サンホラ考察メモ


■Elysion
〜楽園幻想物語組曲〜
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これを初めて聴いた時に大抵の人が矛盾点等を細かく考えずに最初に思い浮かべる式は

3(男、女、Yield娘)-1(男or女)+1(仮面の男)-2(仮面の男、Yield娘)

になるのではないでしょうか。勿論私もそう考えました。最後に現れたのは仮面の男、という言い方は、例え仮面の男の登場が数式の後であったとしても最後に現れた(数式に+された)のは仮面の男だという意味合いで考えても問題ないと思いますので、これで一応は一つの解釈が出来るのです。…首が二つ飛んでいるジャケ絵がなければ。

ここで「ジャケ絵はyokoyan氏解釈のものだから厳密に考えなくてもOK」という方向には行けません。何しろこの妄想ページを作るきっかけになった「Moiraにオルフェウスがいて冥府へ行った」という解釈の根拠が他ならないMoiraのジャケ絵だからです。オルフという名前だけではオルフェウスとは限らないし、魔女とラフレンツェの旋律だけでは冥府の象徴なだけかもしれない。それに絵がなければMoiraの物語としては冥府に行ったのはエレフであると考えるほうが自然でもあります。というわけで絵も考慮して二人の首が飛んだとして考えていきたいと思います。

まず、Yierd娘は誰を殺したのでしょうか。「もぎ取れないのなら刈り取ればいい」という歌詞からは、(男を)手でもぎ取れないのなら(男を)鎌で刈り取ればいい(殺されたのは男)と、(男を)もぎとれないのなら(邪魔者を)刈り取ってしまえばいい(殺されたのは女)という2つの解釈が出来るのですが、「二人の♀(おんな)一人の♂(おとこ)一番不幸なのは誰?」というくだりがあります。不毛な恋をするYield娘、恋人(夫)の浮気(不倫)を知らない女、この2人は不幸でしょうが、ここで一見不幸そうでもなんでもない男(Yield娘がストーカーなどの迷惑行為をしていたと見られる描写もありません)も選択肢に入るのは何故か、それはその直後にある「落ちた果実...転がる音 余剰な数字...引かれる音」で引かれているのが男だからだと考えられます。浮気(不倫)の果てに殺された(自業自得ではあるが)不幸な男ということです。他にも「嗚呼...でもそれは首じゃないか...」という嘆くような歌詞や、他の4曲では全ての主人公が(Scrificeは間接的にですが)自分の手で愛する人を死なせてしまっていることから考えても、首を刈り取られたのは男ということになるでしょう。ジャケ絵でも男とみられるシルエットの首が飛んでいますし、このことから引かれたのが1人であろうと2人であろうと(2人という解釈で進めていますが)少なくともその中に男が含まれていると考えます。

Yield娘が恋人(妻)のいる男に恋をし、一夜限りの情事(ゆめ)を見る。変わらぬ過去は男に恋人(妻)が現れる前に出会えなかったこと、訪れぬ未来は結婚という未来がないことという解釈をすると男には恋人ではなく妻がいて不倫の関係を持ったと見るほうが自然かもしれません。相手が恋人でも夫婦でも解釈に違いが出てくるわけではなさそうですのでそのあたりはどちらでも構わないかと思います。そして「それをも女は永遠に出来るから」「凍える夜は夢を見るの夏が過ぎれば想いが実る」という歌詞から子供を身篭ったことが分かります。ここまで見るとYield娘は子供を産めば満足なように見えます。子供と彼の思い出と一緒にひっそり生きていこうと思っていたのか子供が出来れば男を奪えると考えていたのかはわかりませんが、少なくとも子供さえ産まれればなんとかなると考えていた様子です。しかしその後何故か首を刈り取りに行っています。私はそれを子供を産めなかったか亡くしてしまった(もしくはそもそも出来ていなかった)と考えます。子供が生まれたのなら数字は4、もしくはまず3+1という式になる筈ですし、3-1+1-2の-1が男or女、+1が子供だとすると子供が生まれる前に決着を着けようとしたことになり、じっと実りの秋を待っている様子と矛盾します。Yield娘が「子供が生まれれば満足」だと思っていたとしても「子供をダシにして男を奪おう」と考えていたとしても、子供が生まれる前に刈り取るとは思えないのです。

