観劇日記(劇場編)2021年


自分で足を運んで劇場で見た芝居の感想です。(≠批評、ネタばれあり)

2020年2010年2000年
2019年2009年1999年
2018年2008年1998年
2017年2007年1997年
2016年2006年1996年
2015年2005年1995年
2014年2004年−−−
2013年2003年1993年
2012年2002年−−−
2011年2001年−−−


タイトル、拒絶/アユタヤ/ほんとうのハウンド警部/白日夢/カメレオンズ・リップ
DOORS/フェイクスピア/フェイクスピア/キネマの天地/コメンテーターズ
近松心中物語/友達/或る、ノライヌ/ピンク/ぽに
老いと建築/パ・ラパパンパン/イロアセル/イモンドの勝負/徒花に水やり

No:020  徒花に水やり / 千葉雅子×土田英生 舞台製作事業
Theater:ザ・スズナリ
Date:12/18 M
Sheet:A-9
Price:\4,500
Time:1幕 1:35
 地方を拠点にした暴力団『日和組』。三次団体とはいえ一時期は羽振りもよかった。しかし上部組織からの無理な要求、組長だった日和清凪の死亡をきっかけに廃業した。その組長には四人の子供がいた。親代わりとして生きてきた長女の千秋、かつての上部組織に恨みを持ち続ける長男の春吉、裏の世界で生きる次女のフユ、そして……幼い頃に養子に出され、幸せに育った三女の奈津実。その奈津実が幸せこの上ない笑顔で実家にやってくる……菅原玄という男を伴って。それは彼らにとって……曰くのある相手だった。
 五人のうち、四人が作・演出して、役者もやる方たち(しかも名のある)という面白い組み合わせ。やくざの残された家族の話だし、田中さん出てるし、「錦鯉」みたいなのを想像してたけど、似てたのは哀愁みたいなところだけだったかも。MONOの雰囲気を感じる変な言葉遣いや間、それに馴染みながらも、それぞれが猫ホテやKAKUTAなんかでのホームグラウンドの色も出すという楽しさ。前半の導入部は笑いっぱなし。どこかずれてる人たちだけど、憎めない人たちの馬鹿馬鹿しい会話が面白すぎ。バラちゃん、土田さん、千葉さん、それぞれの組み合わせの掛け合いが最高。たまにと言わず定期的にやってほしい企画。時間もちょうどいいかなぁ。
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No:019  イモンドの勝負 / ナイロン100℃
Theater:本多劇場
Date:11/28 M
Sheet:H-3
Price:\7,600
Time:2幕 1:40 1:25
 親に殺されて売られそうになる男と殺された姉。国に要人から操作を不明な捜査を頼まれる良い探偵と自ら名乗る男。地下に人を食べるバンビみたいな獣をかくして孤児を食べさせている孤児院。孤児院に援助金の審査に来る会長とその部下。それぞれが少しづつ絡んだナンセンスコメディ。
 今までのナイロンのナンセンス劇に比べてストーリーっぽいものがあって、観やすかったかも。ナイロンの役者さんの安心感というか好感を持ってみてるからというか、ただたたずんで流されている感じも心地よし。名作「ナイスエイジ」を思い出させるシーンが所々で、池谷さんと廣川さんのいい声もまたよし。なんとも秀逸なのが、相変わらずのプロジェクションマッピングの素敵さ。チケット代の何割かはこの部分だと言われても文句言わないくらい好き。
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No:018  イロアセル / 新国立劇場
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:11/23 M
Sheet:C6-9
Price:\7,000(キャスト優待)
Time:1幕 2:10
作・演出:倉持 裕
出演:伊藤正之、東風万智子、高木 稟、永岡 佑、永田 凜、西ノ園達大、箱田暁史、福原稚菜、山崎清介、山下容莉枝
