サンホラ考察メモ


■Elysion
〜楽園幻想物語組曲〜
 ├ はじめに
 ├ ループ考察
 ├ 箱舟
 ├ 3-1+1-2
 ├ 盲目のうちに
 └ 肩に座る少女


■Chronicle 2nd
 ├ はじめに
 ├ クロニカとノア
 ├ ルキウスとイリア
 ├ ルキア
 └ 書の魔獣

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何故ルキアは「黒の御子」なのでしょうか。御子とは「神の子」という意味です。そして「黒の」御子という表現から考えるに、ルキアは黒の教団に於ける神の子である、ということになるのでしょう。黒の教団の「唯一神」と言えばクロニカですが、彼女は外見はルキアと同じ年頃の少女のようで子供や子孫がいるというイメージからはかけ離れていますし、少女人形の少女であるのならば尚の事、子供のいた可能性は少ないでしょう。だとすると消去法でルキアはノアの直系の子孫なのではないかと考えることができます。ノアだって人の子、若い頃は恋もするでしょう。クロニカを見つける前にも色々な人間との出会いがあったでしょうし、「樹氷の君」と「少女人形」は頁も離れているので、クロニカと会った時にはノアが結婚し、子供が出来、成長し、妻も、子供も、その子供も、その子供も亡くなって何代も後の子孫がいる程に時間が経っていてもおかしくありません。

クロニカと出会って彼女を終焉の洪水から保護することになった時に自分の直系の子孫の一部が孤児であることを知り(厳しい世界だったようですし子孫も増えていそうですので居ても不自然ではないでしょう)、その子とついでに他の孤児もまとめて引き取り、養育したことが黒の教団の始まりで、その後もそうして孤児を引き取りながら信者を増やしていったのではないでしょうか。その時に保護した直系の子孫がイリアで、イリアが死亡した今、黒の教団の中でノアの直系の子孫はルキア一人になるのでしょう。私の解釈ではルキウスは雷神の民ですので(ルキウスとイリアの項参照)、邪神と戦うべき雷神の末裔でありノアの直系の子孫でもあるルキアですから「黒の御子」にこれ以上相応しい人材もいないのではないかと思われます。

そしてルキアがノアと血の繋がりがあるということでとても大事になってくるのが

「やはり血は争えぬということか」

これです。このセリフに含まれている意味がとても深い物になってくるのです。ノアはルキウスやイリア、ルキアの眼に昔の自分を見ているのかもしれません。



書の魔獣の最後に流れる「我々を新世界へと導くあの音」がChronicle 2ndに収録されている曲の逆再生であるということは多くの人がご存知でしょう。その部分をもう一度逆再生したものをネット上で聴いたのですが、辿りつく詩→約束の丘→薔薇の騎士団→聖戦と死神第二部→第四部→沈んだ歌姫→海の魔女→碧い眼の海賊→雷神の系譜→書の魔獣となっていました(もちろんこの逆再生が流れているわけですから実際聴く順番は逆なのですが)。すぐに分かった方もいるでしょう、これは歴史の順番にはなっていません。ブックレットと見比べれば分かりますが、「Chronicle 2ndに収録されている曲順に巻き戻っている」のです。普通なら歴史順に繋げようとするところを敢えて収録順にしたのは何故なのでしょうか。

「幻想物語組曲 Chronicle 2nd 其れは 歴史を辿る少女と世界の物語」

殆どのキャラクターをあらまり嬢が演じながら、全く同じ調子の声のキャラクターは存在しないこの作品内に於いて、この「黒の予言書」冒頭のセリフの声は「書の囁き」で登場するクロニカの声に酷似しています(「Chronicle 2nd」の部分は違う声ですが)。これがもし誰でもないタイトルコールのようなものであるなら、それぞれの曲冒頭のページをめくる時やナレーション時などの、誰ともつかない声を使えばいい筈です。わざわざクロニカにそっくりな声を出すということは、これはクロニカである可能性が高いのではないでしょうか。クロニカだとすれば、全ての運命を知る彼女が一番最初に教えてくれています。この物語は「歴史を辿る少女と世界の物語」であると。収録順をルキアが歴史を辿った順番なのだとすれば、「Chronicle 2nd」という物語は、第一巻1Pから第二十四巻1024Pまで続く「年代記」ではなく、「ルキアが歴史を辿って見てきた世界の物語」なのではないでしょうか。

ルキアの登場する曲は2曲、「黒の予言書」と「書の魔獣」ですが、書の魔獣には「第二十四巻1023頁」という存在する記述であるのに対して「黒の予言書」は歌詞の内容からルキアの心象風景である可能性が高く、記述としては存在していないようです。「歴史を辿る」とは具体的にどういうことなのかというと、恐らく実際に歴史を見てくることなのではないでしょうか。そんなことが可能なのかはわかりませんが、黒の予言書の記述ではない歴史を知る為には「実際に見てくる」以外に方法は無いでしょう。またノアの「お帰り」は「逃亡」にかかっていると思われるので逃亡=歴史を辿ると見ることができると思います。

ボクらは世界を識っていた...ボクらは歴史を識っていた...
ボクらは未来を識っていた...本当は何も知らなかった...
ボクらは世界を知りたいんだ...ボクらは歴史を知りたいんだ...
ボクらは未来を知りたいんだ...今からそれを見つけるんだ…

ここは「我々は黒の予言書で歴史を知識として識ったつもりになっていたが本当の歴史を知らなかった」という意味で、「今からそれを見つけるんだ」というところからルキアの「歴史を辿る物語」が始まったのだと考えています。つまり時系列としては「黒の予言書」は「書の魔獣」の時だということになります。そして「黒の予言書」の冒頭のノアのセリフ「いつでも掛かっておいでなさい」はルキアの記憶とは考えられないでしょうか。ルキアも旧世界→新世界を繰り返しているなら覚えていても当然なのですが、少し別の解釈をしてみます。

CDの収録曲順に巻き戻っているのはルキアが「辿った歴史」を巻き戻しているのではないかということは先程言いました。「今からそれを見つけるんだ」で旅立ったルキアが戻り、魔獣は既に復活していて洪水が起こる。これが巻き戻るわけです。ひょっとすると「Chronicle 2nd」という物語はルキアが第二十四巻1023頁を延々とループする物語なのではないかということも考えられます。逆再生は洪水で巻き戻ったのではなく、洪水が起きてしまった為に巻き戻された(恐らく白鴉に)。ルキアがノアではなく真の敵(魔獣)に気付くまで延々と続いていく…。

逆再生が収録曲順だったので理由を考えてたらこんな解釈に辿りつきましたが、これだとクロセカの世界自体は特にループしてなくても問題無いことになって殆どの考察がやり直しになりますし、さすがにちょっと無理がありますねー。

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