(Last Update 1998/04/09:Complete)

#1「ねこがダイヤを食べちゃった」
原作通り(原作の大ゴマそっくりのレイアウトまである)の第1話だが、原作よりもはやくハニーとリリーを登場させ、設定編ならではの解説的シチュエーションを上手く整理している。またオリジナルで、フェニックスが花壇の花をいたわるシーンがあり(同じ花壇をハイルたちが踏みにじるという、コントラストもポイント)、彼が心優しい人間であることを見せるあたりも配慮が行き届いている。
白土武のクオリティの高い作画と、自身の手によるテンポよい演出とが見事に解け合い、後半はほぼハニーとリリーが求婚者たちから追いかけ回されるだけにも関わらず、ダレのない展開だ。
なお、原作ではリリーの名前はミミーであり、セドランは登場しない。求婚者4人組もハイル以外は大なり小なり異なっている。

#2「水の都は大騒ぎ」
今回も基本的には原作通りのエピソード。だが、Aパートはほぼ完全にオリジナルで、ハニーが警官に変装してみたりとかなり忙しい。
原作では、このベニスから一気に北上してパリまで行くことになるのだが、アニメ版では南下してローマへと向かうことになる。

#3「ナポリを見て逃げろ」
前回からの続きという形でストーリーが進行するが、ゲストが引き続く程度で、連続性は希薄である。詐欺師を捜すためハニーに、フェニックスが協力をかって出るというシチュエーションがおもしろい。早くも、シリーズ前半の基本的なベクトルを確立しているのが分かる。
それにしてもハニーはガツガツと「お下品」な食べ方をするなぁ〜。

#1〜#3ストーリー

#4「アルプス急行SOS」
#5「ベルンの森の赤い矢」

アルプス編ともいうべきが4・5話である。エピソード的には独立しているものの、連続したゲストキャラであるエーデルとその孫のテルがどちらのエピソードでも活躍する点など、前後編的なノリが強い。
4話は、フェニックスとフローレルの機関車でのやりとりが楽しく、早くもフローレル姫は、原作よりもより憎めない3枚目キャラとなっている。この辺は浜田稔の演出の冴えるところ。
ちなみに、5話のタイトルには「ベルン」という地名が出てくるが、本編には具体的な地名は登場しない。
原作では、ハニーハニーが各国の民族衣装に着替える(その度に「段抜き」ゴマで描かれていた)のが見どころになっていたが、アニメ版もそれを踏襲し、多くの回でハニーは各国の民族衣装を身につける。特にアニメ版はヨーロッパ各国を転々とするため、原作以上だ。その民族衣装コスプレ(笑)の第1弾が第5話である。なお、これ以降ハニーがそのエピソードのラストで着ていたコスチュームは、原則的に次回の冒頭でも着ているという、細かい配慮がなされるようになる。

#6「ハメルンは猫でいっぱい」
本作のもう一人のメインライターともいうべき、実力派女性脚本家の三宅直子がこの回から参加することになる。彼女がいなければ、本作はもっと凡庸だったかもしれないと思えるほど、トータル的には実は重要なファクターとなっている。その作風は、原作のハチャメチャさを巧く取り入れたスラップスティック色の高いエピソードとなるのが特色。またフェニックスが、ちょっと三枚目でかなり軽い印象なのもポイントだ。ここでもそうした要素がいきなりサクレツしたポップな仕上がりを見せている。特にBパートはかなりギャグノリ(フェニックスとフローレルのやりとりはケッサク!)で浜田稔のエキセントリックな演出も光る、ある意味でシリーズ前半を代表するような話となっている。また、原作では描かれていないハニーとリリーの出会いのシーンも見逃せない。
それにしても、この三宅・浜田コンビのエピソードがシリーズを通してわずか3回というのは惜しまれる!

#4〜#6ストーリー

#7「古城の恋の鬼ごっこ」
今回から基本ストーリーを説明するアバンタイトルが、サブタイトル前に挿入されるようになり、19話まで使用されることとなる。
この7話で早くも、ハニーの出生の秘密という前半のクライマックス(20〜21話)への伏線となる、バラの紋章のペンダントが登場している。今回もフェニックスはかなりの3枚目ぶりを発揮。既にハニーとフェニックスの間に奇妙で微妙な信頼関係が出来上がっており、互いに憎からずな感情が働き始めていることが分かる。またフローレルとハニーが初めて直接対峙する場面(ペンダントを巡るシーン)もあり、ここでの二人の性格のコントラストも鮮やかだ。

#8「フェニックス風車支部」
メインゲストであるカレンが、目先の利益につい魔が差してしまうものの、最後は改心するという、辻真先らしいオーソドックスでトラディッショナルな話である。
フェニックスがハニーに、カレルの元を離れるように忠告するあたりは、単に彼の紳士ぶりをアピールしているだけではないのは明かだ。
それにしても、ハイデルベルグからアムステルダムまでライン川を小舟で下ってくるとは、かなり大胆である(ま、これに限らないんだけど……)。