海に浮かぶ小さな島。その島民たちの言葉にはそれぞれ固有の色がついている。それは風にのって空を漂い、いつ、どこで発言しても、誰の言葉なのかすぐに特定されてしまう。だから島民たちはウソをつかない。ウソをつけない。ある日丘の上に檻が設置され、島の外から囚人と看守がやって来る。島民は気づく。彼らの前で話す時だけは、自分たちの言葉から色がなくなることに――。(新国立劇場HPより)
 あらすじ見ると土田さんお話っぽいけどしっかり倉持さん。ペンギンの時の感じの摩訶不思議なお話だし、変な機械やスポーツ競技が出てくるのもそれっぽいけど、役者さんの感じで全然違うお芝居に感じる。SNSなんかの無責任な発言にもの申す的に見える部分もあるけど10年前の本で逆に今の方があってたりして。「目に見えないから言葉で言える」とか「誰が喋ったかわからない言葉は気味が悪い」なんて印象的な台詞がいっぱい。久々の西ノ園さん、発砲メンバー他の人たちもどうしてるか見たくなった。伊藤さんは堂々、東風さんきれいだし芝居がとっても好きそう。箱田さんは、コロナ禍前のてがみ座の公演「燦々」にも出てたみたいだけど印象になかった方、でも堂々な舞台。倉持さんの迷路に迷うようのも心地よし。
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No:017  パ・ラパパンパン / COCOON PRODUCTION 2021+大人計画
Theater:シアターコクーン
Date:11/21 M
Sheet:1F-Q-22
Price:\11,000
Time:2幕 1:20 1:30
作:藤本有紀
演出:松尾スズキ
出演: 松たか子、神木隆之介、大東駿介、皆川猿時、早見あかり、小松和重、菅原永二、村杉蝉之介、宍戸美和公、少路勇介、川嶋由莉、片岡正二郎、オクイシュージ、筒井真理子、坂井真紀、小日向文世
 鳴かず飛ばずのティーン向け小説家(松たか子)は困っていた。つい雰囲気に流されて、書き方も分からない「本格ミステリーを書く!」と宣言してしまったのだ。担当編集者(神木隆之介)は呆れながらも構想を尋ねると、どれも見事にアガサ・クリスティーの超有名なミステリーのパクリや犯人が一瞬で分かる設定。あれこれ修正すると作家は逆ギレする始末。仕方なく編集者は構想を手伝うことにする。作家は壮大なイメージだけは描いており、世間はクリスマスシーズンという思い付きから「クリスマス・キャロル」の世界を舞台にし、そこに登場する極悪非道の貸金業者・スクルージ(小日向文世)が殺されるというミステリーを考え始める。 やっと書き終えたと安心して寝ようとした瞬間、「彼は犯人じゃない!!!」と気づいてしまう。書き直しをしようと慌てて編集者に連絡を取ろうとしたその時、現実でも事件が起きる――。(コクーンHPより)
 久々の大好きな松さん。題材としては汎用だけど、見せ所いっぱいで飽きないのが松尾さんの上手さなのかなぁ。何となく大雑把に感じるも最後は細かく回収してくれたり。手練たちが1分に一回は笑わせてくれるし、松さん中心の歌もまたよし。松さんは、台詞もいいし、所作も素敵。松尾さんの信頼か松さんに引っ張られるように神木さんもコメディ舞台にこなれて行っている感じ。皆川さんのいつも暴走に小松さんが吹き出しちゃうシーンはやっぱり生の劇場の面白さ。
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No:016  老いと建築 / 阿佐ヶ谷スパイダース
Theater:吉祥寺シアター
Date:11/14 M
Sheet:E-14
Price:\5,500
Time:1幕 2:15
高齢ゆえにバリアフリー化を余儀なくされる家。独り住む老婆は美意識を損なう老いを受け入れることが出来ない。娘や息子はさらにその先の改装・改築を考える。老婆は彼らにこの家を渡したくはない。同居の甘言を囁く子供達孫達と、歳を重ねるごとに性格が激しく歪む老婆との応酬。さらにこの家を設計した建築家、既に先立った夫の幻影と思い出が現在と入り混じり、ますます老婆の言動は乱れゆく・・・(阿佐ヶ谷スパイダースHPより)
 歳をとっていくこと、そして家と家族なお話で、いつものように難解なんだけど、何となく興味をそそるものがあったかなぁ。建築家が息を吹き込んだのか、死んだ画家の妻であった老婆の住む家には死んでいるはずの建築家が老婆には見える。いや回想なのか、夫までもが出てくる。現実と老婆の幻想が入り乱れた物語。村岡さんの老婆役がいい感じで、村岡さんとまことさんの絡みなんてたまらん。富岡さんはスパイダースの舞台の軽っぽい役すごく好き。
