テリー・ギリアム(Terry Gilliam)

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 上記作品の監督、といえば、知っている方も多いかと思います。
 上記以前に『ジャバーウォッキー』(77年:マイケル・ペイリンが主演)、『バンテッドQ』(81年:脚本をマイケル・ペイリンと共同執筆。出演者にジョン・クリーズ)があります。

  TVシリーズでは、 主にアニメーションを担当。出演時にははキワモノ的な役どころが多数。妻を失ってオカマになった男とか、頭にテンを刺した男、人間リモコンに、物凄い勢いで缶詰のマメを食べる少年とか。

 映画『ホーリー・グレイル』の監督をテリー・ジョーンズと組んでやりましたが、『ライフ・オブ・ブライアン』では美術監督を担当、『人生狂騒曲』の 冒頭部、『クリムゾンは荒野をめざす』では、監督をしています。

 テリー・Gの初監督作品となる『ホーリー・グレイル』の、もう一人のテリーとの共同監督は、随分と波乱含みだったようです。共同監督をすることになったのは、テリー・Jのほうがテリー・Gのビジュアルセンスを買って言いだしたこと。しかし5週間で仕上げなければ成らない低予算映画の監督は、二人にとってかなりの大仕事になりました。

 仕事が始まるまでは意見が一致していたかのようだった二人でしたが、撮影が始まると、テリー・Gはビジュアルにこだわり過ぎるほどこだわったのに、テリー・Jはネタの演出ほうにこだわったので、まず監督同士の意思疎通に問題が出てきました。さらに、ジョンとグレアムの二人と、テリー・Gは衝突することになります。

 テリー・Jによると、「みんなの怒りは主にテリー・Gに向けられていた」そうです。コメディなのだから太陽の位置よりも面白いネタのほうを優先するべきだ、という考えと、テリー・Gのビジュアルへのこだわりが衝突したからで、主にジョンと対立することが多かったようです。監督二人の間にも不協和音が流れはじめ、結局2人は日替わりで監督をするという解決方法を見出したようです。マイケルは、「彼は我々との人間関係を一から作りなおさねばならなかったんだ」と言っています。アニメ担当でほかのメンバーほど頻繁に会議に出ていたのではない彼は、ほかのメンバーほどグループのチームワークを重んじる準備が整っていなかったようです。

 ニ作目の『ライフ・オブ・ブライアン』で2人のテリーは、各々の得意分野に別れて監督をすることになります。この映画は非常に和やかな雰囲気の中、製作されたそう。というわけで、大きな騒動を巻き起こすことになるこの作品の撮影は、メンバーの誰にとってもいい思い出の残るものになったようです。
 最後の全員揃ったパイソン映画、『人生狂騒曲』では2人のテリーは完全に違うパートに別れて、監督をすることになりました。

 唯一のアメリカ人。アメリカの大学、オキシデンタル・カレッジで政治学を専攻していたそう。実は医学部に入学し、そこから美術に転向したりした末に、政治へ行ったそうです。
 学内のユーモア雑誌の編集をしていました。
 アメリカ時代、映画産業に身を置きたいと考えたものの、金のためだけには働かない決意をしていた若き日のギリアムは、劇作家兼演出家のモス・ハートの自伝を読み、自分もニューヨークへ行かなくてはと考え、ニューヨークで唯一の知り合い、「ヘルプ!」誌の編集者を頼って故郷を出奔し、1962年から同誌が終刊になる65年までそこで働きました。この時代に仕事の関係で、ジョン・クリーズやグレアム・チャップマンに出会っています。ちなみにこの頃、ウディ・アレンとも一緒に仕事をしているそうです。

 「ヘルプ!」誌勤務時は、米国はベトナム戦争のさなか。徴兵忌避のために洲軍に所属しました。同誌が廃刊の憂き目にあいそうになっていた頃、ギリアムは半年間、ヨーロッパをヒッチハイクで旅行したのですが、その時にイギリスへ渡ったのではなく、帰国後、数ヶ月を経た頃に起きた、戦争や人種差別主義的な理由で起きたワッツ地区暴動にアメリカに対し嫌気がさして、ガールフレンドと渡英。

 イラストレーターとして仕事をしていたが飽きがきており、ジョン・クリーズを訪ねて仕事を紹介して貰い、テレビ界に進出。その後、テリー・ジョーンズとマイケルペイリンのコンビ、エリック・アイドルの出演する、大人の間でカルト的な人気を誇っていた子供向けの番組で、アニメーションを担当しました。

 テリー・Gは、映画製作とメンバーについて、「製作現場は戦場のようだった。揃いもそろって強烈なエゴを持った人間が、1つの仕事をしようとしているんだからね。(中略)ただしメンバー全員が、お互いのことを優秀だと思っていたのは確かだ。嫌いだと思っているかもしれないけど、リスペクトし合ってはいるんだ」と言っています。

参考資料
「モンティ・パイソン大全」
「モンティ・パイソン・スピークス!」
「パイソン・ナイト」
「テリーギリアム映像大全」  など