観劇日記(劇場編)2017年


自分で足を運んで劇場で見た芝居の感想です。(≠批評、ネタばれあり)

観劇日記(劇場編)2010年  観劇日記(劇場編)2000年
観劇日記(劇場編)2009年  観劇日記(劇場編)1999年
観劇日記(劇場編)2008年  観劇日記(劇場編)1998年
観劇日記(劇場編)2007年  観劇日記(劇場編)1997年
観劇日記(劇場編)2016年  観劇日記(劇場編)2006年  観劇日記(劇場編)1996年
観劇日記(劇場編)2015年  観劇日記(劇場編)2005年  観劇日記(劇場編)1995年
観劇日記(劇場編)2014年  観劇日記(劇場編)2004年  −−−−−−−−−−− 
観劇日記(劇場編)2013年  観劇日記(劇場編)2003年  観劇日記(劇場編)1993年
観劇日記(劇場編)2012年  観劇日記(劇場編)2002年  −−−−−−−−−−− 
観劇日記(劇場編)2011年  観劇日記(劇場編)2001年  −−−−−−−−−−− 


豚小屋/ユー・アー・ミー?/世界/エキスポ/鯨よ!私の手に乗れ
陥没/お勢登場/足跡姫/皆、シンデレラがやりたい。/ザ・ダーク
あたらしいエクスプロージョン/私はだれでしょう/ハテノウタ/世界は嘘で出来ている/エジソン最後の発明
髑髏城の七人 花/あるいは真ん中にいるのが俺/おもてなし/山笑う/マリアの首
俺節/さよならだけが人生か/泥の中/ドドンコ、ドドンコ、鬼が来た/怪談 牡丹燈籠
世襲戦隊カゾクマンU/きゅうりの花/大当たりの相続人/鳥の名前/業音
鎌塚氏、腹におさめる/髑髏城の七人 鳥/疾走/ワーニャ伯父さん/ハッピーママ、現る。
豪雪/サブマリン/瘡蓋の底/人間風車/髑髏城の七人 風
出てこようとしているトロンプルイユ/ランタナ/24番地の桜の園/ちょっと、まってください/すべての四月のために
グレーのこと/誰か席について/クラウドナイン/痴人の愛/髑髏城の七人 下弦の月
荒れ野/ちんもく/流山ブルーバード/アックーノの逆襲


No:054  アックーノの逆襲 / ナ・ポリプロピレン
Theater:「劇」小劇場
Date:12/29 M
Sheet:自由
Price:\3,500
作:山口森広
演出:大岩美智子
出演:海部剛史、福本伸一、有馬自由、有川マコト、恩田隆一、生津徹、佐久間淳也、古屋治男
ゲスト:岡田達也、陰山泰、細見大輔
 真夜中の酒場で飲んだくれていた男たち、この世ではない世界にはびこるアックーノを倒しに行くために別世界に連れていかれて、アックーノと戦うが・・・
 毎年恒例のお祭りです。最近は、瓜生さんが手伝いばっかりで出てないので残念。去年は、前説、今年は客入れだった。自分の会のゲストは、岡田達也さん、先輩たちにいじられまくって楽しそう。去年から出ている、福本さんが大活躍の面白さ。山口さんの本はちょっと破天荒な感じだったけど、お祭りだし、みんな楽し王だったし、今年も観劇締めはこの舞台。
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No:053  流山ブルーバード / M&Oplays
Theater:本多劇場
Date:12/24 M
Sheet:C-7
Price:\7,000
作・演出:赤堀雅秋
出演:賀来賢人、太賀、柄本時生、若葉達也、小野ゆり子、宮下今日子、駒木根隆介、赤堀雅秋、平田敦子、皆川猿時
 千葉県、流山市。東京にもほど近い地方都市。この町の半径3キロ圏内でくすぶっている4人の若者。東京へ出ていく気力もなく、町を抜け出そうにも抜け出せない、「ダメな」4人と、彼らを取り巻くろくでもない大人たちの青春群像劇。それぞれに鬱屈をかかえた人々の、やるせない日々と、その中に垣間見える一縷の希望を描く。(M&OplaysHPより)  親友の妻と不倫する男、結婚して幸せなのに僻みっぽくスナックで憂さを晴らす男、役者になろうと江古田のアパートでバイト暮らしの男、虚勢を張って周りの人々に絡みまくる男を不倫男のダメな兄。吹き溜まりの中から抜け出そうともしない男たちの物語。
 ほんとに人のダメ〜な部分ばっかりを描いているんだけど、なんか後味が悪くないのが赤堀さんの本。自分と重なる部分が結構あって、痛い気持ちで舞台を観ちゃった。柄本さんの役柄が、ほんとに嫌な奴なんだけど、みせきるすごさがあっぱれ。平田さんと皆川さんは言わずもがな、コメディリリーフ。映像での好印象の太賀さんも良かったけど、若葉さん(初見?)がすごく良かった。宮下さん、すごいスタイル良いなぁ。
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No:052  URASUJI「ちんもく」 / 敦ー杏PRODUCE
Theater:ザ・スズナリ
Date:12/23 M
Sheet:B-7
Price:\5,000
作・演出:松村武
出演:杏子、深沢敦、森定文則、岩崎大、池田有希子、藤田記子、草野とおる、西村直人、新垣里沙、辻凌志朗、中山祐一朗、天宮良、小川菜摘他
 裏筋家業の殺し屋集団、一度散らばり、機が熟したら長崎でと誓ってやってきた。隠れキリシタンが取り締まられ、その弾圧に身をひそめるキリシタンたち。そこに紛れた一員のヤスを救い行ったことからことは始まり、なぜキリシタンを取り締まったのか、奉行の裏には何の力が働いていたのか。裏筋家業の殺し屋が、この世の悪と戦う物語。
 久しぶりのURASUJI。杏子さんの歌間近に聞きながらのお芝居なんて至福。森貞さんも役者やっているのを久しぶりに見たし、プリタさんは相変わらずだし、小川菜摘さんと中山さんが面白すぎ。何年かに一回はやって欲しなこの企画。
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No:051  荒れ野 / 穂の国とよはし芸術劇場PLATプロデュース
Theater:SPACE雑遊
Date:12/17 M
Sheet:自由
Price:\4,000
 地方都市の火事、団地に一人住まいの女の下に逃げ込んできた昔同じ団地に住んでいた家族。夫は女の幼馴染で、昔は女に片思い。女の部屋には、上の階の元教師とただならぬ関係の同性の教え子の男が住み着いていた。夫が思っていた女と夫の闘病を超えて寄り添う妻との確執を描く。家族の娘は、教え子が初体験の相手だったり、教え子は元教師の愛人だったり、女が一人暮らしなのは父親の看病の為だったりというエピソードがついたりして、物語が展開する。
 女性の中にくすぶっていた気持ちが火事と言う出来事をきっかけに吐露される。夫から妻として大切に思われているのも分っているのに、言わなくてもほんとは済むのに、こんなにこんなに尽くしても夫の心の隅にある女への想いに自分の心が揺さぶられてしまう。そして、父の看病のために、自分の生活を犠牲にしなければならなかった女性の行きついた先は、そんな心を飛び越してある種の達観だったり。背景が別の2人の女性の裏っ側にある気持ちが伝わってくる舞台。これに、小林勝也さんのつぶやくような台詞が、説明だったり、説得だったりして、話の流れを笑いを交えながら上手に進行している気がした。死を覚悟した平田さんがその後どれだけ妻に感謝して、娘を心配したかもひしひしと、でも、心の隅にあった気持ちが手術を受けようとするきっかけになったのも事実であると言う後ろめたさも伝わってくる。若い二人の設定がちょっと盛りすぎな感じがするけど、あっという間の105分。
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No:050  髑髏城の七人 season月 下弦の月 / 劇団新感線
Theater:IHIシアターアラウンド東京
Date:12/16 M
Sheet:13-10
Price:\13,000
出演:宮野真守、鈴木拡樹、廣瀬智紀、木村了、松岡広大、羽野晶紀、千葉哲也、中村まこと、伊達曉他
 「月」は、上弦の月、下弦の月と2バージョン、どんだけバージョン作るんだよって感じの髑髏城。
 歌あり流行な感じのダンスありで随分ライトな感じで凄く長くなってる。メインキャストが知らない人ばかりなのは、ちょっと残念。そして、沙霧は男役になってしまいきり丸のも残念。カリオストロの城におけるクラリスでしょ、狭霧って。見栄を切るのとその台詞が魅了のこの芝居だけど、どうもそこの座りが悪く感じちゃう。特に天魔王の方は台詞が聞きにくかった。初演版で極楽太夫をやっていた羽野さんが同役で出ているのがなんとも素敵、全体の雰囲気には合ってなかった気がするけど、昔の新感線での羽野さんってこんな感じだったのかなって。年増の役になってきり丸に母性を見せるところもあったりするのも、最近の太夫役に引きづられることなく素敵。伊達さんは、今までのイメージとちょっと違う感じだったけど、大舞台でも堂々。そして、なんといっても雁鉄斎の中村さん、曲者ばかりが演じてたこの役で中村さんらしい、渋さと阿呆さが共存した雁鉄斎。なんだかんだで、やっぱり面白い髑髏城。
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No:049  男女逆転版・痴人の愛 / ブス会
Theater:駒場アゴラ劇場
Date:12/10 S
Sheet:自由
Price:\4,000
脚本・演出: ペヤンヌマキ(原作:谷崎潤一郎『痴人の愛』)
出演: 安藤玉恵、福本雄樹、山岸門人
チェロ演奏:浅井智佳子
 ペヤンヌマキ×安藤玉恵生誕40周年記念ブス会と題して、タイトル通り、男女を逆転した痴人の愛。谷崎潤一郎、読んだことないけど。
 安藤さん、映像もいいけど、やっぱり小劇場で輝いている役者さん。表情の演技が繊細で、台詞言わなくても色々伝わってくる。山岸さんのサポートっぷりも変幻自在で良かった。チェロの生演奏の低音と、生木のシンプルなセットが素敵。
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No:048  クラウドナイン / モチロンプロデュース
Theater:東京劇術劇場 シアターイースト
Date:12/10 M
Sheet:E-17
Price:\6,800
 イギリスの植民地だった時代のアフリカ。この地を管理するために、本国からやって来たある家族の物語。家長のクライヴは、国家と常識を重んじる男らしい父親。だけど時折り襲う嵐のような欲望の奴隷。 その妻ベティは、夫を愛する貞淑な妻であろうとするあまり、夫の友人にも愛情のおすそ分け。 一人息子エドワード(平岩紙)は、父親に認められる強い男になりたい! と願いつつ、夢中になるのはお人形遊び。“家族が平和であれ”と、全てを見て見ぬふりの祖母のモード。そこに隣人の、欲望のままに生きるハガネの女ソンダース夫人、一見ワイルドなイケメン探検家ハリー、男を知らない純情な家庭教師エレン、そして、両親をイギリス兵に殺された従順な召使いジョシュアが加わり‥‥。理想の自分と現実の自分自身。そのギャップに右往左往しながら暗中模索する、不器用な家族の、バカバカしくも切ない25年間の成長の軌跡。(大人計画HPより)