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No:015  ぽに / 劇団た組
Theater:神奈川芸術劇場 大スタジオ
Date:11/03 M
Sheet:L2-5
Price:\4,800
Time:1幕 2:00
円佳(23歳 松本穂香)はやりたい事が見つからず、ひとまず海外に行く事を目標として、時給1000円でバイトシッターをしている。好きな人である誠也(24歳 藤原季節)の家に頻繁に寝泊まりしながら、生意気でシッターを奴隷扱いする男児・れん(5歳 平原テツ)の家から最近よく指名をもらっている。ある日、いつもの様にバイトへ向かうが、業務中に起きた災害によって円佳はれんと避難せざるを得なくなる。しかし避難所は定員で入れず、2人は彷徨う事に。そんな最中、れんはいつも通り横暴で、限界に達した円佳はれんを置き去りにしてしまう。円佳が誠也の家に帰宅した翌朝、れんは43歳の姿になって訪ねてくる。れんは「ぽに」になってしまったのだ。激怒するれんの両親(豊田エリー、金子岳憲)、業務外の事故として関知しない雇用主(津村知与支)、関係性のはっきりしない彼氏、ぽに化が進むれん、円佳の世界の輪郭はどんどん曖昧になっていく・・・(KAAT HPより)
舞台の囲みの座席で色々なものを家具や持ち物に置き換えて使っていて抽象的な感じ。ちょっと抽象的なシーンが多くて、時系列もあっちこっち言って心の置き所がない感じだったけど、2時間飽きずに観られた。「ぽに」は鬼ごっこの鬼から来てるみたい。ちょっと作り手の想いが伝わってこない感じだったけど、松本さんは声が心地よく、平原さんは5歳と43歳を器用にこなし少ない笑いを一手に引き受ける。藤原さんはもっと神経質そうな印象だったけどちょっと違った感じ。久しぶりの津村さん、相変わらず好きだなぁ。
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No:014  ピンク / 猫のホテル
Theater:ザ・スズナリ
Date:10/10 M
Sheet:G-7
Price:\4,500
Time:1幕 1:45
客演:尾上寛之
生真面目な女、なぜかうまくいかない波乱万丈なクロニクル。
 30周年記念公演は、猫ホテお得意の市井の人々の大河。何も悪くないの運命に流されていく薄幸な女を演じる千葉さんはこういう役がほんとにあっている。真弓さんの可愛さ、まことさんのいい大人なのに放蕩な感じやしんペーさん、ガンツさんの味が加わって、ある意味大衆芸能な小劇場界の老舗にあっぱれ。尾上さんも観られて満足。
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No:013  或る、ノライヌ / KAKUTA
Theater:すみだパークシアター倉
Date:10/02 M
Sheet:E-10
Price:\4,500
Time:2幕 1:20 1:10
 いなくなった不倫相手を探す女、郷里の同級生と傷を舐め合いながらも自分を見てくれない女と暮らす男、あるカルト集団に入ってしまった妹を連れ出そうとする女。いたはずの相手を失った人たちがもう一度連れ戻そうと北に向かった人たちのロードムービー的物語。連れ戻そうとしているのは相手なのか自分の心の中の何かなのかな物語。
 バラちゃんの描く世界は、厳しいけど優しい。メインのストーリーがありながらも他の人たちも相変わらずの丁寧に描く。ロードムービー的なダイナミックさがある分、少し散漫な気も。「何処に生まれるかは変えられないけど、誰と生きるかは変えられる」って、台詞は好きな台詞。自分は初めて観る客演なしのKAKUTA、若手の人たちにばらつきある感じするけど、それもKAKUTAの魅力かも。今回は野沢さんが久々の出演がまた嬉しい。異儀田さんのおばちゃんはいいし、多田さんはKAKUTAの華になったなぁ。
