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自分で足を運んで劇場で見た芝居の感想です。(≠批評)
★は、自分のお気に入り度

金と銀の鬼/裸でスキップ/レッツゴー!忍法帖/しかたがない穴/石なんか投げないで
フリドニア/透明人間の蒸気/俺たちは天使じゃないよ/はたらくおとこ/東京ノート
スマイル・ザ・スマッシャー/清水宏のサタデーナイトライブ16/ドウニモタマラナイ/燃えよ剣/髑髏城の七人
バナナの好きな人/通過/暗愚小傳/ウェルカム・ホーム/カケルエックス・デラックス
もう風も吹かない/ショート・パッケージ/MIDSUMMER CAROL/真昼のビッチ/-初恋
イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー/その鉄塔に男たちはいるという/虚飾の町に別れのキスを/阿修羅のごとく/
鈍獣/男性の好きなスポーツ/痛くなるまで目に入れろ/も〜たまらん!/蜜の味 三つの味
ハロルドとモード/金魚鉢の中で/その人、女優?/髑髏城の七人/246番地の雰囲気
バット男/腑抜けども、悲しみの愛を見せろ/嘘と真実/ピローマン/走れメルス
消失/スプーキーハウス/SKIP/相対的浮世絵


No:049  相対的浮世絵 / MONO
★★★★
Theater:シアタートラム
Date:12/25 M
Sheet:B-11
Price:\3,500
 高校時代タバコの火の不始末で卓球部の部室を火事にしてしまった男とその友人。その火事で、同級生一人と弟を失ってしまっていた。20年後彼らの元に、彼らにだけは姿が見えるという形で、死んだ二人が姿を現す。死んだ二人は、生きている二人の危機を救おうし、小金を盗んで集めたりしてつくろう。しかし、向こうの世界から一緒にきた管理者に咎められてしまう。これにより、一度は救われかけた兄は、集めたお金を返すか、死んだ2人がもう二度とこちらに戻って来られないようになるかの選択を迫られ、お金を返してしまう。生活の何もかもを失ってしまった生きていた2人、自分達の事を思ってくれたことに満足し結局あちらに帰ってしまう死んだ2人。
 ちょっと変わった日常を描いていた土田さんの作品。イギリス留学、女優陣の退団の後は、死んだ人がこの世に戻ってくるという話。ちょっと日常から離れてしまったのは寂しい。増田さん、西野さんのいなくなった舞台は物足りなさいっぱいで、テンポも今ひとつな感じ。当て書きっぽさのある土田さんの脚本、「その鉄塔に・・」と同じよう自分にはアクセントが足りない気がする。その人の立場や状況によっての取捨選択みたいな所がテーマになっているところは土田さんぽくって好き。
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No:048  SKIP / キャラメルボックス
★★★★
Theater:サンシャイン劇場
Date:12/23 S
Sheet:23-8
Price:\4,800
 一ノ瀬真理子17歳は、ある日突然25年後の自分になっていた。そこにいたのは17歳の自分と同い年の娘と夫であった。半ば信じられないながらも彼女を助ける2人。そこで高校教師をしていた彼女は、数日後の始業式から学校へ通う。彼女が体験する様々な事に向かって行く姿、そして、25年前の純粋な気持ちで接する彼女に対し、娘や夫や周りの人達も影響を受けてゆく。結局ストーリーの中では元に戻れないのだが、今を前に進もうとする彼女であった。
 ちょっと朗読劇を思わせるつくりのキャラメルの新境地の作品。25年後演じる坂口さんは存在感十分、17歳を演じる岡内さんはちょっと物足りなさを感じてしまう。脇につくベテラン陣は相変わらず安定しているが、やはり若い人たちが伸び悩んでいる感のキャラメル。作品としては、いつものキャラメル臭さは薄く、原作があるせいかしっかりとした作りになっている気がする。
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No:047  スプーキーハウス / Piper
★★★★
Theater:スペース・ゼロ
Date:12/23 M
Sheet:9-20
Price:\5,000
 主が海外に移住してしまっている古い館、いわくありげな空き家に住み着いてしまっている夫婦をその娘。空き家と思ってそこへ撮影にやってくるカラオケビデオの撮影隊と、2000万円の隠し財産を目当てにやってくる泥棒。3組と近所に住む男が入れ替わり立ち代り、お化け騒動と伏線いっぱいに繰り広げられる超ドタバタコメディ。
 相変わらずのやりたい放題のpiperは、観た後何も残らないけど、それがまた良し。客演の篠原さんは一人浮き気味な感じ。
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No:046  消失 / NYLON100℃
★★★★★
Theater:紀伊國屋ホール
Date:12/18 M
Sheet:H-9
Price:\5,800
 ヨーロッパの外れを思い出されるような街、中年兄弟2人の年末。人を好きになっていい仲になってもなぜか上手くいかない弟は、所々の記憶がかけている。そして、その家に出入りするいかがわしい男。クリスマス、弟は、好きになった女性を家に招くが、体に合わない食べ物を出し、調子を悪くして帰られてしまう。弟は落ち込み、何とか彼女の気持ちを取り戻そうとする。そんなときに訪れてくる空き部屋を借りにくる若い女と、水道屋を装った男。過去に心の傷をもつ彼女は、自分の身を守るために苛めた男の子がいた。その男の子は、部屋を借りに来た女の旦那で、政府の人口衛星移住計画の頓挫で命を絶っていた。そして、明かされる兄弟の過去、幼い頃兄の間違えで弟は命を絶っていた、再生された弟はいかがわしい男に、人工的に記憶を入れ込まれていた。全ての事実を明かした後、兄は自ら命を絶ってしまう。
 もっと細かい話のであるけれど整理できない。ラストのシーンは圧巻の迫力。いつもあるエロや差別的な台詞も封印された作品でのストレート勝負は、観るものを引き込ませる。人数を絞られたキャストは、全て魅力的。エキセントリックな演技や演出も抑えられていて、ある意味ナイロンらしさが無いはずなのに堂々ナイロンである。あるはずのものが無くなった時の人の喪失感、自分を思う心と人を思う心。ガツンと来た作品だった。
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No:045  走れメルス / NODA・MAP
★★★☆
Theater:シアターコクーン
Date:12/11 S
Sheet:O-20
Price:\9,000
 出演:深津絵里、中村勘太郎、小西真奈美、河原雅彦、古田新太他
 アイドルの男は人気絶頂時に失踪し、結婚式中の女性と駆け落ちしようとしている。それを追う追っかけの女性達と警察。一方、川の向こう側では、毎日下着泥棒をしている男が、盗んでいる家の娘に声をかけられ、男は惚れる。娘は富豪の息子に言い寄られていて、また、その父親にも迫られていた。そんな娘が泥棒の男に話して聞かせるのは、母親が語ったという、向こう側から男が迎えに来るという幻想であった。
 娘の見つめる鏡とそれに映るもの、川の向こう側とこちら側、そして、意味ありげな言葉達が様々な鏡像になって繰り広げられる何やら良く分からない話。昔の野田さんってこんなことやっていたんだなぁ。
 キャストがとても豪華で、みんな上手いのでそれだけでも価値はあり。ただ話は、なぜかなり前のものを再演?美術は綺麗なんだけれど、いつもの深尾さんでなく、加藤ちかさんだったけれど、ちょっとチープな感じがしてしまった。
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No:044  ピローマン / パルコ・プロデュース
★★★☆
Theater:PARCO劇場
Date:11/14 M
Sheet:C-8
Price:\7,000
 作:マーティン・マクドナー
 演出:長塚圭史
 出演:高橋克美、山崎一、近藤芳正、中山祐一朗