 よくわからなかった。家族の話って触れ込みだったけど、それぞれが男女関係なくよろしくやっちゃうお話なんだけど、すべてが唐突でぶつ切りな感じ。三浦さんや正名さんが女役をやるっていうのも、同性愛の伏線的な要素になっているのかもしれないけどしっくりこない。紙ちゃんは、相も変わらず素敵で、見たかった三浦さんもいい男だった。でも、なんかそれだけだった。
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No:047  誰か席について / M&Oplays
Theater:シアタークリエ
Date:12/3 M
Sheet:4-21
Price:\9,000
作・演出:倉持裕 出演:田辺誠一、木村佳乃、片桐 仁、倉科カナ、福田転球、富山えり子  芸術家の活動を支援する小原芸術文化財団。その創設者の孫娘の織江と夫の哲朗、織江の妹の珠子と夫の奏平が、助成対象者を決める選考会に集まる。活発な議論をしつつも、四人はそれぞれ別の問題で頭がいっぱい。シナリオライターである織江は、奏平が気まぐれに書いた脚本を「盗用」している。その奏平は財団の資金を使い込んでいる。哲朗はかつて関係を持った珠子との復縁を願っている。その珠子は姉に対する罪悪感に苦しみつつ、育児によって休止せざるをえなくなったダンサーとしての立場に不安を覚え、自らを助成対象者の枠にねじ込みたい。問題解決のためにたびたび中座する四人。誰かが戻ると誰かが立つ。一向に決まらない「有望なアーティスト」。芸術と我欲の間をせわしなく往復する男女の喜劇。(シアタークリエHPより)
 一場一幕のシチュエーションコメディーなんだけど、笑いの部分はなんか中途半端、蒔いておいて伏線も回収するでもなくな感じ。かといってペンギンでやっているような不思議さもなく、なんか消化不良。仁さん、転球さんもこなし仕事な感じがしてきちゃうから不思議。それでも、木村佳乃さん、倉科カナさんは、綺麗で眼福。倉科さんは声も良くて台詞も聞きやすいので、これから見てみたい役者さん。
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No:046  グレーのこと / ONEOR8
Theater:浅草九劇
Date:12/2 M
Sheet:C-1
Price:\3,900
 死んだ後何に生まれ変わるかを決める会議の場、審議される女は夫と別れ、息子と2人でアパート暮らしをしていて、火事を起こしてしまい、アパートの住人と共に死んだのだった。一人だった息子と世話してくれる同じアパートの人たちとの過去を振り返りながら、会議では担当者たちがそれぞれの立場で女の転生先を議論する。息子を世話してくれた人々の行為は、それぞれの人々から見ると時に善意も悪に変わり、会議の場の意見もまたそうである。そして、女は何故火事を起こしてしまって、アパートを全焼させてしまったのか。
 ファンタジーの裏側に描かれる現実の話もちょっとだけ事件が入ってたり、抽象っぽさのあるセットだったりと、いつもとかなり違うんだけど、かなりワンオアのテイストが残ってた。どうしても、好きな作風の作品を期待しちゃうんだけど、それはそれでいいのかもしれない。途中の松本さんのある台詞からガツンとめり込んで観ちゃった。チームワークの良さと、笑いと色々思わせてくれるバランスもいい。客演の羽田さんは美しく、涙流しながらの演技も素敵、山野さんのおとぼけもすごくいいスパイス。善意と悪意、視点でそれも変わってくる。ある人の善意は、ある人にとって悪意だったりと。こんなやり方でも、日々の普遍性を垣間見せてくれる田村さんの作品は素敵。最後にちょっと説得力がない気がする部分と、和田さんが出てないのが残念かなぁ。それにしても、自分の前の列に座っていたおば様たち、劇中気になるシーンがある都度々々、しゃべってる。芝居の前の前説とかでも行ってほしいなぁ、そういう客層がいる舞台は・・・
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No:045  すべての四月のために / PARCOプロデュース
Theater:東京劇術劇場 プレイハウス
Date:11/25 M
Sheet:2F-C-38
Price:\9,500(TicketCamp:\8,000)
作・演出:鄭義信
出演:森田剛、臼田あさ美、西田尚美、村川絵梨、伊藤沙莉、小柳友、津村知与支、近藤公園、中村靖日、山本亨、麻実れい他
 1944年春、日本植民地下の朝鮮半島近くの離れ小島。海のそばにある小さな理髪店には、たえず波音が聞こえてくる。戦況が悪化する中、英順(麻実れい)と夫の洪吉(山本亨)が営む理髪店では、次女・秋子(臼田あさ美)のささやかな結婚式が催されていた。ところが秋子の喜びは薄かった。新郎・萬石(森田剛)が、長女・冬子(西田尚美)に対する思いを捨てきれずにいるからだった。酒が配られ、歌を歌い、ようやく場が盛り上がりはじめてきた中、日本軍人の篠田(近藤公園)が、理髪店を日本軍専用とするとの辞令を持ってやってくる...
 鄭さんの舞台は、特にこれといった仕掛けや変化球の演出は無いのだけれど、舞台そのものの持つエネルギーが凄い。支配下にあった朝鮮の島を舞台にしているけれど、戦争やその結果もたらされた差別や迫害といったそのものに強くスポットを当てるのではなく、そういった状況を下地にそこに生きた人々の人と人との心の交わりが強く描かれているのが自分は良いと思った。タイトルもフライヤーもセットも舞台もなんか切なくて美しくて素敵すぎる舞台。本当に観てよかった。目当ては、津村さん、西田さんと臼田さん。津村さんはあまり出番なく残念、臼田さんは映像だとたどたどしく見える様が向寒だったけど、舞台で同じ感じだとなんか棒読みな感じになってしまうかなぁ。西田さんは、垣間見せる切なさみたいなのが絶妙。村川さんは、舞台女優として生きていく覚悟みたいなものが全面に出てて好感。そして、伊藤さん、魂で演技しているようで、こちらにずんずん響いてくる。この人、「幕が上がる」の舞台版で観てるんだけど記憶に無かったので、これから注目。
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No:044  ちょっと、まってください / ナイロン100℃
Theater:本多劇場
Date:11/19 M
Sheet:I-5
Price:\6,900
客演:水野美紀、マギー、遠藤雄弥
 すでに没落している名家の富豪の家族。そこに乞食の娘が飛び込んで、婚約者のいる長男と結婚してしまう。果ては、その長男を捨て、ぼんくらの家主と結婚。富豪の妻は家を出て、乞食たちは邸宅の庭に住み始める。その陰で、執事は資産を横取りする企てを。こんな話が全く不条理な会話や行動、時間軸と共に展開されるお話。
 その不条理さゆえに展開される舞台の笑いの部分は申し分なしなナイロンさ、ただ、今までには無い感じの筋書き重視でも、ナンセンスの連続でもない、不思議な感触。時間軸や気持ちの軸が揺らぐ中で、舞台に展開する人間模様なんかに普遍性をこめたのかもって感じ。マギーさんが狂言回し的な部分を担い、これがまた上手。全体的に、当書っぽいくらいぴったりの役なので新鮮味の無さみたいなのは感じる。水野さんは、もっともっと壊れても良い感じがした。舞台セットの壁がだまし絵っぽく、3次元を表現しているのも、お話に合っていて、相変わらず上田さんの映像は素敵で、だまし絵みたいなものに映像を歯面子で来るのも上手いなぁって。ただ、雨の映像は、「神様とその他の変種」とかぶっちゃうかなぁ。
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No:043  24番地の桜の園 / シアターコクーン オンレパートリー
Theater:シアターコクーン
Date:11/11 M
Sheet:P-4
Price:\10,000(okepi:\6,500)
翻訳・脚色:木内宏昌
演出・脚色・美術:串田和美
出演:小林聡、美高橋克典、風間杜夫、八嶋智人、松井玲奈、美波、大堀こういち、池谷のぶえ、尾上寛之、大森博史、久世星佳、他
 串田さんがチェーホフをアレンジした作品らしいけど、元々を知らないからどんな感じに変わってるのかもわからない。
 壁だけ、柱だけなどの小片の舞台セットをキャストとスタッフが動かしながら、場面転換をする構成。あぶりものをかぶったりのダンスなどの抽象さも合間合間に取り入れられている。なんとなく、しっくりこない。一幕は、小林さん演じる街から帰ってきた妻に焦点が当たるけれど、二幕は、キャストそれぞれに光が当たる構成で、二幕がすごく観やすかった。キャストは、目当てでいった池谷さんが圧倒的な存在感(もちろんスタンドプレイではなく)、声の良さ、張り方、間とかが自分が観ても上手いって思えるほど、いろんな演出家の方々が信頼寄せるのもわかるなぁ。ワーニャ伯父さんに続き、やっぱり苦手だったけど、生演奏の楽団だついた舞台は好きだなぁ。
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No:042  ランタナ / 瓜生和成高木珠里二人芝居
Theater:Performing Gallery & Cafe 絵空箱
Date:10/29 M
Sheet:自由
Price:\3,000
作・演出:松本哲也
 ベテラン女優となくなってしまった女優の長女と種違いの女優を諦めた次女。3人の周りの人々(主に男)の物語。美形の長女の旦那は昔、妹と付き合っていて、その妹は才能は認められていたが舞台の道を閉ざしてしまう。母にエゴイズムに翻弄される姉妹と同士の確執を一人何役も演じながら、現在と過去をオムニバス形式で描いた作品。
 松本さんの本だけど、今まで自分が観たものとはちょっと趣が違う感じで、時間軸のある作品、それも行ったり来たり、それを二人の役者が何人もの役割を演じる。高木さんは、変幻自在で幼い役から老けた役まで、そして、可愛い役から嫌な女、変な女まで。逆に、瓜生さんは、トーンも雰囲気も変わらないのに説得力、役を自分に近づけちゃう魅力。30人程度で満員の小屋は、役者仲間いっぱいのアットホームさの小劇場。
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No:041  出てこようとしているトロンプルイユ / ヨーロッパ企画
