佐伯 知子さん

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ロサンゼルス当事者交流交換プログラムに参加して        

プロジェクト リターン ザ・ネクストステップとの出会いは宇田川健さんと奥さんが発信しているホームページ‘うだちゃんに関係のあった人々’であった。やどかりの里が7年前にはじめた交流なのだが、3年前から宇田川さんが引き継いで行っている。当事者のエンパワーメントの為に行っているのだ。毎年日本から当事者がロスに行き向こうの当事者も日本に迎えている。秋吉光男基金(カリフォルニアの精神保健福祉協会)からホテル代等が支払われる為、自費は成田までの交通費と航空券代だけで行ける。自分の体験と日本の精神保健福祉サービスについて日本語で5分か英語で10分程度のスピーチが行える事が条件だった。ボランティアの鈴木さんに手伝ってもらい英語での文を完成させ応募したところ当選した。3人の募集だったが応募者は10人程度ということだった。日本からは宇田川さんが通訳として、福岡の男女、奈良の男性、と私が参加した。

プロジェクトリターンザネクストステップとは、1980年に創設されたプロジェクトリターンから発展した組織である。はじめプロジェクトリターンはロサンゼルス郡精神保健協会スタッフの指導下にあったが、ネクストステップはさまざまなレベルの障害者がスタッフとして運営している。トップであるビルコンプトンの貢献によるところが大きいようだ。メンバーがクラブエイド、ディレクター、マネージャーとしてもちろん有給で働いている。当事者が当事者の為に運営している組織なのである。

  2004年10月29日()〜11月9日()までの12日間の日程だった。多くの日程をロングビーチで過ごした。インオブロングビーチというこじんまりしたホテルだがダブルベットサイズで中庭にはジャグジーとプールもあり、快適なホテルだ。夜な夜なジャグジーで日本のみんなとはしゃぎしたり冷たいプールでも泳いだり、ホセとみんなで泳ぎの競争をしたり交流の場となった。

期間中ハロウィーンパーティ、2回のショウの観劇、3ヵ所の施設の見学、3回のプレゼンテーション、2日間のホームステイがあった。プレゼンテーションではこれからは当事者が力を持ち社会状態を自らの手でコントロールし、社会の偏見や状態を変えられるとしたらセルフヘルプグループが可能にしていくだろうという内容のスピーチをした。他の日本のメンバーも自らの体験と日本の遅れている精神福祉、社会的入院が問題になっている事などを話した。ネクストステップのオフィスでのプレゼンは質問はいろいろでたが、アジア系のメンバーからアジアについてはどうエンパワーメントしていくつもりかという質問が出た。これから考えていかなくてはならない問題だと思う。そしてネクストステップから今度来日する3人がスピーチをした。そう、1123日に来日したのだ。3日にカリフォルニアアソシエーションオブソーシャルリハビリテーションエージンシーズ(CASRA)のカンファレンスの分科会でプレゼンを行った。日本の当事者が未来を見据えてという分科会だが、あまり興味を引かないらしく10名ほどの参加者だった。日本の現状はカリフォルニアの30年前のようだがカリフォルニアもここまで来るのに長い年月がかかったのだから頑張ってほしいといわれた。そう、私たちは当事者運動のビギナーなのだ。ムーブメントを起こそう!!翌日は朝からカンファレンスのビッグスピーチを聞いた。アートが回復に及ぼす影響というような内容だった。

施設見学では、まずアウガスタスホーキンスウェルネスセンターへ行った。病院での当事者による当事者の為のプログラムが行われているのだ。ネクストステップが運営している。多彩なプログラムが用意されており、パソコンの講師なども当事者がやっている。当事者どうし助け合って運営されている。プロカバリーという講座がある。病気になってもゼロからスタートするという考えでなく、どこからでもスタートできるという内容だ。そして、アンテロープバリーという砂漠にある町のディスカバリーセンター。ここもネクストステップの運営だ。ここもいくつものプログラムが当事者の為にありもちろん当事者によって行われている。さまざまなリクリエーション、躁鬱、女性の為、薬物等のグループもあり、回復のために行われている。全て当事者が自発的に対等に行われている。最後にビレッジという施設を見学した。ロングビーチにあるのだが、ここは専門家による就労、生活支援、ホームレスケアを行っている。チームごとにドクター、ナース等を抱えている。少ないがピアスタッフもいる。

2日間のホームステイはエルノラという黒人女性のうちで過ごした。50代で1LDKのアパートに住んでいる。孫もいておばあちゃんなのだ。躁鬱でネクストステップで有給でパソコンにデータを打ち込む仕事をしている。日本から行ったもう一人の女性とホストと合流しカヤックなどをして楽しく過ごした。

カリフォルニアは広くきれいで品物も安く(ウォルマートなど)気候もよかった。みんなに案内してもらったせいもあるがぜんぜん安全だった。2日には大統領選もあった。ブッシュが勝ったが、カリフォルニアはケリーが勝った。話を聞いても戦争に反対の人が多かった。ネクストステップが通したかったプロポジッション63(裕福な人から1%の税をとり精神保健福祉に当てるという方案)は通った。

  プロジェクトリターンザネクストステップは私にたくさんの経験とたくさんの思い出を与えてくれた。日本の仲間とも親しくなり、カリフォルニアの仲間とも良い出会いがあった。ネクストステップはこれからも私を一人当事者として一己の人生としても力づけ勇気づけ支え続けてくれるだろう。狭山にもネクストステップのような組織を作るのが夢である。

 


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