観劇日記(劇場編)2018年


自分で足を運んで劇場で見た芝居の感想です。(≠批評、ネタばれあり)

観劇日記(劇場編)2010年  観劇日記(劇場編)2000年
観劇日記(劇場編)2009年  観劇日記(劇場編)1999年
観劇日記(劇場編)2008年  観劇日記(劇場編)1998年
観劇日記(劇場編)2017年  観劇日記(劇場編)2007年  観劇日記(劇場編)1997年
観劇日記(劇場編)2016年  観劇日記(劇場編)2006年  観劇日記(劇場編)1996年
観劇日記(劇場編)2015年  観劇日記(劇場編)2005年  観劇日記(劇場編)1995年
観劇日記(劇場編)2014年  観劇日記(劇場編)2004年  −−−−−−−−−−− 
観劇日記(劇場編)2013年  観劇日記(劇場編)2003年  観劇日記(劇場編)1993年
観劇日記(劇場編)2012年  観劇日記(劇場編)2002年  −−−−−−−−−−− 
観劇日記(劇場編)2011年  観劇日記(劇場編)2001年  −−−−−−−−−−− 


髑髏城の七人 上弦の月/滅びの国/父の黒歴史/秘密の花園/OLと課長さん
近松心中物語/夜、ナク、鳥/彼の地U/毒おんな/隣の芝生も。
不思議の国のアリス/赤道の下のマクベス/Farewell/百年の秘密/百年の秘密
嗚呼いま、だから愛。/髑髏城の七人 極/紛れもなく、私が真ん中の日/ハングマン/市ヶ尾の坂
消す/堀が濡れそぼつ/悲しみよ、消えないでくれ/海越えの花たち/ニンゲン御破算
グッド・バイ/甘い丘/日本文学盛衰史/消えていくなら朝/睾丸
青い鳥たち、カゴから/MAKOTO//吐く/きっぽ
たぶん世界は8年目/咲き誇れ/-初恋2018/ゲゲゲの先生へ/誤解
修道女たち/サマータイムマシン・ブルース/サマータイムマシン・ワンスモア/ロミオとジュリエット/ゼブラ
森から来たカーニバル/逢いにいくの、雨だけど/ゼブラ/スカイライト/色は匂へど〜
愛犬ポリーの死、そして家族の話


No:051  愛犬ポリーの死、そして家族の話 / 月刊「根本宗子」
Theater:本多劇場
Date:12/30 M
Sheet:L-6
Price:\5,800
出演:藤松祥子、村杉蝉之介、瑛蓮、小野川晶、根本宗子、田村健太郎、岩瀬亮、用松亮
 4姉妹の末娘、こもったきりで家からでない童顔22歳。姉たちは、結婚するも関白、マザコン、不倫それぞれの悩み、不満を抱えた毎日。唯一の友達の愛犬のポリーは死んでしまったところに、心酔していた作家(ポリーに似ている)が登場したが、清純な娘に不純なことをしようとする、しかも、作家は3番目の姉にも手を付けていて・・・。姉たちは、家に集まり、それぞれの不満に花を咲かせるが、娘は姉たちに出て行けと初めて自分の気持ちを吐露する。
 公園直前のキャスト変更で、主演が藤松さんに。その藤松さんが当て書きじゃないのって位に役にフィット、台詞や動きの作り込みが最高。全体的にもキャラやエピソードのデフォルメの仕方が絶妙な塩梅。場面転換の仕方とかも面白いし、内容的にも攻めてる部分があったりと刺激的。そして、蝉之介さんが犬なんて・・・。「信じる」がテーマらしいけど、言われればそんな気もするし、ぴんと来ない気もした。それと、4姉妹って、これは根本版阿修羅のごとくなのかしら、そんなわけないか。前作に、続いての主役降板って、なんかあるのか意図的なのか?
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No:050  色は匂へど散りぬるをジョリージョリーに花は咲く乙女の姿しばしとどめむ / ナ・ポリプロピレン
Theater:駅前劇場
Date:12/29 M
Sheet:自由
Price:\3,500
作:細見大輔
演出:大岩美智子
出演:有馬自由、生津徹、海部剛史、佐久間淳也、山口森広、恩田隆一、古屋治男、細見大輔、大高雄一郎、陰山泰/有川マコト(声の出演)
日替わりゲスト:佐野大樹
 丹羽明宏のショーが行われるショーレストラン「ジョリージョリー」、開演前に一人の若い男がやってくる。「ショーに出してくれ!」。丹羽のファンだと名乗る男、その目的は一体?次々と現れる男達、トラブルにつぐトラブル、果たして無事、ショーは行われるのか??(ナ・ポリプロピレン案内メールより)
 もう何年目なんだろうこの企画、10年くらいは行ってる気がするけど7回目らしい。その前にも、同じようなメンバーで年末にお芝居してたから、やっぱりそれくらいの年月が経っているのかな。最近瓜生さんが出てなくて、前説、ゲスト、客入れなんかで残念。今年は有川さんも声の出演だけ。今回の舞台は、喫茶ブレーメンじゃないけど、やっぱり同じ商店街のディナーショーやるお店の楽屋。おふざけいっぱいで、楽屋ネタ的なものもあるけど、これはこれで良しです。観ないと年越せない感、\3,000くらいでやってくれるともっといいんだけどな。大高雄一郎さんって、多分初見だと思うけど、いいテンションで突っ走ってて、今度舞台で見てみたい役者さんだった。
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No:049  スカイライト / 新国立劇場
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:12/22 M
Sheet:C2-11
Price:\5,800(okepi:定価\5,832)
作:デイヴィッド・ヘア
翻訳:浦辺千鶴
演出:小川絵梨子
出演:蒼井優、浅野雅博、葉山奨之
 ロンドン中心部から離れた質素なアパートに住むキラの元に、かつての不倫相手の息子であるエドワードがやってくる。妻アリスを亡くして以来、不安定なままの父親トムを助けてほしいと言い残し、彼は去る。同じ日の夜、期せずしてトムもまたキラの元を訪れる。三年ほど前、不倫関係が明るみになった日以来、初めて再会した二人は、夜更けまでこれまでのことを語り合う。お互いへのいまだ消えぬ想いと、解けない不信感、共有する罪の意識の間で大きく揺れ動く二人の会話は、やがてそれぞれの価値観の違いへと触れて行く。相手の急所を射抜く言葉を知っている二人の駆け引きがたどり着く先は......。(新国立劇場HPより)
 宮田慶子さんに代わって小川絵梨子さんが芸術監督になって初の演出作品。懲りずに苦手な翻訳劇だけど、キャストに興味があるとつい手を出しちゃう。二幕四場2時間40分以上の舞台で、場がほとんど三人の誰かが気持ちを吐露する台詞を言っているものすごい台詞量の舞台だけれども、思ったよりも、観やすかったかなぁ。不倫する男女の話かと思ったら、人の尊厳みたいな話も出てきて、難しかったかなぁ。葉山さんのどもってかすれたような台詞に最初違和感。浅野さんが今まで見た芝居のイメージとは違って男臭い役だけれどすんなり入れた。蒼井さんの表情の変わり方がすごくてそれだけでも価値あり。舞台セットが客席の中央で、役者が近いのもまたいい。
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No:048  ゼブラ / ONEOR8
Theater:東京劇術劇場 シアターイースト
Date:12/09 M
Sheet:D-12
Price:\2,000
前週水戸で観劇して、2度目の「ゼブラ」
 見終わってからもこの作品への愛おしさが増すばかり。市井の人を日常のままに等身大に、その機微や葛藤、やるせなさなどを描いている物語だけどれも、この物語の主要な登場人物たちは最後にそれぞれ覚悟をするのだということを思った。そして、それがこの舞台を好きな理由の一つなんではないのかと。初演、再演に比べて、笑いの要素を演技として強調しているが、自分的にはもう少し抑え目の方が好みかもしれない。自分の中にある普遍性みたいなものの感じかたにものすごく響くこの作品。ゼブラ愛が止まらない。特に、麻紀ちゃん、瓜生さん、和田さんはほんとたまらない。
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No:047  逢いにいくの、雨だけど / iaku
Theater:三鷹芸術文化センター星のホール
Date:12/08 M
Sheet:自由
Price:\3,000
出演:尾方宣久、橋爪未萠里、近藤フク、納葉、松本亮、異儀田夏葉、川村紗也、猪俣三四郎
 幼い頃の絵画教室でじゃれ合っていて、片目を失明してしまった男の子とさせてしまった女の子。20数年のち、女の子は絵本の新人賞とり作家となる。モチーフとなった絵が、失明させてしまった男の子が書いていた羊の絵を記憶のどこかから引っ張り出してきたことに気が付き、現在の男に会おうとする。男の子は直後に引っ越しをして、負い目を負いながらも、現実を受け入れ自動販売機のセールスをしていた。そこで出会った義眼の男に、もらった年賀状の羊の絵が息子に買った絵本の絵とそっくりだと告げられる。憤慨した義眼の男は絵本作家になった女を呼び出し二人をめぐり合わせる。その昔、二人の親同士も知らない中ではなかった。女の子の母親は亡くなっており、父と義妹に育てられていて、父は娘との距離の取り方がわからず、任せっぱなしであった。一方、男の子の母親とは大学の同級生で男女を超えて、二人きりでも会うような中でもあった。義妹の思い、男の子の父親の嫉妬など様々なことが絡み合い、それぞれがうまくいかなくなる過去も交えて描かれる許しの物語。
 引き合わせるまでの過程や両家の関係などがちょっと強引な感じもしなくもないけど好きなテイスト。過去には、親たちしか登場せず、その人たちの心情描き、今は本人たちを描くのが、今までにない感じで面白いなって思った。いい台詞もいっぱいあって、笑いも少しちりばめられていて観やすかった。尾方さんがMONOとは違う感じなんだけども、淡々とした中でも色々なことを受け入れている様がよく、異儀田さんは、ほんとに陽と哀を同居させたお芝居が素敵、ホント好きだわ、この女優さん。また、観てみたいユニット。
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No:046  森から来たカーニバル / 劇壇ガルバ
Theater:駅前劇場
Date:12/02 M
Sheet:B-14
Price:\6,500
作:別役実
演出:山崎一
出演:高橋惠子、高田聖子、大石継太、本多力、安澤千草(ナイロン100℃)、宮下今日子、皆戸麻衣、山崎一自身他
演奏:時々自動
