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系統解析の参考書

作成:仲田崇志

更新:2009年06月17日




系統解析の理論的背景などを解説した参考書・教科書を集めてみました。 初心者向けの簡単な解説から深く掘り下げた資料まで,必要に応じて参照してみてください。

系統樹の一歩目

  • 奥山雄大 および 川北篤 in 共進化の生態学: 生物間相互作用が織りなす多様性 (横山潤 および 堂囿いくみ 編) 313-340 (文一総合出版, 東京, 2008).

    系統樹を学び始めるとき,おそらく,最尤法,近隣結合法,ブートストラップ確率,など聞き慣れない用語の山に戸惑うはずです。 そんな予後の意味をまずは簡単に意味を知りたい,という場合に参考になります。現在の系統解析で出てくる基本的な概念や用語, 問題点などが簡潔に紹介されていますので,一読すれば系統解析のイロハがわかった気になれるはずです。

  • Hall, B. G. Phylogenetic Trees Made Easy: A How-To Manual, 3rd Edn. (Sinauer Associates, Sunderland, 2007).

    理屈がわかっていても手段を知らなければ系統解析は出来ません。分子系統解析は一般に大量のデータを扱うので, コンピュータプログラムの利用は欠かせません。現在では ClustalX,PAUP,Phylip,MEGA,MrBayes など, 幾つかの代表的なプログラムが利用されていますが,本書では MEGA,PHYML,MrBayes を使用した系統解析の基本を紹介しています。

  • Hall, B. G. Phylogenetic Trees Made Easy: A How-To Manual, 2nd Edn. (Sinauer Associates, Sunderland, 2004).

    Hall (2007) の旧版。最新版では MEGA や PHYML を用いた様々な系統解析の方法を紹介していますが, 現在でも使用者が多く,汎用性も高い PAUP の使用法は紹介されていません。 第 2 版では PAUP を用いた様々な系統解析のやり方が解説されているため,PAUP を使いたい方は第 2 版を入手しましょう。 なお,第 2 版でも MrBayes の使用法が紹介されていますが,MrBayes はその後,大きく改定されたため, 使用法は第 3 版の方を参照した方が良いでしょう(「きまぐれ生物学」でも紹介していますが)。



  • 系統樹をしっかり正確に学びたいなら

  • 根井正利 および クマー, S. 分子進化と分子系統学 (培風館, 東京, 2006).

    原題 "Molecular Evolution and Phylogenetics"。表題通りの内容の教科書。 分子系統解析の背景でもある分子進化の理論が解説されていて,系統解析の原理がよく理解できます。 ただし題からもわかるように,系統解析の手法よりも分子進化の解明に関心が向いているのが特徴です。 なお,原著の出版時(2000 年)にはベイズ法による系統推定は広く使われておらず,邦訳で加筆されています。

  • Felsenstein, J. Inferring Phylogenies (Sinauer Associates, Sunderland, 2004).

    題の通り,系統推定の教科書です。大変優れた内容になっていて,ベイズ法を含めた系統解析法がよく説明されています。 系統解析の基本を一通り勉強するのに最適の教科書と言えるでしょう。根井 および クマー (2006) と比べると, より解析の理論的な背景を丁寧に解説しているようです。一方で実際の分子進化の例などがあまり比較されていないため, 生物学の面白さにはあまり触れていないとも言えるでしょう。



  • 系統学の深みにはまるために

  • Yang, Z. 分子系統学への統計的アプローチ: 計算分子進化学 (共立出版, 東京, 2009).

    原題 "Computational Molecular Evolution"。本書は Felsenstein (2004) を踏まえて, さらに詳細な系統学上の統計解析を学ぶための本となっています。 論文などに登場する耳慣れない新しい解析手法なども,本書で丁寧に解説されているものがあります。 Felsenstein (2004) で記述がない事柄やより深く学ぶためには大きな助けになるでしょう。



  • ちょっと古いですが

    (以下は出版後 10 年以上が経過した関連文献です)

  • 上島励 in バイオディバーシティ・シリーズ 1: 生物の種多様性 (岩槻邦男 および 馬渡俊輔 編) 54-87 (裳華房, 東京, 1996).

    系統解析のイロハを紹介した,奥山 および 川北 (2008) と同様の主旨の解説。 特に図を用いた丁寧な解説がわかりやすいが,ベイズ法による系統推定が出現する前なので,別に勉強が必要です。

  • Swofford, D. L., Olsen, G. J., Waddell, P. J. & Hillis, D. M. in Molecular Systematics, 2nd Edn. (eds. Hillis, D. M., Moritz, C. & Mable, B. K.) 407-514 (Sinauer Associates, Sunderland, 1996).

    系統解析の基本的事項の詳細な解説です。Felsenstein (2004) に近いところもありますが, 特に分子進化モデルの詳細など,基本事項の解説に力が入っていて,有用です。

  • 長谷川政美 および 岸野洋久 分子系統学 (岩波書店, 東京, 1996).

    分子系統の基礎を学べる教科書。実例も多用されており, 特に後半では分子系統解析によって明らかになった様々な成果が紹介されています。

  • 宮田隆 編 分子進化: 解析の技法とその応用 (共立出版, 東京, 1998).

    分子進化の研究を扱った教科書。分子系統解析についても特にページが割かれているが, 全体的には分子進化の研究が主として扱われている。


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