 知的障害の兄を持つ売れない小説家、子供達が虐待されたりする話をたくさん書いていた。警察の取調室に呼ばれた彼は、自分がなぜ調べられているか分からないが、自白を迫られる。隣の部屋には兄が取調べを受けていた。街で起こっていた子供達の殺害は、彼の書いた内容をそっくりだった。部屋で兄と二人きりになった彼は、殺害は兄の仕業であったことを知る。虐待され続けた兄を憂い、兄をかばうために殺してしまった両親同様に、彼は兄を殺してしまう。子供達の殺害も自分の仕業とし、家族を含めた殺害を自白する。しかし、最後に殺したはずの子供は生きていて、自白が嘘だとばれてしまう。自分の身よりも作品をかばう彼であるが、その作品も焼かれてしまう。タイトルのピローマンは、彼の小説のひとつで、全身が枕で出来た男の話。男は、悩みや苦しみを抱えている人間の顔に枕を押し当てて殺してしまう。
 3時間半の長いお芝居。役者の演技力を堪能する仕掛けになっているが、場面転換も少なく長台詞の多い構成で、自分にはきつかった。高橋さんはもちろんの事、兄役の山崎さん、刑事役の近藤さんはさすがの演技。もう一人の刑事役の中山さんは、いつもと違う役どころで熱演もちょっと浮き気味な感じ。近藤さん演じる刑事の感情の移り変わりがすごく違和感を感じた。
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No:043  嘘と真実(うそとまこと) / トレランス
★★★☆
Theater:THEATER/TOPS
Date:11/13 S
Sheet:G-8
Price:\3,800
 大女優の変死を追う男女の刑事。楽屋にてシミュレーションを使ってお互いが事件関係者を演じながら、事件の謎を解いて行く。結局事件は、昔に殺害された女優の夫のロックシンガーを殺した男が、女優に匿われ有名な俳優になるが、女優との確執から、恋人である若手実力派の女優に殺させたという結末に。男の刑事は、ロックシンガー殺しをずっと追っていたのであった。しかし、女優を夢見た女の刑事は、事件の証拠となる司法解剖を家族が望まないことを理由に、事件を解決せずに男女を咎めず、日本の演劇界を背負うであろう二人の将来に夢を託そうと提案し、二人は同意する。
 長野さんは本当にキュートな女優さん。旦那さんの上杉さんは、脚本、演出も手がけるが、なんか華の無い勝村さんという感じ。本も謎解きも意外性が無く、詰めも甘い気がしてしまった。
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No:042  腑抜けども、悲しみの愛を見せろ / 劇団本谷有希子
★★★☆
Theater:青山円形劇場
Date:11/13 M
Sheet:F-17
Price:\3,000
 出演:伊達暁、吉本菜穂子、森尾舞、菅原永二他
 ある田舎町、道路に飛び出た猫を守るために交通事故で命を絶ってしまった両親を持つ3兄弟。兄は体裁のために見合いで妻を娶り、長女は女優を目指して東京で暮らしていた。そして、次女は高校3年生。両親の死により仕送りを止められた長女が帰って家に住み着くところから、3人の崩壊が始まる。長女は高校生の時代、女優になるためと上京する資金を稼ぐために、町に来ていたテレビ局の人間や同級生達に体を許していた。次女はそのことをマンガにし、雑誌に掲載されてしまう。姉は引きこもり、それを救おうとした兄は、妹の存在価値を、自分にとっての必要性に転化させ体の関係を持ってしまう。姉は過去の仕返しを陰湿に妹へ繰り返す、過去の関係で兄を縛り付けるが、兄は体の関係を持たない妻に愛情を見つけ出すが、直後死んでしまう。
 それぞれの人間の感情がいまいちピンとこない。色々な伏線があるところは面白い。嫁演じる吉本菜穂子さんの存在感が大、それでもっている芝居のような錯覚さえ持ってしまう。妹に付きまとう高校生を演じる猫ホテの菅原さんは、ちょっと苦手なキャラ。伊達さんは、代わり映えのしないキャラで、もうちょっと他の面を見たい。客演しているときよりも、自分の劇団にいるときのほうがバリエーションがある気がする。
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No:041  バット男 / クリオネプロデュース
★★★
Theater:シアター・サンモール
Date:10/24 M
Sheet:E-1
Price:\4,800
 脚本:倉持裕 演出:河原雅彦 原作:舞城王太郎
 出演:水橋研二、持田真樹、伊藤高史、木村靖司他
 府中駅の近くに徘徊する浮浪者のような男は、いつもバットを手にして人を脅すが、殴ることはしない。結局、いつもバットを奪われ袋叩きにあっている。そんな男がある日殺されてしまう。同じ町で、彼氏がバスケに夢中になって振り向いてもらえない女子高生は、他の男に体を許し妊娠してしまう。そして、その遍歴はバット男とも関係を持ってしまっていた。彼氏は彼女の妊娠を機に、自分のでない子供を引き取って結婚し、スポーツライターとなる。そして、才能が開花した仕事は順調に行き、バスケも続けていた。彼女は、寂しさのあまり子供を虐待してしまい、神経症になる。そんな中彼氏は、彼女の実家の部屋から、あのバットを見つけ出す。このカップルの共通の友人が、ドンくさい会社の同僚をみて二人とバット男のことを回想し、人間の弱者虐待や歪んだ愛情を描く。
倉持さんの作品に、木村さんが出ているので観に行った作品。舞城さんの原作も読んで行った。そのことが逆に良くなかったのか、本から得たイメージと作品が焦点を当てていた部分が違っていて違和感だけが残った。主人公の男の自分の中にある感情が舞台化されているんだけど、本のイメージではちょっと冷めた傍観者なんだよな。主役の水橋さんもなんか華の無い感じ、持田さんのセラー服姿はおまけ。
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No:040  246番地の雰囲気 / ペンギンプルペイルパイルズ
★★★★
Theater:三鷹芸術文化センター 星のホール
Date:10/23 M
Sheet:D-13
Price:\2,800
 田舎町の巨大有力家の次女は、とある探偵事務所を訪れ、町を離れて都心に行ってしまった彼と音信普通になったので探してくれと依頼する。2人の探偵は、男の部屋を訪れると、そこには女が。男は、246番地という実体の無い場所で消息を絶っていた。そして、彼女の実家を訪れると当主の長女が、彼女の彼ではなく許婚を探せという。許婚の男は、町のもうひとつの有力家で、庭師の娘と駆け落ちをしていなくなっていた。許婚の父から紹介を受け、ある会社を訪ねると会社は墓地の奥に潜む実体の無い246番地にあった。他からの調査も進みわかったことは、彼は車にはねられて、はねた男が246番地にかくまってしまっていた。そして、彼を装って彼の家にいたのは、許婚の男であった。
 岸田戯曲賞受賞してノリノリのペンギンの本公演、4日間のみの公演で、2800円の前売りチケットとあれば、当然の如く超満員な土曜のマチネ。今回はいつも音楽を担当しているSAKEROCKの生バンドつきに、ドンパチありの探偵物。役者も大勢のお祭り色の強い公演だったが、十分堪能。滅茶苦茶ハードボイルドな台詞を、全然強くない探偵に連発させるちぐはぐさがすごく面白い。JAZZYな生バンドもでしゃばり過ぎずに気持ちが良い。役者さんも楽しんでいる感じがいっぱいでとってもいい感じ。
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No:039  髑髏城の七人 / Inouekabuki Shouchiku-Mix
★★★★
Theater:日生劇場
Date:10/17 M
Sheet:2-A-35
Price:\1,2000
 市川染五郎、佐藤アツヒロ、ラサール石井、鈴木杏、池内博之と舞台では超豪華なキャストのアオドクロ。アカと比べオリジナルと違うところが結構あり、贋鉄斎に弟子がいてそちらが捨ノ介を助けに行ったり、関八州荒武者隊の構成が変わっていて、名前が違ったりしていた。
 染様の存在感がすごくあって、立ち姿が滅茶苦茶きれい。天魔王はいいとしても、捨ノ介は古田さんのイメージが強すぎて、それとは違う新しい捨ノ介をみることが出来なかった。粟根さんが蘭兵衛でなく脇に回っているのも残念、池内さんには影が無い感じ。杏ちゃんはちょっと元気すぎて、背負っているものが薄くなっている気がするけど、存在感は大。オリジナルと同じ極楽太夫の高田さんと、贋鉄斎の弟子の三宅さんは、やっぱりいいです。全体的に派手にエンターテイメント的に作ってあるけど、物語性が薄くなっているような。
自分は、どっちかといったらアカかな?