 ある街にカーニバルがやって来る。その正体は象で、人々はそれを探し、愛でているけれども、その像に危害を加えられる。そして、象はいなくなってしまうが、やはり人々は象に期待をしてしまうのである。って感じの不条理劇。
 別役さんの本なので不条理劇、よくわからないのは同然で、ぽかぁん、でも、なんか楽しい。ナイロンの二人がいい感じで、それもまた良し、高橋さん、声が綺麗。聖子さんや本多くんの不条理劇って思ったけど、これまた、すごくいい感じ。みんなが楽しそう。津条理劇の裏にある人の本質や普遍性などというものは、自分にはちょっとわからないなぁ。駅前で\6,500と経験したことない値段だけど、あの空間で高橋さんとか聖子さん観られるのはそれなりの価値。
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No:045  ゼブラ / ONEOR8
Theater:水戸芸術館ACM劇場
Date:12/01 M
Sheet:G-21
Price:\3,500
客演:弘中麻紀、瓜生和成、星野園美、矢部太郎、新垣里沙、吉田芽吹、古屋治男
 劇団の公演以外のものも含めて、2005年初演2007年再演2009年TOHOのプロデュース公演2015年劇団SideB公演を観た公演。今回の再々演は東京公演の前に、水戸遠征して観劇。
 5度目のゼブラ。再演なんてされると思っていなかったから、そして、劇団のこの公演を観ることができることはないと思うから、水戸まで。セットが少し見やすく配置されているのかもしれなく、ちょっと変わっていたと思う。すべてが愛おしく、そこに感情を入れ込める。和田さん、瓜生さん、弘中さんは、初演からそれぞれが親となったことは、もしかしたら、より重みを増しているのかも。星野さんが年取った分は、相手の方が古屋さんになって、これまたうまい配置。矢部さんは、もう当て書きかと思うくらいのはまり役、新垣さんも蓮っ葉な感じがよく出ていて、いい四女。愛人からメインの役の三女になった富姉はちょっとエッジが聞いている感じ。愛人役の吉田芽吹さんは、作りすぎな感じかな。山口さんはもうおなか一杯くらいの盛りすぎ感。でも、柿沼葬儀社はこの芝居になくてはならないスパイス。ああゼブラ、愛しいゼブラ。
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No:044  ロミオとジュリエット / M&Oplays
Theater:本多劇場
Date:11/23 M
Sheet:I-24
Price:\7,500
翻訳:松岡和子
演出:宮藤官九郎
出演:三宅弘城、森川葵、田口トモロヲ、勝地涼、今野浩喜、皆川猿時、安藤玉恵、池津祥子、大堀こういち、小柳友、阿部力、よーかいくん、篠原悠伸
 宮藤さんがまんまやると言っていた舞台は、ストーリーはそのまんまだけど、台詞の言い方やおかず足したりして、思いっきり笑い側に振ってある。キャラの濃さを生かし手練なキャストたちの大学芸会に仕上げて合って、観易い観易い。悲劇だけど、全くもって悲しさを感じない舞台。ドラマとかでとても印象の良い森川さんは、ちょっとキャラ振りに迷っている感じで残念。三宅さんは、今、本多劇場が一番似合う役者じゃないだろうか。そして、ケラさん、宮藤さん、いのうえさん、野田さんと信頼が厚いって、すごいなぁ。
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No:043  サマータイムマシン・ワンスモア / ヨーロッパ企画
Theater:関内ホール
Date:11/10 S
Sheet:28-24
Price:\4,500
客演:藤谷理子、城築創、岡嶋秀昭、早織
 サマータイムマシン・ブルースから15年後の世界を描いた第二弾。同窓会で同じSF研究会の部室に写真部も含めて集まった当時の面々。そこにタイムスリップして現れたのは15年前にの未来からきていた大学生。そうこうしているうちに乗ってきたタイムマシンの他にもタイムマシンが2台現れて、歴史を変えない程度に過去をやり直しに向かう彼ら。そこで起こるてんやわんやと、「ブルース」の最後に明らかにされる大学生の母親(写真部のマドンナ的な女の子)の秘密がワンスモアでは父親は誰に謎解きのドタバタ劇。
 ワンスモアは、ブルースよりもより話が複雑だけれども、ごちゃごちゃすることなく、盛り沢山。そして、今回も分かり難さを黒板で説明するところが理系劇団らしくってにやりしちゃう。タイムマシンを複数台にしたり、一見関係ない過去に戻ったりするのもうまく伏線になっていて感心。時代の切り取り方や言葉遣いがすごく上手い。2幕2時間45分の芝居だけど、全然長さを感じなくて、あっという間。大千秋楽は、スタンディングオベーション、それに値するクオリティーの高いオリジナルの世界を作って楽しませている、自分も率先して普段はしないスタンディングオベーション、そして、最後まで拍手。小難し話じゃなくいいものはいい、ヨーロッパ万歳な2つの舞台。思い出補正してないって台詞がツボ。最後に写真部の女の子に渡したものが何なのかが後ろの席でかつうまく聞き取れなかったのが残念。
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No:042  サマータイムマシン・ブルース / ヨーロッパ企画
Theater:関内ホール
Date:11/17 M
Sheet:21-3
Price:\4,500
客演:早織
 大学のSF研究会の部室、急に現れたタイムマシンを使って、コーラをこぼして壊れた古いエアコンのリモコンを壊れないようにしようとして昨日に行く。巻き起こるすったもんだを、部室の奥に部屋を構える写真部のメンバーも巻き込んで、昨日と今日を行ったり来たりのタイムスリップコメディー。
 伏線いっぱいの過去を行ったり来たりの物語は、軽佻な会話劇を装いながらも綿密で大きな矛盾もなくすごくよくできている。40前後の人たちの大学生役も違和感なく、劇団特有のグルーブ感がとても心地よい。一時期、隠しキャラ的キラーコンテンツのような角田さんと西村直子ちゃんがずっと出てるのもうれしい。ほんと名作。本多劇場をはるかに越えた大きな小屋で、最初声が聞きにくかったけど、すぐに修正。
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No:041  修道女たち / ナイロン100℃
Theater:本多劇場
Date:11/03 M
Sheet:D-14
Price:\7,400
出演:鈴木杏、高橋ひとみ、鈴木浩介、緒川たまき、犬山イヌコ、伊勢志摩、みのすけ、松永玲子、伊藤梨沙子
 ある宗教の修道院の修道女たち。国王から され、衰退していく一方で、毎年行っている聖地の巡礼に向かう彼女たち。そこでは、国王が彼女たちを排除するように村人に命じていた。村には、少し知的な障害を持つ少女がおり、修道女の一人を溺愛することから彼女を待ち焦がれ、彼女たちと共に聖職につきたいと願っていた。そんな彼女を愛する期間変異の男は、宗教に疑問は持ってはいたが、村人たち自体も含めて、修道女たちに悪い環境を持っていないことから、国王の命令に従うことに戸惑いを覚えていた。人は何を信じるのか、なぜ信じるのかな物語。
出演:鈴木杏、高橋ひとみ、鈴木浩介、緒川たまき、犬山イヌコ、伊勢志摩、みのすけ、松永玲子、伊藤梨沙子
 物語のテーマは好きだったけど、お話的には、少しエピソードを絞って短めにしてほしかったかなぁ。2幕の最初から終盤にかけては、それぞれのシーンに魅力があって、少人数の群像劇であれば人物を描くのに丁寧だから呼損案だけど、ちょっとおなか一杯感。ただ、役者さんはケラさんが信頼する人たちと、初めての浩介さん、伊勢さんとかもすごくあっていて、見所満載。杏さんの出てきたときの存在感と純真さからでる美しさはすごい。それそれが普段の役とちょっと違った感じの役なのも面白し、マッピング(今回は上田さんがメインじゃない)は今回も秀逸。そして、それぞれのシーンの美しさが、絵画を切り取ったような美しさで、意図的なのだろうか、そういったシーンでは舞台上が静になるように感じた。
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No:040  誤解 / 新国立劇場
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:10/20 M
Sheet:C4-18
Price:\5,800(okepi:定価\6,400)
作:アルベール・カミュ
翻訳:岩切正一郎
演出:稲葉賀恵
出演:原田美枝子、小島聖、水橋研二、深谷美歩、小林勝也
 ヨーロッパの田舎の小さなホテルを営むマルタとその母親。今の生活に辟易としているマルタは太陽と海に囲まれた国での生活を夢見て、その資金を手に入れるため、母親と共犯してホテルにやってくる客を殺し、金品を奪っていた。そこに現れる絶好の的である男性客。いつも通り殺人計画を推し進めるマルタと母親だが、しかし、彼には秘密があったのだった......。(新国立劇場HPより)
 小川絵梨子さんが芸術監督になっての第一シーズンの企画。謎の男が息子であることは冒頭からわかるのであるが、男の妻が言うようになぜ母娘に自分が20年間姿を見せなかった息子であることに気が付いてもらわなければいけないのかがピンとこず、兄と母娘のすれ違いの元が揺らいでしまっているのでなんか消化不良。母と娘の関係も兄を殺してしまったことで変わっていくことや、娘と男の妻の議論もなんか消化不良。ちょっと自分の頭では、ついていけていないよう。原田さんはやっぱり美しく、堂々とした演技。ただ森田剛さんと一緒の「ブエノスアイレス〜」や「祈りと怪物」の時の方が個人的には好みかな。ドラマや映画で好感の水橋さんは舞台ではちょっと違った役回りでこれも好感。小林さんはコミカルなしぐさを繰り返す道化の様な役だけど最後に唯一の台詞でグサり。深谷美歩さんて女優さんがすごく好きなタイプのお芝居をする役者さんで、機会があれば、小さな劇場でまた観てみたい。
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No:039  ゲゲゲの先生へ / 東京芸術劇場
Theater:東京劇術劇場 プレイハウス
Date:10/14 M
Sheet:N-24
Price:\6,500(okepi:定価\8,000)
原案:水木しげる
脚本・演出:前川知大
出演:佐々木蔵之介、松雪泰子、手塚とおる、池谷のぶえ、白石加代子他
