観劇日記(劇場編)2005年


観劇日記(劇場編)に戻る

観劇日記(劇場編)2000年
観劇日記(劇場編)1999年
観劇日記(劇場編)1998年
観劇日記(劇場編)1997年
観劇日記(劇場編)1996年
観劇日記(劇場編)1995年
観劇日記(劇場編)2004年  −−−−−−−−−−− 
観劇日記(劇場編)2003年  観劇日記(劇場編)1993年
観劇日記(劇場編)2002年  −−−−−−−−−−− 
観劇日記(劇場編)2001年  −−−−−−−−−−− 

自分で足を運んで劇場で見た芝居の感想です。(≠批評)
★は、自分のお気に入り度

S高原から/鬼と悪魔のファンタジー/ツカエナイト/Bigger Biz/いつだって待っていた
円生と志ん生/悪魔の唄/機械/TORYS!/御前会議
お父さんの恋/お願い/Candy’s/乱暴と待機/Shuffle
池田屋チェックイン/砂の上の植物群/流れ姉妹〜たつことかつこ〜/約三十の嘘/Deep Forest
仮装敵国/種の起源//LAST SHOW/パリアッチ
きゅうりの花/水平線ホテル/トーキョーあたり/おじいちゃんの夏/ハイキング フォー ヒューマンライフ
エドモンド/風まかせ十四/写楽考/Dog−Eat−Dog/燕のいる駅
イヌのチカラ/ゼブラ/TheCherryBombersStrikesBack/歌わせたい男たち/胎内
ダブリンの鐘つきカビ人間/ウソツキー/トランス/不満足な旅/砂と兵隊
無理矢理/-初恋/パウダア/北限の猿/BROKEN西遊記
12人の優しい日本人/贋作・罪と罰


No:052  贋作・罪と罰 / NODA・MAP
★★★☆
Theater:シアターコクーン
Date:12/29 M
Sheet:2F D-6
Price:\9,000
出演:松たか子、段田安則、古田新太、宇梶剛士、中村まこと、村岡希美、マギー他
 原作の本をかなり忠実に取り込み、幕末日本の倒幕運動と重ねて描いた作品。世の中に天才と凡人がいて、天才はひとつの正義のためには、人を殺しても構わないという持論をもった主人公とその周りにいる、日本を駆けようとしている若者達が交差する。原作には無い、主人公の父親が、話の展開の一つの鍵となっている
 ちょっと集中できなかったせいか、倒幕運動と主人公の重なる部分が良く分からなかった。描きたかった部分もピンと来なかった。主人公の心が変わっていく過程もちょっとピンと来ない。松さんは、最後に客をグワァーって引き付ける何かを持っている。古田さん、段田さんは当然として、中村さん、村岡さんがいい。
このページの頭へ

No:051  12の優しい日本人 / パルコ・プロデュース
★★★★
Theater:PARCO劇場
Date:12/25 M
Sheet:L-4
Price:\9,000
出演:浅野和之、石田ゆり子、伊藤正之、江口洋介、小日向文世、鈴木砂羽、筒井道隆、生瀬勝久、温水洋一、堀内敬子、堀部圭亮、山寺宏一
 暴力を振るう夫を突き飛ばし、トラックに轢かせてしまった女の裁判。陪審員制度が導入され日本で、12人陪審員達が、女が正当防衛の無罪であるのか、故意の殺人であるのかを審議する。一場一幕のコメディ。若いきれいな妻への同情やらで、11人が無実の判断。審議無きまま終わりそうになることへの危機感から始まる議論。人の意見への傾倒、論理無き事実だけを集めた説得。そして、仮説に仮説を重ねて、結論は二転三転。
 2時間全員が出ずっぱりの実によくできたお話。飽きさせることなく流れるように時間が過ぎてゆく。三谷さんの人気のあるのが納得がいく。でも、すごく面白いとは思ったけど、なんか物足りなさ。12人という大前提からスタートしているが、日本人論的な要素を散りばめても、12人分の個々のキャラクタが存在しないような気がして残念。温水さんの演じたキャラにはなんか違和感。
 どんなに役者が良くても、9000円のチケットってやっぱり高いと思ってしまう。
このページの頭へ

No:050  BROKEN西遊記 / トレランス
★★★☆
Theater:THEATER/TOPS
Date:12/24 M
Sheet:L-7
Price:\3,500
 西遊記をベースに、仏教の六道を抜けて天竺へ向かう玄奘一行の物語を、登場人物を麻雀の牌にたとえ展開する。
 話の組み立てが面白かったので、興味深く観られたけど、どこかインテリ臭さが感じられて嫌味な感がある。長野さんは本当に幅広い役者さん。松田さん、天宮さんがTVでは観られない感じのはじけかたで楽しい。
このページの頭へ

No:049  北限の猿 / 青年団若手公演
★★★★
Theater:アトリエ春風舎
Date:12/23 M
Sheet:自由
Price:\1,500
 以前映像で観た作品。アゴラよりもちょっとスペースが小さくなっていて?、役者さんの動きが窮屈な感じ。本当にこのシリーズの作品は、心に充実感が沸く
このページの頭へ

No:048  パウダア〜おしろい〜 / ひょうご舞台芸術
★★
Theater:紀伊國屋ホール
Date:12/18 M
Sheet:H-15
Price:\5,000
作:菱田信也
演出:宮田慶子
出演:小市慢太郎、いしのようこ、弘中麻紀他
 震災2年後の神戸の仮設住宅。地震後、離婚をして一人で暮らす女、そこに取材に来る男。祖父、父とも記者だった男は、震災が彼らにもたらしたのは何であったかを探る。その中で、夫と離婚したわけを語る女の気持と、男の気持のすれ違いの部分と、寂しさの部分を描く。震災後の人々の様子を、戦後の人々をクロスオーバーさせる。
 なんの話なのか良く分からなかった。戦後の様子がコラージュされているのもピンと来ない。小市さんと弘中さん目当てで行ったけど、小市さん魅力出し切れず、弘中さん出番少なく、がっかり。いしのさんは、バナナの好きな人の時もそうだったけど、不思議な雰囲気があっていい。
このページの頭へ

No:047  -初恋 / ハイリンド
★★★★
Theater:江古田ストアハウス
Date:12/11 S
Sheet:自由
Price:\3,000
演出:加藤健一
 様々な劇団・ユニットで、劇場で観るだけでも4回目のこの「-初恋」。今回は、加藤健一さんの俳優講座の卒業生のユニットだそう。
 出だし台詞が走りすぎてるような気がして、テンポが速く感じ、土田さんの本の間の面白さがなくなっているように感じた。今まで観たよりも各々のキャラクタがエキセントリックに演出されていて、力技で笑わせる展開も。大好きなラストシーンは、映像で観たMONO版のクールな感じと違い、センチメンタルな仕上げ。こういうのもありだなって感心してしまった。役者さんが、ビジュアル的にどうかなって・・・
このページの頭へ

No:046  無理矢理 / 劇団本谷有希子
★★★
Theater:吉祥寺シアター
Date:12/10 S
Sheet:F-18
Price:\3,800
出演:高田聖子、廣川三憲、菅原永二、辻修、吉本菜穂子、富岡晃一郎、初音映莉子
 リストラされ、息子も事故で失ってしまった男は、身重の妻と共に社宅から不気味なアパートに引っ越してくる。アパートの管理人の夫人は、全く姿を見せない夫の言いつけのためと言い、霊から逃れるために改築を続け、毎日釘を打つ音をひびかせていた。住人は、目の見えない絵本作家と病を患っている中学生の娘を持つ男。二人の男は怪しく、姿の見えない夫からの伝言を夫人に伝えているという。中学生の娘は常に死にたがっていて、父親に毎日殺してもらおうとするが、失敗し続けていた。そんなアパートに越してきた夫婦の妻だけが見えていた息子の霊は、娘にも見え、息子の霊と仲良くなる。
 引っ越してきた男は、夫人が改築し続けることに疑問を抱き、夫の存在を確かめようとする。そこで見えてくる住居人の男達の怪しい動き。夫は存在しないのでは。一家の引越しから崩れてくる奇妙なアパートのバランス。互いに嘘の世界を作り出し依存しあっている住人達、それを見ている夫婦達にも同じような構図。お互いの虚構の中に、身を埋めて依存しあう人たち。
 最後に無理矢理終わらせた感じがする。心の動きの要因やそこに至ったまでの過程が全然分からなく、すごく違和感があった。役者さんは、好きな役者さんばっかりなので、キャラクタ祭りに感じてしまった。天井の高さや迷路のような家屋のセットは面白かった。それにしても、吉本さんはツボ。高田さんがもったいない。
このページの頭へ

No:045  砂と兵隊 / 青年団
★★★
Theater:駒場アゴラ劇場
Date:11/27 M
Sheet:自由
Price:\3,500
 炎天下のはてしない砂漠。当ても無く本部の指令の元に行軍を続ける小隊。母を捜しに来た父と三人娘。実際にはいない軍人の夫を尋ね彷徨う夫人。新婚旅行の夫婦。怪しいでこぼこコンビのはぐれた軍人(小隊とは同じ組織ではなさそう)。それぞれが砂漠の中を歩き続け、それぞれが行き会ったりする。彼らは何を求めて、どこに行こうとしているのか。そして、いつまで続くのか。
 設定にリアリティーが無くて、いつもの平田さんと違った感じのテイスト。自分はあまり好みでない。時間を含めた4次元での終わりの無い世界に、目的や責任をもたない人々。集団それぞれの係わりが薄すぎて、話が散漫に感じてしまった。青年団は日常の奥にある実時間を描く芝居が好き。
このページの頭へ