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No:038  その人、女優? / 劇団東京ヴォードヴィルショー
★★★★
Theater:ザ・スズナリ
Date:10/13 S
Sheet:G-1
Price:\3,800(招待で無料)
 シアターTVのプレゼントに当選して観に行った舞台。
 盛りを過ぎた女優は、芽が出て人気脚本家となった夫との離婚をする。一連の騒動を逃れるために、売れない俳優の実家の田舎の連れ込み宿に身を置く。劇場のこけら落としのために書き上げたばかりの夫の脚本を持ってきてしまったために、追手の後輩女優、夫、プロデューサーなどがやって来て大騒ぎ。アングラ女優だった小料理屋の女将と職務中に不倫している警察官や、しけ込んでいる役所の職員、旅館の家族を交えたシチュエーションコメディー。最後は、旅館の女将が売れっ子になって中身のなくなった本を、批評し書換え作家となってしまう。騒動で気持ちを再確認した夫婦は再婚する。
 伏線沢山の良く出来た舞台。ストーリーはオーソドックスだけれど、テンポとかがすごく良いし、暗転の変わりに旅館人たちの片付けシーンを音楽に載せてやったりとエンターテイメントもあり。あめくさんも存在感があっていいし、普段はメインの男性陣が脇に回るという贅沢も。たまにはこういうのもいいかな。
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No:037  金魚鉢の中で / G−up Presets
★★★
Theater:シアターV赤坂
Date:10/11 M
Sheet:B-16
Price:\3,500
 作・演出:ほさかよう
 出演:伊達暁、武藤晃子、ますもとやくや他
 チャットで集まった男女6人は、富豪の家に強盗に入り老人を殺して、逃亡の航海に出る。そこに一人迷い込んだ男が、しかし男は仲間の一人の女と共犯であった。縛られていた男の縄を解いた姿を見つかってしまったことから殺し合いが始まる。元々知り合いで無かった者同士の猜疑心は入り乱れる。中には過去に中学生をレイプした男、その中学生の兄はその事実を知っていて男を巻き込んでいるなどのエピソードも交えて、台風に巻き込まれたクルーザーという密室でのそれぞれの人々を描く。ホラー要素満載で、最後には心の病んだ女が残る。
 気持ち悪さみたいなのはあるんだけど、それぞれの内面が出てない気がする。唐突な場面や動機が多く、新しさを売りにしている気がしたんだけどモチーフもありきたり。伊達さん使って、裏に愛情のないチープな阿佐スパを見せられた感じがしてしまった。武藤ちゃんも、全然キャラがいかされてない感じで残念。描きたかったのは、閉塞された中での人々の心の動きなのかな。
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No:036  ハロルドとモード / ぷれいす企画
★★★☆
Theater:スペース・ゼロ
Date:10/10 M
Sheet:4-18
Price:\4,800
 原作:コリン・ヒギンズ 演出:堤泰之
 出演:麻生美代子、西ノ園達大
 偽装自殺癖のある19歳の青年、他人の葬式に参列しているときにもうすぐ80歳になる老女と出会う。自然や人を愛する女は、人の迷惑や社会の常識にとらわれず、自分の思うがままに生きている。そんな女と接しているうちに、人を愛することや生きる楽しさを見つけた青年は80歳の誕生日にプロポーズをする。しかし、その日を人生の最後と決めていた老女は睡眠薬を飲んでいた。そんな2人の物語を青年の家族や老女に翻弄される人々とのどたばたを交えて描く。
 麻生さんは、ちょっと台詞あやしいけど、存在感大で、西ノ園さんも熱演。ラストに亡骸を、家の庭の池に浮かべるシーンはすごく綺麗。でもストレートで、翻訳劇なので、ちょっと苦手かな。
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No:035  蜜の味 三つの味 / クレネリ ZERO FACTORY
★★★
Theater:OFF・OFFシアター
Date:10/2 M
Sheet:自由
Price:\3,300
 1時間前後の2つの舞台を休みなく上演。作:大岩真理、演出:若月理代
−蜜の味− 出演:本多真弓、大内厚雄
 お気に入りの風俗嬢を監禁してしまう高校教師。心の中を吐き出すうちに、女は心を許していき、縛っていた縄を解く。そのまま女の家に男は居つき、男が出て行こうとすると、今度は女が男を引き止める。二人の内面の心のゆれを描いた作品。よく分からなかった。
本多真弓さんはなんか存在感を感じないし、大内さんも、う〜ん、なんかピンとこない。
−三つの味− 出演:山本満太、坪田秀雄、きだつよし
 あるマンションの一室、空いた部屋のクリーニングの見積もりに来た中年男と、部屋の見学に来た若い男が遭遇する。そんな二人の会話中に、管理人の息子が現れる。日常に浸かってしまっている中年男と、ホスト崩れの男と、どこか非現実的な視線の男の会話劇。若い男は、2年前の寒い冬に、部屋の見える公園のベンチで凍死してしまった男だった。
蜜の味とは同じ人の本とは思えない、テンポと間による会話劇で、笑うところもいっぱい。ただ、役者のキャラで笑わしているところが多い気もするけど。
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No:034  も〜たまらん! / 方南ぐみ
★★★
Theater:東京芸術劇場小ホール2
Date:9/18 M
Sheet:F-12
Price:\3,500
 明日に転勤を控えた総務課長は、課員達との最後の会社の野球大会で、思いで作りに初の一勝をしようと一生懸命。転勤を知らされていない者たちは熱くなる課長に反旗を翻し、課長の職をリコールさせようとまで。しかし、通りがかりで助っ人に来た芸能レポーター志望のリストラ男によって事実が知らされる。そして、みんな頑張る。そういった様子を、野球の試合の進行をシンクロさせた舞台。
 樫田さんの本は、やっぱり苦手。展開がつまらなすぎ。エキセントリックな助っ人を演じる初見の佐藤二郎さんは、かなり受けていて面白いんだけど、なんか生理的に受け付けない。目当てに行った武藤ちゃんくんじさんとも、なんかやる気を感じない。
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No:033  痛くなるまで目に入れろ / G2プロデュース
★★★☆
Theater:紀伊國屋ホール
Date:9/12 M
Sheet:P-3
Price:\5,000
 出演:山内圭哉、中山祐一朗、岩橋道子他
 息子を溺愛する破天荒な父親と、敷かれたレールの上で成長してきた息子の親子の歯車がくるってしまった後の話。幼い頃から父親の描いた生活設計により暮らしてきた子は、ある時を境にぐれてしまう。なぜか暴走族のレディースに入り、その後に暴力団に入る。父親の差し金で、組の運び屋をやっている時に資金を持ったまま失踪させられる。そして、父親も巻き上げた金をもって消えてしまう。組の男たちは、息子が殺してしまったはずの執事だけが残った屋敷に永遠と居座る。五年後に、自分の伝言を幼馴染から受け取った息子は戻ってくる。そこにいた執事は変装した父親であり、巻き上げた金は居座った暴力団達のために使い果たしてしまっていた。そんな息子の溺愛話を、記憶が途切れる息子をその周りの人間達と共に描いた作品。
