精神安定剤の効き方

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精神病に使われる薬の作用

向精神薬、抗精神薬、抗鬱剤、精神安定剤。

いろいろな呼び方がありますが、SSRIを除いて神経細胞への作用の仕方は、たしか2種類です。

 

1、レセプターのブロッカー

シナプスにドーパミンが過剰なら、ドーパミンのレセプターにふたをしてしまう。ドーパミンはレセプターにくっつけないので、シナプス後細胞の発火は減る。〔統合失調症の場合〕鼻水の薬のCMを思い出してください。

 

2、再吸収酵素の阻害

シナプスにセロトニンが足りないならセロトニンをシナプス前細胞に再吸収する酵素を働けなくして、セロトニンの濃度を高め、シナプス後細胞の発火を増やす。〔うつ病の場合〕

 

専門用語の聞きかじった解説

脳は基本的には神経細胞とそれに栄養を伝える細胞がメインになってできています。

ちなみにシナプスとは神経細胞のくっついているところを言う言葉で、隙間があります〔シナプス間隙〕。神経伝達物質というのが、前の細胞〔シナプス前細胞〕と後ろの細胞〔シナプス後細胞〕の間を取り持って、信号を伝えます。

神経伝達物質で精神病にかかわってくるのがドーパミンとセロトニンです。

神経細胞は、本体である細胞体とそこから出ている糸のような軸索で構成されており、軸索が伸びて次の神経細胞にくっつくところを神経終末と言います。

神経終末では神経伝達物質がたまっている袋みたいなものがあって、刺激に応じて神経伝達物質をシナプス後細胞に向かって放出し、シナプス間隙の神経伝達物質の濃度を高めます。

シナプス後細胞にはレセプターと言う刺激を受け取るたんぱく質があって、レセプターに神経伝達物資がくっついたときに、電気信号が起こり〔発火〕、伝わっていきます。

シナプス前細胞の神経終末には出した神経伝達物質を再び取り込む〔再吸収する〕酵素〔たんぱく質のかたまり〕があります。シナプス間隙に出た神経伝達物質は、いつまでもシナプス後細胞のレセプターにくっついていないで、再吸収酵素によってシナプス前細胞の終末へと戻っていきます。シナプス間隙の神経伝達物質濃度は下がって、刺激は伝わりづらくなります。

 軸索ではとても面白い電気信号の伝わり方をするのですが〔跳躍伝導というもっと面白いものもある〕ここでは説明しません。

 余談ですが、サリンが話題だったときにワイドショーで良く出ていた、解説の絵を思い出せるでしょうか。アセチルコリンが神経と筋肉の間を取り持つ伝達物質なのだけれども、サリンはコリンエステレイスというアセチルコリンの軸索への再吸収酵素の働きを邪魔する〔阻害〕毒物です。神経終末と筋肉の隙間でアセチルコリンの濃度が下がらないので、筋肉のアセチルコリンレセプターにアセチルコリンが、くっついては離れ、くっついては離れ、それがとまらなくなって、筋肉は縮んだままになります。呼吸困難の症状〔横隔膜〕や縮瞳は筋肉に対する刺激があまりにも過剰になって起こったものです。これも再吸収阻害の1例でしょう。


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