No:044  不満足な旅 / ペンギンプルペイルパイルズ
★★★★
Theater:ザ・スズナリ
Date:11/23 S
Sheet:E-7
Price:\3,600
 南米を思わせるようなとある国、年に一度のカーニバルで町は大騒ぎになっていた。そんな中のホテルの一室にいる日本人達。旅行中に彼女がけんかして離れてしまった男は、病弱で倒れそうな彼女の弟と彼女が声をかけた世界一周をしているバッグパッカーの男と一緒にいた。フラフラになって寝ている弟を置いて、お互いの距離の計れないまま過ごしていると、窓の下のカーニバルの喧騒の中に倒れこんでいる男を見つける。カーニバルで街に出た象は倒れていた男にだんだん近づく。助けに行ったバッグパッカーがつれてきたのは日本人の出張中の男だった。今度は、この男を交えて部屋の中で知らないもの同士がいると、隣の部屋が覗ける穴が。穴の向こうでは、不審火を焚いている宗教のような集団、またもやバッグパッカーが踏み込んでゆくと、今度は日本人の女性と連れ帰ってくる。女は以前カーニバルで女神役を務め、一緒にいたのは昔の女神役で同窓会をしていたという。異国の地で初めて会った同じ国の人間達が、お互いの距離も計れず牽制しながら、強引に踏み込みながら、コミュニケーションを取ろうとする。過去の告白、倒れる弟などのサイドストーリも含めて、一場一幕のお話。
 後から入ってくる人物達の入り方が、アクセントになり展開がより楽しめる。異国という不思議さと、なぜか女神の登場を待っている弟や小道具などがより面白さを増す。芝居ながらのデフォルメや日本人の設定なのに日本人らしくないキャラクタなどどうかなという点もあるが素直に楽しめる作品。宮崎吐夢さんは、くどい感じのする人かなと思ったら、全然違和感なくペンギンのメンバーみたいだった。
このページの頭へ

No:043  トランス elder version / KONAMI@NETWORK
★★★☆
Theater:紀伊國屋ホール
Date:11/19 S
Sheet:P-16
Price:\5,800
 高校の頃に仲の良かった3人組のうちの一人の精神科の女医に、相談に行ったフリーライターの男。自分は離人症なのではと打ち明ける。発病により診察をすっぽかした男の下に、様子を伺い行くと3人組のもう一人の男がおかまになって偶然彼の元を訪れていた。3人は、高校以来の再会する。直後男は発病、もう一人の人格が現われ、南朝の天皇の直系の子孫であり、本物の天皇になるべきなのは自分であるという。男の妄想と看病するおかまと女医の中でお互いの新しい感情や思い出が蘇ってくる。物語の最後、3人それぞれが、妄想をする病なのは自分でない2人だという。”私の愛する人は、精神を病んでいます・・・”という群唱。  手法としては、古いのかも知れないけれど、鴻上さんのお芝居は初めてなのでなんか新鮮だった。人に頼るという気持と、人を救うという気持の交差する中で、本当に愛することの意味を問う。そんな話とダンスまで入ったポップな感じの演出がなんか不思議な感じだった。紀保さんは、好みではあるんだけど、この役としてはどうかなって思った。なんか軽めな感じ。男性陣はすごくいいと思った。なぜか観た事ないのに初演の長野さんと小須田さんが演じている姿が浮かんできてしまう。
このページの頭へ

No:042  ウソツキー / 猫のホテル
★★★★
Theater:ザ・スズナリ
Date:11/6 M
Sheet:C-11
Price:\3,700
 一時代を築いたバンドのメンバーの男は作詞家として大成し、軽井沢の別荘にこもり創作活動もせずにいた。そこに集まる昔の仲間や得体の知れない男達。そんな暮らしの中に訪れてくる別荘を慰謝料代わりに求める元妻と、男に詩を悪評された若い男とそれを溺愛する父親。そんな人たちとの係わりの中から彼の過去と葛藤を描く。モチーフは、はっぴいえんどだそう。
 ストーリーを大枠に役者それぞれの個性を当て書きして作ったキャラクタのオンパレード。でも、話はちゃんと作られている。また、得体の知れない男に与えられた過去の伏線が小憎い。中村さん、池田さん、市川さん、森田さんと若手達の際物ぞろい。千葉さんも前説、後説と大サービスの客に優しい猫ホテの満足な公演、コストパフォーマンス高し。
このページの頭へ

No:041  ダブリンの鐘つきカビ人間 / パルコ+リコモーション
★★★★
Theater:ル・テアトル銀座
Date:11/3 M
Sheet:25-16
Price:\8,400
出演:中越典子、片桐仁、土屋アンナ、姜暢雄他
 2002年に観た作品のメインのキャストを変えての再演版。
 前回のメイン4人の印象がよかっただけに足踏みしてしまった今回の公演。中越さんと水野さんは、特にどちらが好みともなし。土屋さんの台詞回しが遠藤さんそっくりだったけど、ここぞとばかりの声量で鼻歌を歌うのに違和感。姜さんは尻にしかれるおろおろ感がたどたどしくて違和感。片桐さんは真っ白な感じのカビ人間で、大倉さんの演じた馬鹿さと切なさのあった感じのするほうが圧倒的に好き。ただ、舞台全体としてみると今回のほうが楽しめた感じがするのは何故だろう。脇を固める人たちに平田さんが加わり、ちょっとスパイスがプラスされた感じ。山内さんと中山さんのヌルヌルな場面もご愛嬌で面白い。
このページの頭へ

No:040  胎内 / 青山円形劇場+ゴーチブラザーズ
★☆
Theater:青山円形劇場
Date:10/29 M
Sheet:E-43
Price:\5,500
出演:奥菜恵、長塚圭史、伊達暁
 終戦直後、追手から逃げて山中にやって来たヤクザ者の男とその愛人。二人の一時をしのごうと逃げ込んだ洞窟の中には、ボロボロの先客の男がいた。ヤクザの男が洞窟の扉を閉めてしまい、扉が2度と開かないことになってしまう。閉塞された中で極限状態に移っていく過程の感情を描いていく。
 長台詞ばっかりで眠くなってしまった。舞台の組み方も、円形劇場であるにもかかわらず、役者が座り込んだり寝転んだりすると全く見えなくなってしまう。長塚さんは、意図どおりの役作りだったのか、ちょっといつもと違う感じ。伊達さんは、いつもどおりの感じで、今回の役だとなんか違う感じ。奥菜さんは、貫禄あるんだけど、台詞回しが猫ホテの佐藤さんを思い出させて、気になって仕方がなかった。
このページの頭へ

No:039  歌わせたい男達 / 二兎社
★★★★
Theater:ベニサン・ピット
Date:10/23 M
Sheet:G-20
Price:\5,000
出演:戸田恵子、大谷亮介、近藤芳正他
 ある都立高校の卒業式の朝の保健室。君が代斉唱の伴奏をすることになっている音楽講師。コンタクトをつぶしてしまい楽譜が読めなくなってしまう。唯一度の合うメガネを持っているのは、斉唱時不起立を宣言している教師であった。教育委員会からの圧力で意思を曲げざるを得ない校長をはじめ、教師達が何とかピアノを弾けるようにと奔走する。一方、不起立の教師への説得をしながら、卒業式を迎えるまでの2時間弱の暗転なしの芝居。降って沸いたような君が代問題に、戸惑う音楽講師。自分自身の考える本当の自由を説こうとする不起立の教師。そして、教師達とそれぞれの立場を描きながら、不起立教師の元シャンソン歌手だった音楽講師へのほのかな暖かい気持なんかがサイドストーリーとなっている。君が代を歌わせたい校長や教師、自分の前でシャンソンを歌って欲しい男。
 映像で観たら抜きの殺意同様、社会的な部分のテーマに取り組みながらも、問題提起にとどめている永井さんの脚本。決して弱腰という意味ではなく、自分には共感が持てる。君が代歌うかどうかなんて考えても無かったという教師の戸惑いが実際にはほとんどの人たちにとってのリアルなんじゃないのかと思う。ちょっと考えてみる事があってもいいんじゃない的な。メインの3人の役者さんはさすが、特に大谷さんの長台詞は圧巻です。暗転なしの舞台も好感持てるし、セットも小劇場では工夫があっていい。
このページの頭へ