ここまでを数式に表すとこうなります。

3(男、女、Yield娘)-1(身篭って身を引いたYield娘)+1(子供を手に入れられなかったYield娘)

あれ、この後2人の首を刈れば-2になって数式完成?と行きたいところなのですが、

落ちた果実...転がる音 余剰な数字...引かれる音
彼らが立ち去った後 荒野に取り残されるのは誰──

この部分の説明がつきません。男女2人が死亡すれば誰も荒野に残らないことになりますし、ここで引かれた余剰な数字は「(3)...不安定な数字(3-1)...模範的な数式」から考えて-1の事でしょう。2人引いてしまったら3-2になってしまって模範的ではないですし、それでは余剰な数字を引いたとは言えません。しかしこれは余剰な数字を引いた「音」なので、実際に引かれた「数」とは違っている可能性はあることになります。また、Yield娘が「模範的な数式」を作ったとは限りません。余剰な数字を引いた後、もう1つ引いてしまった。Yield娘は自分を収穫してしまったのではないでしょうか。これなら模範式を作れなかったという意味でも収穫するべきものを誤ったという意味でも「収穫を誤った娘」ということにもなりますし、男女を引いてしまった場合のように、荒野に誰も残らないということはありません。更に収穫音や落ちた果実の音が一つ分しかないということも、自分の音なので聞けなかったという説明もつきます(まあ落ちた音は聞こえなくても収穫音くらいは聞こえそうなのですが…)。また、他のABYSS曲には主人公の生死の描写はありませんがStarDustの「孤独な亡霊」という歌詞からStarDust娘が既に死亡していると考える事も出来、少なくとも仮面の男が連れて行く少女はその時点で死んでいても問題はないということになります(勿論全員が既に死者であるという可能性もあります)。

そしてYield娘が自殺したということになると

嗚呼...お父さん...お母さん
「──それでも私は幸せになりたいのです……」

ここが生きてきます。「嗚呼...お父さん...お母さん」というセリフが唐突に出てきた為に、相手の男女は両親なのではないか(父親に恋をしたのではないか)という説があります。そうだとするとなんともいい感じに悲惨なのですが、そうでもそうでなくても矛盾する描写は特に無いことと、不倫の挙句子供を亡くし、これから決着をつけにいく少女が、寂しさや心細さから自分を愛し育ててくれた両親を「お父さん…お母さん…」と想うことは特に不自然でもなんでもないと思うので、両親かどうかという解釈は好みの問題でいいのかなと思っていました(私は否定派)。しかし、この「自分を収穫した」説を採用すると「勝手なことをしてごめんなさい。それでも私は幸せになりたいのです」という意味になり、このセリフの必然性がぐっと増すのです。

一つ問題があるとすればジャケ絵の「テーブルについている男女」を男とYield娘だと考えなければならない点でしょうか。他の曲の絵を見ても背景に本人がいるものは無いようですのでやはりYield娘の絵の男女はYield娘を除いた男と女だとする方が自然なのは確かです。ABYSSサイドの絵で、Ark娘の絵から監視卿がいなくなっていたりStarDust娘の絵から見知らぬ女(であろう人物)がいなくなっている(殺していないから)ので、男と自分を殺した(と考えるなら)Yieldの場合はテーブルについているのがElysionサイド→男と女、ABYSSサイド→男とYield娘ということになると思います。そうなると自殺(?)したStarDust娘が背景にいないのが気になってくるんですが…体格からして男性が胸を抑えて手を挙げているような絵ですしね。その上にある「伸ばした手」の描写を彼女自身と見ることも出来る、かな?他の曲全てが恋愛感情によるものであるのにSacrificeだけが姉妹愛であったりするので、統一性というものにはそこまで拘って考えなくてもいいのかもしれませんが。

とりあえずは私の結論は

3(男、女、Yield娘)-1(身篭ったYield娘)+1(子供を失ったYield娘)-2(男とyield娘)=1(荒野に取り残された女)

ということになります。相手の男女を両方殺すよりは、一緒に死んでという感じで理解でき…なくもないですよね。

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