Theater:本多劇場
Date:10/22 M
Sheet:M-14
Price:\4,500
客演:菅原永二、川面千晶、木下出、金丸慎太郎
 1930年代パリの売れない画家たちが身を寄せる安アパート。だまし絵を得意にする画家が死に、部屋の整理をさせらる画家たち。だまし絵の中から怪物やらが出て来てしまいパニックに。怪物に食べられて終末を迎えると、住人たちのそれまでの時間がだまし絵に描かれていてその絵と同じ現実世界が展開され、また怪物が現れて、果たしてその結末や。
 だまし絵の中が本当の世界なのか、だまし絵が現実に飛び出してきたのか、そんなパラドックスもあるどこか哲学的な感じもするお得意の繰り返しのドタバタ会話なコメディ。岸田戯曲賞受賞後の初の劇団公演は、ビルのゲイツを思わせるくらいちょっとくどいくらいの繰り返し。もうちょっと、短くしたほうが好みかなぁ。繰り返しに使う絵も、最初からここがポイントとわかるくらいの堂々舞台に鎮座なのも楽しみがないのかな。前回結構出てきた西村さんは、いつものように、角田さんと一緒に飛び道具的に使われて、なんか安心っていうか、期待通り。なんだかんだで大きく外さないヨーロッパ、でも遊び心満載なのがとっても素敵。なんか菅原さん印象が薄かったなぁ。
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No:040  髑髏城の七人 Season風 / 劇団新感線
Theater:IHIシアターアラウンド東京
Date:10/15 M
Sheet:17-10
Price:\13,000
出演:松山ケンイチ、向井理、田中麗奈、橋本じゅん、山内圭哉、岸井ゆきの、生瀬勝久他
 「風」は捨之介と天魔王が一人二役になり、オリジナルに近い髑髏城。信長の影武者の設定が色濃く出ていて、狸穴二郎衛門の存在も大きく。ワカドクロからの捨之介、天魔王が別々のバージョンもいいけど、オリジナルのほうが物語性が強い気がして好き、また、二人が舞台に立つシーン(片方が代役)なんかは演劇ならではの醍醐味もあって、ライブ感も味わえたり。松山さん、殺陣の身のこなしの意外な軽快さと捨之介であるときの軽さが浮世の義理も捨之介で良い感じ、ただ、それが天魔王のときに邪魔するかなぁ。田中さん、向井さんは、繊細で線の細い感じがしちゃって、決め台詞が浮いちゃうような気がした。じゅんさん、体調悪かったのだろうか、なんか、声も身のこなしも低調に見えてしまった。兵庫の山内さんは、今までに無い変化球な頼りなさで新鮮。生瀬さんは、言わずもがなだけど、どうせなら雁鉄斎で見たかったかも。天晴は、沙霧の岸井さん、普段ふわっとした感じの役が多いけど、動きから可愛さ、健気さ、切なさひっくるめて意外なほどしっくりきた。そして、三五、磯平が新感線メンバーがとってもいい。
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No:039  人間風車 / PARCOプロデュース
Theater:東京芸術劇場プレイハウス
Date:10/8 M
Sheet:J-26
Price:\8,900
作:後藤ひろひと
演出:河原雅彦
出演: 成河、ミムラ、加藤諒、矢崎広、松田 凌、今野浩喜、菊池明明、川村紗也、山本圭祐、小松利昌、佐藤真弓、堀部圭亮、良知真次
 2000年2003年に観た作品。
 全体的に。怖さもコメディーさもこじんまりした感じがする。その余韻としてにじみ出てくるファンタジーさはほぼ影を潜めているのかな。これは、アキラがオサムに殺されてしまうこと(以前は死んでなかったと記憶)と、平川とアキラの関係があっさりと描かれていることに関係あるのかも。子供たちと平川の関係性も薄く感じるし、親と子を同じ役者で演じるっていうのもいまいちコントラストがいかしきれてないような気がする。そして、何よりも最後のクライマックスのシーンまでの流れがなんとなく予定調和な感じがして、ドキドキハラハラ感が薄れている感じ。とは言え、この作品はよくできているなぁって思う。成河さんは、そつなく陰陽の演技も好き、髑髏城の天魔王に比べてあっている気がする。ミムラさんは可もなく不可もなくで、ほぼお目当てで観に行ったのでちと残念。加藤諒さんの役は、もう阿部さんの印象が強すぎるし、そこが極みと思うくらいの適役なので、かわいそうだけど、それでも、もうちょっと演出的になんかできたんじゃないかなぁって思った。ガヤ陣の真弓さん、明明さん、川村さんは、偶然にも配役前に予想(出演してほしい)してた人たちだったので観ていて楽しかった。川村さんはスタッフの役の時の強かさみたいなのもよかった。そして、今野さんの空気の読み方が、さすが芸人さん、ちょっとよどんでも簡単に空気を入れ替えられる、かつ、無駄に邪魔しない。
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No:038  瘡蓋の底 / タカハ劇団
Theater:小劇場B1
Date:9/30 M
Sheet:B1
Price:\4,000
出演:有馬自由、佐藤誓、藍原直樹、恩田隆一、辻修、九里みほ、もたい陽子、小野寺ずる、斉藤悠、小日向雪
 嵐の中で日本へ向かう密航の引き上げ船。彼等が持っていたのは同じ名前の人物の偽装の戸籍証明。人体実験の結果を持ち帰ろうとする男、中国組織に身を売った男、反逆に殺された日本人夫婦の赤ん坊を届けようとする中国人など訳ありの男たちが、嵐でたどり着けるかも分らない船の中で生き残ろうとする争いのオムニバスと、母の入院で集まった三姉妹、母は検査入院で長女が姉妹を集めた理由は母の還暦祝いの為の話し合いの為。幼き頃に父は家を出て、母の手一つで育った三姉妹は、長女は昔ぐれるも子持ちの主婦、次女は家庭を持つことに踏み切れず独身、父の顔を知らない三女は大学生で新興宗教めいたサークルの友人を連れて帰ってきた。幼い頃の親との関係が確執となっている三姉妹が集まって悲喜交々。彼氏との別れ話をしていた次女は、妊娠していると三女の友人が不思議な力で見出してから、三人の気持ちが吐露されていく。
 好きな役者さんが出ていて、それぞれの話も面白いんだけど、自分にはそれを交互に演じるのがピンとこなかった。引き上げ船の赤ん坊は、姉妹たちの出て行ってしまった父であることは明かされるがそれ以外はどういう意図だったのだろうか。時代、男女という対比ももりこまれているのかなぁ。役者さんは、真っすぐな演技をする藍原直樹さんって方と、役回りもあるけど独特の雰囲気を足していた小日向雪さんが印象的。楽しみにしていたロジックの小野寺さんもいい味出していて、今後注目。久々に見た辻さんが際物じゃないのは初めてかも。有馬さん、恩田さん、もたいさんは安定の演技。
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No:037  サブマリン / 東京ハートブレーカーズ
Theater:STAR PINE’S CAFE
Date:09/24 M
Sheet:A12-2
Price:\4,800
 18歳の少年が無免許運転で人身事故を起こし被害者が亡くなった深刻な事件を破天荒な家裁調査官と後輩が担当する。少年は口を閉ざし、事実を語ろうとしない。事故の真相を知ろうとする二人は関係者をあたる中、先輩調査官の過去の担当事件との繋がりを見つける。小学生の時に同じような事件に友達が巻き込まれた犯人の少年。その過去が少年に何をさせたのか、そして、過去の事件の犯人、そして、少年と関わってきた人々の中から事件の真相が明らかになってゆく。
 毎回同じだけど、キャラメルとナイロンの役者さんが同じ舞台にいるって機会が珍しいのでへんなワクワク感。そこに、新感線の粟根さんも今回は加わっているし、楽しさ倍増。首藤さんの掛け声で集まってくる音楽とお芝居が好きな面々のシンプルな舞台は、特に目新しいことはないし、小難しさも無い。一種の余興的な雰囲気もなんか学生演劇っぽくって、その上生演奏までって言う、素朴に町おこし的エンターテイメント。なんとも岡田さんが楽しそう。楽曲提供の西山さんが今回は出てなくて、あのかっこいいベースを弾く姿が見られなかった。で、その代わりが粟根さんのベース、これもまた楽しだなぁ。出だしのみのすけさんの力強いドラムがとってもかっこいい。
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No:036  豪雪 / good morningN°5
Theater:駅前劇場
Date:09/17 M
Sheet:C-9
Price:\4,500
客演:高橋由美子、宮下今日子、野口かおる、久ヶ沢徹、市川しんぺー、千代田信一他
 十周年記念の公演。細雪?の4姉妹出てきたり、健さんの名台詞が出てきたり、痴漢で捕まった男達、レスラーを育てる男、少年の日の少女との約束などなど、てんこ盛りな舞台。
 相変わらず頭の回転の遅い自分には、何のことやらさっぱりわかんないけど、笑いっぱなしの90分。藤田さん、野口さんの半裸はいつもだけど、その他の人たちも過激過激。これ十年続けられてるのがすごい。なんか小劇場への愛を感じる。それにしても自由にしていい舞台だからって、後ろのじいさんとばあさんうるさすぎ。
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No:035  ハッピーママ、現る。 / 艶∞ポリス
Theater:駅前劇場
Date:09/10 M
Sheet:A-10
Price:\3,500
客演:異儀田夏葉、小野川晶、関絵里子、藤村聖子、武藤晃子、北川竜二、谷戸亮太、富川一人
 目黒碑文谷小学校のPTAの美化委員会、深入りに二の足を踏むメンバーとワンマンな議員妻の委員長。働きながら時間を作る主婦たちとそれをアイデンティティーとする委員長のすれ違い。子供のいじめ、生活環境、教師恋愛に、はたまた世間の常識/非常識論、そんなこんなが繰り広げられる委員会会場を舞台にしたコメディ。
 個性的な役者を適材適所に配して、色んなありがちなトピックを放り込んでくるので、飽きさせない舞台。ただ、人物やエピソードがステレオタイプでその背景がいまいち見えてこないし、やりたいって思うことを詰め込んで、シーンシーンがぶつ切りになる感じ。Twitterなんかの大絶賛にはちょっと自分には疑問だった、それは、子育てをしていないからだろうか。もちろん、異儀田さんと武藤ちゃんの初共演でワクワクで行ったので期待が大きすぎる分もあるけど、もっと役者さんの面白味が出ててもいいのかなって、ただ、関絵里子さんは独り舞台っていいくらいにその役を担ってる。いらないと思うお芝居の稽古シーンでの駄目出しが、そのままこの舞台の写し鏡になってるように見えちゃうのも残念かな。ただ、こんだけやって100分でまとめてあるのは天晴れと思う。