No:038  TheCherryBombersStrikesBack/CherryBombers
★☆
Theater:笹塚ファクトリー
Date:10/22 M
Sheet:C-12
Price:\4,200
出演:峯村リエ、長田奈麻、新井友香、種子、リンボブディ、井上貴子
 コントと小作品集
1.「ダメダメ西遊記」脚本/演出:清水宏
 本当に駄目なご一行
2.「乾いた花」脚本:ケラx吉増裕士 演出:吉増裕士
 酒におぼれる母と、現実の見れない長女とエキセントリックな友人、そして、街に広まる奇病。
3.「シスターたちのコント」脚本/演出:ブルースカイ
 修道院の育児施設で行われる卑劣な行動と聖職者のギャップを描くコント
4.「マッドニュース」脚本/演出:ラサール石井
 不倫のライバルキャスター二人の泥試合
5.「女囚物語」脚本:宮藤官九郎 演出:河原雅彦
 とある男の極端に少ない小さな国に入った日本人の女性が、何もしてなくても猥褻罪でとらわれてしまい。その中で受ける理不尽な仕打ちのコント
 なんか役者は好きなことやっていて、本は頼まれたから書いたって感じのグダグダ感が・・・
 どうなんでしょ?途中すごく眠かった。内輪で笑っててくださいって感じで、チケット代高すぎ。
このページの頭へ

No:037  ゼブラ / ONEOR8
★★★★☆
Theater:THEATER/TOPS
Date:10/16 M
Sheet:B-8
Price:\2,800
 幼い頃の離婚で母一人に育てられた4姉妹。夫が軽い浮気をしてしまった長女。結婚を控えている太った次女。気丈な三女に、生活力の無い夫婦の妊娠している四女。母が病に倒れ入院中の最中、次女の引越しの準備のために集まる姉妹と夫達。
 長女は夫の浮気相手を呼び出すが、夫は妻に合わせずに帰してしまう。そんな中にやって来たのは、母から事前に予約があったと尋ねてきた葬儀屋だった。そして、母が他界してしまう。
 葬儀の準備が始まる中、三女の出て行ってしまった父への確執、四女は夫の車のために幼なじみに借金していることがばれる。長女はもう一度夫の浮気相手を呼び出し、母の亡骸を見せ、自分の子供は自分のように片親にはしないと話す。
出て行ってしまった父と連絡をとった長女と父に嫌悪感をいだく三女、長女の夫は幻覚を見ていた母がベッドの上で、浮気をしていたのは自分で夫に謝罪をしていたと話す。
 母の葬儀の前後の間に起こる4姉妹とその家族の行き違いや確執をベースに描くコメディ。
 泣き笑いとよくできた話だと思った。役者さんは、日常にとってぎりぎりありかなと言うエキセントリックなキャラを演じるも、でしゃばり過ぎないので見ていて嫌にならない。客演陣が多いせいでアンサンブルとしては、ちょっと不安定な感じはするも、みんな演技が達者みたいなので安心感がある。自分にとっては、弘中さんと東京タンバリンの瓜生さん演じる長女夫婦が秀逸。セットにもうちょっと工夫があればなぁと思った。
 途中に震度4の地震で、芝居が一度止まる(瓜生さんが母の独り言を話すと言う重要なシーン)。瓜生さんと弘中さんのさすがなアドリブで引き戻したが、やっぱりちょっとの間芝居が落ち着かなかったのがもったいなかった。
このページの頭へ

No:036  イヌのチカラ / X−QUEST featuringTeamAZURA
★★
Theater:東京芸術劇場小ホール1
Date:10/8 M
Sheet:J-12
Price:\3,500
 過去のダンスシーンをミックスした新作公演。鬼と悪魔の抗争の中に割ってはいるマコトとチカラ。しかし、チカラは妖精によって人間の世界を乱してしまう。チカラは、マコトの幼き頃に飼っていた犬の幻影?そして、鬼は母、悪魔は父?
 眠気もあって、まるきり分からない内容だった。途中に、登場するゲストのひげ太夫のパフォーマンスがあって、目先が変わる。なんか思いついたものをそのままやっている感じで、どこに進もうとしているのが全然見えないQUEST。寂しい気がする。
このページの頭へ

No:035  燕のいる駅 / フジテレビ主催
★★★★
Theater:東京グローブ座
Date:9/18 S
Sheet:J-11
Price:\8,500
 作:土田英生 演出:宮田慶子
 主演:相葉雅紀、岩崎ひろみ、猪野学、小西美帆、宮路雅子、相島一之他
 映像で見たMONO版とは違った内容のお話。東演の公演で観た方の内容。こちらがオリジナルで、MONO版が改訂版のよう。21世紀の後半の日本村4番地駅、ちょっと間の悪いお馬鹿な駅員。日本は、まさに第三次世界大戦直前、純潔な日本人以外を排他し続ける国策に、友人や回りの人間達が連れ去られていく。電車はひとつ駅の前で起こった事故で片側が入ってこない、その中で苛つく人々。そして、彼の指示で逆の電車に乗った人々と、軽い気持でお願いした使いに行った彼のことを思う売店の女、彼らの向かった先にあるのは、新型爆弾が作る雲。彼の言葉ゆえに、行ってしまった人々、それを悔やむ彼。
 MONO版よりも重い話になっていて、会話のテンポや間で笑わすような構成にはなっていない。これはこれでよかった気がする。相葉君は、力みっぱなしだけど、思ったよりはよかったかな?それよりも、後半熱っぽくなってしまう演出に疑問。脇の役者さんたちが達者なので、内容も楽しめるし、客席は9分9厘ジャニーズファンの女性だけれども、それほど気にならない。
このページの頭へ

No:034  Dog−Eat−Dog / ウォーキング・スタッフ プロデュース
★★★★
Theater:THEATRE TOPS
Date:9/10 M
Sheet:L-6
Price:\3,800
 作・演出:和田憲明
 出演:野村真美、中村俊太、伊達暁、鈴木省吾、津田健次郎他
 警察の取調室、4人の刑事。強引な捜査も実績をあげているリーダーの刑事に、妹の過去を負うあまりに刑事になった男とその同僚、若手の自分勝手な変人。調べている事件は、塗装屋の社長殺し、雇っていた知的障害者が所長宅に出入りして、夫人に欲情してレイプした後を社長に見つかり、刺してしまったと言うもの。妹の過去を引きずる刑事は被害者の妻に同情するが、リーダーは非常にも妻を疑う。回りの刑事達の反感を買いながらも事情聴取を進め明らかになっていった真相は、社長夫婦の不仲と妻の浮気。同情していた刑事達も本腰を入れだす。そして、浮気現場に入ってきた夫を計画的に殺害したことを自供する妻。しかし、以前妻に同情していた男は、聞かなかったことにし、障害者の罪を最小限にすると言う。その時、取調室では障害者の男は、再び自分の犯罪であると台詞を読むようにする。最後、小馬鹿にしたように取り調べをする若手刑事を刺してしまう。
 ストーリーが入り込みやすく結構集中して観られた。野村さんは引いている感じのキャラのテレビとは違った印象で、女優一人のせいか前に出ている感じ。鈴木さんの演技がどうもなじめなくず〜っと、違和感を持ったまま観てしまう。中村雅俊さんの息子さんの俊太さんの演じる男が目茶々々気持悪かったけど、地なのだろうか演技なのだろうか。伊達さんはいつもと同じような感じの役作りでもうちょっと他の伊達さんも見てみたい。伊達さん演じる妹の過去を引きずる刑事の心の移り変わりが上手く説明されていないような感じでピンと来ない。そして、障害者の演技にリアリティを感じなかった。こういうネタを扱うのであれば、批判を受ける覚悟をもって、思い切った演出をして欲しいと思ってしまった。
このページの頭へ

No:033  写楽考 / THEATRE1010公演
★★★☆
Theater:THEATRE1010
Date:9/4 M
Sheet:5-27
Price:\7,000
作:矢代静一 演出:マキノノゾミ
出演:高橋和也、田中美里、小林高鹿、木村靖司、山路和宏他
 心のままに生きていた写楽と実直に見える歌麿は名の知られておらず2人で長屋住まい。大店の女将と恋仲になった写楽は、女将に身籠ったと告げられる。しかし、その父親は歌麿であった。子を産み落としても情念のままに生きる女は、写楽と2人になったときに自害してしまう。写楽は人殺しの罪をきせられ、女将の所の女中と実家の信州に身を潜める。十年後、魂を宿した画をもって江戸に戻って来たとき、歌麿は売れっ子になっていた。歌麿から捨てられた画商に画を委ねると、写楽の絵も評判に、しかし、そのことが元でお縄頂戴となってしまい死刑となってしまう。そんな写楽の生涯を仮説にした物語。写楽と歌麿の2人の間の友人の十返舎一九が田沼意次の暗殺に加わっていたというサイドストーリーや、写楽と共に逃げる妻となる女中の心情が描かれていたりする。
 ストーリーとして面白く結構興味深く観られる。長い台詞が多くため息が出ちゃうのと、田中さん演じる妻の心の移り変わりが終盤よく分からないのがピンと来ない。小林さんは、朴訥とした部分はいい感じだけど、影の部分がじめっとしないのは違和感。画商の木村さんはいい感じです。
このページの頭へ