山奥の村にセールスに言った男には、妖怪が見え、その妖怪によって不老の体になって村に住み着く。やがて村から人はいなくなり、妖怪も現れなくなっていた。ある日、迷い込んだ若いカップルに自分が住み着くまでの話をしていると、若者たちを追って町から権力者がやってくる。人の集まることにより、再び妖怪たちは姿を現すが・・・。水木しげるの原作や関連する書籍を原案にオマージュとして前川知大が編み上げた物語。
 自分の知っている前川さんは映画も舞台も宇宙人の話だけど、妖怪の話の今回でもすごく似たテイストを感じた。なんか人間以外を使って、人の業を描くような部分がとても似てる感じがした。シンプルなセットや打楽器の生演奏など見せ方も上手だし、笑いもうまくちりばめられていて、とても観やすい舞台に仕上がってると思った。池谷さんは最初勿体ない役だなぁって思ってたけど、後半重要な約でその魅力を発揮。白石さんのオーラ、松雪さんの艶っぽさ、佐々木さんこんなコミカルな役作りもするんだと感心。なのにかなりウトウト、周りの方々に申し訳ない。
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No:038  −初恋2018 / Orega Presents
Theater:東京劇術劇場 シアターウェスト
Date:09/30 M
Sheet:I-20
Price:\6,800
作:土田英生
潤色:横山拓也
演出:大江祥彦
出演:モロ師岡、小島梨里杏、伊藤裕一、水月舞、加瀬竜彦、北嶋哲也、深来マサル、川口真五、南翔太、麻丘めぐみ、デビット伊東
MONOのオリジナルは映像でしか見てないけれども、もう何度となく観ている作品。昔アパートに住んでいてそっち系のゲイバーを経営している吉村の部下、クレームをつけに来る地域の住人など登場人物が増えていて、その分いくつかのシーンが削られたり、組み直されていたり(?)している。
 ズボン女が昔の恋愛を語るシーンが好きだったけどなくなっていたり、ちょっと笑いを盛りすぎ感があったり、役者さんみんな卒がないけど笑いが収まるタイミング待てなかったりと客席との間合いみたいなのが足りない気がしたりする部分もあるけど、やっぱり「−初恋」はいいなぁ。椅子取りゲームなんかのシーンも変えられてたりしていて、最後のシーンの前後の部分は変えられてたけど、大事な大好きな台詞「私もついて言っていいですか」が残っていたのはよかった。この作品は、自分にとってこの作品が要。当時は今みたいな時代と違っているので、生き難い人たちとかなわない恋に対して社会みたいな構図なのが、どうしても社会的な部分が前面に出てきちゃう気がした。師岡さんは今回増えている役の二人の手下(従業員)を従えて盛りすぎな感じがするけど、デビットさんと師岡さんの後半のシーンは素敵。麻丘さんは雰囲気あったけど、さすがに年齢的に無理がある気がもするし、おっちょこちょいでマイペースな女性という役には、整いすぎてる感じ。管理人役の若い女性小百合を演じた小島梨里杏さんは、コメディ色が強くなった文オリジナルの西野さんとはちょっと違う感じの役作りでしっとり感はないけれど、可愛いし今後も見てみたいようなお芝居する方だった。今回は、アパートの外の人たちも描かれるけど、この人たちの立ち位置や役どころから考えても、必要だったのかなぁって思う。
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No:037  咲き誇れ / トローチ
Theater:赤坂RED/THEATER
Date:09/24 M
Sheet:J-14
Price:\4,500
作・演出:松本哲也
客演:増子倭文江、佐久間淳也、省吾、山田百次、金城大和、吉田芽吹
田舎町の店たたむバー、電気設備の会社の男たちが出入りし、アルバイトは設備会社の社長の娘と作業中に死亡した従業員の妻が働いている。電気設備の会社には元プロ野球の選手が働いており、作業中の死亡にはこの男にも責任があると疑われ、妻との間に大きな確執がある。1周忌でもあるバー最後の日、元プロ野球の今を書きたいと貴社がやってくることから、周りの者たちも含めて、歪が大きくなってそれぞれの立場のそれぞれの問題へと展開される行き場のない人たちの物語。
出戻り女や記者、妻の息子の同級生、社長と娘、バーのオーナー、男の同僚など、周りの登場人物が多く、人によったらそのエピソードも語られるのでなんか散漫に感じてしまう部分があり、心の持って行き所を探しながら見張った。登場人物たちが自分のことばかり考える人たちで、心がジリジリだけど観終わった後はさほど嫌な感じが残らない。悪い意味でなく、最初のシーンの小林さんの役どころにイライラ、こういうの役者の真骨頂、そして、山田さんが出てきて、雰囲気がらり、東地さんの声素敵。どの辺が咲き誇れだったんだろ?
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No:036  たぶん世界は8年目 / 東京マハロ
Theater:シアタートラム
Date:09/16 M
Sheet:J-4
Price:\5,500
出演:福田ゆみ、お宮の松、稲村梓、森一弥、工藤潤矢、内谷正文、篠原あさみ、彩木りさ子、泉知束、中村英香、蔭山ひろみ、春木生、輝山立、木アゆりあ
 2015年に観た「たぶん世界を救えない」のリメークで、少し設定が変わっていて、東京の人々(外側の人々)の視点が加わっている。
前の話に似ているなぁとは思ったけど、終わるまでリメークと気づかず、どんだけ覚えてないんだよって感じ。当時のどれだけ現場を見てるんだろうていう問いには今回のあいさつ文で本当に自分の足で何度も見てきたと書いてあった。
 描きたい気持ちあってのことだと思うけど、あえて踏み込んでますみたいな嫌らしさをやっぱり感じちゃう。全部台詞で吐露しちゃうのはどうかなぁって思うけど、アルツハイマーと重ね合わせて語る部分とか上手いなぁって思うし、劇中にあの素晴らしい愛をもう一度を歌うとこはちょっとうるっとくる。前回の時に感じたムズムズした違和感みたいなものはなく、それは当事者以外の第三者を入れることで客観性みたいなものが加わったからかもしれない。役者さんの巧拙や雰囲気がバラバラな気がするし、女優さんが見んな綺麗でリアリティがないのも気になるけど、今回はなんか心を動かすものがあった。
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No:035  きっぽ / ぱぷりか
Theater:三鷹芸術文化センター星のホール
Date:09/08 M
Sheet:自由
Price:\2,200
出演:瓜生和成、川隅奈保子、安東信助、板橋優里、橋口勇輝、石渡愛、岡奈穂子、坊薗初菜
 ぱぷりかは福名理穂さんって方が作・演出し主宰するゆにっと。
 娘一人の男と一男一女の女の連れ子通しの再婚。男は東京でカメラマンを生業にしていて広島の女の家で暮らし始めたがカメラは持たず日雇い労働。未婚の姉とも同居している女は臨終近い母の世話もしながら家計を支える。そんななか息子が仕事を止めてしまう。新たな生活は、どこかゆがみ、上手くはいかない。そんな人々の中で母として生きる女を描いた物語。
 母親の視線の憧憬と現実なのか、同じ場面を2回繰り返す、ハイバイの「て」は人の視点が変っていたけど、同じような構成で違う効果の演出。幸せな家庭を描いた部分が母親の理想なのか、もう一方が現実なのかちょっとわからなかった。お芝居のテイストは嫌いじゃないけど、なんとなくいい台詞(聞かせたい)がいっぱいあって、それを軸に構成しちゃって散漫になったように感じてしまった。どこかダメなところのある瓜生さんは最高、川隅さんは青年団ではあまり真ん中で芝居するの観たことなかったけど雰囲気のある女優さんだった。
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No:034  吐く / aibook
Theater:駅前劇場
Date:09/02 M
Sheet:自由
Price:\3,800
出演:山像かおり、菊池美里、もたい陽子、今村裕次郎、長尾純子、若狭勝也、有馬自由
 地方の小さな町で、アートチームを組んでいる川口真紀、工藤芳子、大迫俊は三人でアトリエを借りて活動している。以前は大きなオブジェを制作したりしていたが、最近は、町のパンフレットや役場から貰う仕事をなんとなくこなしている。ある雨の夜、真紀は憧れのアーティスト今藤京介と出会い、今藤もまたアトリエを使うようになる。町では有働グループが川の上流にセメント工場を作るにあたり、反対運動が起きており、その中心となっているのは大迫理容店の店主、俊の父親。役場で働きながら、アートチームの仕事をもらってきている芳子は、有働グループとの良い関わりを望んでいるのだが…。地方再生の中でそれぞれの私利私欲が吐き出されていく。居場所を求める人々はどこへ向かうのか。(Corich紹介文より)
 前回に比べて、何か物足りなさを感じてしまったけど、すごく台詞を丁寧に選んだ感じが伝わってくるよう、一つ一つに説得力のある台詞。人の価値観で変わる善悪や、先に進むためには決断しなければならないこと、共感することが多く、あっという間の105分。前回の「疾走」が好みの役者で好みのお話だったこともあるけど、ちょっと感じた物足りなさは、その葛藤をもう少し丁寧に見たかったのかもしれない。若狭さん、KAKUTAでは見ないような役どころだけど、これがかっこよく見える。菊地さんの演技は好き嫌い分かれそうだけど、他でも観てみたい役者さん。有馬さん、贅沢に使うなぁ。山像さんは、矢部姉妹のあのエキセントリックなお母さんと被ってしまって仕方なかった。次も楽しみaibook。
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No:033  て / ハイバイ
Theater:東京芸術劇場シアターイースト
Date:09/01 M
Sheet:M-11
Price:\4,300
出演:浅野和之、平原テツ、田村健太郎、安藤 聖、岩瀬 亮、能島瑞穂、猪股俊明他
 2013年に観た作品。3、4度目の再演らしい。自分は、前回から2回目でキャストはずいぶんと変わっている。