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No:034  ワーニャ伯父さん / シスカンパニー
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:09/03 M
Sheet:C6-17
Price:\8,500
上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:段田安則、宮沢りえ、黒木華、山崎一、小野武彦、横田栄司、水野あや、遠山俊也、立石涼子
 ケラさんがチェーホフを演出する第三弾。1作目の「かもめ」未見、2作目の「三人姉妹」は観ている。
 ちょっとコミカルに演出されているようで、役者さんの仕草も茶目っ気があったり。ただ、全然入り込めなくて、うとうと。横田さんのお芝居が凄く肌にあった感じがしたのと、宮沢さんがいつもよりトーンを落とした感じの素敵な女性感。客席側から後ろの幕に映す影絵のような演出と、暖色と寒色を使い分けた光と影の舞台、そして、ギターの生演奏が効果的。黒木さんは、ほんと大好きなんだけど、映画の素敵なイメージが舞台に出てないような気がする。
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No:033  疾走 / aibook
Theater:駅前劇場
Date:08/23 S
Sheet:自由
Price:\3,500(初日割)
出演:松本紀保、もたい陽子、今村裕次郎、樋口優生、高橋明日香、菊池美里、瓜生和成、塩野谷正幸
 可奈子は小さな町でスナックのママをしている。 近くにある保養所に勤務する面々が飲みに来る店だ。 可奈子の父は、幼い頃に失踪しており それは会社の金を贈賄した為だと噂されていた。 ある時、保養所でも贈賄の話が上がる。 引き返せなくなるほど 逃げださねばならなくなるほど 私たちは、何を追いかけているのだろう。 もしかしたら、本当は、 ただ守りたいだけなんじゃないだろうか。 (aibookブログより)
 保養所(養護施設)の社長の婿は、次期の経営者されていて小さな子供がいるが、スナックのママと付き合って、妹はそのスナックで働いている。養護施設で働く老人は、戸籍がないと噂され、家族を捨てたとされている。その養護施設に、社長の娘や職員の女と同級生で、婿の男に昔思いを寄せていたと臭わせる女の母が入所する。女は、入所を嫌がる母を週に一度の外泊をさせるために東京から毎週通うが、地元に戻ってくる決心はできないでいた。
 今の現実からちょっと逃げたい、逃げられずにその場しのぎを積み重ねる。どうにもならずに一つ踏み外したことで、全く違う人生になる。掛け違えた釦、外された梯子、本人だけでなく、周りに人々もそれらに翻弄されている。そして、翻弄しているのかも。近くにいるのと愛したているのは違ってて、愛しているから確執や恨みがあるのか。そんなことをいっぱい思わせてくれるお芝居。
 素敵な台詞いっぱいの舞台。ニュアンスしか覚えてないけど、走っていたら止められない、遠くからみると飛行機だって止まっているように見える、大丈夫って繰り返す人ほど、それが後になってためになることもある、等々を色んな役者さんが言うのが素敵。冒頭に、紀保さんが父に訴えかけてくるシーンの違和感と、瓜生さんと紀保さんを二人にするシーンのきっかけが安易な感じがして、ちょっと導入としてのつかみは良くなかったんだけど、話の構成や主だった役者さんの力でぐいぐい引き込ませてくれた。瓜生さんへの信頼度の凄さを感じ、途中の台詞やしぐさなんかも、稽古途中で本人のアドリブを取り入れてるんじゃないかと思えるくらい、瓜生さんっぽいんだけど効果的。紀保さんは、感情を吐き出すシーンにちょっと違和感を感じるんだけど、しとやかさを見せるシーンの所作とか、瓜生さんと向き合うシーンでのうちに秘めた思いみたいなの部分の表情や演技が最高。らくだ時代の感じの今村さんやもたいさんが見られたのもまたうれし。菊池さんの独特の演技がちょっと最初にとっつき難い。途中に、木製バットを全力で振り回すシーンがもし手からはなれたらと思うと怖くて・・・
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No:032  髑髏城の七人 Season鳥 / 劇団新感線
Theater:IHIステージアラウンド東京
Date:08/17 M
Sheet:7-23
Price:\13,000
出演:阿部サダヲ、森山未來、早乙女太一、松雪泰子、粟根まこと、福田転球、小路勇介、清水葉月、梶原善、池田成志他
 「髑髏城〜」花鳥風月の鳥版。
 花に比べて、裏切り三五が裏切り渡京に、兵庫の兄磯平が兵庫の息子少吉にと、登場人物自体も変っている。捨之介と天魔王は別キャストなのは一緒。家康のかかわり方や、捨之介が髑髏城に捕らわれる前後など話の流れなども変っている。構成は、コミカル&ミュージカルになっていて、ずいぶん違うけど。美味しいところは、鴈鉄斎が持っていくところの構造は一緒。阿部さんの捨之介は、今までの髑髏城からすると違和感があるなぁ。全体の構成もあると思うけど、松雪さんの極楽大夫も強さがあんまり前に出ていない感じで、その強さがないと最後のシーンが弱くなっちゃう気がする。今回も映像は上田大樹さん、美しいし、円形の舞台をうまく使って、動の部分が迫力があるなぁ。歌のせいか、物語は端折ってある感じなのに、三時間半、大作だなぁ。どんな形でも、髑髏城はやっぱり面白いなぁ。
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No:031  鎌塚氏、腹におさめる / M&Oplays
Theater:本多劇場
Date:08/16 M
Sheet:B-11
Price:\7,000
作・演出:倉持裕
出演:三宅弘城、二階堂ふみ、眞島秀和、猫背椿、矢田部俊、大堀こういち
、  名家、綿小路家の一人娘チタルは探偵ごっこにのめり込む。チタルの母方の叔父、鬼集院ヤサブロウ伯爵は、自分の姉(チタルの母)が早死にしたのを公爵のせいにして恨んでいる。チタルはこの叔父が大嫌いだった。 サネチカ公爵が、屋敷の倉庫の中で遺体となって見つかり、遺体の背中にはナイフが深く刺さっていて、殺人事件であるのは明白。ところが発見当時、その部屋のドアには内側から鍵が掛かっており、つまり完全な密室殺人だった。 そして「完璧なる執事」鎌塚アカシが黙っているわけがない。庭師のくせに草木をすぐに枯らしてしまう毛呂ヨシミと、同時に二つのことが出来ない料理女中・太田代テマリに協力を仰ぎながら屋敷中を駆け回る。アカシとチタルの捜査は、何度となく脇道にそれつつも、徐々に核心へと近づいていく。果たして密室殺人の謎は解けるのか? 真犯人は誰なのか……?(森崎事務所HPより抜粋)
 真ん中辺でなんかダラダラした感じがするかなぁ。猫背さん、谷田部さんの笑いもキャラクタの設定のせいなのかなんか中途半端。二階堂さんの役柄も、眞島さんの役柄も、振り切るか、めちゃお馬鹿で可愛いとかニヒルでヒールとかの方が個人的には面白く見られたなかなぁ。まあ、三宅さん見る芝居だからいいのか。鎌塚氏に恋心を抱くヒロインじゃないのがちと残念。セットの使い方がペンギンの時みたいにくるくる回って、いろんな仕掛けがあって面白い。
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No:030  業音 / 日本総合悲劇協会
Theater:東京芸術劇場シアターイースト
Date:08/15 S
Sheet:N-22
Price:\7,200
出演:平岩紙、皆川猿時、村杉蝉之介、池津祥子、伊勢志摩、宍戸美和公、宮崎吐夢、松尾スズキ
 母の介護をネタに、演歌歌手として再起を目指す落ちぶれたアイドルの土屋みどりは、借金を返すために、マネージャー・末井明と共に自身が運転する車で目的地へ向かっていた。途中、自殺願望を持つ夫・堂本こういちと、夫をこの世につなぎ止める聡明な妻・杏子と遭遇し、不注意から杏子を車ではねてしまう。杏子は脳を損傷し、一生植物人間として生きる事に。怒り狂った堂本は責任を追って、みどりを拉致連行し、”有罪婚”をと称し、二人は結婚、奇妙な共同生活が始まる。
芸能界を夢見て東京に出てきたものの、結局体を売る事でしか生きていくことの出来ない堕落した兄妹・克夫・ぽんた、年を偽ってまでも孤児院に入る事に執着をする屈折したゲイ・丈太郎、正体不明の老婆財前らを不幸のループに巻き込み、負の連鎖はさらに奇怪にうねっていく・・・
やがて末井とも関係を持つみどりは、父親がわからない子を身ごもり出産するのだが、堂本との時間に執着し、子供の命を引き換えにしてまでも、「10ヵ月の夫婦生活の元を取るため」と、堂本とのわずかな触れ合いを選択するのだった。
”それ”やらなければ物事は上手く運ぶのに、どうしてもやらずには先に進めない各自の”固執”。その”固執”が”業”を生み、空回りするそれぞれのエネルギーは、不協和音のような音楽を響かせていく・・・(大人計画HPより)
 話自体はピンとこないんだけど、ずっと引き込まれっぱなしの舞台。やっぱり舞台は生がいい。それぞれの「業」が自分にはうまく伝わってこなくて、全体的な負の感じと笑いのバランスで観させてくれた感じ。初演時の時代設定と合間に挟む時事ネタやものすごく良く出来過ぎてる舞台セットになんとなく違和感。松尾さんの信頼を得ている紙ちゃんが堂々の主役だけど、個人的には狂言回し的な役柄の方が好きかな。
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No:029  鳥の名前 / コムレイドプロデュース
Theater:ザ・スズナリ
Date:08/11 M
Sheet:E-6
Price:\5,500
作・演出:赤堀雅秋
出演:新井浩文、荒川良々、村岡希美、根本宗子、井端珠里、水澤紳吾、松浦拓也、山本浩司、赤堀雅秋
 ボロアパートの管理人をしている男は、友人に借金しながらその日暮らしの毎日。近くの自転車屋に唯一の住人の40代の女性を紹介すると、二人はうまく行っているようだ。ある日、女がストーカーにあっていると告白され、友人と共にストーカーの男が通っているサウナに。そこで、言いがかりだという男の元へは、地下アイドルを強姦したと脅しをかけてくる事務所の男が現れ、一緒に連れ去られ、強制的に働かされる羽目に。結局、開放され、ストーカー容疑も言いがかり。普通で平凡が一番なダメな人だらけのコメディ。