No:032  風まかせけやき十四 / BQMAP
★★★☆
Theater:シアターサンモール
Date:9/3 M
Sheet:P-1
Price:\4,000
 酒好きで身なりを気にしない女剣士の十四と猫鉄拳を使うミャオの二人は気ままに旅をしている。2人は、城を飛び出し旅をしている玉姫とその連れに出会う。姫がいない間に城では、姫が後見人になることが決まり、それを阻止し暴君になろうとする伯父が刺客を送ってくる。彼らが刺客や地回りのヤクザ者と立ち回る。
 いつもとちょっと違う完全お遊びモードのBQ。こじんまりとした新感線みたいになっちゃった。中に入ってしまえば結構楽しめる作品。ミャオ役の高瀬さんは、鷺沢さんのプロデュース公演や発砲の客演のときとは全然違って、またいい感じ。
このページの頭へ

No:031  エドモンド / シス・カンパニー
★★
Theater:青山円形劇場
Date:8/27 M
Sheet:C-15
Price:\6,500
作:デイビッド・マメット 演出:長塚圭史
出演:八嶋智人、大森博史、酒井敏也、小松和重、中村まこと、平岩紙、明星真由美、小泉今日子
 妻とけんかをして家を出たエドモンド。賭博や娼婦にだまされ、裏の街に踏み込みすっからかんに。そして、行きずりの女と口論になり刺し殺してしまう。地下鉄のホームで言いがかりをつけられ、警察に連れて行かれ、殺人もばれて、投獄される。そこでは、男にレイプされてしまう。
 白人と黒人、男と女、善人と悪人、小さなことから転がり落ちた彼の行く先で起こることと、色々なコントラストを組み合わせて描いた作品?なんか全然訳分からなかった。翻訳劇は、自分の脳みそには駄目でしょうか?もっと、他の本でこのキャストは観てみたいなぁ。
このページの頭へ

No:030  ハイキング フォー ヒューマンライフ / damin
★★☆
Theater:中野・ザ・ポケット
Date:8/21 M
Sheet:J-10
Price:\4,000
作・演出:宇梶剛士
出演:宇梶剛士、中山祐一朗、村岡希美、藤谷文子
 富士の樹海で友を探す女。探している男は、幼き頃から飼っていた犬を実家の父親に樹海に捨てられたことに腹を立て、父にケガを負わせて犬を探しに樹海に飛び込んでいた。女は、少し前子供を堕胎していて、その父親となるべき男と他の2人のカップルを共に、落ち込んでいるときに女の世話をしてくれた男を探していた。しかし、他の人間達とはぐれてしまう。そんな樹海の中には、他にも娘を失い飛び込んだ夫婦、カップルを見ると男に銃を向ける中年。そんな彼らの心象風景のコラージュ、心の暗闇を映し出す。
 銃の男は、男にだまさて自殺で娘を失っていた悲しみの結果で、樹海に来ていた。犬を探し出した男、しかし、犬は彼を覚えていなかった。
 やっぱり渡辺えり子さんっぽい臭いがする感じのお芝居。暗いトーンで淡々と進む話に、ちょっと眠気が、と言うか多分寝た。自分には、ちょっと苦手なお芝居だった。中山さん、村岡さんが、もったいなく感じてしまう。藤谷さんは、自分にはちょっと辛かった。
このページの頭へ

No:029  おじいちゃんの夏 / G2プロデュース
★★★☆
Theater:紀伊國屋サザンシアター
Date:8/19 S
Sheet:6-12
Price:\4,500
 2002年劇場で観た作品の再演。前回、こどもの城との共同企画だったものを大人向けに、そして、円形の舞台から通常の舞台へ。そんなに内容が変わった感じはしなかったのは、ほとんど覚えてなかったからのよう。小須田さんのおじいちゃんがしゃきっとしすぎなのに違和感。高木珠里さんは、存在感がもの凄く増した感じ。武藤ちゃんは、舞台の上で猫背なのはこれから先どうなんろう?
このページの頭へ

No:028  トーキョーあたり / 劇団健康
★★★☆
Theater:本多劇場
Date:8/17 M
Sheet:I-6
Price:\5,800
 小津映画「東京物語」お下劣にパロディーにした話をベースに、ある市役所勤めていた真面目な男が胃がんにかかり、めちゃくちゃをやりだす様と、この2つの話が映画化の脚本であるという外側から見た話がクロスオーバーして構成される。とにかくお馬鹿に徹しているが、あえて古臭く作られているところと、小道具や動きなどに細かなところに気が配られてないような感じがしてしまった。
 犬山さん、峯村さんはすごく好みなんだけど、大堀さんがどうしても肌に合わず。途中、脳性麻痺の人を扱うくだりで、すごく不快な気分になる。裏に何も無いなら、必然性の無い場面のような気もするけどなぁ。とはいっても、これからもケラさんの作品は観るんだけど。
このページの頭へ

No:027  水平線ホテル / M.O.P
★★★★
Theater:紀伊國屋サザンシアター
Date:7/24 M
Sheet:13-4
Price:\4,500
 第2次世界大戦中のイタリアの浜辺のホテル。夫に死なれた女主人の経営するホテルのある日、女主人の愛人、アメリカでギャングをしていた男、権威ある物理学者とその家族、オペラ歌手とマネージャーの夫と付き人が滞在していた。そこに国家警察が入り込み彼らを監禁する。リーダーの男は、ある人間と取引するために現われたと言うが、誰もその張本人だとは名乗り出ない。暴力的な手段をとって手荒いまねをするが名乗り出るものはいない。物理学者はアメリカに亡命するために、港町のホテルに来ていたが、監禁されているうちにそのことがばれてしまう。女主人は、亡き夫のあだを討つために警察の男をおびき寄せたと告白する。物理学者を逃がすため、秘密の抜け穴からのみんなの大脱走が始まる。しかし、オペラ歌手のマネージャーが裏切り、女主人と愛人、ギャングの男が残される。彼らは、手にナパーム弾を持ち、心中すると脅し、外に出た国家警察は仲間に撃たれてしまう。マネージャーの男も含めた大芝居だった。
 すごく楽しめたけれど、どうなんでしょうマンネリ感のあるストーリー。奥村さんの美術も代わり映えがしないので、なんかいつもと同じものを観ている様な感が。ドリ子さん、三上さん、小市さんの3人は、貫禄の舞台。木下さんはいつものキャラ。国家警察のボス演じる奥田さんがもの凄い存在感。ドリ子さん、林さん以外の女優人に、もうちょっと華や個性があるといいんだけれど。それにしても、岡森さんは扉座の人というよりは、すでにMOPのメンバーでは?休憩挟んで2時間10分強のお芝居、休憩は必要だったのかしら、幕間の場面転換もそれほど大きなものでもなかったし。
このページの頭へ

No:026  きゅうりの花 / HappyHuntingGround
★★★☆
Theater:サイスタジオ
Date:7/23 M
Sheet:自由
Price:\3,500
 2002年にMONOの公演を観た作品。
 元々の本が好きだし、結構いい感じだったんだけど、なんか違和感。後で読んだけど、青年団の松田さんが感想を日記に書いてたけど、間を取らないでいいところで間を取ってる様な感じだと。う〜ん、確かに。MONOの間って絶妙だもんね、劇団の持っているアンサンブルと言うか。
このページの頭へ

No:025  パリアッチ / クリオネプロデュース
★★☆
Theater:スペースゼロ
Date:7/18 M
Sheet:11-1
Price:\4,500
作・演出:倉持裕
出演:小林高鹿、瀬戸カトリーヌ、片桐仁、細見大輔、伊達暁、ぼくもとさきこ、郷本直也、野口かおる、玉置孝匡、こぐれ修、つまみ枝豆
 ある地方のオペラ劇場のバルコニー付きのVIPルーム。歌手のヒモの作曲家始め、その友人の脚本家、歌手のマネージャー。バーのウェイトレス、警備員、ヒモの男に付きまとう人妻にそれを追いかける夫、全身鳥の糞まみれの男、幼い頃のヒモの天敵の女に、怪しい黒尽くめの男が、ヒモが歌手に毎日閉じ込められているVIPルームに出たり入ったり。出てくる女は基本的に、ヒモのこと気になっている。そして、それを取り巻く男達。3時間の舞台に3時間の休憩と言うオペラの最中に起こる銃声。
 もう全く何がなんだか分かりませんでした。そして、笑うところはいっぱいなのに退屈でした。役者さんを観に行った感じ。サービス精神旺盛なカーテンコールがせめてもの救い。
このページの頭へ