 安藤聖さんも出るし前回の印象も良かったので、一旦売り切れになってたチケットが再度発売になっていたのでギリギリにチケットとって観に行ってみた。舞台の前後に客席が配置されていて、同じシーンを反対側の角度から主体を入れ替えて2回繰り返す構造の舞台は当時観た時も上手い作りだなぁって思ったけど、いい舞台だと再認識。この時に主体からの視点が入れ替わるのだけれども、祖母の死、父の暴力対しての兄弟姉妹のそれぞれの気持ちに対して、心を寄せられるところがいい舞台だと思った。最後の平原さんと聖ちゃんのシーンは、台詞がグザグザ刺さる。次男役の田村健太郎がすごくいい味出してたなぁ。猪俣さんの演技は味なのだろうか、自分は好きだけど。
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No:032  MAKOTO / 阿佐ヶ谷スパイダース
Theater:吉祥寺シアター
Date:08/15 M
Sheet:G-12
Price:\5,000
 医療事故で妻を失った自称漫画家。失意の漫画家は妻との思い出を燃やしてゆく。すると思い出は消えるが、代わりに強大な腕力が漲り次々と怪事件を起こしてゆく。愛国心溢れる漫画家の言う通り、その悲しみは日本のエネルギーに代わるのか。破天荒の漫画家と彼を取り巻く市井の人々と家族の物語。
 メンバーを拡充して新生のスパイダースとしての初の公演。帰国後の圭史さんから少し昔に戻った感じ。案内されていた物語よりも、思い出を燃やすまでの周囲との関係性の部分に多くが費やされている。日本のエネルギーというよりは、彼自身のやり場のなさを消費する先を模索する感じ。失ったものを忘れることのエネルギー、そして、すべて忘れるべきかの葛藤。ちょっと自分なりの焦点の置き所がなかったかな。中村まことショーという意味では悪くないかもしれないけど、他の人にももうちょっと見せどころが欲しい気もする。新しい役者さんそつなく演じていて、劇団として熟成すれば、かなりの戦力な感じ。舞台美術もちょっとチャレンジした部分があると思うけどあまり好みではなかったかな。
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No:031  青い鳥たち、カゴから / テアトル・エコー
Theater:エコー劇場
Date:08/14 M
Sheet:D-2
Price:\5,000
作・演出:土田英生
出演:溝口敦士、落合弘治、川本克彦、松澤太陽、亀井良太、南風佳子、吉川亜紀子、吉田しおり、山西愛子、吉村いろり
 これから先のいつか。世界は閉じ、多くの国が鎖国のような状態にあった。ある集落で暮らす5組の夫婦。彼らは幸せだった。なぜなら、安定した生活が保障される人間に選ばれたのだから。住む家が提供され、楽な仕事に就き、マッチングされた配偶者との生活。不便なことは何もない。そんな夢のような暮らしが、ある一つの恋をきっかけに壊れていき……。物語の名手・土田英生による、未来への予言のような恋愛コメディ!(テアトルエコーHPより)
土田英生さん作・演出なので観に行って、役者さんはたぶん全員初見。「橋を渡ったら泣け」みたい感じのお話で、小さなことから集団にゆがみが生じてくるという土田さんお得意の物語で、笑いもあって観やすかった。土田さんのテキストで、外部の方たちが講演するときにいつも思うのは、MONOの劇団ならもっと面白くなるのではと思ってします。独特の間合いや会話のずれ、エセ方言などが劇団ならではの味を出していて、自分好みなんだと思う。あと、だいたいどこも役者さんたちのお芝居が、ちょっと真面目で堅苦しくなっちゃうかな。舞台美術は、MONOの奥村さん、遠近感を使ったセットがいいなって思った。
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No:030  睾丸 / ナイロン100℃
Theater:東京芸術劇場 シアターウェスト
Date:07/22 M
Sheet:EX-7
Price:\6,900
客演:坂井真紀、根本宗子、安井順平、赤堀雅秋
 1993年、学生運動の同志だった夫婦の元に、家を火事で失ったと先輩が訪ねてくる。妻は再婚相手を見つけて身辺整理中、娘は付きまとってくる男が他の女をだまして金を貢がれている。夫婦と訪ねてきた男のリーダーであった学生運動を指揮していた男は、昔は妻と付き合っていて闘争資金稼ぎに身を売らせていて、当時闘争に巻き込まれたセクトたちを見舞いに行く途中の交通事故で植物人間になっていた。物語は、この植物人間になっていた男が死んだという深夜の知らせから始まり、その深夜に先輩が訪ねてくるところから始まる。先輩と一緒に居つく元婦人警官の妻、近所の交番の警官、娘に付きまとう男に金を巻き上げられている女の子の父親など、現在に過去が入り込んで生活の軸がずれていく、そして、過去を紐解く元になっていたのは植物人間になっていた男が実は復活していたからだった。
 今まで観たことない感じのお芝居なのに、ケラさんテイストでみせきるのがすごい。三宅さん、みのすけさんがかなりがっつり中心になるのかと思ってたけど、それぞれのキャストを活かした群像劇。客演陣の適材、適所具合がすごすぎ。根本さんは、ナイロンが好きで演劇を始めて、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの演劇人、そんな組み合わせを観られるのが至極だし、根本さんのうれしさも伝わってくる。今回はほとんどプロジェクションマッピングを使ってないのが残念だけれども、圧倒的な構成力や説得力で観せきる芝居を堪能。あの頃戦っていた人々が、世の中の普通の人たちで、そして、そのあと普通に生きているのっているのをケラさんなり丁寧に描いている。ナイロンやっぱりいいわ。
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No:029  消えていくなら朝 / 新国立劇場
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:07/15 M
Sheet:D3-7
Price:\6,480
作:蓬莱隆太
演出:宮田慶子
出演:鈴木浩介、山中 崇、高野志穂、吉野実紗、梅沢昌代、高橋長英
 家族と疎遠の作家である定男は、五年ぶりに帰省する。作家として成功をおさめている定男であったが、誰もその話に触れようとしない。むしろその話を避けている。家族は定男の仕事に良い印象を持っていないのだ。定男は切り出す。「......今度の新作は、この家族をありのままに描いてみようと思うんだ」。家族とは、仕事とは、表現とは、人生とは、愛とは、幸福とは、親とは、子とは、様々な議論の火ぶたが切って落とされた。 本音をぶつけあった先、その家族に何が起こるのか。何が残るのか。(新国立劇場HPより)
 蓬莱さんの家族自身を描いたと言われる作品。母は宗教にのめり込み、兄もそのまま信者に、それぞれの行き違いが見かけだけの家族を作り上げる。
 家族それぞれが吐露を順番に吐露するという構成が何となく予定調和な感じがしちゃう。また、それまでの説明や人の描き方が丁寧に感じられなかった。そして、その自分自身の中にあるものを自分の台詞で説明しちゃう部分が多くちょっと残念かな。役者さんも梅沢さんのコミカルさをのぞくとさほどとりたたてというものがなかった。すごく期待していた舞台だけにちょっと残念。
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No:  日本文学盛衰史 / 青年団
Theater:吉祥寺シアター
Date:07/08 M
Sheet:自由
Price:\4,000
 高橋源一郎さんって方の長編小説をオリザさんの脚本で舞台化、明治後期からの文豪の葬儀に集う文豪たちの会話を四人の葬儀をオムニバス形式に繋いだ舞台。
 途中の会話に現代の話題を入れたり、時事問題ちさを入れたりと、かなり砕けた内容でコミカルに仕立ててあるけど、色々深そうな難しい台詞もいっぱいで、ついていけないこと多々。途中ラップが入ったり、ダンスが入ったりと、紙一重の冒険な演出、今までの実績あった上での今回だけど、自分の好みじゃないかなぁ、楽しめたけど。久々の志賀さん、その他色々な役者さんが色々な形で観られたのがすごく良かった。そして、セットがすごく素敵。
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No:027  甘い丘 / えにし
Theater:中野ザ・ポケット
Date:07/07 M
Sheet:自由
Price:\3,500
作:桑原裕子
演出:寺戸隆之
出演:前田勝、赤瀬麻衣子、糸原舞、笠井幽夏子、神崎ゆい、北川雅一、重松優希、田中宏宜、中込博樹、馬場しあさ、布袋田雅代、森夏姫、山川恭平、吉田侑弥
 町外れの丘の上に立つサンダル工場では、いつもゴムの溶けるにおいが立ちこめ、誰も人が寄りつかない。「孤独で枯れた女の巣」その工場を町の人々はそう呼んだ。愛を逃した女、愛を憎む女、愛も枯れた女。そしてまだ愛を乞う女たちの、渇望と再生のものがたり。(チラシより)
 KAKUTAを知る前の作品でDVDを購入して観た作品。オリジナルは生で観てたらKAKUTAの最高傑作と思ったんじゃないだろうかと思える作品。ちょっと小さい劇場の中で、役者さんの熱量が芝居のバランスを崩してる感じかしたけど、やっぱり素敵な作品。戯曲賞の候補になったのもうなずける。舞台セットをどう構成するのかと思ってたけど、オリジナルでは、セット後方に配されていた工場へと続く道を客席の通路にしてあったりと工夫がされていた。役者さんが前に出ちゃう感じが多く感じて、抑えて演技してほしいとことかもアクセル踏みっぱなしなように感じてしまった。大きい声=届く演技とは違うような気がするのでその辺のバランスが良くなるとこの作品の持つ切なさや薄く射している明かりが形を出してくる気がする。ほとんど初見の役者さんたち、目を引く役者さんがいなかったのは残念かなぁ。
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No:026  グッド・バイ / NAPOS PRODUCE
Theater:中野ザ・ポケット
Date:06/30 M
Sheet:K-11
Price:\5,000
脚本・演出:山崎 彬
出演:大空ゆうひ、池下重大、原田樹理、異儀田夏葉、荻窪えき他
 太宰の未完の小説「グッド・バイ」を大胆に解釈し舞台化した作品。