 G2さんの本は、時間が行ったり来たりするが、ストーリーは分かりやすくエンターテイメント。でも、なんかが足りない気がしてしまう。また、いい役者さんたちを集めすぎちゃうので、みんなに見せ場を作ってしまって話が途切れたり。そう考えるとG2での後藤さんは、自分にとってはぴったりだなって。役者さんたちは、山内さん、中山さん、久保田さんが、どの芝居も同じキャラなので、うれしいような悲しいような。岩橋さんは、斉藤幸子みたいな阿呆な女の子はいいけど、ポルノや今回みたいな役はなんか物足りない感じ。
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No:032  男性の好きなスポーツ / NYLON100℃
★★★☆
Theater:本多劇場
Date:9/4 M
Sheet:M-16
Price:\5,500
 客演:京晋祐、長谷川朝晴、小沢真珠、すほうれいこ
 3人の娘と妻と住む男は、男性としての機能に不自由になり、妻とベッドの中で四苦八苦している最中に火事が起き、末の娘を失ってしまう。男の勤める会社の専務は、娘と性のカウンセラーをしている妻と暮らしているが、別に部屋を借りて知恵遅れの娘を監禁し、弄んでいた。そして、男が通うコンビニは専務の娘が勤めていて、そこには女優と付き合っている警官が出入りをしている。警官は、職業を利用して、町で悪戯を繰り返していた。こんな人たちがすれ違いながら、それぞれの性を背景にしながら物語が描かれる。
 巷では、結構好評だった舞台だけれど、後半でちょっと飽きてしまった。テーマの割りにそんなにエロティックに走りすぎないのはさすがで、ロマンチカのダンスはとっても悩殺的。ほとんどの出演者に見せ場を作っているような感じで、かなり助長な感がするし、豪華客演陣も見せ方がもったいない。京さん以外の役は、若手にやらせたほうがいいじゃなのかと思ってしまう。個人的には、みのすけさんの次女を演じる植木夏斗さんがとっても好き。ただ、「青十字」の時の役と同じようなキャラなので、他の役ではいかがなんだろう。今後に期待。松永さんは、相変わらず、安定した感があるけど、もうちょっと他の路線も見てみたい。
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No:031  鈍獣 / PARCOプレゼンツ
★★★★
Theater:パルコ劇場
Date:8/21 S
Sheet:A-15
Price:\8,000
 脚本:宮藤官九郎、演出:河原雅彦
 出演:生瀬勝久、古田新太、池田成志、西田尚美、野波麻帆、乙葉
 小さな町のホストクラブを訪れた女。目的は担当だった作家の行方を追うためだった。作家の故郷である町のホストクラブは、衰退の一途をたどっていた。オーナーの男と頻繁に出入りしている男は、作家の同級生であった。そして、クラブにはオーナーの愛人と強制的に働かされている若い女。
 中学時代に初めて作家に会った彼らは、小学の頃の鈍くさい同級生とダブらせ同じあだ名を付けてしまう。そして、作家のペンネームも彼のあだ名であった。一方、2人はひょんなことから、小学の同級生を列車事故で死なせてしまう。ちょっと前に、25年ぶりに3人は再会するが、その後そういった過去を書いた小説が世の中に発表される。オーナーたちは、作家を殺そうとするがなぜか全く死なない。オーナー達は、作家は中学でなくて小学の同級の方の男が過去に死なずに、現れているのではと考えるようになる。そして、作家はやはり死なない。
 男性陣3人は、やりたいだけやっている感じで走りっぱなし。女性人は、西田さんが締めるところを締めているので、乙葉さんとかは地のままでもそれなり。宮藤さんの脚本の割りに、話は筋があったが、細かいネタなどは、宮藤さん、河原さんっぽくって面白い。
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No:030  窓 / かもねぎショット
★★★
Theater:ザ・スズナリ
Date:8/13 S
Sheet:E-3
Price:\3,500
 大学教授の母を持つ一家は、集合住宅に暮らしている。その家の様子が見える向かいの建物に住んでいる男は、ある日電話で部屋の様子を観察するように依頼される。以来の主は母であり、その女も逆側の建物に部屋を借りて自宅を観察していた。一家は、長女、長男の嫁、次男と親戚の女の子、そして、教授の若き頃の写真を見つけることを目的に毎日のように家にいついている教え子。女は、何を目的に観察をさせているのか。舞台では、家族の日常と、部屋を関していた男が書き始めた小説とがクロスオーバーして展開されていく。窓から人を見ることと、直接見ることの違いは・・・
 なんかとっても不思議なお芝居だった。最後まで、何のことだろう???って感じだった。女優さんメインで、しかも年齢高めなので、なんか違和感。松田洋治さんは、テレビのイメージのままだった。ラッパ屋の大草さんは、自分のところとはちょっと違った役どころ。
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No:029  阿修羅のごとく / 芸術座
★★★★
Theater:芸術座
Date:8/10 M
Sheet:2-10
Price:\6,000(e+ハーフプライスチケット)
 出演:山本陽子、中田嘉子、秋本奈緒美、藤谷美紀、中村メイ子他
 向田さんのドラマが大好きで、秋本奈緒美さん、藤谷美紀さんという比較的小劇場でも見たことのある役者さんが出ているので観に行ってみた。e+のハーフプライスチケットを応募したら、当日劇場渡しのチケットで、キャンセルのチケットを流しているらしく、2列目センターブロック。なんか、正規のお金を払っている人に申し訳ない。会場は、当然の如くほとんどがご老人。
 70にもなる父が、外に女を作ってしまった4人の姉妹。それぞれの生活を背負いながら、母にそのことを隠そうとする。未亡人の長女は、料亭の旦那と不倫をし、次女は、亭主に不倫をされている。三女は、生真面目な性格が災いし、行き遅れているが、父の調査を依頼した興信所の男と恋が芽生え始めている。そして、自由奔放な四女は、駆け出しのボクサーと付き合っていて、彼が新人王になり、結婚し幸せで金満な生活を手に入れる。夫の不貞を知っていた母は、相手の女のアパートの前で倒れ、亡くなってしまう。そして、四女の夫は試合の後遺症で意識を失ってしまう。そういった中で、自分達の生活に翻弄されながら、お互いへの愛情を深め、分かり合っていく姉妹達を描く。
 向田作品のようなドロドロした部分を、さらっと描く感じがなく、コミカルさを強調しているのにドロドロな部分が重くなってしまう。さらっとした中に潜む怖さみたいなのが魅力なのに、アンバランスさだけが目立ってしまう気がした。山本さんと中村さんの睫毛が長いのが、妙に気になった。秋本さんが切れがよくって自分には好感。
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No:028  虚飾の町に別れのキスを / 劇団M.O.P.