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No:012  友達 / シス・カンパニー
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:09/23 M
Sheet:D4-9
Price:\10,000
Time:1幕 1:30
 全く知らない家族に何かと屁理屈を言われて家に居座れてしまう男と居座ってしまう家族の不条理劇。
90分と短い時間で、豪華キャストそれぞれの見せ場も少しずつ。西尾さん、鷲尾さんに至っては、二人ともほんの数分というもったいなさ。ちょっとだらっとした感じが出てくるときに西尾さんが出てきて舞台が締まった感じが。山崎さんはこういう不条理なお芝居があってるなぁ。孤独な人を救おうとする人々?が裏テーマ??久々にドリさんの小劇場に、有村さんが観られるってことで行ってみたけど、ちょっと残念かな・・・
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No:011  近松心中物語 / KAAT
Theater:KAAT神奈川芸術劇場 ホール
Date:09/11 M
Sheet:1-5-11
Price:\9,500
Time:1幕 2:20
 昔の戯曲で結構のストレートな感じだったけど、2時間半近い芝居でもずっと観られた。最近、より好きになった石橋さん、そして、たぶん初見の松田さんがお目当て。田中さん、笹本さんが実直なサイドで、松田さんと石橋さんは徹底的にコミカルサイドな演出がちょっと面白かった。綾田さんが旦那とおばさんと変化もいいし、松田洋治さんが観られたのもよかったかな。最後は怒涛の雪降らし、阿佐スパの「桜飛沫」を思い出す。音楽がスチャダラパーだったんどけど、それほど突飛じゃなくて残念。和の打楽器というのが組合せ的には面白いのかもしれないけど。開演直前、会話は控えてくださいとのアナウンスにもずっと喋っていて、なおかつ、携帯まで鳴らす始末、勘弁してほしい。
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No:010  コメンテーターズ / ラッパ屋
Theater:紀伊國屋ホール
Date:07/22 M
Sheet:F-18
Price:\6,0000
Time:1幕 1:50
客演:瓜生和成、青野竜平、ともさと衣、谷川清美、北村岳子(歌)、黒須洋嗣(ダンス)、佐山こうた(ピアノ)
 リタイアしてやることのなくなったおじさん横ちゃんは、YouTubeを始めたらなぜかバズった。それに目を付けたテレビ局はワイドショーのコメンテータとして横ちゃんを起用。世はコロナ禍、世の中の対策や政府の方針に喧々囂々。オリンピックをやるべきかコメンテーターたちは問われる。世論の通りにスタジオの票が分かれないことを示唆されて、忖度してしまった横ちゃんは、自分の心との葛藤が起こってしまう。そんな中、MCとアシスタントの局アナが付き合っていることが夕刻に報道されることを受け、冒頭のあいさつでそのことを話してしまう。そんなときはなってしまった空気により、番組は上層の意図を汲み取らず、みんなが思いのたけを語りだしてしまう。父親の様子をブログで語っていた家族と距離を置いて部屋から出てこなかった横ちゃんの息子は、この話は僕の妄想なのかもしれませんと記す。
 去年上演予定だった作品を今の話し大幅改編したらしい。ガヤガヤ笑わせながらも、スパイシーでぐっとくる台詞。「真面目な人ほど役割を与えるとこなそうとする」「今は誰にも分らない、世界どうなるかなんて」とか、ほんといい台詞。この人たち観てる間は、ホントに幸せな気持ちに包まれる。「ゼブラ」で夫婦の瓜生さんと麻紀ちゃんが、親子役なものまたおかし。ピアノ、歌、ダンスと本職の人が演じるけど、ちょっとダンスは流石に無理矢理感があるかなぁって思った。
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No:009  キネマの天地 / 新国立劇場
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:06/26 M
Sheet:C4-17