 KAKUTAの異儀田夏葉様が出ていて、X-QUESTの荻窪えきさんが出てるので観てみた。ケラさんの同タイトルは、作家に頼まれて、愛人を装って別れさせる場面が中心のコメディだったけど、今回はそこに至るまでの部分を中心に太宰を描いたお芝居。母をはじめとする女性たちとの関わり合いから、その人となりを探ってゆく。重低音の音響、別れさせる女は太宰の心の写し、笑いの部分など、演出的にピンと来ないことが多く残念。ただ、この中でやりきる異儀田さんの説得力の演技に、ますます、好きになる。
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No:025  ニンゲン御破算 / シアターコクーン・オンレパートリー
Theater:シアターコクーン
Date:06/24 M
Sheet:T-1
Price:\10,500
出演:阿部サダヲ、岡田将生、多部未華子、荒川良々、皆川猿時、村杉蝉乃介、平岩紙、小路勇介、菅原永二、平田敦子、小松和重、川上友里、ノゾエ征爾、松尾スズキ他
頃は幕末。加瀬実之介(阿部サダヲ)は、人気狂言作者・鶴屋南北(松尾スズキ)、河竹黙阿弥(ノゾエ征爾)のもとへ、弟子入りを志願していた。大の芝居好きで、成り行きとはいえ、家も侍分も捨て、狂言作者を志している実之介。「あなた自身の話のほうが面白そうだ」と南北に言い放たれた彼は、自分、そして自分の人生に関わってくるニンゲンたちの物語を語りだした―。もともとは元松ヶ枝藩勘定方の実之介は奉行から直々の密命を受けていた。それは偽金造りの職人たちを斬ること。幼馴染みのお福(平岩紙)との祝言を済ませた実之介は、偽金造りの隠れ家へ向かい、職人たちを次々に殺めたのだった。その様子を目撃していた、マタギの黒太郎(荒川良々)と 灰次(岡田将生)の兄弟は殺しのことは黙っている代わりに自分たちを侍にしてくれるよう、実之介に取り引きを持ちかけた。そこへ駆け込んできた娘が一人。黒太郎たちの幼馴染みで、吉原へ売られていく途中のお吉(多部未華子)だった。ちょうどその頃、実之介は、同志の瀬谷(菅原永二)や豊田(小松和重)から、悪事の責任をすべて負わされて切腹を迫られていた・・・・・。(コクーンHPより)
ちょっと後半に話が詰まっちゃってる気がするけど、圧倒的な構成力見せきる。そして、役者さんたちの際物なんだけど場をわきまえてるから効果的。あんなに色んなことしているのに、それないしエンターテインメントとして仕上げているのがすごい。ケラさんや松尾さんは、大きい劇場でも小さい劇場でもそれに合わせた舞台を作り上げてるからすごい。立ち見もいっぱいなのが頷ける。平田さんの大暴れが久々に観られたのもまた楽し。
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No:024  海越えの花たち / てがみ座
Theater:紀伊國屋ホール
Date:06/23 M
Sheet:F-6
Price:\4,500
客演:内田慈、桑原裕子、西山水木、半海一晃、中西良太他
 敗戦時、朝鮮半島には百万を超える日本人が在住していた。半島からの引揚げは、昭和二三年の夏までにほぼ完了したとされるが、すでに日本に戸籍がなく、身元引受人もいない女たちに帰る場所はなかった。女たちは「故郷の空」を歌い、「アリラン」を踊りながら見つけ出す。まぎれもない自分自身を。在韓日本人妻たちの収容施設「慶州ナザレ園」をモチーフに、半島の土に「日本人」として還っていく人々の軌跡を描く物語。(てがみ座HPより)
前回観た「地を渡る船」2015#53お話同様に、固いお話なんだけど、飽きずに最後まで観させてくれるのは、丁寧な言葉選びと真摯さかもしれない。役者さんも熱くなりすぎずに、でも、伝わってくる演技。慈さんのトーンが好き、バラちゃんはいつもと違う役どころで飛び道具なし、でも、切なさ健在でひとつ新しい面を観させてもらったかな。朝鮮人に嫁いだ女たちの話で、鄭さんなんかに比べて、ストレートなメッセージを感じてしまうのは、個人的にはちょっと残念。後は、舞台美術が、袖とかの劇場裏とかが見えちゃって、意図的なのかもしれないけれと、自分には合わなかった。木野花さんの演出なので、もうちょっと内に内に入る感じなのかと思ったけど見やすく仕上がっていた。土曜マチネ、劇場6割くらいの入り、基本的にいいお芝居だと思うので、もうちょっと色々な人に見てほしい。
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No:023  悲しみよ、消えないでくれ / モダンスイマーズ
Theater:東京劇術劇場
Date:06/10 M
Sheet:G-6
Price:\3,000
客演:でんでん、今藤洋子、伊東沙保、岩瀬亮
 三年前に同劇場で見た作品で、句読点シリース第二作として再演。
 最後のでんでんさんのシーンは相変わらず印象的。2時間があっという間。みんなが膿を吐き出すのが、なんか違和感で、こんなにダメな人達ばかりだったっけって感じた。逆に答えが一つじゃなかったり、いくつもの事情が重なったときに、何から伝えるべきなのかってことに対してすごく共感。モダンの役者さんたちがなんか舞台に対してこ慣れた感じを持ってしまっている気がしたのは気のせいだろうか。
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No:022  堀が濡れそぼつ / MCR
Theater:ザ・スズナリ
Date:05/20 M
Sheet:自由
Price:\3,500
客演:堀靖明、笠井幽夏子、異儀田夏葉、彩木りさ子他
 郊外に住みもうすぐ子供を授かる堀夫婦。妻の元彼は無くなってその親友であった堀と結婚して、仲良く暮らしている。そんな夫婦に訪れる、隣人の風水詐欺、夫の幼き頃の知人のチンピラ、堀を思っていた女の気持ちを蒸し返す同僚、友を売ってしまうやんちゃだった頃の妻の友人などの災難を経て、人を思う気持ちとは何かを問いかける、コメディー。
 下ネタ連発のオープニングから、ハイテンション、ドタバタコメディで終わるのかと思ったら、妙な説得力。テンポも良く、いくつかの場所と時間も上手に行ったり着たり。100%好きなんだけど、でも他の気持ちもあるよねってなんか共感。また観ちゃいそうだな、MCR。ちょっと生理的に苦手な役者さんが何人かいたのが残念かなぁ。
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No:021  消す / 小松台東
Theater:三鷹芸術文化センター 星のホール
Date:05/19 S
Sheet:自由
Price:\3,200
出演:瓜生和成、山田百次、荻野友里、山本真由美、今村裕次郎、田村優依、井上みなみ、櫻井竜、松本哲也
 弟を生んだおかげで母が死んでしまったそのことをずっと攻め立てる兄。その兄は父親から迫害をされて育って、二人の間には大きな過失が。弟は、地元の宮崎で稼業を継ぎ、結婚もして、隣に住む従兄弟一家ともに暮らしているが、兄は東京に出て放蕩生活、万引きなどで警察お世話になるような生活でそのたび弟は尻拭い。しばらく取れなかった間に父親が亡くなり、兄は弟の金で宮崎に戻ってくる。二人の確執のぶつかりあいが周りにも広がり、薄皮一枚だった関係性が大爆発を起こす。隣の従兄弟夫婦、従業員、居候するカップルを交えて、それぞれが依存しあいながらも、どこかで人のせいにすることによって、自分の居場所を作ろうとする人々の群像劇。
 上手くいかないのを人のせいにする人しか出てこないある兄弟を中心にした群像劇。役者さんがみんなよく、普段はおっとりしたり、そそかしかったり、愛嬌のあるような役の多い役者さんが、毒のある好演。特に青年団の女優さん二人は、青年団で見られないような必見な芝居。毒吐くみなみさん、山本さんとの差を際立たせるのにあえて地味で華やかさを消した荻野さんなんて、自分の中のイメージ完全に崩してるのに、凄くすんなりと入ってくる。そして、瓜生さんのこんなやつが身内にいたらたまらなく嫌だろうなって男を好演。嫌な部分ばかりを見せられてる舞台なのに、なぜか終わった後に充実感。身近でやたらと不倫してたり、火遊びしてたりと、ちょっと盛りすぎな感じもするかぁ。
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No:020  市ヶ尾の坂 / M&OPlays
Theater:本多劇場
Date:05/19 M
Sheet:G-19
Price:\6,500
作・演出:岩松了
出演:大森南朋、麻生久美子、三浦貴大、森優作、池津祥子、岩松了
 1992年、市ヶ尾の坂で暮らす三人兄弟がいた。田園都市計画の名の下、無くなることを余儀なくされている兄弟の家。状況に抗うすべとてなく懸命に生きていこうとする母なき兄弟と、三人と触れ合うことになった母になることが出来ぬ美貌の人妻。さらにその夫、家政婦などが絡み、一見何でもない日常の中に潜む、謎とエロスが交差する危うい関係が浮かび上がる。三兄弟はそれぞれに若妻を慕い、お互いをけん制する。若妻は幼い5歳の男の子を育てており育児のことで、悩んでいるらしい。若妻の家に雇われている家政婦・安藤も頻繁に彼らの家を訪れ、意味ありげな言動で彼らを惑わす。そしてついにはミステリアスな「家族合わせ」の像が浮かび上がる、絵合わせのような家族劇。
 岩松さんのお芝居はいまいち苦手でピンとこないんだけど、麻生さん、大森さん、三浦さん、池津さんとキャストが魅力的でついに劇場に足を運んでしまう。やっぱり話はよくわかんなかったけど、今まで自分が観た作品たちよりはコメディタッチ。設定自体が今一つピンと来ない上に、それぞれが起こす行動の伏線と言うか動機付けみたいなものが自分の中でしっくり来ない。大森さん、普段じゃ観られような役どころにニヤリ。三浦さん、「クラウドナイン」で女装して、舞台そのものの印象が良くなくて、ちゃんとみたかったのでのイメージを払拭しくれて満足、池津さん、おかしくて、コケティッシュで可愛らしく、麻生さんは言わずもがなな美しさ、そして、森さん、多分初見だけど、他にどんな役こなすか見てみたい役者さん。
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No:019  ハングマン / PARCOプロデュース
Theater:さいたま芸術劇場 大ホール
Date:05/13 M
Sheet:F-22
Price:\7,800
作:マーティン・マクドナー
翻訳:小川絵梨子
演出:長塚圭史
出演:田中哲司、秋山菜津子、大東駿介、宮崎吐夢、大森博史、長塚圭史、市川しんぺー、谷川昭一朗、村上 航、富田望生、三上市朗、羽場裕一