 卑屈な感じの笑いはいっぱいで、結局一周回って振り出しみたいなお話。荒川さん、村岡さんを笑いの軸に、行き場のない方たちを描いてるけど、いつもながらなぜか嫌悪感のない赤堀節。今までとは違うアプローチだけど、そこんところは健在。スズナリのサイズもここちよし。
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No:028  大当たりの相続人 / DRAMA MISSION Z號
Theater:アートスペース・リビーナ
Date:08/06 M
Sheet:自由
Price:\3,500
 亡くなった夫がはじめた「マルガタ」を経営するモモエ、名物のダシマキタマゴを食べにやってくる、常連の同級生や、銀行員、そして謎の外国人、絵画を取引する投資家、宝くじが当たるとそれぞれに繋がり、絵画が高価ならやはり繋がる。果たして人間の「金」に対する欲望はどこに向かうのか?人間らしく生きることはできないのか?(チラシより)
 日本人は日本語、韓国人は韓国語(字幕あり)で、双方が母国語で会話が成立すると言う設定がもの凄く違和感。こういった場合のコミュニケーションって、どちらかの言語にするか、英語を使うか、筆談したりするのが本来であるはずのところ、リアリティーを捨てて意図したものが何だったのか自分にはずっと分らないままだった。あの雰囲気のアフタートークでも怖くて聞けなかった・・・。また、チラシの物語ほど、お金に翻弄される人間は描かれておらず、どちらかと言うと人と人の物語。しかも、韓国人の一人の役者さんの設定は、ドイツ在住で名前も西洋っぽい韓国人、なんとなく、他のエピソードを成立させる為なのかと思っちゃう。山田まさゆきさんって方が、男前で、良い声で、一番荒っぽい役なんだけど、大げさにならずに好感。そして、異儀田嬢、ほんとに気持ち吐き出すときの演技がいつも素敵。
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No:027  きゅうりの花 / 土田英生セレクション
Theater:三鷹芸術文化センター 星のホール
Date:07/30 M
Sheet:自由
Price:\3,800
 土田英生さんの過去の本を気に入ったキャストを集めて上演するシリーズの第4作で、2002年にMONOの再演版を劇場で観た作品。他のユニットも含めて4回目の「きゅうりの花」
 年齢設定が少し高くなった分、それぞれの関係性がドライになっていっる気がする。その分だけ、内面の怖さみたいなものは大きくなっている。過疎の町というのを下地にしているけれども、群れたがる、排除したがる、自分の居場所を探すと人の普遍性みたいなところを描いた作品のラストの切なさが秀逸。原作と同じ役の金替さんと土田さんは言わずもがなだけど、内田さんのマドンナっぷり、啓さんの卑屈さも見どころ。オリジナルの奥村さんの印象が強い諏訪さんと、本人の個性が強く出ちゃう千葉さんは、二人とも好きなだけにもうちょっとを期待しちゃう。それにしても、一年一度のこのシリーズ、まだまだ続けてほしいなぁ。「約三十の嘘」「錦鯉」「橋を渡ったら泣け」など、まだまだ観たい作品があるもんなぁ。
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No:026  世襲戦隊カゾクマンU / プリエールプロデュース
Theater:赤坂RED/THEATER
Date:07/23 M
Sheet:H-2
Price:\4,500
作・演出:田村孝裕
出演:山口良一、熊谷真実、芋洗坂係長、西山水木、田中真弓、岡田達也、曽世海司、塚原大助、上田桃子、梨澤慧以子
 第二弾は、長男夫婦に生まれた息子を宿敵ミドラーに奪われて、てんやわんやなお話。カゾクマンの老化と世代交代、ミドラーの跡継ぎ含めた、世襲家族のお話。
   巨大化する悪者が火を噴いて街を焼いちゃうのに、子供の命や家族の繋がりを描いているご都合主義感は満載なんだけど、そんなものは重々承知の企画もの。西山さん、田中真弓さんのベテラン陣の遊び心が素敵。岡田さんもキャラメルではやらない役どころで好演に、芋洗坂さんのデブなのに切れてるダンスも素敵。そして、上田桃子さんが可愛い可愛い。客層も様々なこういうお芝居もあっていいよね。
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No:025  怪談 牡丹燈籠 / オフィスコットーネプロデュース
Theater:すみだパークスタジオ倉
Date:07/17 M
Sheet:G-10
Price:\5,500
出演:柳下大、西尾友樹、山本亨、青山勝、松本紀保、大田緑ロランス、児玉貴志、松金よね子他
 怪談落語「牡丹燈籠」の舞台化。
 舞台セットが3.5×7m位の大きな幕で、舞台の中心で回わる仕組み。これで、数多い場面転換、家屋や部屋の内外を表現する。また、設定は江戸のままだけれども服装は洋服。色んな効果を狙ったんだと思うけれど、自分には思わせぶりな感が強く、あまり効果的な感じはしなかった。あえて言えば、影絵を見せるあたりかなぁ。目当ての役者さんは、紀保さんはちょっとがなり気味な感じが強く違和感、児玉さんが普段と違うような舞台でもちっちゃい悪者感が健在なのが面白く。紀保さん、山本亨さんは、同時期の花園に出ててもらった方が個人的には満足感があったかも。圧倒的にハイリンド版の方が観易かった。
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No:024  ドドンコ、ドドンコ、鬼が来た / 椿組
Theater:花園神社
Date:07/16 S
Sheet:自由
Price:\4,000
作:秋之桜子
演出:松本祐子
客演:福本伸一、津村知与支、谷山知宏、佐久間淳也、佐藤銀平、辻親八他
 今世(いまよ)より二百余年の歳月さかのぼる、むかしむか〜しの物語。鬼山さまと呼ばれる火の山の麓に「鬼の里」がございました。民はみな、山を敬い、助け合い、それはそれは楽しくのどかに暮らしておったとさ。けれどもある日、江戸の町から新しい風が吹き込んで来たからさ〜大変!!江戸時代に実際に起こった史実とフィクションをごちゃまぜにして、秋之桜子が念願の花園神社の地に描く、歌あり踊りあり喧嘩ありの時代劇ファンタジー!!(劇団HPより)
 酷暑の東京、野外劇の花園神社は例年よりも暑い、暑い。そして、芝居も熱い。恒例となっているセットの後ろ壊して、明治通りが見えるようになる演出は今回も。これがなんとも味があるんだよなぁ。話は、2幕にしないで削って、スピード感もって一気にやってしまったほうが自分は好きだけど、この暑さあの休みも必要か。辻さんの良い人から狡猾、傲慢になるのが絶品。津村さんの捉えどころのない役の演じ方もらしくて良い。福本さんもいつもとちょっと違うテイストの役で観れたし、暑さの代償はしっかりと。それにしても、みんな芝居好きなんだなぁ。
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No:023  泥の中 / VAICE★
Theater:駅前劇場
Date:07/02 M
Sheet:D-4
Price:\4,000
作・演出:松本哲也
客演:小林さやか、なかの綾
 常連しか顔を出さなくなって久しそうな場末の飲み屋。出入りしている人達もどん底感。マスターの元に昔恋焦がれていた女が現れ求婚してくると、追って不思議な男も。男の胡散臭い話に常連たちは吸い込まれるが、男は復縁を求めて女を追ってきていた。行く先、施しようのないない人々が淀んでいるお話。
 アウトにならないギリギリのもの凄くダメな感じの人たちが肩寄せ合うシチュエーションがなんか前回のテイストと似た感じで、これが松本哲也さんとVAICEの組んだ空気になりつつあり。なかのさんの歌と松本さんが演じる気がふれた浮浪者の気味悪さが効果的。林さんの世捨て人感や古川さんの裏のある演技、好きだなぁ。みんなほんとに芝居好きが溢れてるのがこのユニットの素敵さ。自分が観た回の浮浪者の役はダブルキャストで別バージョンは女性、彼らの物語に終わりを突きつける役なので、いったいどんな役でどんな感じだったのか興味が湧くなぁ。
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No:022  さよならだけが人生か / 青年団
Theater:吉祥寺シアター
Date:06/25 M
Sheet:自由
Price:\4,000
 遺跡の見つかった工事現場の詰所に雨の日に出入りする人々のひきこもごもなお話。
 青年団の名を世に広めた作品らしいけど、メッセージ性はなく、コミカルな作品。「冒険王」で好きになった佐藤滋さんが、かなり大きい演技ですごく違和感を感じるんだけど、見ていくうちになぜかそれがしっくりくるのは、その作風によるのかも。なんとなく自分もそこにる感覚になる青年団の舞台大好き。荻野さん、山内さん、井上みなみさんなんてキャストがいっぺんに観られるのもまた素敵。やっぱり小劇場はいいなぁ。
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No:021  俺節 / TBS
Theater:赤坂ACTシアター
Date:06/03 M
Sheet:2F-B-13
Price:\11,000(okepi:\10,000)
原作:土田世紀
脚本・演出:福原充則
出演:安田章大、シャーロット・ケイト・フォックス、福士誠治、六角精児、高田聖子、桑原裕子、中村まこと、西岡徳馬
 演歌歌手を目指し青森から上京した、気弱であがり症のコージ(安田章大)。抜群の歌唱力を持ち、自分がどれだけ演歌を愛しているかを熱弁するも、唄う場面では緊張してどもるばかり。ギター弾きで調子の良さそうな男オキナワ(福士誠治)は、そんなコージの熱い想いに感化され、彼を自らの城であるドヤ街・みれん横丁へと連れてゆく。そこでコージは偶然、ヤクザに追われている不法滞在中の女テレサ(シャーロット・ケイト・フォックス)と出会うことに。彼女はストリップ小屋で働くストリッパーだった。テレサのことを忘れられないコージの演歌は、彼女への思いが募るほどに深みを増していく・・・。飲み屋街の流し演歌歌手として修行を始めたコージと相棒オキナワは、コンビで演歌界デビューを目指しアマチュアコンテストへの出場を繰り返す。そんな中、デビューの話が持ちあがったのは、コージ1人だけのソロ歌手としてのオーダーだった・・・。(ACTシアターHPより)