Price:\7,700
Time:2幕 1:05 1:05
作:井上ひさし
演出:小川絵梨子
出演:高橋惠子、鈴木杏、趣里、那須佐代子、佐藤誓、章平、千葉哲也
 昭和10年、築地東京劇場。舞台上で準備をしている松竹キネマ蒲田撮影所の助監督・島田健二郎の前に、娘役で人気沸騰の準幹部女優・田中小春、続いてヴァンプ役で人気の幹部女優・滝沢菊江、お母さん物で有名な大幹部待遇の徳川駒子、最後に大幹部女優のトップスター立花かず子が登場する。いずれも蒲田撮影所所属の、日本映画界を代表する大スター。超大作の松竹蒲田特作豪華版・映画『諏訪峠』の打合せに呼ばれてきた四人は、自らを誇示し、鞘当てし合いながら、上演中に突然死した女優の松井チエ子のことを思い出す。そこへ、松井の夫でもある映画監督小倉虎吉郎が、『諏訪峠』の代わりに、松井の一周忌記念興行として『豚草物語』の再演を持ち出した。松井殺しの犯人探しが目的の監督は、万年下積み役者の尾上竹之助を刑事役として雇い、稽古中の4人を見張らせる。果たして、この4人の中に犯人はいるのか......。(新国立劇場HPより)
  お芝居は、昭和って感じで、演出も真面目な感じだけど、やっぱり生舞台はいいなぁ。もっと、もっと、役者さんの個性が出るといいと思ったけど、あえての演出なのかぁ。趣里さんは、メインの4人の1人だけど、ちょっと狂言回しっぽい役柄も務めて、それも良し。千葉さんの声がよく、最後の佐藤誓さんが、抜群。
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No:008  フェイクスピア / NODA・MAP
Theater:東京劇術劇場 プレイハウス
Date:06/18 S
Sheet:S-26
Price:\12,000
Time:1幕 2:05
出演:高橋一生、橋爪功、白石加代子、伊原剛志、川平慈英、村岡希美、前田敦子他アンサンブル
 2回目観劇。あんまり筋とかを考えずに、感覚的に見たほうがいいのかと思った。
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No:007  フェイクスピア / NODA・MAP
Theater:東京劇術劇場 プレイハウス
Date:06/13 M
Sheet:L-23
Price:\12,000
Time:1幕 2:05
出演:高橋一生、橋爪功、白石加代子、伊原剛志、川平慈英、村岡希美、前田敦子他アンサンブル
 恐山でイタコの修行を続けながら一向にイタコになれない女。その元を訪れた箱を持った謎の男とイタコと高校時代に同級生だった男。イタコ見習いにそれぞれの呼び出してほしい人を告げるが・・・。そこに現れるイタコの母を名乗る若い女、神の使いとしてやってくる男たちやシェイクスピアの息子をなのるフェイクスピア。それぞれの言葉で紡がれる小さな物語がコラージュされ、飛行機の墜落を連想させるように現れる星の王子様。そして、最後リアルに描かれる1985年夏の墜落事故のコックピット。
 いつもと同じように言葉の嵐で色々なことを連想させながら進むお話も、今回は何となくコラージュされたようなお話で最後までつながりが見えてこなかった。野田さんがこだわってきた言葉を先に、舞台を作って言った感じがした。真の言葉を探す、言葉の価値なんて台詞がいっぱい。ただ、最後のリアルな場面は何となく覚めちゃう感じがしちゃった。前田敦子さんはイタコの母と時だけすごく声がかれてるのは意図的なのかな、逆にそれも相まって星の王子様の感じがすごくいい。
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No:006  DOORS / M&OPlays
Theater:世田谷パブリックシアター
Date:05/23 M
Sheet:C-11
Price:\8000
Time:1幕 2:00
作・演出:倉持裕
出演:奈緒、伊藤万理華、早霧せいな、菅原永二、今野浩喜、田村たがめ
