井さんのお話っぽく、あまり自分好みでは無い感じ。セットの使い方とか、場面転換がタンバリンっぽい。それにしても、小劇場界の若手の豪華なキャスト。弘中さん、吉本さんはほんとにいい。母の病床を見舞う吉本さんは秀逸。野口さん、富岡さん、永野さんのツボを抑えたコメディリリーフも快感。役者を観に行った感じの舞台。日曜にソワレの19時30分ってのは、いかがなものだろう。
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No:001  法王庁の避妊法 / ハイリンド
★★★★
Theater:「劇」
Date:1/8 M
Sheet:自由
Price:\3,300
 自転キン、プロデュース物と2度映像で見たことがある作品。
 小さい劇場用に良くまとめて真面目に取り組んだ作品。色々所から来る客演陣の演技の違いが、アンサンブルをぶれさせる感じがするけれど、笑うところではちゃんと笑わせてくれるし、聞かすところでは聞かしてくれる。オリジナルのメンバーに華がないのが大きな弱点にはなると思うけど、達者な役者さんたちが真面目に取り組んでるのがいい。荻野久作演じた伊原さんって方は、役にあっていて非常に良かったと思う。客演の大森さんは、小屋の大きさに比べ、ちょっと大げさな感じがしたけど、泣かせるところは本当に素敵。
 上演中、どこかで携帯のバイブが2分近くなり続ける。その後もう一回なる。ほんとに、電源は切って欲しい。今回は、場面もすごくいいところだったのに!
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