No:024  LAST SHOW / パルコプロデュース
★★★★☆
Theater:PARCO劇場
Date:7/17 M
Sheet:C-23
Price:\7,500
 純粋に夢を追う地方テレビ局の男と子役上がりの女優の妻。捨てられた動物を一手に引き受けて飼っている男のドキュメントを撮ることに。心温まる画を撮りたい男であるが、会社の方針はこの男の裏にあるものをドキュメント撮れとのこと。相手の動物愛護家も、すねてしまうが女優のファンであるために、男の自宅での取材であれば受けることになる。そんな2人の下に、男の別れた父親が突然現われる。妻の妊娠の告白の後の男の幸せだと言う言葉を口火に不幸が始まる。父親は、妻の腹を殴り気絶さえ、息子をどこかに監禁してしまう。妻が気付いた翌朝、父親ともめているところに訪れる愛護家とTVスタッフ、マネージャーを装った父親は、落ち目の女優の再起にと2人に、レイプ者の撮影を撮らせようとけしかける。嫌がるスタッフを刺して気絶させ、父親と愛護家は女優を襲おうとするところへ、監禁された男が自力で戻ってくる。2人を気絶させ間一髪で逃れ、スタッフが気を取り戻すが、3人はトイレに半分食いちぎられた愛護家の連れてきた犬を見つける。愛護家が実は、捨てられた動物を食していたことを知り、その画を撮っていた彼ら。そこで、父親が目覚めてしまい、鬼畜がまた始まる。愛護家に、女優を食べろと促す父親、フォークとナイフを持ったその時奇跡が起きる。女優の中から出てきたのは、水子になりきれなかった魂が成人の大人となって姿を現し、その場を収める。そして、父親は息子が生まれたことによって、妻との関係が崩れ離婚し、以降に自分の不幸が始まったことを吐露し自殺してしまう。そして、ラスト愛するがゆえに食してしまうと言う愛護家は、父親を食べろと息子に言う。フォークとナイフを持ったところで幕。
 圧倒的な迫力の舞台。自分勝手な人間達の救いようの無い成れの果て、同じような印象を受けた「砂の上の植物群」でも、事態を変えるのは奇跡でしかなかった。終末への警鐘なのか?今回は、いつもどこかにある歪んだ愛が無いような。
 役者さんは、自分にとってはそれぞれがはまり役。水子役の市川さん、最後しか出番無いのに、あの豪華なメンバーの中で大健闘。舞台セットは、夫婦の部屋が回り舞台になっていて、場面により見る角度が変わると言う感じで、骨組みを廃材っぽい美術で作ってあるのが面白い。そして、市川さんの退場場面は、便器の中に足からダイブ。笑いも、グロさもある骨太の舞台で、観た後しばらくぼ〜っとした。
このページの頭へ

No:023  礎 / ダンダンブエノ
★★★★
Theater:青山円形劇場
Date:6/26 M
Sheet:C-1
Price:\5,250
 ちょっと気持のすれちがいのある中堅女優と大学教授の夫婦、女優のマネージャーとその後輩の富豪になった男。マネージャーは、女優とアイドル女優の確執に悩む。マネージャーの後輩は、相談事を切り出せない先輩の悩みは、金を貸して欲しいことと勘違いして、内緒で夫婦にお金を預け、マネージャーにどうにかお金を預けようとする。4人の関係や、思いがメビウスの輪のようになって構成される話。舞台に中央に置かれる四角の台が、テーブルになったり、像の台座になったりして、円形劇場の中央に礎を築く。
 松嶋さん、たどたどしさと初々しさがあるけど、堂々の初舞台。とにかく空間としての円形劇場が気持いい。倉持さんの脚本も難解ではあるが、下地を分かりやすく、話に入り込める。
このページの頭へ

No:022  種の起源 / 壱組印プレセンツ
★★★
Theater:TEATER TOPS
Date:6/19 M
Sheet:H-2
Price:\4,200
 4話のオムニバス構成の舞台。前半二つは、人類の進化の一端に、異性への意識があることを仮説にコメディタッチにした話。後半は、写真家の写真で有名になった桜の木を町おこしに使うが、翌年根が死んでしまう話と、変わり者の老人の葬儀の夜の、家族と弟の確執を描いた話。
 前半と後半の話が繋がらず違和感。特に最後の話は、無理やり詰め込んだ感じがしてしまった。役者さんがいいだけに、もっとコンセプトをはっきりしてもらいたかった。西牟田恵さんは、出産復帰初の公演だそうであるが、なんかオーラみたいなものが消えてしまった感。
このページの頭へ

No:021  仮装敵国 / AGAPE STORE
★★★☆
Theater:サンシャイン劇場
Date:6/12 M
Sheet:8-6
Price:\5,000
出演:松尾貴史、辺見えみり、春風亭昇太、八十田勇一、福田転球、久ヶ沢徹、コング桑田
 7人の作家によるコント集
 長塚さん:自爆テロで事故死してしまった妻を、霊安室に確認に行くと、そこにいる死体達が話しかけてくる。浮気がばれて妻に言及される話。
 倉持さん:あるセミナーで、自分の心と体を分離できるようになる。そして、他人の体までも。。。
 土田さん:敵方に不意打ちをかけようとする忍者達。一人、一人と敵方の忍びであることを暴露し、最後には誰も残らない。
 千葉さん:ある清掃工場のようなところにいるちょっと間の抜けたコンビ、そこにいた新入りは、元エリートだがやることは半人前。二人に突っ込まれながら身の上を明かすと、家族を事故で亡くし体が不自由になったのであった。
 故林さん:某国軍事司令室、緊急指令発動がかかりそうな状況で盗聴が発覚。内部の人間達は、暗号を使って会話をする。そこになぜか内部の一人の彼女が現われ、何も知らない彼女は緊急指令の暗号を口にする。
 後藤さん:戦場の兵士達、落とせない爆弾を持ったまま、高いところから降りられない男。そこに、通りかかったものたちが助けようとするが、ニトロをもたされたまま動けなくなったり、化学兵器の蓋を押さえていなければならなくなったりと、数珠繋ぎに全員が動けなくなっていってしまう。
 ケラさん:旅館で女が仲居と共謀して男を殺すというドラマの一場面の撮影。スポンサーの都合で撮っては殺害の仕方に文句がつき、滅茶苦茶になっていってしまう。
 どの作品にも笑いと小さな毒っけが散りばめられている。飛びぬけて面白いものも無ければ、つまらないものも無いと言う感じ。個人的には、千葉さんの作品が好きだったが、後藤さん得意の伏線が伏線を呼ぶ展開も捨てがたい。最後の作品の最後で、他の作品の台詞がリフレインされるが、どこまでがケラさんの作品なのかちょっと消化不良。色々な方面で評価・活躍されている昇太さんは、自分にはちょっと合わない感じ。コングさんの歌声は相変わらず素敵です。
企画ものとしては、結構いいのではないのでしょうか?
このページの頭へ

No:020  Deep Forest / G−up Presents
★★★☆
Theater:SPACE 107
Date:5/29 M
Sheet:D-6
Price:\4,200
作:ほさかよう 演出:板垣恭一
出演:楠見薫、新谷真弓、細見大輔他
 森の中で迷ってしまった姉弟は、1軒の家を見つけそこに助けを求める。そこにいたのは、火傷の跡のある女だった。女は、人を拒んでいたが2人を見かねて家に入れる。そして、二人はしばらくの間そこに住みつく。少し前の昔、女は不思議な力を持っていて一人娘と暮らしていた。その力で村の人々の病を治していたが、村の拡大のために森林を伐採しようとする村長は、彼女を疫病を広めた魔女といいふらし村から追い出そうとする。女は、疫病の子を治癒させ村人の信頼を得て、魔女狩りは失敗する。しかし、村長はあきらめず次のわなを仕掛け女を陥れる。それに巻き込まれた娘を救おうと、周りの人々を傷つけてしまう。娘は、行方不明になり、女は森から出てこなくなってしまっていた。女の元に身を寄せていた姉弟は、女が昔村人からもらっていた宝石を持って逃げてしまおうとする。そして、明らかになるのは2人は真の姉弟でなく、森をさまよっていた娘と捨てられた男の子であった。姉は、昔出て行った女の娘であった。
 新谷さんと楠見さんのお芝居を観ているだけでも価値ありだけれど、前半引き込まれるが話がありふれた感じでちょっと飽きてしまうかな?2人のシリアスなところと遊びの部分のメリハリが素晴らしい。その他の役者さんたちも達者な感じ。舞台装置が、円形の舞台に沿った4分の1程度の可動式の壁で、シンプルでもとってもうまいなと思った。
このページの頭へ

No:019  約三十の嘘 / 熱帯倶楽部
★★★
Theater:シアターブラッツ
Date:5/28 M
Sheet:自由
Price:\3,200(当日)
 土田さんの脚本を上演すると言うので観に行く。戯曲も読んでるし、今年は映画でのこの作品も観てる愛着の深い作品。MONOでは、初演と再演バージョンで人数が違うが、今回は初演と同じ7人のバージョンでの上演。
 MONOでの上演のイメージがあるために、どうしてもそれと比較してしまう。役者さんの熱演しぎな感が、MONOの持っているの独特の間で笑わせる部分を消している感じ。特に、MONOでの増田さんの演じる宝田と今回の佐藤浩子さんのギャップが大きい。怒鳴りすぎな感があって、後半の部分へのつながりがどうだろうと言う感じがする。メンバー間の心のずれの微妙さを誇張しすぎているようで、全体的に分かりやすく仕上げてしまったところに面白味がなくなっていると思う。役者さんたち年の割にはどうなんだろう?
 初演バージョンには、「ババロアちゃん」は、出てこなかったのね。
このページの頭へ