 小さな地方都市。高校生の真知は、クラスでも目立った存在の理々子のグループにいじめを受け、不登校になってしまう。真知の母親は元女優で、華やかな芸能界にいたが、挫折し、故郷の町に戻って来ている。何事にも悲観的で暗い性格の母親が、しかし、あるトラブルがきっかけで別人のように明るく社交的な人間になる。急に人が変わってしまった母親を前に、真知はその謎を解くべく、母親の過去を探り、彼女の知人を尋ねて「ドア」を開ける。真知を追いかけて来た理々子と一緒に、その「ドア」をあけると、二人の前に「あちら側の世界」が出現する。二人は「こちら側」と「あちら側」の世界を行き来する不思議な旅の中で様々な出来事に遭遇しながら、忘れかけていた過去の過ちや、未来の自分の姿を垣間見て、ふと立ち止まり、思案に暮れる。そしてやがてその先に、ささやかな希望を見出してゆく――。
 ペンギン時代を思わせるようなトリッキーなお話。それでも難解さは控えめかなぁ。会話のやり取りも面白く久々の倉持作品ににんまり。初見の奈緒さんは、ドコモのCMのような初々しい感じを期待していったけど、しっかりな感じの演技。伊藤さん、何回か観てるはずだけど、いまいち印象になし、作り込んでるのか、地なのか、なんか不思議な感じ。たがめさんは、もう舞台に出てないのかと思ってた。菅原さんはすっかり舞台でもベテランの域。今野さん、いつも舞台生き生き。
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No:005  カメレオンズ・リップ / KERA CROSS
Theater:シアタークリエ
Date:04/18 M
Sheet:8-29
Price:\10.500
Time:2幕 1:35 1:10
演出:河原雅彦
出演:松下洸平、生駒里奈、ファーストサマーウイカ、坪倉由幸、野口かおる、森準人、シルビア・グラブ、岡本健一
 20世紀初頭あたり、ヨーロッパの古びた山の邸宅を舞台に、謎の死を遂げた姉に瓜二つの使用人と暮らす男、そこに集ってくる亡き姉の夫、元使用人、医師、姉の友人など、様々な人々がそれぞれに嘘をつき、騙し合い、事態を混乱させ、破綻してゆく…予測不可能のクライム・コメディ(KERA CROSS HPより)
 コクーンプロデュースの堤真一さん、深津絵里さんの初演版はどうしてもチケットが手に入らず観られなかった作品。そのあと映像で観たけど、ちょっと微妙な感じだった。今回はキャストも含めて、ツボに入らなかったかなぇ。
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No:004  白日夢 / M&OPlays
Theater:本多劇場
Date:04/04 M
Sheet:F-3
Price:\7,500
Time:1幕 1:35
作・演出・出演:赤堀雅秋
出演:三宅弘城、吉岡里帆、荒川良々、風間杜夫
 高橋家の家主・高橋清(風間杜夫)は、妻を亡くし、次男の薫(荒川良々)と二人暮らし。47歳にも拘わらず職に就かず、長年自分の部屋にこもりっきりの薫に業を煮やした長男の治(三宅弘城)は、ひきこもり支援団体『ひだまりの会』に助けを求める。高橋家に訪れた『ひだまりの会』の別府正樹(赤堀雅秋)と石井美咲(吉岡里帆)。治も加わり、薫を更生すべく尽力するが…。それぞれに闇を抱えた五人の、夏、秋、冬、春、季節を巡った交流を綴る…(M&OPlays HPより)
 いまいちぴんと来なかったかな。ちょっと人の関係と話の展開がちぐはぐな感じがした。昨年、吉岡さんの出るお芝居をチケット譲って自粛したんで、吉岡さんも楽しみにしてたんだけど、特に可もなく不可もなしな感じだった。映像の感じは好きなんだけどなぁ。お腹の調子が悪く、気になって仕方なかった。
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No:003  ほんとうのハウンド警部 / シスカンパニー
Theater:シアターコクーン
Date:03/20 S
Sheet:BL-1
Price:\12,000
Time:1幕 1:15
出演:生田斗真、山崎一、吉原光夫、趣里、鈴木浩介、池谷のぶえ、峯村リエ、手塚祐介
作:トム・ストッパード
翻訳:徐 賀世子
演出:小川 絵梨子