 演技や歌の巧拙はほんとにいつまでたっても自分には分らない。そんな中で、安田さんは歌うシーンは声量があってパワフルに、演技は一生懸命純粋な青年を演じているなぁって感じた。もう少し、卑屈さや葛藤なんかが伝わってくるとより舞台に面白みが出るのかなぁなんて思った。福士さんはかっこいい上に、素敵な声質で、出しゃばらずにはじけてて好感。西岡さんは、ライトな方向に傾けて、そのギャップに笑いも起こるんだけど、ちょっと無理してるかなぁっていうか重鎮さが薄れちゃってる感じ。六角さんは、まんまの放蕩の流しの達観した感じがイメージそのまんまでぴったりで、水を得た魚。まことさんと聖子さんは、脇に撤しているのに、ずるいくらいに美味しいとこを外さず、手練振りを発揮、二人のシーンがそこだけ小劇場みたいになる瞬間なんか至福。そして、バラちゃん、KAKUTAのでキャラつくりのまんまなのはうれしだけど、やけどしそうでヒヤヒヤしてると、客席笑いに包まれホッと。 普段の福原さんっぽいシュールさはないけど、らしいガヤガヤ感やその中で、出てくるぐさりとするような福原節は後半所々に。思った以上に楽しめた舞台。
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No:020  マリアの首 / 新国立劇場
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:05/21 M
Sheet:C1-3
Price:\6,480
作:田中千禾夫
演出:小川絵梨子
出演:鈴木 杏、伊勢佳世、峯村リエ、谷川昭一朗他
爆撃され被爆した浦上天主堂の残骸を保存するか否かで物議を醸していた終戦後の長崎。昼は看護婦として働き、夜はケロイドを包帯で隠して娼婦として働く鹿。夫の詩集と薬を売りながら客引きをし、生計を立てている忍。鹿と忍が働く病院で献身的に働く看護婦の静。いつまでたっても保存か建て壊しか結論の出ない市議会を横目に、原爆で崩れた浦上天主堂の壊れたマリア像の残骸を、秘密裏に拾い集めて、なんとかマリア像だけでも自分たちの手で保存しようと画策する女たち。雪のある晩、最後に残ったマリアの首を運ぼうと天主堂に集まったが、風呂敷に包もうとしても、マリアの首は重く、なかなか動かないのだった......。(新国立劇場HPより)
 台詞で状況や関係性を説明しながら、観念的な独白も多く、自分の脳味噌には難解すぎた。壊れたマリア像云々とのふれこみだったけど、女性二人に焦点が当てられている感じで、物語性が薄く感じてしまったので、より苦手だったのかも。杏さん、峯村さんと好きな女優さんだったけど、自分には魅力的ではなかった舞台。古いつくりの家の庭と部屋の境の部分が回転する仕掛けのセット、舞台美術は堀尾さんで期待してたけど、なんか使い方が微妙な感じだった。ただ、このセットを壊し、天主堂の壊れたマリア像を写した最後のシーンの絵面はとても美しかった。
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No:019  山笑う / 小松台東
Theater:三鷹芸術文化センター 星のホール
Date:05/20 M
Sheet:自由
Price:\3,200
出演:川村沙也、瓜生和成、荻野友里、尾倉ケント、山田百次、松本哲也
 宮崎で母の手で育てられた年の離れた兄妹。兄が結婚してからは、長らく母と二人暮らしの妹は就職を機に東京へ行き中々地元にも帰ってこない。母の死により10歳以上もはなれた彼氏を連れて帰った妹。母との確執、兄との確執、幼き頃の出来事を一幕一場の中で周りに人達も含めて丁寧に描いた作品。
 一場一幕の1時間40分のお芝居は、ほんとにある家族のどこにでもありそうな確執や気持ちの揺らぎを丁寧に描く。どこか責任感のなさそうで風に飛ばされてっちゃいそうな手持ち無沙汰な役はお手のものの瓜生さん、小さな毒を小さな顔の演技で出す荻野さん、宮崎にいた頃の多感さと今の温度差をじわじわと伝えていく川村さん、分ってるけど突き放しちゃう松本さん、道化に徹する尾倉さん、みんな良い役振り。山田さんの演技が濃い目なのはアクセントとしてなのか、自分には違和感。正直言って地味なんだけど、こういうの好き。
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No:018  おもてなし / 玉造小劇店
Theater:スペース・ゼロ
Date:05/14 M
Sheet:5-7
Price:\5,000
出演:みやなおこ、矢代進一、福本伸一、茂山逸平
 14年にスズナリで観た舞台。
 ゼロで少し舞台が大きくなちゃったのは残念かな。前回を思い出しながらの観劇も、やっぱりふっこさんの本は暖かい。そして、みやさん所作とラストの着物を虫干しする絵面の美しさ。福本さんの関西弁になんかもじもじも関西出身らしいから自分側の問題か。
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No:017  あるいは真ん中に座るのが俺 / 東京マハロ
Theater:赤坂RED/THEATER
Date:05/03 M
Sheet:I-4
Price:\4,500
客演:お宮の松、本間剛、荒木健太郎、与座よしあき、福沢重文他
 最後の晩餐をモチーフに、キリストと12人の使徒と使えたとされるマリアにまつわる話を、それほど聖人君子ではなく人であったらと仮定して、キリストの処刑される前の日に跡目は誰かを争うお話。
 話の題材は面白いけど、元々の知識がないから、ちょっとおいてかれる感。なんか話の芯が無い感じで、裏に世界情勢や恋愛などを盛り込んでるのかもしれないけどちょっと散漫。役者さんもなんかちぐはぐな感じを受けてしまった。ダブルキャストだったマリア役、昨年のGWのマハロの公演で好印象だった彩木さんだったのは良かった。
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No:016  髑髏城の七人 Season花 / 劇団新感線
Theater:IHIステージアラウンド東京
Date:05/01 M
Sheet:25-6
Price:\13,000
出演:小栗旬、山本耕史、成河、りょう、青木崇高、清野菜名、近藤芳正、古田新太
 IHIシアターアラウンド東京コケラ落としの花鳥風月年間4バージョンの最初「花」。もう5回目の髑髏城、今回はワカドクロと同じ捨之助と天魔王が別々の役者さんが演じるバージョン。  客席が360°回転する新しい劇場、舞台と稼動客製の間に可動の壁があり、これをスクリーンとして使ったり、幕の代わりにしたりというのが面白い。客席が動き出す瞬間にかくってなるのでなんか違和感とやっぱり大きすぎる感じ。今回は、この可動の壁へのプロジェクションがまず見事、ナイロンでは素敵な演出として使われる上田さんの映像だけれど、新感線の時はネタ、クレジットとして使う感じはあったけど、あまり印象になかった。これが背景だったり、絵巻物のような効果を生んだりでとっても格好がいいし、円形の劇場とマッチしていた。お芝居は、暗転の変わりに客席を回す仕組みで、間に映像も上手く入れて、スピーディーに色々な場面を見せてくれるし、壁の隙間の開け方で舞台を大きく見せたり、狭く魅せたりって重石リオ演出も。芝居自体は新感線らしく子ネタをかなりばらまきながらも、しっかりと魅せるところは魅せる新感線。今回は雁鉄斎の古田さんは、好き放題のやりすぎ感だけどさすが。その分、蘭兵衛の山本さん、天魔王の成河、太夫のりょうさんはちょっとこじんまりとしちゃう感じ。って言うのも、小栗さんの存在感なのかもしれないくらい、ワカドクロに続くこの役がほんと合ってる。楽しみにしていた清野菜名さんは、身のこなしが軽く切れがあって、動きのシーンにメリハリがついた元気な沙霧。やぁ。髑髏城って、ほんとに面白いですね。 このページの頭へ

No:015  エジソン最後の発明 / キューブ
Theater:シアタートラム
Date:04/16 M
Sheet:C-11
Price:\\7,500(okepi\5,000)
作・演出:青木豪
出演:瀬奈じゅん、東山義久、岡部たかし、まりゑ、安田カナ、武谷公雄、八十田勇一、小野武彦
 ここは、日本の下町。そこに、小さな工場がありました。社長は、名うての職人でありながら近所から「エジソンさん」と呼ばれている発明好きのおじいさん。妻を2年前に亡くし、しょぼくれてしまったのか、何だか気もそぞろの社長!?実は彼、発明王エジソンよろしく「死者と話す通信機器」の発明に取り組み始めていたのです。さあ、大変!何せそこは下町。「なぜ、そんなものを発明しようと思ったの?」「死んだ誰と何を話したいの?」ラジオ局に勤め人気パーソナリティとなっている娘や、父親の片腕として働いている息子や、娘の恋人や、おせっかいな近所の人々が、あれやこれやと憶測を飛ばすなか、謎の人物も現れ、てんやわんやの大騒動。さあ、事の顛末は如何に!?(キューブHPより)
 前半かなりライトな会話劇、そんな中にも伏線盛り込みつつ、後半にそれぞれのしがらみや思いが出てくる。死者と交信、念が生き残る的な、リアルとかけ離れた要素を描きながらの日常の一幕。結構台詞で説明しちゃうところはあるんだけど、今回の企画としてはそういうものなのかも、だから、豪さんの本に出てくる負の部分があまりない。その辺りはもっと小さい劇場で、昔みたいなキャストで観てみたいぁ。今回のキャストの方々は、凄く芝居の内容と合っていた気がして、観やすかったのも好印象。
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No:014  世界は嘘で出来ている / ONEOR8
Theater:ザ・スズナリ
Date:04/09 M
Sheet:D-12
Price:\3,900
客演:甲本雅裕、矢部太郎、異儀田夏葉、浅野千鶴、古屋治男、守富龍人
 2014年に劇場で観た作品。ここ近年で一番の印象の作品。
 当時観たときも思ったけど、時間と場所の違いで4つの部屋が描かれるのだけれど、それを一つのセットしかも小道具のみの変化、そして、メインの2人は基本的に衣装も変えないと言うのがかなりチャレンジな気がするんだけど、凄くうまいと思う。そして、業者との付き合いや香典、子作りの話だったりなリアルの日常側に笑いを担当させて、物語の芯はどっしりさせる構造も上手いなぁって。この中で描かれる女性は、本当のこと、正しいことや優しさばかりでは、生きていけないということを伝える役割を担わされるようだけれども、浅野さんの終盤の「そんな重いものは背負っていけないです」的な台詞がとても印象的。KAKUTA「痕跡」の異儀田さんがひき逃げの過去を話そうとする佐賀野さんに言う言葉となんかシンクロ。しばらくあの席から立ちたくなく、ずっと拍手をしていたかった作品。