No:018  流れ姉妹〜たつことかつこ〜 / 真心一座「身も心も」
★★★★
Theater:青山円形劇場
Date:5/21 M
Sheet:C-20
Price:\4,500
 作:千葉雅子 演出:河原雅彦
 出演:村岡希美、千葉雅子、坂田聡、河原雅彦、粟根まこと、松重豊、政岡泰志、小林顕作、伊達暁他
 離れ離れになってしまっている姉妹。妹は、殺人の罪を償うために函館の刑務所に、そして、模範囚となって短い刑期で刑務所を出る。どうやら姉の罪をかぶって入所していたらしい。そして、入所時彼女は、医学部の先輩でともに苦学生だった女性に偏見をもった男に、レイプされてできた子を身ごもっていた。出所してからは、大久保で不法就労者相手の闇医者として働いていた。一方、姉は日本を南方に向けて転々、妹の出所時には沖縄で家政婦のように働いていた。そこへ、函館の看守は真実を知るためにやって来る。そのことを知り、本土から来ていた闇獣医と共に東京へやって来る。そして、妹と出会う。診療所で、妹がチンピラに絡まれているのを救おうとチンピラを殺してしまう。偶然やって来ていた看守が見たのは、鈍器を持った妹とチンピラの死体だった。
 「たにむら〜」ってのっけの一言で、笑いを持って行ってしまう千葉さんって役者として大好き。村岡さんは、大きく前へ出ないのに存在感があって魅力たっぷり。坂田さんの脇役もいいけれど、がやと呼ばれるいくつもの脇役をこなした政岡さん、小林さん、伊達さんが最高。役者としては、ほとんど前に出てこない河原さんの演出が、劇場にあわせた細かいところに気を配っていてより面白さを増している。特に場面転換の部分で、村岡さんの着替え中に女装させて政岡さんとか、あえて、着替えを半暗転で見せちゃうところとかが、小劇場感を増している。次回も楽しみにしてしまう作品。
このページの頭へ

No:017  砂の上の植物群 / KERA MAP
★★★★☆
Theater:シアターアプル
Date:5/2 S
Sheet:10-32
Price:\8,000
 全く知らない島の海辺に墜落した飛行機、生き残った数人は日本にも帰ることができず、島の近所で起こっている紛争におびえながら助けを待って廃墟にいる。彼らは、最後のフライトのつもりだったスチュワーデス、たまたま乗り合わせたその同級生、SF・ヒーロー好きなどこか影のある青年、女が捨てられる寸前の変態カップル(女がずっと手を握っていたため、男は左腕を事故で失った)、死んでしまった相方の遺体とネタ合わせをする漫才師、殺虫剤を作っているという青年、正義感の強い青年、事故で記憶喪失になった地位のありそうな太った女性。そして、浜辺にはロケットがなぜかささっている。そこに一人の日本人が現われ彼らの世話をしてくれていたが、ある日突然彼らの元を訪れるのは彼の代わりの男になる。日本に帰れない彼らのイライラは募り、本能をさらけ出してくる。そんな中に浜辺のロケットに乗って未来からやってきたという女が現われるが、すさんだ心の彼らは自由奔放な彼女により心を乱される。カップルの女に手荒い真似をした男に詰めよりベランダから突き落とされ死んだはずの正義感の強い男が、実は生きていてカップルの男を刺そうとする。しかし、結局男に刺し返されるが、その時に現地の代わりの男は発砲する。それをきっかけに、生き残っている彼らを軟禁しようとする。男は、現地扮装に加担している日本人で、最初に助けてくれた日本人は、紛争を抜け出そうとして暗殺されたのだった。そして、日本は大地震が起き、紛争に関連したとして対戦が起こりかけている最中だという。絶望の中の彼ら、鉄砲を奪ったりしながら、紆余曲折の末に、現地の男を追い払い、浜辺に出る。生き残ったのは、スチュワーデス、影のある男、漫才師、記憶喪失の女と、未来の女で、ロケットを直して逃げ出そうとする。影のある男が幼い頃に拾ったずっとポケットに入っていたという得体の知れない部品によりロケットは動く。
 伏線として、影のある男はポケットのものを投げ出され、男をひとり刺している。そして、妄想の中で宇宙人と喋っている。殺虫剤を作っている男は、実は探偵のアルバイトで、影のある男を追っていた。スチュワーデスの父は特撮のヒーローの中に入っていたが幼女に悪戯をし、母親が自殺している。未来の子は、墜落した飛行機に乗っていたらしいなど。
 ちょっとフローズンを思い起こさせるような設定に、すべての犬や青十字のような群像劇。狂気の描き方がケラさんにしたら汎用する気がするけど、怖さはたっぷり、特に赤堀さん。本当に現在とすぐの近未来を切り取ったようなシチュエーションに、今の自分の環境を重ね寒気すらする。それをちょっと離れた島で描くところなんかは巧いなぁって思う。動くはずの無いロケットを、青年が幼い頃からとっておいた部品で動くようになるという終わりは、救いじゃなくて、こんな奇跡でも起こらない限り救われない現状への嘆きのように取れてしまった。
 役者は、意外につぼ押さえたなって感じ。常盤さんは、一本調子で台詞覚えるのがやっとな感じがしなくも無いけど、そんなに負のイメージは無い。カーテンコールでの照れたような笑顔は素敵です。筒井君は、彦馬で好印象だったけど、今回も感覚的に好き。池谷さんと猫背さんはかぶるかと思ったけど、この辺の使い方は巧いなぁって。法王庁の映像見て好印象だった西尾さんは、子役のイメージ振り切って体当たりでいいです。いっけいさんと温水さんは、まあ扇の要みたいなもんでしょ。池谷さんの「平成?」に大笑い。
このページの頭へ

No:016  池田屋チェックイン / Playing unit 4989
★★★☆
Theater:シアタートラム
Date:4/29 M
Sheet:トラム-8
Price:\2,500
 尊皇攘夷派の会合が京都の宿池田屋であることを知った新撰組、池田屋に乗り込み尊皇倒幕の志士を襲撃するという池田屋事件をモチーフに、池田屋での様子を描いたシチュエーションコメディ。桂小五郎と池田屋の主人がうった芝居で、無血で終わるというラスト。その中で、みんなを翻弄し、戦いをうやむうやする龍馬が登場。
 幕末の物語はいつも面白く観られるけど、一向に歴史上の事実が覚えられていない自分。今回の事件にも、桂小五郎と坂本龍馬は絡んでいたんだろうか?役者が比較的そろっていて、事実をモチーフにアレンジした設定のコメディが自分好みなので抵抗なく観られる。キャストのほとんどにいいところ与えたような演出に間延び感があり残念。特に、ラストのどんでん返しの後に、それぞれが時間をかけて去っていくシーンは不必要だと思う。客席は満員だけど内輪の人が多いのか、大して面白くも無い場所でも、ドカンとした笑いは、観ていて興ざめしてしまう。西ノ園さんは、やっぱり存在感あり、福田さんも発砲より出番があってノビノビ。発砲客演のはじさんは、主役?の龍馬役をコミカルに身軽にこなす。
このページの頭へ

No:015  Shuffle / パルコプレゼンツ
★★★★
Theater:PARCO劇場
Date:4/24 M
Sheet:M-16
Price:\7,500
 作・演出:後藤ひろひと
 出演:井原剛志、奥菜恵、三上市郎、山内圭哉、風花舞、石野真子、鹿内孝
 仕事はできるが、おんなにだらしのない刑事「シャッフル」。同僚が外された宝石強盗の事件の追跡中に、犯人の綺麗な女性につい声をかけ大きな怪我を負ってしまう。それにより、自分の記憶の中の人間と実際の人間が入れ替わってしまうと言う障害出てしまう。そうした彼が、犯人を追ってくというコメディ。綺麗な女に眼が無い男に、宝石強盗のときに警備員を首になった不細工な女が付きまとうというサイドストーリーをつけて、コネタ散りばめるという構成。おまけに刑事の理想の女性が石野真子で、本人がそのまま登場するというおまけつき。
 笑いっぱなしの2時間で飽きさせない。窃盗団の昔の仲間で務所から出てきた男演じる後藤さんは最後に美味しいところ持っていきすぎ。奥菜さんは不細工役なのに全然不細工じゃないので違和感。前半の三上さんと伊原さんの掛け合いがテンポよくて面白い。
このページの頭へ

No:014  乱暴と待機 / 劇団本谷有希子
★★★★
Theater:シアターモリエール
Date:4/10 M
Sheet:H-11
Price:\3,500
 出演:馬渕英里何、市川訓睦、多門優、吉本菜穂子
 アパートの部屋に住む男女。お互いの両親が仲良く幼なじみの二人、しかし、女が部屋にいるのは男のしようしている最悪の復讐を待つためだった。家族同士の旅行中での事故がきっかけで、足が不自由になった男。その原因は女にあるという。女はなぜか逃げ出そうとせず従順に、部屋に住んでいる。そして、男は夜な夜な天井に隠れ女を覗いている。軟禁状態のまま部屋にいる二人を、刑務所で働く男の同僚は、彼女を使って探らせる。偶然女と彼女は同級生、クラスでも浮いていた女にイライラする彼女。異常な同棲生活に興味を持つカップルだが、知らぬ間に彼氏は女に引かれていき、女を脅し関係を持ってしまう。そんなことから微妙に保たれていた同棲生活にひびが入り始める。女も男も、感情をさらけ出す。異常な形でしかお互いへの思いを形にできなかった二人。男は飛び降り自殺するが生き残り、また二人の同棲生活は始まる。
 同棲する二人、二人を覗く二人の異常な性癖。人間誰しもある鬱屈とした部分をデフォルメした話は、松尾さんの所にいた本谷さんといわれればふ〜んって感じ。松尾さんのお芝居は苦手な自分でも、本谷さんは面白いと思う。グロさが薄いのかな?松尾さんというよりは、長塚さんの雰囲気を感じてしまう。でも、長塚さんもグロいか。
 馬淵さんはワザとなのかお芝居の内容よりも、カラッとして明るい感じの役作りに思ったけど、存在感がすごくあり。綺麗でも、三枚目的な部分が吹っ切れているので違和感を感じない。ムニエルの市川さんは、間とかがすごくいいんだけど、自分の好みに合わないキャラだったのでちょっとムズムズ。吉本さんは、最初声のかれていたのが残念だけれど、本当に名脇役。あれだけ笑わせておいて、締めるところは締める、緩急が絶妙。
このページの頭へ