 ムーン(生田斗真)は、まだ二番手の地位に悶々としている若き劇評家。今日もメイン劇評家に代わり、ある芝居を観に劇場へ。そこで他社のベテラン劇評家バートブート(吉原光夫)と一緒になる。どうやら、彼はこの芝居に出演している女優に気があるらしい。劇評家二人の胸に、さまざまな欲望や思惑が渦巻く中、その推理劇は始まった・・・。推理劇の登場人物(趣里、池谷のぶえ、鈴木浩介、峯村リエ、山崎一)たちによって演じられる三角関係、殺意、疑念の数々。。。それを劇評家の視点で見つめながらも、どんどん私的な雑念にとらわれていくムーンとバートブート。やがて、舞台は幕間へ…。そして…。(シスカンパニーHPより)
 75分という短いながらトリッキーなお話、でも、やっぱり翻訳は苦手かな。女優さんと鈴木さんはもったいない感じの使われ方、もっと壊れたような演出で観たかったかな。山崎さんって、この手の不条理なお芝居はほんと合ってるなぁ。上演中に結構大きな地震、吉原さんと生田さんのアドリブ、これもまた生舞台の魅力。カーテンコールの生田さん、劇中の地震に触れたり、みんなを気遣ったりと発言が大人だなぁって思った。ジャニーズって、いろいろ言われたり、色々あるみたいだけど、育て方ってすごいと思う。
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No:002  アユタヤ / MONO
Theater:あうるすぽっと
Date:03/06 M
Sheet:I-7
Price:\4,200
Time:2幕 1:00 1:05
17世紀前半のシャムロ(現在のタイ)、王宮のあったアユタヤ郊外に『日本人町』があった。様々な理由から祖国を離れ暮らす人々。しかし、そこからも逃れて肩を寄せ合う人たちがいた。全ての群衆から逃れ、安息の場所を求めるのだ。辛辣な時代に一瞬の夢が見たい。時代劇なのに現代劇。1600年頃のタイにあった日本人街でのお話。(MONO HPより)
人が集まったとこで徐々に起こってしまう歪みからの関係性みたいなものや、変な方言での独特の間を意識した台詞はいつもの通り。少し幸せな終わり方や、史実が元のなっているのがちょっといつもと違うのかな。やっぱり生の舞台は面白かった。「正かことを追いすぎると許せんようになる」って、台詞に共感。女性陣が段々なじんできて、昔のMONOを思い出させてくれる。「-初恋」とかは今の年齢でやっても不自然じゃない気がするので昔の再演もしてくれないかなぁ。
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No:001  タイトル、拒絶 / ロ字ック
Theater:本多劇場
Date:02/07 M
Sheet:C-7
Price:\6,800
Time:1幕 1:40
出演:木竜麻生、小島梨里杏、川添野愛、鈴木たまよ、樹麗、田野優花、宮崎秋人、池田良、後藤剛範、信川清順、早織、安藤聖、美保純
 雑居ビルの4階に位置したデリヘルで、さまざまな女性が肩を寄せ合って客待ちをしている。その部屋に、雑用係の女性・カノウはトイレットペーパーを買い出しに行って帰ってくる。彼女は体験入店で店に来たものの、いざ行為の段階になって怖気づいてホテルの外に助けを求めて逃げ出した。当然騒ぎになったのだが、そんな彼女を店側は雑用係として店側は雇うことにしたのだ。カノウは店で一番人気のマヒルを見て、小学生のころにクラス会でやった『カチカチ山』を思い出す。みんなかわいらしいウサギにばかり夢中になる。嫌われ者のタヌキになんて目もくれないのに。「私の人生に、タイトルなんて必要でしょうか?」(ロ字ックHPより)
 答えのなさみたいなのが好きなのかも、ロ字ックは。山田さんの芝居の良さはうまくつたえられない。リアリティのあるお話なんだけど、今一自分とはシンクロしなかったり、でもなんとなくいいなぁって。比較的若い劇団だけど、スタイリッシュさよりも泥臭さとか汗や熱量を感じる舞台。最初の導入部は、スピード感があるけど、何言っているか聞き取りにくい、意図的だと思うけど。これも意図してだと思うけど、いい意味で一人一人がうざく芝居がくどい。人生にタイトルなんか必要なのか、タイトルをつけるほどの人生を誰もが生きてるわけじゃない。
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