★★★★☆
Theater:紀伊國屋ホール
Date:8/8 M
Sheet:H-20
Price:\4,500
 2001年映像で見た「黒いハンカチーフ」のリメイクということで、当時面白く見た印象だったので劇場に観に行く。設定が日本から、ロサンゼルスに変わっている。
 やや設定に無理があるところがあるんだけど、オリジナルの面白さを継続して上手に仕上げてあると思う。それにしても、MOPの役者さんたちは、素敵過ぎる。特に、三上さんと小市さんはもう別格。女優陣が、通称ドリさんことキムラ緑子さんがいないと華がないのが残念。
 舞台美術は、いつもの如くMONOの役者の奥村さんであるが、セットは素敵だけど、暗転時のセット替えが見えちゃって、その間が鬱陶しくもある。
 休憩挟んで、2時間20分強のお芝居なら、休憩なしのほうがいい気がするけど・・・
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No:027  その鉄塔に男たちはいるという / 花組芝居OFFシアター
★★★★☆
Theater:銀座小劇場
Date:7/31 M
Sheet:D-ベンチ
Price:\3,800
 2001年にMONOの俳優陣でのプロデュース公演を観た作品。
 初めて土田さんの作品をMONO以外がやって、オリジナルと同じレベルで面白いと思った。役者さん達が自分達のリズムでやっていて、土田さんとは違う独自の演出がされている感じ。今まで見た「初恋」、「約三十の嘘」等は、台本どおりにきっちりやりきった感じがしたけど、この作品は花組オリジナルになっている感じがして◎。
 やや強めのトーンの桂さんちょっと意外。桂さん以外は初見だけど、戦線から離脱してきた兵士演じる秋葉さんは役得もあるけどいいキャラだった。ただ、あれだけの値段の割りにセットがちゃちいのが残念。
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No:026  イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー / PARCOプレゼンツ
★★★
Theater:ル テアトル銀座
Date:7/25 M
Sheet:24-28
Price:\7,500
 出演:上川隆也、羽田美智子、濱田マリ、綾田俊樹
    近江谷太郎、峯村リエ他
 大病院の医師の談話室、世界の医師たちを集めて行う講演を一時間後に控え、原稿の読み直しをする男。そこに、クリスマスパーティーで行う劇の練習をするほかの医師、彼の妻、サーの称号を持つ責任者の医師が彼の邪魔をする。そんな中に現れたのは、かつての不倫相手だった看護士の女。18年前突如として姿を消した女は、彼の子供がいたことを告白する。子供は、あれて警察沙汰の事件を起こし、父親の尋問が要求される。講演をすぐに控えた男は、同僚の医師にその場を繕ってもらおうとするが、嘘が嘘を呼び、様々なところに飛び火していく。そんな様子のどたばた劇。最後は、代読してもらった講演が絶賛され、取り繕った医師が不倫相手の女と上手くいってしまうという、なんともなストーリー。
 翻訳劇なこともあり、なんか面白さが伝わらない。伏線が伏線を呼ぶつくりも良くできていてるんだけど、下地が好みでないので楽しめない。上川さんの主演の舞台であるが、完全に近江谷さんに食われている感。病院内の徘徊する老人演じる綾田さんは面白いけれど、話しと役の設定にものすごい違和感。峯村さんもおかしさ控え気味。上川さんは、明治座、この舞台、次のミュージカルといい、どこに行くんだろう?
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No:025  -初恋 / 劇団NLT
★★★★
Theater:銀座みゆき館劇場
Date:7/19 M
Sheet:自由
Price:\2,000(web割引)
 MONOでは映像でしか観たことのない作品も、他劇団では3回目の観劇。大きな商業演劇の劇団だけあって、演技にたどたどしさはなく、上手く感じるのだけれど、やはりMONOで当て書きで書かれている部分があるので、MONOと比べると間とかテンポがしっくりしない。でも、本当にラストシーンは素敵な作品。
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No:024  真昼のビッチ / ヴィレッジプロデュース
★★★★★
Theater:シアターアプル
Date:7/17 M
Sheet:8-20
Price:\6,800
 出演:高橋由美子、馬渕英理何、渡辺いっけい、高田聖子、橋本じゅん、千葉雅子、中山祐一朗、伊達暁、富岡晃一郎、吉本菜穂子他
 さびれた歓楽街、駅前の再開発のために次々と店が無くなって行っていた。娼婦二人はこの町を守ろうと戦っていた。歓楽街の反対側には事故によって両親を失った姉妹、姉は痴呆になってしまった妹を養うために、昼はハンバーガーショップ、夜は自宅で体を売って暮らしていた。先輩に連れられて歓楽街に遊びに来た男は、姉に一目惚れするが、姉が体を売っている事を知ってしまう。同じように思いを寄せていたハンバーガーショップの店長もそれを知ってしまう。二人は知ってもなお気持ちが変わらず、お金を積んでプロポーズする。姉の選んだのは、姉妹の家に近所の野犬に襲われ傷だらけになり、外れなくなった野犬の生首を身につけ異臭を放っている店長だった。店長は、姉を痛めつけ妹に妙な薬を与え続けていた。一方、町の再開発をしようとしている女は、娼婦の姉御に夫と浮気をされてしまった実業家であった。女は、義弟を使い警察まで手を回して町を滅ぼそうとする。そこに立ちはだかる娼婦。姉妹の妹は、店長の与え続けた薬によって、正気を取り戻すが、姉はそれを喜んではくれなかった。不幸のカードを引き続けていないと生きていけない女たちの2つの物語が、クロスオーバーして描かれる。
 相変わらずの救いのない世界に、歪んだ愛情が描かれる長塚ワールド。高橋さん、千葉さんがカッコいいが、千葉さんの声がかれていたのが残念。女に恋するサラリーマン役の橋本じゅんさんと店長役の中山さんの対比が面白く、その脇をいっけいさんが固めるという構成がよく、実業家の高田さんと義弟の小林高鹿さんのちょっと意外なコンビも違和感なく。そして、スパイスとして、伊達さんと富岡さん。そんな素晴らしいキャストの中で、吉本菜穂子さんがとてもいい味出していた。
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No:023  MIDSUMMER CAROL / PARCOプレゼンツ
★★★★★
Theater:パルコ劇場
Date:7/11 M
Sheet:I-28
Price:\8,000
 出演:長谷川京子、伊藤英明、木場勝己
    山内圭哉、犬山イヌコ、山崎一他
 会社社長の偏屈な老人は、体調の不良で甥の嫁の勤める病院へ入院させられる。そこは、変わった入院患者ばかりのいる病院だった。老人は傲慢に振舞っているが、眠ると記憶がなくなってしまう少女と出会う。少女は、初めて会った日に老人に叩かれた頬だけ、かすかに老人の記憶を留めていた。何かの使命感を感じた老人は、少女のいつも持っている絵本を毎日読み聞かせる。そして、自分の命もあとがなく思える老人は、入院患者で絵本を劇にして演じさせる。少女は、安らかに亡くなってしまう。そんな話に、自殺へ気のある元子役俳優とそれにあこがれていた看護婦の再度ストーリーがついて構成される舞台。
 老人役の木場さんと子役の加藤さんはもちろんの事、医者役の山崎さん、噂好きの患者の犬山さん、ヤクザの患者の山内さん等々、脇に固められた俳優陣が芸達者で素晴らしい。小松さんの体張った演技と瀬戸さんのコメディエンヌ振りが得した感。不評だった長谷川さんは、本当に物足りない感じがする。伊藤さんとのサイドストーリーもちょっと長い感じなので、その分時間短くしてチケット安くしてくれたら、完璧の完璧だったのに。それにしても、いい舞台だった。
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No:022  ショートパッケージ / X−QUEST