 1 963年。イングランドの刑務所。ハングマン=絞首刑執行人のハリー(田中哲司)は、連続婦女殺人犯ヘネシー(村上航)の刑を執行しようとしていた。しかし、ヘネシーは冤罪を訴えベッドにしがみつき叫ぶ。「せめてピアポイント(三上市朗)を呼べ!」。ピアポイントに次いで「二番目に有名」なハングマンであることを刺激され、ハリーは乱暴に刑を執行するのだった。2年後。1965年。イングランド北西部の町・オールダムにある小さなパブ。死刑制度が廃止になった日、ハングマン・ハリーと妻アリス(秋山菜津子)が切り盛りする店では、常連客(羽場裕一・大森博史・市川しんぺー・谷川昭一朗)がいつもと変わらずビールを飲んでいた。新聞記者のクレッグ(長塚圭史)は最後のハングマンであるハリーからコメントを引き出そうと躍起になっている。そこに、見慣れない若いロンドン訛りの男、ムーニー(大東駿介)が入ってくる。不穏な空気を纏い、不思議な存在感を放ちながら。翌朝、ムーニーは再び店に現れる。ハリーの娘シャーリー(富田望生)に近づいて一緒に出かける約束をとりつけるが、その後姿を消すムーニーと、夜になっても帰って来ないシャーリー。そんな中、ハリーのかつての助手シド(宮崎吐夢)が店を訪れ、「ロンドン訛りのあやしい男が『ヘネシー事件』の真犯人であることを匂わせて、オールダムに向かった」と告げる。娘と男が 接触していたことを知ったハリーは・・・!謎の男ムーニーと消えたシャーリーを巡り、事態はスリリングに加速する。(PARCO HPより)
 マーティン・マクドナー&長塚さんの作品は、過去に当たりと外れの両極端だったtけど「ウィー・トーマス」のようなひりひり感は無く、「ピローマン」のような退屈もなかった。全体的にウィット的な笑いの部分が、いつもの翻訳劇同様にピンと来ないので、なんか消化不良。航さん、三上さんも役的には重要だけど、登場する場面がほんの数分と言うのはもったいない感じ。酒場にたむろしている人々のキャラクタが余り効果的に感じないのも残念。休憩入れて2時間45分であれば、もうちょっとすっきりさせて、2時間にまとめてもらったほうが観やすいかなぁ、酒場夫婦の娘演じる冨田さんは今後注目したい役者さんだなぁ。
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No:018  紛れもなく、私が真ん中の日 / 月刊「根本宗子」
Theater:浅草九劇
Date:05/03 M
Sheet:D-6
Price:\4,600
 大金持ちの中一娘の誕生日パーティー、いろんな中学生グループが思春期の感情ぶつけて大騒ぎ。が一転、同級生と父親の淫行が発覚して、パーティー中に母子逃亡。行方不明になった娘を何年も探し続けた親友たち、たどり着いた先は、ホームレスのインスタ女王。
 おけぴでどうにかチケットゲットして浅草九劇。根本さん、今やりたいことを詰め込んでるのに、ちゃんと成立させてるのがすごい。キャストがほとんど無名なのに、連日満席、キャセル待ちの行列ができてるのもうなずける。おじさんにはわからない部分がいっぱいだけど、なんか舞台に入り込めちゃうなにかを持ってるのがすごい。たぶん、リアルがあるんだよなぁ。行方不明になるまでの下りが要らない話に思えるけど、さまよってホームレスになるまでを想像させるための伏線的に色々な人たちと絡まらせているのかな。濃いキャラ一杯なのにくどくなく、キャビキャビなのにうざったくなく、絶妙な匙加減。前説で、「主役の女の子が出演できなくなったので私が演じます。でも、大丈夫安心して観てください。」って、ここまでも計算づくなのかも。恐るべし、根本宗子。
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No:017  髑髏城の七人 極 修羅天魔 / 劇団新感線
Theater:IHIシアターラウンド東京
Date:05/03 M
Sheet:10-10
Price:\13,000
出演:天海祐希、古田新太、福士誠治、竜星涼、清水くるみ、梶原善、山本亨、三宅弘城他
 渡り遊女の極楽太夫、かつて織田信長に最も信用され愛された凄腕の狙撃手だった。関東では、髑髏の仮面で素顔を隠した天魔王(古田新太)が率いる関東髑髏党を名乗る軍団が難攻不落の髑髏城を築城、豊臣秀吉の天下統一を阻まんと関東に覇を唱えその勢力を広げていた。 極楽は狸穴二郎衛門を名乗る徳川家康から 天魔王暗殺を依頼される。だが、彼女に狙われていることを知った天魔王は、織田信長と瓜二つだった。「貴様こそ信長公の仇」。極楽が銃口を向けたとき、天魔王は意外な真実を告げた。修羅の道を行く女と天魔の世を作らんとする男。二人の奇しき縁の歯車が再び回り出す…。二人の物語を主体にその髑髏党に追われる築城術の熊木衆の沙霧、関八州荒武者隊の頭目である兵庫、鉄砲鍛冶カンテツ、人々が出入りする色里・無界の一番人気の若衆太夫・夢三郎などを交えて物語りは展開する。
 話の骨格がオリジナルと同じで、そこをよりどころにしているので、なんとなくギクシャク。太夫を主役にした分で無界の郷のNo.1遊女が男になっていたり、雁鉄斎が鉄砲鍛治なのに刀研ぎシーン入れたり、七人も無理矢理にしている感じ。カンテツの三宅さんは、もの凄く空気を換える飛び道具だけど、その他の人たちになんか華がないかなぁ、今回は古田さんもなんかこなし仕事感。そして、最後の台詞が「三途の川に捨ノ介」なのは凄く残念、天海さん自体は舞台上で、気風よし、色気ありで映えてるけど、なんとも長すぎ。結局、最初の「花」が一番良かったかなぁ。
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No:016  嗚呼いま、だから愛。 / モダンスイマーズ
Theater:東京劇術劇場 シアターイースト
Date:04/29 M
Sheet:LA-9
Price:\3,000
客演:川上友里、太田緑ロランス、小林竜樹、奥貫薫
2016年に観た作品。今回、句読点3部作として、タイトルに句読点がつく作品を三作連続上演の第一弾。
 補助席、当日キャンセル待ちが出るくらいの満席。初演の時と劇場も主要のキャストも変わらないのに、ずいぶんと違う印象。前は何となくストーリーをおっていたのか、あまり印象がなかった。今回は、負に自分をとらえてしまうアイデンティティー。コミュニケーションの中での伝えてほしいことと、相手を思うからこそ伝えないこと。そんなことを軸に観ていたら、なんて濃密な舞台なんでしょ。何となく、前回は愛とは何みたいなものがテーマなのかと思ってみてたけど、今回は違う印象。そして、モダンの面々のリリーフ具合が素晴らしく、津村さん、西條さんの飄々さが、緊迫した舞台にいいアクセント。
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No:015  百年の秘密 / ナイロン100℃
Theater:本多劇場
Date:04/22 M
Sheet:j-23
Price:\6,900
 15日に観た舞台、やっぱり俯瞰でも観たくて、おけぴでチケットどうにか手に入れて、もう一度観劇。
再演は、俯瞰で見られてマッピングのセンスがよりよく感じたり 気がつかなかったいろいろな伏線が見つかったり、人物の舞台で語られない物語を想像したりとより楽しめた。最後のシーン犬山さんと峯村さんが樹に向かうシーンの絵面が本当い素敵。
後半の雰囲気が翻訳劇の様に思え、もしかしたら、苦手だった翻訳劇も面白い部分を見逃してるのかもって思ったりもした。
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No:014  百年の秘密 / ナイロン100℃
Theater:本多劇場
Date:04/15 M
Sheet:B-9
Price:\6,900
客演:萩原聖人、泉澤祐希、伊藤梨沙子、山西 惇
2012年に上演された作品の再演。前回は2回観劇してしまった名作。
 様々な仕掛けや伏線が、複雑に緻密に計算しつくされたように構成される。前後する時代や庭と部屋と言う2つの空間を同時に配置することなどが、混乱させるのではなくより物語に引き込む。せつないオルゴールの音、長田さん演じるお手伝いメアリーの号令で歌い始める歌、これらの音楽たちもとても効果的。職人の組み機細工のような繊細なシーンの積み重ねで構成された芝居は、ラストシーンでの美しい絵面で、有無を言わせずなんて出来上がったお芝居なのかと唸らせてくれる。話としてあからさまに幸福な人は全然いないし、むしろ筋書き上は不幸な部分が物語となっているのだけれども、時間や空間のみならず、成金や弁護士など多彩な人間で構成することによって、幸不幸の価値観のふり幅を観る側にゆだねる構造になっているような気がして、かつ、自分にはその幸不幸よりもどう生きたかの重さを問われているような気がした。
犬山さん、峰村さんのコンビは言わずもがな、大倉さんとみのすけさんの哀の部分がたまらず。そして、長田さんがメイドして行うストーリーテリングが抜群に素敵。村岡さんなんかの使い方をみるとなんて贅沢なキャストなんだろうって・・・。A列が取り外されていたので最前列、マッピング映像が俯瞰して観られないのがとても残念。
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No:013  Farewell / 松本紀保プロデュース
Theater:サンモールスタジオ
Date:04/08 M
Sheet:E-12
Price:\3,800
作:松本哲也
演出:青山勝
出演:伊達曉、久保貫太郎、山田百次、柿丸美智恵、異儀田夏葉、斉藤ナツ子、小野川晶、松本紀保
映画監督近浦啓さん、映画美術監督部谷京子さんのアフタートークあり。
妻からの一方的な申し出で別れることになった夫婦。連絡の途絶えていた二人だったがある日偶然再会し、久しぶりに言葉を交わす。共にすごした過去と別々にすごす今。別れて良かったと妻は主張し、夫は未だに惜しんでいる様子。やり直す可能性の無い二人はわずかな時間を共にし、再び別れる。別れた夫婦が語らう、今は果たしてどこまでが本当なのだろうか。
とても期待して行った公演だけど、ちょっと内容が好みではなかったかなぁ。いや〜な感じになっちゃう女性と駄目男しか出てこない、それぞれの人の裏側にあるものが自分には読みにくく、なんか負の連鎖しか見えてこなかった。未練のある男、ないといいながら今に自身が無い女。女が最後に全部人のせいにする吐露するシーンがピンと来なかった。とは言え、この空間で紀保様、異儀田様、伊達さんが見られるのはとても嬉し。最初の久保さんと斉藤さんのシーンに違和感を感じて、つまづいた感じがあったかなぁ。松本さんの演出だったらどうだったんだろって、ちょっと思う。