No:013  Candy’s / G2プロデュース
★★★★
Theater:本多劇場
Date:4/2 M
Sheet:A-10
Price:\5,800
 出演:長谷川朝晴、須藤理彩、山西惇、陰山泰、久保酎吉、廣川三憲、木下政治、新谷真弓、竹下宏太郎、草野徹他
 昭和30年代の小さな石鹸工場。量産できる合成石鹸の工場拡大のために、手作り石鹸の工場を閉鎖することに。そこにたまたま現われた女子工員の友人の社長の娘は、組合を結成し、許婚の専務達相手の工場閉鎖反対運動に加わることに。そんな工場の中には、運動に加わろうとせず、石鹸を作れないなら止めるというどこか過去に秘密めいたものを持った男。娘は、なぜか男が気になる。そして、男も過去に娘を重ねる。
 約20年前の工場、食べられるような石鹸を作ろうとした親方の元に、入ってきたその男。一緒に入ってきた娘に恋をし、娘の気持も男に行くが、押しの強い同僚に押し負けてしまう。戦火の日本で軍からの生産調整を受けていた工場に、宮内庁からの注文が入る。完璧な石鹸を目指した親方と男は納期直前、夜を徹して石鹸を作る。徹夜続きの親方を気遣い家に帰らせた夜、突然現われた娘と工場を離れてしまい完成寸前の石鹸を台無しに。その事で社長とけんかした親方は、泥酔し石鹸を煮る釜に落ちて命を絶ってしまう。男は、その傷を背負ったまま時を過ごしてきていた。
 結局工場は、閉鎖になる。男の元に現われたのは、かつての恋敵の戦死したはずの同僚だった。男は、手作り石鹸の工場をやっていて、一緒にやろうという。そして、それについていくという社長の娘。
 2つの時代をクロスオーバーさせながら、話を進めていく。最後がハッピーエンドなのはどうなのかって気もするが、とってもいいお話。脇を固める社長の山西さん、親方の久保さん、工員役の新谷さんと廣川さん、ラジオの街頭アナウンサー役の猫ホテの菅原さんなどがとても素敵。2つの時代なのにセットがほとんど同じで工夫が感じられなかったのは残念。主役の長谷川さん朴訥な感じがよく、須藤さんも違和感が無かった。
このページの頭へ

No:012  お願い / ラックシステムズ
★★★★
Theater:ザ・スズナリ
Date:3/27 M
Sheet:F-2
Price:\4,000
 第一次大戦終了後の吉原の遊郭。身請けをしてもらった儀母に、若くして店を預かった契りだけの姉妹の元遊女の妹。ライバル同業者から預かった軍の要人、彼の妾の子供が実は妹の元遊女であった。要人は、密かに自分の直下の部下を隠し子と結婚させ、代を継がせようとしていた。一方姉は、要人の共をしていた兵隊に幼き頃に別れた弟を見つける。性病にかかり、仕事のできなくなった姉の最後の勤めの日、弟の出兵を見送りたく、店を抜け出してしまう姉。周りの人間が取り繕っている間に帰って来て、世話になった客の部屋へ入っていくが、後を追うように入ってきた要人の部下は彼女が路上で死んだことを告げる。しばらく後、父の意向を断った妹の元へは要人の部下が、プロポーズに訪れる。そこへ大きな震災が、二人抱き合って逃げる。
 そんな儀姉妹と、回りの人々や風俗を絡めたお話。取材に来る記者、赤の思想を持った画家、太鼓持ちの様な落語家など、当時の様子を描きながら、面白おかしく進む。
 姉妹演じる姉の大森さん(キャラメルボックス)と妹の中道さん(らくーがき)の存在感がいい。大森さんのタバコ吸う姿とかが様にならないのがちょっと残念だけれど、キャラメルでは観られない役柄でもとっても素敵。そして、本全体にわかぎさんのやさしさみたいなものを感じる。新米記者役の楠見薫さんや、会社社長役のMOPの酒井さんは、もったいないくらいのような使い方。観た後に優しい気持になれるお芝居。カーテンコールのわかぎさんが素敵で、惚れました。
このページの頭へ

No:011  お父さんの恋 / パルコプレゼンツ
★★★☆
Theater:PARCO劇場
Date:3/21 M
Sheet:K-15
Price:\7,000
脚本:中谷まゆみ 演出:板垣恭一
出演:前田吟、星野真理、七瀬なつみ、菊池麻衣子、堺雅人、池田成志
 娘2人と息子1人を持つ男、妻に先立たれ後、新しく家を建てるも倒れ植物状態となってしまてっいた。長女は、裕福な家庭に嫁ぐが、夫と上手くいかず不倫。次女は、ベンチャーの社長であるが、右腕にだまされ、お金の工面に困っている。一番年下の長男は、破産して、ニートとなって暮らしていた。そんな3人は、2年近くの間に一度も父の元に現われず、介護士に任せきりだった。父の元には、長女の同級生の町医者の主治医が毎日訪れていた。母の法事を機会に父の元に集まった子供達、介護士は若い女の子に変わっていた。父の心配もせず、お互いの主張をしあう子供達をみて、介護士の女の子は父親と結婚したいという。そんな状況の中、3人それぞれと家族の過去の係わり、若い頃離婚した町医者とその娘の話、そして、介護師は本当は昨年に庭の桜にふらっと家に入ってきて、娘を偽り居座ってしまった借金だらけの娘だったというエピソードを交え、厳しくちょっと空気の読めない父親の家族への思いをそれぞれが感じていくというお話。
 植物状態になった父親の心の中を前田さんが演じ、その父親は他のものたちには見えないことになっているという舞台設定。久しぶりに普通のお芝居を見た感じ。中谷さんの作品がより一般的になってハートフルに出来上がってる作品。町医者の成志さんと長女の七瀬さんがアクセントになって、リラックスした前田さん、ずっととんがった感じの菊池さん。もうちょっと短く絞ったほうがいい感じがした。
このページの頭へ

No:010  御前会議 / 青年団
★★★☆
Theater:駒場アゴラ劇場
Date:3/19 M
Sheet:自由
Price:\3,500
 とある場所の会議室、集まった男女。話し合われる内容は、自転車置き場は必要か、人は何のために生きるのか、宇宙人は襲撃してくるのか等々、集まっている人々の日常には到底関係の無いことばかり。そして、ほとんどの人々に積極的意見は無く、話は一向に進まない。そんな人々の中にいる別居している夫婦と夫の愛人、喋らない佐藤さんと呼ばれる人形、人々の事情も含めて会話が進行していく。最後には、戦争論も。。
 会議シリーズのヤルタ会談、忠臣蔵に比べてさらにコミカルな仕立てになっていて、論点もぼやかしている。お遊び的な感のある作品。思わず笑ってしまうような場面が多々あれど、キャスト、劇場も含めてチケット代高すぎる気がする。
このページの頭へ

No:009  TORYS! / MOBO Presents
★★★☆
Theater:シアターV赤坂
Date:3/6 M
Sheet:A-2
Price:\3,800
 作・演出:鈴木哲也
 出演:岡森諦、平野くんじ、工藤順矢、弘中麻紀、塩湯真弓、永滝元太郎他
 昭和30年代、初春の雨降る浜松の小さなバー。そこに集まる人々、ホステスを愛人にする若社長、大学助教授と教え子、中止になったオープン戦に出るはずだった1流になれないプロ野球選手。マスターとママの夫婦の仲は危うく、兄弟店のママと怪しいマスター。そこにふらっと現われた青バットの大下選手。それぞれの人々が、それぞれの悩みや恋愛を抱えながら、酒を飲んでいる。
 大下演じる岡森さんに頼りきった感。ママの弘中さんは、今までに無い感じの役柄だけどさすが、マスターのくんじさんは得意な役どころ。助教授役の順矢さんの熱演はちょと鼻につく感じ。当時の様子を描いた世界は、不倫や故障で野球ができないという重めな話題があってもほのぼのとした仕上がり。こんな舞台があってもいいかなとは思うけど、刺激少なめ。
このページの頭へ