★★★
Theater:東京芸術劇場小ホール
Date:7/10 M
Sheet:C-16
Price:\3,500
 今までのダンスシーンを集めたオムニバス。もうネタがなくなった感のクエスト、途中に日替わりゲストコーナー(那珂村タカ子さん)があるがもうぬるぬる。ダンスもいつもより切れなく、なのに2時間半。途中に、旗揚げ公演のビデオが流れきださんが出ていたのと、会場で引退してしまった池田未央さんが見られたのが救い。でも、幕の内のオープニングの「愛しのビリーボーイ」の時だけは、なんかウキウキだった。ダンス一つ一つはいいんだけど。。。
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No:021  もう風も吹かない / 桜美林パフォーミングアーツプログラム+青年団
★★★★
Theater:桜美林大学PFCプルヌスホール
Date:7/9 S
Sheet:自由
Price:\2,000
 昨年の秋に同じ劇場で観た作品。平田さんの描いた終末の感じが良かったので再び。キャストはほとんど変わらないが去年に比べ緊張感に欠けた気がした。昨年は出ていなかった志賀さん一喝するシーンでやっと引き締まった感じ。
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No:020  カケルエックス・デラックス / TEAM発砲・B・Zin
★★★★☆
Theater:本多劇場
Date:7/4 M
Sheet:C-7
Price:\4,000
 古代シファに封印されたXXの伝説。考古学者は、そのペンダントのひとつを探し当てる。ペンダントは、男女で触ると2人が合体し戦士となり、愛情の深さだけその強さが増す。考古学者の妹は、バンドのパートナーだった彼氏と別れ、ソロデビューを決めるが、消化しきれぬ彼への気持ちでもやもやしていた。そんな彼女の元へ、考古学者がペンダントを届けるが、シファの亡霊が追手となってペンダントを追い求める。そんな状況にペンダントはもうひとつ探し当てられ、妹と元彼氏の双方に思いを寄せる男女が絡み合い、あちこちで合体しながら追手と戦う。シファの亡霊は、学者の亡き元婚約者であったが、亡霊は葬り去られ。合体を重ねた妹は、元彼氏への気持ちに整理がつく。
 全てに一回り大きくなった感じの発砲。若手もやっと少し前に出た感じ。合体後の最強戦士となるラストのきださんはスキンヘッド、なおかつその分身がきださんのお面とちょっとずるい感じもするが、発砲テイスト満載の舞台に大満足。客演の高瀬さんがカッコいいが、思いのほかふくよかでびっくり。
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No:019  ウェルカム・ホーム / 鷺沢萠プロデュース
★★★★
Theater:中目黒ウッディーシアター
Date:6/19 M
Sheet:自由
Price:\3,000
 4月に他界した鷺沢さん最後の作品。
 お互い一目惚れで半年で結婚を決めた映子と安志。安志は、映子の家族に挨拶に行くが、そこにいた家族はちょっと変わっていた。親の決めた一度目の結婚に失敗し、家を勘当された映子を受け入れてくれた全員血の繋がっていない家族であった。父は中国人コック、母は性転換した元は男の韓国人、兄は南米からの不法入国者、そして、従兄弟は、東南アジアの出稼ぎ労働者。この事実を明らかにしながら物語りが進んでゆく。安志は、肩寄せ合いながらも、後ろめたさなく仲良く暮らしている家族に、もっと後ろめたく事実を隠せと苛立つ。安志の両親も、ボートピープルだったからである。和解した最後には、映子の本当の父も心配していることが分かる。家族とは、何だろう?をテーマに描いた作品。
 家族だけでなく、人種問題までも取り込んだ作品であるが、舞台向けに書かれ軽やかな感じで仕上がっている。ほとんどが外国人の役で、片言の日本語を話す設定であるが、ちょっと役者さん力量不足に感じてしまう。ただ、主役の高瀬さんは、すごく目が良い。存在感大である。
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No:018  暗愚小傳 / 青年団
★★★★
Theater:桜美林大学PFCプルヌスホール
Date:6/9 S
Sheet:自由
Price:\2,000
 高村光太郎の半生をモチーフにしたフィクションの物語。平田さんには珍しく4場のお芝居。高村家に集まる出版社の人間や作家などの会話劇で、4場全てが時代が違い、そのうち2場は、智恵子の死後を描く。
 自分の感覚では、半分コメディーではと思える。智恵子役のひらたさんはとっても素敵。おまけに、アフタートークがあり、平田さん曰く戦争感を描いたと言っていたが、その点はピンとこなかった。
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No:017  通過 / 青年団
★★★★
Theater:駒場アゴラ劇場
Date:5/22 M
Sheet:自由
Price:\1,500
 作・演出:松井周
 痴呆気味の母親と暮らす若夫婦。交通事故で、夫は男性の機能を失い、母親は怪我を言い訳に部屋に引きこもるようになる。母親の持ち家である家は、近くに高層マンションが建ち、敷地に産業廃棄物が捨てられるようになっていた。そんな家に妹の兄が居座り、廃棄物を利用しリサイクル業を始めようとする。マンションの管理人から廃棄物の撤廃を要求されるが、母に取り入った兄は、違法に投棄されていた廃棄物の投棄を、許可してしまう。妻は、コーラスグループの会と嘘をつき、夫婦の学生時代の友人の男と不倫をしていた。そして、コーラスグループのメンバーは、この家庭を覗き見ている。
 観ているととてつもないムカムカ気分したになってくる。ただし、不快という意味ではないのであるが。人間のどす黒いところを、集めて物語りにしたような作品。飽きずに観られて、演出も嫌いじゃないんだけど、ちょっと、話の詰めが甘いと言うか、強引な感じがしてしまった。辻さんは、観る度に魅力が出てくるし、役の幅が広がっている感じ。ケラさんとか土田さんなんかの作品で、観てみたくなってしまう。
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No:016  バナナの好きな人 / ダンダンブエノ
★★★★★
Theater:青山円形劇場
Date:5/16 M
Sheet:ア-18
Price:\5,000
 客演:中井貴一、いしのようこ、栗田麗
 昭和40年代のある家庭。ついた嘘を現実と思い込んでしまう父に、おっとりした息子。父は、庭にあるシュロの木をバナナの木だと教える。中々実のならないことを父に聞くが、そこから出てくるデタラメがまたデタラメを呼ぶ。終始この調子の父に愛想を尽かし出て行ってしまう母。そして、父は言う嘘ではなく、ファンタジーだと。こんな家庭の様子を庭に飼われている犬とのふれあいを交えて面白おかしく描く。
 真面目で朴訥なイメージの中井さんが、エキセントリックなキャラクタをメリハリを付けてもの凄く器用に演じる。いしのさんの間も、とてもいい。庭の犬と、犬の仲間を演じるオリジナルメンバーの近藤さん、酒井さん、山西さんが、本当に面白すぎ。本も、変に難しくないし、伏線等もよく考えられている。凄く得した気分のお芝居。色々な人に見て欲しい。
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No:015  髑髏城の七人 / 劇団☆新感線
★★★★☆
Theater:新国立劇場中劇場
Date:5/4 M
Sheet:11-24
Price:\9,000
 客演:水野美紀、佐藤仁美、坂井真紀、梶原善、佐藤正宏他
 再演版を97年に劇場で観た作品。キャストをより豪華にしての再々演。粟根さんのやっていた役が女役になり、水野美紀さんが演じる。芳本美代子さんの役を佐藤仁美さん、高田さんの役を坂井真紀さんが演じている、女性を強調したキャスティング。