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No:012  赤道の下のマクベス / 新国立劇場
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:03/25 M
Sheet:B3-8
Price:\5,238(okepi\4,000)
作・演出:鄭義信
出演:平田満、池内博之、浅野雅博、尾上寛之、丸山厚人他
 947年夏、シンガポール、チャンギ刑務所。死刑囚が収容される監獄・Pホールは、演劇にあこがれ、ぼろぼろになるまでシェイクスピアの『マクベス』を読んでいた朴南星(パク・ナムソン)、戦犯となった自分の身を嘆いてはめそめそ泣く李文平(イ・ムンピョン)、一度無罪で釈放されたにも関わらず、再び捕まり二度目の死刑判決を受けるはめになった金春吉(キム・チュンギル)など朝鮮人の元捕虜監視員と、元日本軍人の山形や黒田、小西など、複雑なメンバーで構成されていた。BC級戦犯である彼らは、わずかばかりの食料に腹をすかし、時には看守からのリンチを受け、肉体的にも精神的にも熾烈極まる日々を送っていた。ただただ死刑執行を待つ日々......そして、ついにその日が訪れた時......。(新国立劇場HPより)
 今まで持っていた鄭さんの本の印象は、日本に翻弄された朝鮮の人々だけれども、その史実などよりも家族やコミュニティーの生活を元にした物語であり、戦争や支配はその背景にあったきがしていた。今回の作品はもの凄くストレートに描かれていて、それは初演は韓国での上であったことにも関係があるのかもしれない。役者さんの熱は凄く、客席にもその熱は伝わり、自分もカーテンコールの拍手は心からのはたき続けていた。好きな尾上さんの負の背負いかたって言うか、そういった表情が好き。池内さんが最後に絞首刑になる瞬間の切ないこと切ないこと。話の好みで言えば「焼肉ドラゴン」「すべての四月のために」の方が圧倒的に好きだし、演出もセットも取り立てて珍しい感じはしないけど、心は揺さぶられるお芝居。
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No:011  不思議の国のアリス / ドラマフェスタいn入間
Theater:入間市民会館
Date:03/24 M
Sheet:自由
Price:\1,500
 不思議の国のアリスを原作にしたミュージカル。
 知り合いの娘さんが出るので観に行く。お芝居自体は、鳥獣戯画の方達がフォローアップしていて、セット、音響、照明とかなりちゃんとしているが、総勢50ほどのキャストは地元も普通の子供たち。1日の公演の為の4ヶ月の稽古は嘘をつかず、歌やダンスはかなり仕上げてあって、堂々たるもの。何よりもカーテンコールの演者の笑顔が素敵。凄く前に読んだことはあったけど、アリスって、こんな話だったんだ。
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No:010  隣の芝生も。 / MONO
Theater:座・高円寺
Date:03/18 M
Sheet:C-13
Price:\4,200
 元やくざの男たちは、足を洗って探偵業を始めたが、弱小組織の組長だった男は以前失敗した仕事の組織から狙われている様子。そこへ、恩のあるビルのオーナーの娘が訪ねてきて、父は入院していると言う。一方、向かいの部屋ではスタンプ店を営む若者たち。兄妹で始めた商売であるが、放浪癖のある兄は度々失踪、そして、今回はなんの予兆もなしに何日も行方が不明だった。隣の探偵に頼むと兄はすぐに見つからる。誰の思惑で、翻弄されているのは誰なのか。
 だいたい100分前後のMONOには珍しく、2時間のお芝居。飽きなかったけど、MONOはいつもの時間くらいがいいかなぁ。ちょっといつもより、笑いに重みが傾いた感じで、若い人とのコントラストも楽しいポンコツな元ヤクザとスタンプショップを営む若者たちのお話。「のぞき穴、哀愁」みたいなのを想像したけど、どちらかというと状況は「錦鯉」にちかい匂い。相変わらすおかしいずれた会話劇と人の真理をつくような台詞は健在、最後のカタルシスもMONOらしい。そして、対談などでも言っていた隣にいる人の気持が分らないと言うの随所に盛り込まれている。若手陣の男性たちの演技がなんかなじんでいて好み。二つの部屋はセットが回転する仕組みになっているけれど、場面転換の回転のときにそれぞれの裏側に当たる真ん中の部分が見えちゃうのは残念。
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No:009  毒おんな / 椿組
Theater:ザ・スズナリ
Date:03/11 M
Sheet:D-1
Price:\5,000
作:青木豪
演出:高橋正徳
出演:小泉今日子、福本伸一、津村知与支、外波山文明他
 北海道の田舎町で農場のペンションを経営する夫婦の下に、札幌で輸入食品の会社の会長をしている叔父が訳ありな女を連れてくる。女は、料理教室の講師をしていて、元夫のDVを受けていたと言う。叔父、農場に出入りする獣医の男は、女の魅力にお金を用立て、関係を結ぶ。周囲の女性たちは、女のいぶかしさにイライラを募らせる。女の毒牙が沁みてくるころ、その過去が明らかになってゆく。
 話の内容は違うけど、グリング「ゲットバック」「jam」、モダンスイマーズ「悲しみよ、消えないでくれ」を思い起こさせるようなセットや雰囲気で、昔のグリングっぽさがあって、青木さんの繊細で、人の業をたどったような本が戻ってきた感じがして、すごく嬉しい。小泉さんは、自分にとって映るその立ち方みたいなものはすごく好きで、色々芝居観たけど、作品的にあまり当たりと出会わなかった女優さんだけど、今回は、作品も面白く、「労働者M」の時以来の好印象。津村さんと小泉さんの絡みのシーンは、小劇場好きにはたまらないし、福本さんの妻演じる椿組岡村さんが、秀逸の好演。全体的にグリングの芝居なんかと比べるとちょっと芝居が大きくなってる気がするのがちょっと残念かなぁ。あとは、小泉さんに心を持ってかれる男の心理をもうちょっと細かく描いてほしいかなぁ。綺麗な女の人だからってだけだと説得力ないし、さすがに演技だけでって事はないかと思う。「ヒトガタ」書いた豪さんだからって求めすぎなのか。
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No:008  彼の地U〜逢いたいひ、と。 / 北九州芸術劇場プロデュース
Theater:あうるすぽっと
Date:03/04 M
Sheet:自由
Price:\3,000
 母の亡霊を背負い、地元に戻ってきた女性と、それぞれに確執をもった兄と弟たち。幼い頃、母の浮気を元に、離婚した両親、長男のみ父の元へ行き、長女と2人の弟は母と暮らすが、母はやがて亡くなってしまう。長男次男は、幼い頃は中が良かったが同じ鋼鉄の企業に勤め、何かともめあっている。三男は、うどん屋働いている。
人を殺めた罪を肩代わりして刑務所に入っていた男と、殺された男の妻、その妻に毎月お金を送っていた男の兄。兄は、いつしかその未亡人に心を寄せていた。そして、花火職人としての思いを貫き、大きな花火を打ち上げる。
東京から逃げ、自分を親友と慕っていた男の元に逃げたしてくる男と慕われた男の従妹。親友と慕っていた男は、東京の男をとてもできの良い男ともてはやし片足を失っている従妹に照会し、二人も惹かれあうが、男は東京での自分に挫折し、自分より下の男をよりどころにこの地を訪れたのであった。
NASAに入ると言っていた父の面影を引きずり、閉園した遊園地スペースワールドでバイトをしていた女子高生とアトラクションで主役だった警備員の男。三男の働くうどん屋でバイトしている女子高生は、昔あこがれていたキャストの変わり果てた姿にも、同じところで輝いていた自分の姿と父とを重ねる。
連絡船の行き交う湾を挟んで働くすれ違いのカップルと彼らの先輩の女性。先輩の女性を慕う後輩の女の子と昔から恋心をもっていた男、先輩は上海に赴任することが決まり、三人の気持ちが揺れ動く。
パーテンダーをしていて体を壊した男と小説家をして成功した元妻。現在タクシー運転手をしている夫を理由もいわず、あちこちに連れまわす妻、あちこちを回るうちに自分が病気であることを明かす。
単身赴任が決まり住む場所を探しに来た男。たどり着いた街で地元に戻ってきた女性とある間違えから出会う。その後も、うろたえて、街で家を探しながら、街の人たちと触れ合っていく。
 バラちゃんは一人一人の人物を丁寧に描くので、全く自分と関係ないところにいる人々でも何となく感情移入ができるし、それぞれの人に寄り添いたくなる。その描かれる人々は我々の延長線上にいて、母が亡霊(心の中に)出てくるのは、「めぐるめく」なんかにもあったファンタジックな部分かもしれないけど、それすらもどこかリアルになる。そして、この「彼の地」シリーズは、観ていると北九州という街に無性に行ってみたくなる。それは、バラちゃんがプロデューサーを通じて出会い、企画公演を行うことで北九州と言う街に寄り添ったからなんだと思う。愛だぁ、そして、まだまだ、私の桑原裕子愛が止まりません。
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No:007  夜、ナク、鳥 / オフィスコットーネプロデュース
Theater:吉祥寺シアター
Date:02/25 M
Sheet:D-3
Price:\5,000
作:大竹野正典
演出:瀬戸山美咲
出演:高橋由美子、安藤玉恵、松本紀保、松永玲子、政岡泰志、成清正紀、井上幸太郎、藤井びん
 4人の看護師による保険金殺人事件。彼女達は自分の夫を殺害し、保険金を受け取ったーー。2002年に福岡県久留米市で実際に起こった看護師4人による保険金連続殺人事件をモチーフに描く。わかりやすい行動をとる男たちとは違って、大竹野正典が描く女はいつも不気味だ・・・。(オフィスコットーネHPより)
 作の大竹野正典さんと言う方は、関西の劇団を主宰されていて、2009年に事故死、そして、その後に戯曲賞(本作ではないが)を受賞されているそうである。
