十干(じっかん)とは、五行(木・火・土・金・水)にもそれぞれ陰陽があると言う考え方から、五行と陰陽を組み合わせた十個の要素(2×5=10)ことであり、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の事を指します。
古代、中国の王朝である殷では、太陽が10個あり、それぞれが10日で一巡りするとされていました。これらに名前を付けたのが十干の始まりであり、元々は日を表す記号だったのです。ここに陰陽五行の思想が後世に当てはめられ、現在の理論となりました。
十干も『陰陽や五行』と同様にあくまで抽象的表現に過ぎないので、
甲(陽の木)も、勢いのある木=大樹と称されても、大樹ではありません。
乙(陰の木)も、緩やかなる木=ツタと称されても、ツタではありません。
以後も同様の事が言えます。
陽 | 陰 | |
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木 | 甲(きのえ・こう) | 乙(きのと・おつ) |
火 | 丙(ひのえ・へい) | 丁(ひのと・てい) |
土 | 戊(つちのえ・ぼ) | 己(つちのと・き) |
金 | 庚(かのえ・こう) | 辛(かのと・しん) |
水 | 壬(みずのえ・じん) | 癸(みずのと・き) |
十干にも五行と同じく相生・相剋の法則があります。ここに陽は強く、陰は弱いという法則が加わります。
具体的にいうと、
相生 | 甲→丙は大きいエネルギーを生む | 乙→丙は少ないエネルギーを生む |
相剋 | 甲→己は大きいダメージを与える | 乙→己はそれなりのダメージを与える |
つまり、陽の相生はより強く、陰の相生はそこそこです。陽の相剋はより強く、陰の相剋はそこそこです。
また、陽は陰は相剋が出来ても、陰は陽に歯が立たたず、陰のみが疲弊する法則があります。
相剋 | 甲→戊はダメージを与えられる | 乙→戊はダメージを与えられない |
相生は生んだ側(甲→丙では甲)は自身のエネルギーは消耗することで相手にエネルギーを与え、相剋においても攻撃される側だけでなく、攻撃した側(甲→戊では甲)もエネルギーを失っている、ということも覚えておいて下さい。
雑論
十干には更に、二つの要素が組み合わさる事により新たな作用が生まれる『干合』、それぞれが方位を表す、などが市販の本には書いてありますが、あくまで陰陽と五行の要素、そして時間による変化のみが絶対であり、相生および相剋以外は全て不要の理論となります。ここは極めて重要です。
近年、吉方を向いて巻き寿司を食べる恵方巻きなるものがありますが、これも十干には一切不要な方位理論をこねくり回して導き出した俗説に過ぎず、ただの縁担ぎ程度とお考え下さい。動物占い、大殺界、天誅殺なども同様のことが言えます。
以上が十干の簡単な説明となります。