 最初に観た時も凄く面白くて新感線ファンになったが、今回はそれをしのぐ面白さと豪華さ。新国立の舞台の奥行きを生かした演出に、野田さんの舞台を担当している堀尾さんの美術が素敵。佐藤さん、坂井さんははまり役で、脇を固める梶原善さん、佐藤正宏さんがいい味を出しているし、当然オリジナルメンバーもいい。水野さんの配役は、ちょっと腑に落ちない気もするし、彼女自体の演技と殺陣の出来にひとつの舞台の中でムラを感じてしまったのが残念。秋に染五郎さん主役でやる、もうひとつの髑髏城も観たくなった。
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No:014  燃えよ剣 / 明治座公演
★★★
Theater:明治座
Date:5/1 M
Sheet:1F-左2列-14
Price:\12,000
 原作:司馬遼太郎 脚本:鈴木聡 演出:ラサール石井
 出演:上川隆也、富田靖子、風間杜夫、羽場裕一、葛山信吾
    渡辺哲、山内圭哉、木村靖司、平野くんじ、弘中麻紀他
 新撰組の土方歳三に焦点を当てたお芝居。幕末の動乱と、歳三の恋の二つの物語を3幕かけて見せる。
 明治座初めてなので、雰囲気を体験。小劇場と違う客層と、幕間の時間 の長さにちょっと違和感。風間さん演じる、近藤勇像がコミカルになっていてアクセントが付けられている。弘中さん、くんじさんの出番が意外に多くうれしいが、山内さんの役どころにちょっと不満。
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No:013  ドウニモタマラナイ / チャリT企画
★★★☆
Theater:パルテノン多摩小ホール
Date:4/23 S
Sheet:自由
Price:\1,800
 ある駅前。自衛隊員の彼氏のイラク派兵を反対し、通り行く人に訴えかけるコギャル。ハモる友人が中々来てくれないもの凄く下手な歌で尾崎を絶叫するストリートミュージシャン。待ち合わせの友人に中々会えない女の子達。テニスサークルの新歓の仲間が待ち合わせ場所に来ないのを待っている幹事。そんな人々の様子をみんなが持って着信携帯電話と、駅前に次々に放置されていく自転車を背景に描き出す。
 何の話なのかさっぱりわからず。思いついたことを集めて、まとめ切れてない感じ。この前観た時のような勢いを感じないが、雰囲気は面白い。吉本さんは相変わらずいい味出している。
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No:012  清水宏のサタデーナイトライブ16 / 清水宏
★★
Theater:ザ・スズナリ
Date:4/17 M
Sheet:I-9
Price:\3,000
 一度観てみようかと思っていて、柳岡香里さんがゲスト出演すると言うので観に行った。2時間以上のコント集。
 後半は、もう飽きてきちゃった。客席もだるだるな感じになっちゃってた。こういうのは、1時間くらいが限界じゃないの?柳岡さんが、すらっとしていたのが、ちょっと意外だった。
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No:011  スマイル・ザ・スマッシャー / ペンギンプルペイルパイルス
★★★☆
Theater:ザ・スズナリ
Date:4/11 M
Sheet:D-7
Price:\3,200
 ある小さな町、勲章をもらった男は妻と共に買った家のリフォームが終わるまで集会所に仮住まいしていた。日毎行われる怪しい集会の人気講演者である男は、町を新しくしようとする首謀者であったが、全くもって町の工事は進まない。そんな夫婦の下に訪れるその男と秘書、そして、買った家の元の住人であった不思議な女。夫婦の一人息子は入院中であるが、病院への道路を工事で遮られ長い坂を上らなければならないため、心臓の悪い妻は見舞いに行けない。そして、息子の担当の看護士は、町改造論者の愛人であった。
 本当に良くわからないストーリーであった。でも、不思議な空間は相変わらず気持ちがいい。ただ、「しかたがない穴」「ワンマン・ショー」「ドリルの上の兄妹」の方が自分は好みかな?
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No:010  東京ノート / 青年団若手自主公演
★★★★☆
Theater:駒場アゴラ劇場
Date:4/10 M
Sheet:自由
Price:\1,500
 再演の本公演を一昨年に観た作品。若手の分、役者が醸し出す雰囲気が足りない感じ。それでも、この作品はとてつもなくその世界に引き込まれる。イラクの日本人拉致事件の最中、劇中の欧州での戦争を語る場面は、小屋自体の雰囲気がずしり。長男の妻役の辻さんが凄くいい。
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No:009  はたらくおとこ / 阿佐ヶ谷スパイダース
★★★★☆
Theater:本多劇場
Date:4/2 S
Sheet:D-3
Price:\5,000
 雪ふる東北の田舎町の経営が破綻しているリンゴ農園の事務所。従業員達は、毎日9時から5時まで何もせずに過ごしている。そこへ、実家の農園を手伝わずにアルバイトに来ている男の兄と妹が飛び込んでくる。劇薬の農薬を大量に使うことで農協に追われた二人。兄弟で働いている従業員の弟と付き合っていた節操のない妹は、農協に雇われたスパイの男と物置で抱き合い、農薬を隠しているのが発覚してしまった。騒ぎを治めにいった社長ともう一人の男は、スパイを連れ戻ってくるが、アルバイトの男はスパイの男を刺してしまう。そんな中に、荷台に危険なものを積んだトラックが突っ込んでくる。運転していたのは行方不明になっていた兄弟の弟であった。そのトラックの荷台に死体を隠そうとした兄は、異常な発作に襲われる。社長は毒物を根絶しようと、荷台の毒物を口の中へ。しかし、トラックが突っ込んだ後は、一人の男、または、社長の夢であった。
 とにかく引き込まれるような舞台だった。発作で、吐瀉する場面と毒を食む場面は、ちょっと気持ち悪かったけど。長塚さんの描く世界は、すごっくグロいのに、ストレートな愛情である。このアンバランスさが、不思議な世界へ引き込む。人は、情(ジョウ)をもった生体であるというのが根底にあって、そこから派生してくる様々なものが、陰や悪な方向にデフォルメされて舞台を作る。そして、役者さんそれぞれが、素敵過ぎる。最後もただの夢落ちに終わらせずにぼかしたところがいい。こんな舞台に引き込まれたのは久しぶり。でぶなスパイ男役の富岡のキャストに不満、いつもの救いの側にいる富岡さんの方が、自分の好みに合っている。
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No:008  俺たちは天使じゃないよ / 吉岡毅志プロデュース
★★★
Theater:東京芸術劇場小ホール1
Date:3/27 M
Sheet:E-17
Price:\5,250
 2年前、そこそこの成功をして夢を失い解散してしまったコントグループ「パンチライン」。余命後わずかの娘のために、もう一度復活して欲しいと手紙をもらう。コンビを再結成して見舞いに行くと、病室には老婆と車椅子にのった初老の女性が。3人を見て奇跡的に元気になった娘(初老の女)にしごかれ、再びコントのコンテストに参加することに。3人は久しぶりに、一生懸命になるが、全国大会進出を決めた日、病気だった女性の母親が亡くなってしまう。
 話は、オーソドックスで、院長がコント好きで脚本を書くなど、ご都合主義である。ウルトラマンガイアの主役だった人のプロデュース公演という、いわゆる・・・な公演なのであるが、武藤さんが出ているので観に行った。院長役の藤さんという人と、初老の女演じる田中さん、そして、武藤さんいなかったら滅茶苦茶な舞台になってしまってた気が。\5250は、高すぎでしょ。
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No:007  透明人間の蒸気 / 新国立劇場
★★★☆
Theater:新国立劇場中劇場
Date:3/21 M
Sheet:17-59
Price:\7,350