#9「1日だけのお妃さま」
珍しい、求婚者であるピカピカ王が主役となるエピソード。前回のオイル・ダラーに続いて、4人組の知人関係がストーリーに絡むという、アニメならではの横の広がりを見せている。
ハニーのバイタリティ溢れる「おなじみの」部分だけでなく、女の子らしい「夢見る」面が初めて顔をのぞかせるのもポイントが高い。また、ラストでフェニックスがハニーの行方を懸命に捜すあたりも、彼の心理的な変化をかいま見させてくれて興味深いところだ。

#7〜#9ストーリー

#10「こよいシンデレラ」
実に第2話以来の原作に乗っ取ったエピソード。とは言えフェニックスがクレマンソーとしてハニーを援助する動機が、原作とはすでに異なっているのは明白で、「援助」がハニーをおびき寄せるための「エサ」以上であったように描かれている(ハニーの眼前で、フローレルによってクレマンソーの正体が暴かれたときの、フェニックスの狼狽ぶりはどうだ!)。このエピソードで、フェニックスとフローレル、そしてハニーの三角関係が水面下的に確立されることになる。
今回もハニーがうなだれてラストを迎える(タイトルどうり「シンデレラ」のように片方だけになった靴を、ハニーが川に脱ぎ捨てるというオリジナルのシチュエーションが光る!)ことになるわけだが、こうした、時に見せるカタルシスの低さが、本作の「奥行き」ともなっているのだ。

#11「オルレアンの魔女屋敷」
サーカス団との別れのシーンから始まる今回だが、このシーンは、パリ〜オルレアン間で起こったであろう、空白のストーリーを匂わせる巧みな導入となっている。特にフェニックスが正体を隠して、ハニーのそばにいつづけていた、ということを一発で分からせるあたりはまさに見事だ。前回のラストを思うと、これはなかなか心憎い。
本エピソードは、シリーズ終盤にチーフディレクターとなる新田義方の初演出でもあり、速度を変えた背景の引きなど、空間的な細かい演出がなされている。また原画も藤岡正宣(『グランダー武蔵』)・小曽根孝夫(『ジャイアントロボ』)という、現在も第一線で活躍中のコンビで、キャラ表に忠実にしてポップな崩し顔といった、光る作画を披露している。

#12「サーカスはてんやわんや」
三宅直子のシナリオは、ポップなだけではなく、女性ならではの微妙な感情表現も見事なのだが、今回はその最たるもの。優しいピエロの正体がフェニックスとは知らないハニーに、彼に向かって「フェニックスだったら逃げなきゃ」と言わせてみたり(ピエロがフェニックスであることを内心期待しているのは言うまでもない!)、追っ手から逃がしてくれたフェニックスが心配で、思わず戻ってきたりと、ハニーのフェニックスに対する微妙な感情の動きには目を見張る。あげくに、ラストでハニーは自分の意志でフェニックスと別れてしまうのだ!
また、サーカスの団長に「(ハニーが)お頭のいい人」と図星を指され、あわてて否定するフェニックスもポイントが高い。

#10〜#12ストーリー

#13「モンテカルロの青い疾風(かぜ)」
中核的ライターであると辻真先や三宅直子に比べると、雪室俊一が担当するエピソードでのフェニックスは、クールなプロフェッショナルいうイメージが強い。ハニーと一定の距離を置いて行動し、かつリリーを手中に収めることを重視する傾向にあるからだ。4・5話でもそうだったが、そのため(あるいは主従関係は逆かもしれないが)ハニーと行動をともにする少年が大きく扱われている。今回登場するジルも15話まで連続してのゲストで、ハニーを助けるのである。
ところで、モナコ市街を2分強で周回するジルのスポーツカーは、当時としてはかなりのハイスピードだ。

#14「大聖堂の鐘が鳴る」
今回はハニーとジル、そしてフェニックスの3人がほぼ平等に扱われ、全編を通して、彼らがリリーを捜すという、逆転的なシチュエーションだ。
フェニックスが漁船を拝借した後、ちゃんと礼金を添えて持ち主に返却するあたりもらしくてOK。

#15「マドリッドのほほえみ」
冒頭の闘牛シーンでのものすごい回り込みをはじめとして、今回はとにかく、キョーレツなレイアウトや原画が目を引く。それもそのはずで、原画にはこの後『とんがり帽子のメモル』で一躍スターアニメーターとなる名倉靖博が参加しているのだ
また、闘牛シーンでハニーが隣の客をいきなり殴ってしまったり、あるいは馬車の中でのジルとの会話など、いつも以上に鼻っ柱の強さが目立つのだが、この辺は、『マジンガーZ』で、キレた弓さやかをT創りあげたU芹沢有吾の演出と思われる。