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No:013  ハテノウタ / MONO
Theater:東京劇術劇場
Date:03/28 M
Sheet:B-13
Price:\4,200
客演:高橋明日香、松永渚、松原由希子、浦嶋りんこ
 ある薬の普及で100歳間近になっても若いままの人々。服用の度合いによって老け方が違うらしい。しかし共通しているのは、今年中に全員死ななければならないということだった。皆は集まり唄う。懐かしいエピソードで盛り上がる。ただ、未来のことだけは語れないのだ。 軽快な会話とオリジナルの曲で描く人間模様。大人による甘酸っぱい青春群像劇!(劇団HPより)
 客演に浦嶋さんを向かえて時点で、かなり歌を入れてくるのかなぁって思ったら、歌うの最後だけ、でも、それがもの凄く効果的。近未来もしこのようなことになったとしても、今の自分には考えられない世界。だけど、もの凄くカタルシス、心がシンクロできるのが土田さんの好きなとこなのかも。「燕のいる駅」「-初恋」「錦鯉」なんかも自分には無い設定なんだけど、最後のシーンは素敵。出だしの奥村さん、金替さん、尾方さんの3人の沈黙から始まるシーンで、もう持っていかれて、あっという間の90分。話が未来への危惧だったり、死を描いているのに、学生時代の確執や恋愛に終始して、そこからある種の普遍性を考えさせてくれるのは土田さんっぽくって凄く好き。ビバMONO。女優さんたちもMONO慣れしてきて、なじんでるんだけど、そう思うと増田記子さん、西野千雅子さんがMONOももう一度観たくなるなぁ。
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No:012  私はだれでしょう / こまつ座
Theater:紀伊國屋サザンシアター
Date:03/20 M
Sheet:8-16
Price:\6,600
作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:朝海ひかる、枝元萌、大鷹明良、尾上寛之、平埜生成、八幡みゆき、吉田栄作、朴勝哲(ピアノ奏者)
 昭和21年7月。日本はまだ混乱と困窮のただ中にあった。新番組「尋ね人」を担当する日本放送協会の一室、脚本班分室には、戦争で離ればなれになった肉親、知人の消息を尋ねる人々の"声"が積み上げられていた。「尋ね人」はこの無数の"声"をラジオを通して全国に送り届けるために始まった。占領下日本の放送を監督するCIE(民間情報教育局)のラジオ担当官・日系二世のフランク馬場と脚本班分室長の川北京子をはじめとする三人の女性分室員を中心に、組合のストライキ運動や放送用語問題も飛び交って、次から次へと騒動が巻き起こる。そこに登場した「ラジオで私をさがしてほしい」という不思議な男。なぜかは知らぬが歌もタップも武術もなんでもできる、でも自分自身がわからない男の「自分探し」を手伝ううち、ラジオ局の人びとも自分自身を見つめることになり、やがて、川北とフランクはある大きな決断をする―――。
 井上さん本も栗山さんの演出も自分の好みとの相性って良くないけど、比較的肩の力を抜いて観易い感じにだった。2幕3時間は長かったけど。笑いの部分の中心を枝元さんが担っていて、それがぴったりはまっているのは嬉しい限り。もう一人の目当ての尾上さんも熱演で、舞台好きの二人が出てたので観に行った分の元はとったかなぁ。吉田さんは、芝居への一生懸命さんが今回も好感、大鷹さんがちょっといつもと違う感じの役も良かった。今回は、戦争や戦後の占領下は背景として描かれるけど、物語の流れからすると、問いかけではなく有無を言わさず否定的視点になるこうぞうなので、してやったりなのかな。
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No:011  あたらしいエクスプロージョン / ベッド&メイキングス
Theater:浅草九劇
Date:03/12 M
Sheet:B-16
Price:\5,000
出演:八嶋智人、川島海荷、町田マリー、大鶴佐助、富岡晃一郎、山本亨
 終戦直後、映画を復活させようとする人々。今までタブーだったキスシーンを日本で初めて撮影しようと、大御所映画組みと、新進の監督。戦争での記憶や気持ち、映画への想いを持った人々の悲喜交々な物語。
 新しい劇場、ちょっと椅子が座り難いのと横幅広いのが残念だけど、正に小劇場なテイストで凄くいい。お芝居の内容も、八嶋さんの客いじりから始まって、舞台と客席の近さを体感できるし、しょっぱなから雨降ったり、引き戸みたいなセットなんかも素敵。みんな複数の役をこなすし早変わりも楽しい。あまり得意でない福原さんの本だけど、ベッド&メイキングスの芝居とこの前の月影は好きだなぁ。川島さんはちょっとつらいかな。
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No:010  ザ・ダーク / オフィスコットーネプロデュース
Theater:吉祥寺シアター
Date:03/05 M
Sheet:C-7
Price:\4,800
作:シャーロット・ジョーンズ
翻訳:小田島恒志・小田島則子
演出:高橋正徳(文学座)
出演:中山祐一朗、小林タカ鹿 、松本紀保、碓井将大、ハマカワフミエ、福士惠二、山本道子
 舞台はイギリスの典型的なテラスハウス。同じ間取りの三軒の家に、三つの家族が生活している。それぞれの家族には秘密があり、ある日突然訪れた「闇」を境に、それは徐々に明るみに出る。家族だからこそ、近しい相手だからこそ、正直に話せなかった想い。「The DARK(闇)」の中で少しずつ自分をさらけ出していく家族の、崩壊と再生の物語。
 翻訳劇はやっぱり肌に合わないなぁ。なんか心情の移り変わりがピンと来なかったり、習慣や常識の違いから来る台詞の違和感だったり、意図したウィットの意味が日本語になってそれをなさなくなってるようだったりと。紀保さん、中山さん、タカ鹿ってメンバーだから観てみたけど、ちょっとピンとこなかった。場によって同じセットを3家族それぞれの家として使っているなど、趣向的に面白いものもあったし、中山さんの懇願するような説得するシーンの演技とかも良かった。
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No:009  皆、シンデレラがやりたい。 / M&Oplays
Theater:本多劇場
Date:02/25 M
Sheet:J-16
Price:\5,500
作・演出・出演:根本宗子
出演:高田聖子、猫背椿、新谷真弓、新垣理沙、小沢道成
 とあるアイドル「りっくん」の追っかけで知り合った40代の3人組女性、りっくんの彼女がSNSにしたことで炎上。そこに3人が必要に油を注ぐと、デビューを控える彼女が押しかけてくる。駄目おとこりっくんを支えて、妊娠を告白した彼女、彼のホストのバイト、風俗通いもばらしてしまうと、女たちはそろって隠れてホスト通いをしたいたことがばれる。そして、熱を入れあげていた風俗嬢は、3人の内の一人の血のつながっていない娘。そんなこんなのてんやわんやな舞台。
 人気出るのもうなずける。今っぽい台詞でがんがん攻めて来るんだけど、本質的な部分をついてくるし、お客さんを置いてかない。機械音痴一人舞台にそえることで、「エゴサ」とかSNSのわかり難い表現をフォローしたりとか凄く上手。斜めから見た視線でぐさりとするところなんかは、ヨーロッパ企画なんかに似たものを感じた。キャラクタもバランスがいいし、その見せ所のちりばめ方も上手な感じ。筋読ませておいて(たぶん意図的)、最後に意外さのある華やなんだけどカタルシスな演出も好き。3人の女優陣はあてが気的なとこもあるんだとろうけど、もう天晴。
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No:008  足跡姫 時代錯誤冬幽霊 / 野田地図
Theater:東京劇術劇場 プレイハウス
Date:02/19 M
Sheet:A-18
Price:\9,800
出演:妻舞木聡、宮沢りえ、古田新太、佐藤竜太、鈴木杏、池谷のぶえ、中村扇雀
 江戸の時代、女歌舞伎が取り締まられている中、花形の役者出雲の阿国を中心に興行を続ける一座。そこに由井正雪と幕府を討とうとしている輩たちが現れる。由井正雪の幽霊は阿国の弟サルワカのゴーストライターとなって、戯曲足跡姫を書き、興行は好評を博すが役人が入って、役者の一人のやわはだが捕らえられてしまう。阿国とサルワカは一時身を隠すが、役人に取り付いがやわはだが戻ってきて、一座を乗っ取ってしまう。殿中での公演に呼ばれたやわはだの一座に、伝統を継ぐ本物とし乗り込もうとする阿国、そして、公演を利用して殿中に入り込む正雪のしもべたち。
 いつもより分りやすい台詞のお芝居になっているんだけど、ちょっと圧倒されるような世界観が影を潜めている感じ。世襲とか文化とか時代の変化とか色々暗示しているのかも知れないけど、オマージュと言うことでちょっとこじんまり感。最前列、役者さんの迫力はあったけど、セット全体として全く見られないのは残念。役者さんは、特に取り立ててと言う人はないけど、みんな素敵。そして、アンサンブルの人達の使いかたや、一つ間違えば下品になっちゃう衣装、メイクも凄く好感。あの現実味のない眉毛の色とか、うまいなぁって思った。
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No:007  お勢登場 / 世田谷文化財団
Theater:シアタートラム
Date:02/12 M
Sheet:I-1
Price:\6,800
原作:江戸川乱歩
作・演出:倉持裕
出演:黒木華、片桐はいり、水田航生、川口覚、粕谷吉洋、千葉雅子、寺十吾、梶原善
 江戸川乱歩の短編世界をモチーフとし、『二銭銅貨』『二癈人』『D坂の殺人事件』<本格推理もの3編>と、『お勢登場』『押絵と旅する男』『木馬は廻る』『赤い部屋』『一人二役』<怪奇・幻想もの5編>の短編小説を、1本の演劇作品として再構成した舞台。(トラムHPより抜粋)
 上段下段に別れたセットの下段側は、三つの引き出しのように部屋ができるするセット。相変わらず、倉持さんの舞台はセットでも楽しませてくれる。お勢演じる黒木さんは、ちょっと違った年代を描くんだけど、若い頃の可愛さとしたたかさ、そして、年を重ねての悪女な感じがいい具合。映像ではぞっこんの黒木さんだけど、舞台は野田さんの「南へ」以外は、いまいちピンと来なかったけど、今回はなんか凄さが伝わってきた。男性陣はそつなくこなし、女優陣が変化をつける流れにも、片桐さんも千葉さんも飛び道具に走らずきっちり魅せる。千葉さんの哀愁がたまらないなぁ。物語的にはあまり興味が湧かないけど、最後に用意された場面で後味は悪くなし。