 背筋が寒くなるようなお話に、医療に従事する女性同士の友情と呼ぶ薄くて、強い繋がりの実話を元にしたお話。優しさと生きることとを揺れ動く女性を高橋さん、松本さん、安藤さんが好演。そして、この三人を横に並べて、カーテンコールの合図出してた座長的な役割?の松永さん、恐ろしいまでの嫌な女を堂々と。これから人を殺めようとしている人たちが、心から患者を救おうとする終盤のシーンは、人の奥にある本性みたいなものの一辺を叩きつけられたよう。ある意味この四人の女性をキャストした時点で成功している気がする舞台だけど、やっぱり本番の舞台は圧巻。これは果たして、女性だからの心理なのだろうか。確かに、引き込まれる側は、上辺での繋がりからづるづるとな部分と言うのは、ステレオタイプに女性を語れば、傾向的にそうであるんだろうけど。主犯格の女性に関しては、この物語を引っ張ってこそはすれ、女性と言う部分に視点を当てた場合には、他の女性三人とはかけ離れている気がする。そう考えると最後のびんさんを看取るシーンで観るべき人は松永さんだったのかもしてないと思うと、紀保さんの気持ちばっかりに注目してしまったのは残念。政岡さんの壊れっぷりと成清さん、井上さんのダメ男っ振り、藤井さんの死を前にした男性の役ががまたいい。
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No:006  近松心中物語 / シス・カンパニー
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:02/04 M
Sheet:14-50
Price:\9,500
作:秋元松代
演出:いのうえひでのり
出演:堤 真一、宮沢りえ、池田成志、小池栄子、市川猿弥、立石涼子、小野武彦、銀粉蝶
 そこに、小道具商傘屋の婿養子・与兵衛(池田成志)が、折り合いの悪い姑お今(銀粉蝶)に追い出され、ある廓に身を沈めていた。もともと気弱で、うだつのあがらない亭主だが、女房のお亀(小池栄子)にとっては、所帯をもってもなお、恋い焦がれる相手。行方知らずのダメ亭主を案じ悲しむ娘をみかねて、姑お今が自ら与兵衛を連れ戻しに新町にやってくる。「二度とこの男を廓に近づけないでくれ」と周囲に念押ししながら、連れ戻される与兵衛。そんな与兵衛とは対照的に、廓に縁のなかった飛脚屋亀屋の養子忠兵衛(堤真一)は、店の丁稚が拾った封書に一分の金が入っていたため、親切心から、その差出人の槌屋平三郎(小野武彦)を訪ねて新町に足を踏み入れてしまう。そこで偶然出会った飛脚仲間の八右衛門(市川猿弥) の強い誘いも振り切り、店を立ち去ろうとする忠兵衛。だがその時、店には、出先から戻って来た遊女・梅川(宮沢りえ)が…!何かに打たれたように、立ちすくみ無言で見つめ合う二人…。その瞬間から、忠兵衛は憑りつかれたように梅川を追い求め、店の中へと消えて行く。ある日、幼馴染の与兵衛のもとに、忠兵衛がやってくる。愛する梅川の見請け話が持ち上がっていて、養子の自分には自由になる金もなく、与兵衛に手付の金だけでも貸してくれと泣きついてきたのだった。同情した与兵衛は、なんと店の金箪笥をこじ開けて、そこにあった大金を忠兵衛に渡してしまう。喜びいさんで新町に戻り、手付金を支払い安堵する忠兵衛と梅川だったが、運命は二人には微笑まず、更なる難題が…。そして、店の大金に手を付けたことで家を出た与兵衛と、それでも夫を慕い追いかける妻・お亀。<忠兵衛・梅川><与兵衛・お亀>の崖っぷちの男女二組の運命は…?あてのない逃避行へと向かう二組の男女の情念の行く末は…?(シス・カンパニーHPより)
 お話自体は、あまり好みじゃないけど、キャスト魅力的。宮沢さんは、出てきたとたんに、空気が変わるのを感じる。堤さんと宮沢さんが、直球なお芝居で魅せまくるなか、小池さんと成志さんが笑いを作る役。この二人がまた見事に、芝居を壊さずに、笑いを作る。小池さんはほんとに観る度に、より良い女優さんになっている気がする。この芝居に、笑いは要らないだろって、気もするけど、そこをエンターテイメントに仕上げるのがいのうえさんの凄さなんだろうなのかも。いのうえの近松が観てみたいと言った蜷川さんは天国でどんな感想を持ったんだろうか。新国立の舞台の奥行きの深さは、うまく使うとほんとに魅力的、なのでラストのほうだけじゃなくて、セットも含めてもうちょっとそこを使えたらなって思った。
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No:005  OLと課長さん / 関村と浅野
Theater:スタジオ空洞
Date:01/28 S
Sheet:自由
Price:\1,500
作・演出:関村俊介
出演:異儀田夏葉、後藤飛鳥、伊達香苗
 OLの昼休み、ベンチでたわいも無い話をしているところに女課長。弁当勝ってきてほしいだの、奢ってだの、仕事しろだの、止めたいだののどうでもいい話を面白おかしく軽演劇。
 思いっきり軽演劇なスタジオ公演。目当ての異儀田さんは、言わずもがなだけど、伊達さんが面白い面白い。今後注目。あるあるに走るわけでもない、ナンセンスなOLと女課長の会話がまたよし。
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No:004  秘密の花園 / 東京芸術劇場
Theater:東京芸術劇場 シアターイースト
Date:01/27 M
Sheet:C-12
Price:\6,500
作:唐十郎
演出:福原充則
出演:寺島しのぶ、田口トモロヲ、柄本祐、池田鉄洋、川面千晶他
 日暮里にある古びたアパートの一室。この部屋に暮らすのはキャバレーのホステス「いちよ」(寺島しのぶ)とポン引きの夫、「大貫」(田口トモロヲ)。この夫婦のところに店の客であった「アキヨシ」(柄本佑)はもう二年もの間、毎月自分の給料を何の見返りも求めずに届けている。そんなアキヨシにいちよはよく「生まれる前の港で、契りを交わした」という話を語り聞かせていた。 一方で、いちよは町の権力者、「殿」(池田鉄洋)の甥っ子である「かじか」(玉置玲央)から熱烈なプロポーズを受けていた。そのかじかにもらった婚約指輪がどうしても薬指から抜くことができない。いちよをめぐり、3人の男達の想いが交錯する中、アキヨシはいちよにある事実をうちあける。そこへアキヨシの姉「もろは」(寺島しのぶ)も現れ、日暮里の森がおおきくざわつきだす。(東京芸術劇場HPより)
 唐さんも濃いアングラ芝居も初めて、今回の作品は福原さんのお芝居と似て、とっても突拍子ないことが出てくるけど、福原さんよりも、より観念的というか小難しい台詞が多い気がした。寺島さんは、体を張った演技で、2人の女性を演じて、艶っぽさ、徒っぽさ、コミカルさと色々見せてくれる。トモロヲさんが、ガンガン色んな事仕掛けてるのがおかしいけど、ちょっと、芝居が止まる感じもした。イケテツさんはその分おさえ目になってるかな。柄本さんの飄々も好感。演出で、ガンガン水が降ってくる。
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No:003  父の黒歴史 / ラッパ屋
Theater:紀伊國屋ホール
Date:01/21 M
Sheet:B-15
Price:\4,980
客演:松村武、谷川清美、ともさと衣他
 歴代の妻二人と愛人四人の子供を認知して、旧宅に暮らし、齢九十にして現役の社長から退かない老人。こともあろうに市長選挙に。それぞれ思惑を重ねる子供たち、そんな時蔵から拳銃や昔の日記が見つかり、父親の過去に後ろめたいものがあるのではと疑惑をもち大慌て。さて、この一家の行方はいかになドタバタハートフルコメディー。
 客演が多いながらも抜群の安定感のラッパ屋。老舗の定番な味ながらも、ちっとずつ時代ごとに味付けを変えたりしているところもお見事。ここに松村さんの無駄と思えるほどのエネルギー感がまたよくはまる。人間の滑稽さとか愚かさとかと共に温かさやつながりなんかをコミカルな中にもきちんと入れてくるのが鈴木さん。今回は、麻紀ちゃん大活躍なのも嬉しい。
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No:002  滅びの国 / ロ字ック
Theater:本多劇場
Date:01/20 M
Sheet:E-21
Price:\4,800
客演:吉本菜穂子、三津谷亮、黒沢あすか、オクイシュージ他
 出世頭の夫と見合い結婚した女は、部下と不倫をする夫との間もギクシャクし時間を持て余し虚無感を感じながら暮らし、心の迷いから男を買ってしまう。買った男は、シェアハウスで悪い仲間と暮らしていて、酒池肉林な状態。彼もまた、行く先を見失い、自分の居場所を探しているのであった。
 若者側の描き方や大音量の音楽がポツドールっぽいんだけど、熱量や裏に描かれる救いみたいなものがKAKUTAっぽくも。もっともっとわき道から攻めてくるものだと思ったけど、結構ど真ん中勝負。話もそんなにすっ飛んだものでもないけど、2時間半でも全然飽きなかった。随所ではプロンプトでも出される台詞がキャッチーなんだけど陳腐にならずにすごく効果的。そして、吉本菜穂子様、やっぱり素敵、際物っぽさとシリアスさって中々両立しないと思うけど、それがはまっちゃうのがいい。
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No:001  髑髏城の七人 上弦の月 / 劇団新感線
Theater:IHIステージアラウンド東京
Date:01/08 S
Sheet:15-31
Price:\13,000
出演:福士蒼汰、早乙女太一、三浦翔平、須賀健太、渡辺いっけい、高田聖子、粟根まこと、市川しんぺー、村木仁他  花鳥風月の月の上弦の月バージョン。基本的に下弦の月と同じでキャストが違う。
 全体的になんかバランス悪い感じがして、こじんまりとした感じもしちゃう。福士さんは、線が細くて粗さがないので、捨之介のキャラがつぶれちゃうかなって思った。今回は天魔王役の太一さんは、殺陣や所作が綺麗だけど、蘭兵衛役の方が好き。須賀さんは、軽やかで、三浦さん、声がいい。初めて観た97年の極楽太夫役の聖子さんが、設定は変われど同じ役なのが嬉し。下弦のまことさん、上弦のしんぺーさんの猫ホテ雁鉄斎対決は、自分にとっては月で一番の至福、どっちかっと言うと、まことさんが良かったかなぁ。終盤の絵面は、ほんとに美しい髑髏城。花鳥風月、コンプリートして、最初の花が一番勢いもあってよかったかなぁ。
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