No:008  機械-鏡面仕上げ- / ペンギンプルペイルパイルズ
★★★☆
Theater:OFFOFFシアター
Date:3/5 M
Sheet:自由
Price:\2,800
 客演:村岡希美
 鏡面仕上げとメッキ仕上げの2バージョンのうち、村岡さんの出る鏡面を観る。ぼくもとさん玉置さんは出演するが、もう一人のメンバー小林さんは出演せず。
 地上に住む人たちと地下に住む人たちが分けられた世界。地下に住む男は、地上から男を捜しに来た女と、何のために使うか分からない機械を組上げ地上に運ぼうとしている。重すぎて代車が壊れた場所で、その家の前に住む女が現われる。女は旦那と上に映画を見に行く約束をしているが、準備の長さに旦那は先に出て行ったまま見当たらない。お互いの主張をし続けているうちに、旦那の友人で以前に機械を組上げて地上に鑑定に出している男がやって来る。男は、旦那は映画館の前にいたといい。いつも約束を守れない夫婦にうんざりだという。そして、機械は地上に持っていっても、鑑定はいつまでたってもしてくれないと。
 はたして機械はなんだったのか?劇中で機械の意味するものとは?地下に住む夫婦は?う〜ん、難解すぎでした、倉持さんワールド。いつもよりストーリー性も削って、ナンセンスさも削って、不思議感だけ残った。ただ、村岡さんが出てくると、舞台が引き締まります。
このページの頭へ

No:007  悪魔の唄 / 阿佐ヶ谷スパイダース
★★★★
Theater:本多劇場
Date:2/20 M
Sheet:H-19
Price:\5,000
 客演:吉田鋼太郎、伊勢志摩、小嶋聖、池田鉄洋、山内圭哉
 気を病んだ妻の療養のために田舎の古びた洋館に引っ越してきた夫婦。そこには近くに住む若い夫婦が。病気の妻は若い女に電話を貸せとせがみ、若い女はそれと引き換えに穴を掘ることを要求する。掘った穴からできてたのは、3人の旧日本兵のゾンビだった。 妻が気を病み始めた原因は夫の浮気にあるらしく、妻は妄想の中で若い男に夢中になる。電話の向こうで妄想の中の愛人を演じていたのは実弟であり、その弟が洋館を訪れる。
一方、若い妻は戦争で婚約者を失い無理やり結婚させられ自殺した女の幽霊で、若い夫はそれを追って自殺した夫であった。妻が穴を掘ったのは、婚約者の日本兵が爆撃に合い死んだ場所であり、夫は婚約者と会わせないために現世に来たのだった。
日本兵達は本当に死にきるために、自分達の使命を全うしようと、米国の爆撃を企て、妻を人質に取り爆撃機の調達を要求する。幽霊の夫は弟に乗移り、陽に当たると体が焼けてしまうゾンビたちをだまそうとするが、妻の強い気持ちに自らの命を絶ってしまう。妻はかつての婚約者と再会するが、婚約者はだまされたまま爆撃に向かおうとし命尽きてしまう。
ラストシーン、夫婦と弟が館に残り、夫は妻の顔を見つめる。妻を何かが変わってしまったようだ。
 今までの長塚さんの作品とはちょっと違った気がした。ストレートでファンタジックな話で、血はでるがドロドロしたところがあまり無い。今の時代と日常に戦争があった時代との対比みたいなのがあるのかな。ちょっと、日本兵達の台詞や心の動きに、矛盾や安直さを感じてしまうところがあった。気を病んだ妻を演じる伊勢さんはとってもいいと思ったけど、自分の好みに合わない。兵隊の伊達さん、山内さん、弟の池鉄さんはいつものまんまの感じで、婚約者の兵隊の中山さんも弾けないシリアスなところは色のはっきりしない感じがしてしまう。小島さんは、清楚な感じの役と衣装なのに、立ってるだけで色香がある変な存在感。吉田さん、この本に合っているのかは分からなく、違和感を感じるところがあるけど、卒が無く上手い。
このページの頭へ

No:006  円生と志ん生 / こまつ座
★★★
Theater:紀伊國屋ホール
Date:2/6 M
Sheet:D-6
Price:\5,250
 作:井上ひさし
 出演:角野卓造、辻萬長、久世星佳、ひらたよーこ他
 終戦直前中国大陸に行った円生と志ん生。やがて戦争が終わり路頭に迷う二人。2人の行く先々に現われるのは、宿屋、置屋とどこでも女性ばかり。円生は、日本に帰るために現地でかりそめの裕福な日本人の未亡人を妻とし、安定した生活を送る。志ん生は、落ちていく一方で、2人は修道院で再会し、変わり果てた姿の志ん生はイエス様に間違えられる。そんな二人を描いた作品。
 400人以上いた客席の中で、ひらたさん目当てで行ったのは自分を含め数名であったに違いない。二人の性格のコントラストを強く演出するが、もともとの背景から来るものがピンとこない。角野さんは、台詞回しが早すぎて、聞き取れないものが多かった。ひらたさん、小劇場以外であんなふうに存在感が出せると思わなかった。感心した名アシストぶりだった。
このページの頭へ

No:005  いつだって待っていた / 高山植物園
★★★
Theater:春風舎アトリエ
Date:1/29 M
Sheet:自由
Price:\2,300
 流行らないスナックの2階に同居する世辞にも美しいといえない女4人。女達はかわるがわるある老人の愛人の役割をはたしていた。そんなある日の部屋の様子。ママと2人の女がウダウダしている中に、老人の元から帰ってきた女。女は突然愛人の娘であることを告白する。そして、男が死んだことも。
 小さな笑いを含めながら淡々と4人の様子を描く。一幕のみのお芝居は平田さんと一緒。でも、女の人の書いたものを自分が見ているからなのか、全然リアリティが無い。山村さん、松田さんが出ているので観に行ったが、どちらもしっくり来ない役柄。スナックに出勤前の姿を描いていて、時間ごとにメイクがされていくが、あまり綺麗になっていかないのは演出なのだろうか?
このページの頭へ

No:004  Bigger Biz / AGAPE STORE
★★★★★
Theater:紀伊國屋ホール
Date:1/23 M
Sheet:C-16
Price:\4,800
 2003年劇場で観た作品の再演。当時以上に笑った、笑った。坂田さんの台詞回しとテンポがすごくいい感じになっていて、面白かったと思った前回以上によくできていた。伏線が伏線を呼ぶこの手の作品、多少設定に無理があるにしても、後藤さんのすごさが表れている。
このページの頭へ

No:003  ツカエナイト / TEAM発砲・B・Zin
★★★★
Theater:本多劇場
Date:1/10 M
Sheet:H-11
Price:\4,000
 人間の健康状態を完全に管理する人工知能を持った喋る椅子「ナイト」を開発した大学教授。その発明を盗もうとするライバル教授、大学教授に言い寄る詐欺師の女と女を追う借金取りとストーカー。そして、開発依頼をした企業の人間が自分達の利害関係を元に繰り広げるドタバタを、「ナイト」と共に教授を片思いするツカエの恋心を軸に展開するお話。
 なんかジャスキスをひっくり返したようなきだワールド満載の作品。外部出演が多くなったためか、役者のレベルがアップしている感。武藤ちゃんの切ない一途な恋心を持った女の子は、「ゴーストライター」同様にはまり役。客演の小手さんは余裕の演技。
このページの頭へ

No:002  鬼と悪魔のファンタジー / X−QUEST
★★★☆
Theater:中野ザ・ポケット
Date:1/9 M
Sheet:I-7
Price:\3,000
 3話構成のオムニバスとあったが基本的に話は繋がっている。
1話:幼い頃の顔の火傷で醜くなってしまった女は、自分の事を美しいといってくれる鬼の元へとついでしまう。
2話:人界の天気を作っていた鬼達は、悪魔に覇権を取られてしまう。しかし、その悪魔のリーダーも尻尾を失い失脚する。そして、鬼と悪魔は融合する。
3話:1話の人に思いを寄せる鬼と、2話の尻尾を失った悪魔は、次第に人界に溶け込んでいく。そこでは、いじめ、堕胎、薬など様々なことが起こっていた。これらの話と尻尾探しと、鬼と悪魔の陰謀がコラージュとなった作品。
 それぞれの場面に、なんとなく含みを感じるんだけど、全体的にまとまった感じがない気がする。ちょっとトクナガさんの独りよがり感が。面白かったのは、佐藤さんとリーさんのフランス語教室のシーンくらいかな。これからもQUESTを観るか微妙な気がする。
このページの頭へ

No:001  S高原から / 青年団
★★★☆
Theater:駒場アゴラ劇場
Date:1/3 M
Sheet:自由
Price:\3,500
 郊外のサナトリウムに入院している患者とそれを訪れる見舞いの人たちのロビーでの会話を描いた作品。自分のこれからも分からない不安を抱えながら暮らしている患者達。訪れてくる人達は、連れ戻そうとする元婚約者、友人を使って結婚することを告げる恋人で会ったはずの人、施設の宿泊施設を利用し自分達の余暇も含めて見舞いに来るもの。それぞれの思いを抱きながら、それぞれの生きること死ぬことを自問する。
 志賀さん以外は、ほとんど若手と中堅の公演。ちょっとエキセントリックなキャラクタを出しすぎな感じ、それほどの極限な状態が無いような舞台なので、ちょっと違和感を感じる。若い頃の作品なのか、なんか辻褄が合わないところもたくさんあるような気がしてしまう。でも、やっぱり平田さんの静かなお芝居は自分の好みなんだなぁと改めて思う。
このページの頭へ