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No:006  陥没 / シアターコクーン・オンレポートリー+キューブ
Theater:シアターコクーン
Date:02/11 M
Sheet:S-21
Price:\10,000
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:井上芳雄、小池栄子、瀬戸康史、松岡茉優、山西惇、犬山イヌコ、山内圭哉、近藤公園、趣里、緒川たまき、山崎一、高橋惠子、生瀬勝久  約50年前の日本を、空前の高揚感で包んだ東京オリンピック。それは、わずかな年月で敗戦から復活を遂げたこの国が、輝かしい成果を世界に示す晴れの舞台だった。メインであるスポーツ競技とは別のところで、道路の拡張と舗装、区画整理、さまざまな施設やビルの建設、新幹線の走行など、真新しく、立派になっていく街の様子を、当時の人々の大半は誇らしい想いで眺め、興奮したはずだ。それを機に一攫千金を目論んだ人も、実際に豊かになった人も少なくない。さまざまな向上心、野心、情熱、欲望が、工事の音ともにこの街に渦巻いただろう。だが一方で、その時代、その場所に居合わせながら、なぜか時流に乗り遅れた人々もいた。この作品は、それでも捨て切れないオリンピックとの因縁に翻弄される人々の群像劇である。(コクーンHPより)
 いきなり幕開きの雨のからクレジット映像までのマッピングにやられる。なんなのあのかっこ良さ、今回は二階、中二階のバルコーニーの壁まで使った映像は必見。「キネマと恋人」続きの恋愛物と意外性も。ここのところ大活躍の小池さんは、贅肉削った感じの演技(演出?)だけど、緒川さんとの掛け合いなんか至福。イヌコさんの悲哀、生瀬さんの狡猾さ、山西さんの純朴さ、山崎さんのとぼけた感じ、山内さんの威圧と矮小さ、そういった手連れの役者さんたちの中で瀬戸さんがいい味出してたなぁ。ちょっと前だったら、大倉さんやみのすけさんの信頼できる役者さんに振った役だと思うけど、ケラさんの冒険?にきっちり答えたんじゃないかな。趣里さんは初めて観た時はどうだろうって思ったけど、どんどん舞台役者っぽくなっていっている。神様が連れ戻しに来る設定やほれ薬なんて、一つ間違えば大怪我しちゃいそうなものを陳腐に魅せないのもうまさだよな。当初東京オリンピックに翻弄される人々を描くと言う触れだったけど、開催前に亡くなる父とそれを利用する男と言う以外は恋愛物だったので、もうちょっと群像劇っぽさを期待したかな、あまりにも贅沢な注文だけど。
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No:005  鯨よ!私の手に乗れ / オフィス3〇〇
Theater:シアタートラム
Date:02/05 M
Sheet:J-16
Price:6,800
客演:銀粉蝶、木野花、鷲尾真知子、久野綾希子、広岡由里子、桑原裕子他
 東北の山村の養護施設、昔、劇団をやっていた女性たちが入所していて、もう一度舞台をやろうと稽古を始めていた。過去に訳ありだった台本は、残りの部分が破り捨て去られていた。入所者の一人の娘は、東京で劇団を主宰している有名女優で、一念発起し残りの脚本を仕上げることに。朦朧とした女性たちの記憶と、今がクロスオーバーして舞台が織成される。
 あまり足を向けようと思わなかった渡辺さんの舞台だけど、バラちゃん出るので観てみた。比較的入り込みやすいけど、劇中劇中劇になっている構造とか、話の芯がつかみにくかったかなぁ。女性蔑視的なこともストレートにかかれてたけど、この舞台のキャストや客席を観ても、今や女性が社会や経済を動かしていると言ってもいい部分はあるのでなんかピンと来ない。バラちゃんは、還暦の劇団主宰の女優(渡辺さんを暗示?)を演じて、KAKUTAに比べて抑えながらも大奮闘。それにしても、贅沢な女優陣。
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No:004  エキスポ / トローチ
Theater:赤坂RED/THEATER
Date:1/29 M
Sheet:D-5
Price:\4,500
作:中島敦彦
演出:青山勝
客演:山野史人、前田こうしん、山口雅義、石橋祐、宮地大介、細見大輔、永山智啓、遠藤弘章、浅野千鶴、納葉
 2004年道学先生によって初演された舞台。2012年ハイリンドによって上演されたものを自分は観劇している。
 当時も結構面白いと思ったけど、今回はより面白く感じた。手練の役者さんたちもあり、2時間以上の舞台だけどあっという間だった。母の葬儀の家族の物語で、母親は出てこないのだけれども、その姿がはっきりと想像できる。同級生同士と言う設定の葬儀屋の永山さんと出戻りの長女の浅野さんのシーンが自分にとっては気持ちとしてシンクロしているのか凄く素敵に思えた。全体的に、役と年齢が会っていない人が結構いるのは残念かな。細見さんの使い方なんか、超贅沢。
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No:003  世界 / シアターコクーン・オンレパートリー
Theater:シアターコクーン
Date:1/22 M
Sheet:B-20
Price:\10,000
作・演出・出演:赤堀雅秋
出演:風間杜夫、大倉孝二、梅沢昌代、青木さやか、鈴木砂羽、早乙女太一、福田転球、和田正人、広瀬アリス
 千葉県船橋市。郊外のうら寂れた一角のとある家族を中心とした物語。足立家の人々。誰彼構わず噛みつく父・義男(風間杜夫)は工場を経営しているが、実質は息子の健二(大倉孝二)にまかせている。愚痴や噂話を喋り続けるばかりの義男の妻・節子(梅沢昌代)は、ある日突然に離婚を切り出し、家を出る準備を進めている。健二は8年前に妻・美紀(青木さやか)と結婚したが、スナックのママ宏子(鈴木砂羽)と浮気中。自宅に隣接する工場では、義男が知人の親に頼まれ、預かった引きこもり青年・辺見(早乙女太一)と、工場同様くたびれた風情の服部(福田転球)が働いている。彼らが仕事終わりにたむろするのは、宏子と夫・坂崎(赤堀雅秋)が営むスナックである。一方、美紀のパート先であるスーパーの店員・諸星(和田正人)は風俗嬢のあずみ(広瀬アリス)に片思いをしている。親子の確執、夫婦の問題、浮気、離婚、嘘など様々な波紋が広がっていく中、逃れられない小さな人間関係の機微、生々しい日常は、細い糸で結び合い絡まって・・・(コクーンHPより)
 前回のコクーンで自分にとって遠くに行っちゃったかなと思った赤堀さんの作風が戻ってきてくれた感じ。暴力や狂気は表に出てこないが、ほんとに日常になる小さな家族やコミュニティーの葛藤、すれ違い、苛立ち、愛情そういったものを丁寧に描いていた。そして、終盤でそれを昇華させて、シャンプーの作品よりもよりカタルシスな感情を呼び寄せた、小屋が大きくなったコクーンなのに。場面を区切った回転舞台で、こじんまりちまちますることなく、シーンをコラージュさせたことによって、上手に小さな空間を表現した感じ。早乙女さんの使い方なんかは、ニヤリだし。青木さんの細かで丁寧な演技は関心。そして、なにより大倉さん、風間さんと対峙するときの終盤なんかの色んな感情がごちゃ混ぜになっちゃうような場面の演技は秀逸。みんなどこかで他人に寄りかかりながら、生きている人達でその中の一番依存度が強い母の離婚、別居という老いてから日常からの脱皮が家族を動かし、その人達を描き物語を紡いでいくことで繋がりと言うものを考えさせてくれる舞台。赤堀さん、戻ってきてくれてありがとう!
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No:002  ユー・アー・ミー? / ラッパ屋
Theater:紀伊國屋ホール
Date:1/21 M
Sheet:Q-15
Price:\4,980
客演:松村武、谷川清美、ともさと衣他
 「ユー・アー・ミー?」は、サエないサラリーマンのおっさんが、キャラ変したもう一人の自分に出会う物語。ヤツは自分よりカッコよくて出世している。「人生はつくるものだよ。君はまだ何者にもなっていない」なんてふざけたことを言う。サエないおっさんは反発しながらも一念発起、キャラ変にトライしてみるのだが・・。深ーいような、馬鹿馬鹿しいような、大人のお伽噺。(ラッパ屋HPより)
 ちょっとパラレルワールドな世界と言うテイストでいつもとちょっとだけ違うのに、やっぱりラッパ屋。馬鹿笑いしながらも、シニカルになったり、ほっこりしたりと、上手にくすぐる。同じサラリーマンにとって、共感やグサッとくる台詞もいっぱい。劇場にいる時間がほんとに素敵な時間に思えてくるこの劇団、いつまでも続けてほしいなぁ。
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No:001  豚小屋 /
Theater:新国立劇場 小劇場
Date:1/8 M
Sheet:D2-10
Price:\6,500
作:アソル・フガード
翻訳・演出:栗山民也
出演:北村有起哉、田畑智子
 軍より脱走して10年。パーヴェル・イワーノヴィッチ(北村有起哉)は湿っぽくうすら寒い家畜小屋で、豚と隣り合わせに暮らしている。「戦勝記念の日」、その場に出て自分の存在を明らかにしようとするパーヴェル。しかし着ていくつもりだった軍服がぼろぼろだ。そこで、妻・プラスコーヴィア(田畑智子)に未亡人として出席するよう頼む。どちらにしても二人が「この場所」を出る事は危険であり、この先の運命がかかっているのだ。長い長い時が流れた。美しい蝶が舞い込み、それを豚が食べる。その豚をパーヴェルが殺す。外の空気が吸いたい!パーヴェルは女装し、二人は夜中の町に出る。風・大地の匂い・満天の星・コオロギさえも二人にとっては感動なのだ。そしてもっと先まで…あのポプラの木の先に…。「結婚式の時に着たあんたのスーツ、いつかきっと必要な時が来るかもって気がして」(新国立劇場HPより)
 二人芝居なので、心の動きみたいなもが細かく伝わらないと面白みが出ないんだと思うんだけど、いまいち状況にシンクロできないからなのか、それが伝わらない。北村さんの心が病んでゆく演技と、ラストの影の演出は素敵で、二人のその立ち姿も素敵。コメディ部分も作られてるんだけど、なんか空回りな気がして、そこが自分と合うと観やすくなるのかなぁ。
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