 出演:宮沢りえ、阿部サダヲ、高橋由美子、手塚とおる他
 天皇の直喩で20世紀で消えてしまうものを残すことを命じられた軍は、20世紀の遺品を集めそこに人間も残そうとする。罪深き人間を的にし、つかまった男は、数々の女をだましていた詐欺師の男。百年後に命を呼び覚ますために食べさせられた梨で、男は透明人間に。砂丘で土産物を売っているサイババの元にいる眼も耳も不自由な女ケラ、男はこの女の元に現れる。女は男を神と思い込み、サイババはそれを利用して一儲け。そして、この男の追手が現れ、命が絶たれる。そして、それを追うケラ。
 色々なものが次々とあふれ出てきて吸収しきれない。様々な暗示もほとんどがそれぞれの点となり線としてつながらなかった。興味深い舞台なのに途中睡魔が襲ってきたので、話がつながらない。それにしても、野田さんの舞台は、美術館にきているように美しい。まとまった時の振りや台詞が合ってないのがちょっと残念。宮沢さんは、自分は嫌いでなかったが、オーラがない感じ。
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No:006  フリドニア / シリーウォークプロデュース
★★★☆
Theater:本多劇場
Date:3/20 M
Sheet:E-19
Price:\4,500
 演出:千葉雅子
 もう収穫のなくなった海に面した港町フリドニア。死んだ人を海に流す習慣のある街は、その時に薔薇の香りに充たされる。絶縁した双子の兄は町長で、弟は漁師だった。影で反体制を闇に葬ってしまっている町長は、小学校内の水族館建設要請でしつこい教頭を抹殺し、淫乱な秘書と不倫する。そして、友達の出来ない根暗な息子は双子の弟の孫娘に横恋慕。そんなすさんだ街に来る偽薬を売る詐欺師。飲んだ人間が、砂になったり、水槽に捨てられた教頭が落とした偽薬で生き返ったり。結局、町長の周りの人々は死んでしまい、町長も港を後に。そこには、また薔薇の香りがただよう。
 前半勢いあったのに、なんか後半だらだら気味。ビデオで観たNYLON版よりも、トーンが暗いけどPOPな感じがする。町長の妻演じる猫ホテの佐藤さんと不倫秘書演じるもぐもぐの高木さんは、なんか台詞回しの感じが似ていて、対局する二人なのになんか違和感。自分が演出すると後ろに引っ込んでしまう千葉さんも残念。池鉄さんと中村さんの映像出演は、ちょっと卑怯。
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No:005  石なんか投げないで / 羊団

Theater:駒場アゴラ劇場
Date:3/19 S
Sheet:自由
Price:\3,000
 作:松田正隆 演出:水沼健 出演:金替康博、内田淳子
 寝返りで幼児を殺してしまった大女と新婦、監禁されている女としている男といった、男女の会話がコラージュされている舞台。1時間10分という短い時間なのに全く持って集中出来ず、何がなんだかわからないまま終わった。
 頭のいい人が観るか、集中して何度も見るかしないとわからない舞台?自分の本質を見分ける力と、集中力のなさを痛感する芝居だった。
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No:004  しかたがない穴 / AGAPE STORE
★★★★
Theater:紀伊國屋サザンシアター
Date:3/7 M
Sheet:3-11
Price:\4,500
 脚本:倉持裕 演出:G2 出演:松尾貴史、秋本奈緒美、山内圭哉、松永玲子、小林高鹿
 ちょっと普通と違う生態系の街のガルガルにぽっかりとあいた大きな穴。そこに調査団がやってくるが、意識を失ったガルガル人の学者以外は、ライター、カメラマン、通訳、医者で、そのほかの学者達がやってこない。穴の中の彼らの宿泊先は、正六角形を半分に分けた台形の2部屋のロビーを中心に、同じ台形の短辺をこのロビーの各辺につけた6部屋で、1回り大きな六角形を構成している。5人の他は、現地の世話人の男が一人宿泊する。
 人々の部屋が勝手に入れ替わったり、学者の意識が回復しなかったり、地面一面が不思議な木の実でうまっていたりと不思議なことが人々を襲ううちに、それぞれが自己を失いかけていく。部屋が入れ替わるのは、世話人の仕業であったのであるが。。。人間の自我の不確かさみたいなものを、前半コメディータッチにして描く。
 松尾さんの中心にした会話が凄く面白いが、ホラーと銘打っている割には怖さが伝わってこない感じ。加藤チカさんの美術が素敵。カーテンコールで、DVD収録のためのビデオトークがありちょっと得した気分。
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No:003  レッツゴー!忍法帖 / 劇団☆新感線
★★★★
Theater:サンシャイン劇場
Date:2/15 M
Sheet:18-19
Price:\7,500
 客演:阿部サダヲ、池田成志、入江雅人、馬渕英理何
 黒川の若殿に嫁ぐ堀の内の姫、堀の内を我が物にしようともうひとつの土地では、様々な画策が。各々が忍を使って、裏工作を行うが、もともと忠誠心のない忍者達は、己の要望のまま行動する。姫の護衛に雇われた駄目忍者達を主人公にしたはちゃめちゃなお話。
 限りなくくだらなさを追求した、新感線ならではエンターテイメント。阿部さん、成志さんは、魅力満載だけれど、入江さん、馬渕さんはもったいない感じ。笑うだけ笑って、後は何にも覚えてないのが、この劇団のこっちの面のお芝居のいいところ。
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No:002  裸でスキップ / ラッパ屋
★★★★☆
Theater:THEATER/TOPS
Date:1/12 M
Sheet:A-10
Price:\4,500
 小さな町工場の松崎木工は、手作りの椅子を製作して細々と営んでいる。そこの寮に住む、才能ある椅子デザイナーの佳代子は、いつもの酒癖の悪さで、部屋に平凡を絵に描いたような区役所勤めの男を連れ込んでしまう。しばらく後に、なぜか二人は結婚するが、会社は不渡を出され倒産の危機に。それからしばらく後、佳代子夫婦はけんかをして、別居をするが、そこで、また男を連れ込んでしまう。連れ込んだ男は、流行のインテリア系の会社を経営する男であった。佳代子は離婚し、会社はすべての負債と引き換えに男のものになるが、従業員は社長と佳代子以外は解雇となってしまう。そのことを知らされた、社長は最後のパーティーで、裸でスキップをしだす。。。
 本当にラッパ屋のお芝居は観ていて楽しい。好きな役者さんがたくさんいてそれだけでもう満足しちゃう。会社の経営者が福本さんで、区役所の平凡な男が木村さんという、なんとなく普段だったら逆の組み合わせのようなキャストもまた良し。弘中さんが、古株の営業のおばちゃんをやっていて、いつもと違うキャラを器用にこなしているが、自分はもっと弘中さんの魅力が出るような役柄で見たかった。

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No:001  金と銀の鬼 / X-QUEST
★★★☆
Theater:中野ザ・ポケット
Date:1/11 M
Sheet:H-13
Price:\3,500
 鬼の里に棲む金と銀の兄弟の鬼。人の里から、鬼を切るための妖刀”鬼斬り”を探す勇者二人ともの凄く弱い桃太郎が鬼を倒しに向かう。鬼の里でもクロガネが、金の鬼の金式を暗殺しようと企てる。一方、銀の鬼はシロガネは、気球を作ろうとする人間の兄弟と仲良くなるが、クロガネの陰謀で兄のほうが殺されてしまう。金式の仕業と思ったシロガネは、クロガネの思惑通り兄を討ちに行く。そこで合わされる鬼の兄弟の秘密。
 妖刀の行方、鬼の兄弟の愛、人との係わりを描いた作品。
 なんかQUEST勢いを感じないなぁ。やっつけでやっている感じ。前半はすっきりしていていい感じだったんだけれど、後半ごちゃごちゃになった感じが。。佐藤さんの一人芝居は、久々に観て笑った、笑った。

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