#13〜#15ストーリー

#16「ジブラルタルの要塞」
『ハニーハニー』のメイン班の作監である白土武は、本作の直前に『宇宙戦艦ヤマト3』であの金田伊功とコンビを組んでいたこともあってか、キャラ表をよりポップなラインにアレンジした、かなりシャープでキレのいい作画を披露している。また自身で直接演出するのは第1話以来だが、どちらもサスペンス指向というのも興味深い。とくに今回はナバロンの要塞よろしく大型高射砲なども登場したり(射撃シークエンスを結構らしく描いていたりする)と、ミリタリー色も強くそうしたベクトルが十二分に感じられる仕上がりとなっている。
なお、今回のフェニックスはもう完全に正義の味方状態で、ハニーとの親密度が相当に高まっている。

#17「世界最高のカステラ」
前回のアクション巨編の次は、『スパイ大作戦』バリのふりで、ハニーとフェニックスはすっかり名コンビぶりを発揮している。原作以上にTヨーロッパ編Uに時間をかけたアニメ版の味わいここに極まれり、といったトコロ。
既にフェニックスがハニーに対して、恋愛感情を抱いていることが冒頭のシーンで明らかになり、またハニー自身もすっかりフェニックスを信頼していることが、その軽口のたたき合いから如実にわかる。
しかしながら、この微妙でタイトな友情関係が、ラストでハニーをフェニックスと引き離すことになる。原作でも、ハニーはフローレル姫の船に乗り込んでしまうわけだが、原作ではフェニックスへの不信感からの行動だが、ここではフェニックスに対してハニーが負い目を感じるという巧みな展開となっている。
今回は演出的にキャラクターがかなりポップに崩れてくれる。ことに一人ほくそ笑むフローレル姫の表情などはケッサクだ。浜田稔の面目躍如というところか。

#18「リリーの大ピンチ」
ようやくストーリーの本筋へと復帰する。ここからしばらくの間、原作にのっとたストーリーとなり、一話完結からほぼ連続型へとフォーマットも変化する。原作ではウイーンからこのロンドンまで1週間弱でやってくるのだが(事実、ウイーンを出た後はベニス・パリを経てロンドンという構成なのだ)、アニメでは明らかに数ヶ月以上かかっている。その間、リリーの腹の中にダイヤがあり続けていた、というのはちょっと苦しいかも……。
これまでの原作トレスのエピソードのように大ゴマを原画レイアウトするのではなく、細かいカット割りになっているのも特徴である。

#16〜#18ストーリー

#19「走れハニー!12時までに」
三宅直子の脚本はやはりポップで、「なんでもアリ」のセンスオブワンダーな感覚に溢れている。フェニックスがカシオペアを盗みに自分のところへやって来るというフローレル姫の妄想(!)は、現在では常套的に使われるシークエンスだ。また、サージン卿とロビンフッドを叱咤したり対決に巻きをいれたり、あるいは馬がダウンした後ハニーがロビンフッドにおんぶされてロンドンへと向かったり、ハニーも「らしい」傍若ぶり(笑)を発揮している。しかし、宮崎一哉の手堅すぎる演出は、もっとエキセントリックでも良かったのではないかと思わせてしまうのだった。

#20「ハニーの秘密」
本シリーズでもっともエキセントリックなギャグ演出を披露している浜田稔と、ポップな脚本の三宅直子のコンビネーションによるこのエピソードは、いつにもましてシナリオに付加されたモノが多い。その好例はAパートでのハニーのモノローグに、ことごとく画面の端に現れてはツッコミを入れるフェニックスだ。それはほとんど、『こどちゃ』のばびっとや『はれぶた』のお天気お姉さんのノリなのだ。しかもそこでフェニックスに、キャプテンハーロックの台詞を言わせて、井上真樹夫にセルフパロディまでやらせてしまうのだ。さらにその後でハニーのイメージに松本零士のそくっりさんまで登場させるダメ押しつき! 
今回で、ついにハニーハニーの出生の秘密が明らかにされ、正式に(?)フェニックスはプリンセスである彼女の、まさに文字通りナイトとなるわけだが、原作以上に既に二人の親密度は上がっていることもあって、見ている側も「ピンとこない」感覚を強めている。ラストでフェニックスが彼の父親からハニーのナイトに任命されるシーンでの、澄まし顔からおどけてみせるハニーとフェニックスのやりとりが微笑ましく、それを象徴している。

#21「さらわれたハニー」
原作はハニーの出生が明らかになった途端、スラーグ配下の襲撃を受けることになるところを大幅にアレンジして、本エピソードではオリジナルストーリーをふんだんに加えている。特にAパートでの、ハニーとフェニックスの「お姫様ごっこ」のシーンは、二人のプラトニックな関係がなんとも微笑ましい──この二人だけの姫とナイトというミニマムな関係が、これ以降の本作の重要な要素となるのであった。また、それに続くハニーのプリンセス修業のコミカルな展開は、現在の『でたとこプリンセス』のラピスや『スレイヤーズ』のアメリアを見るようで、秀逸きわまりない。この辺りも三宅脚本ならではの、ライトなダイアログ・ワークが冴え渡っている。

#19〜#21ストーリー

#22「ツンドラ城のとりこ」
シリーズ屈指の作画暴走の一本。特に、スラーグが見せしめにハニーに剣を向けるシーン(ハニーがスラーグのつきだした剣を見て仰天した上、刃に触れて痛さのあまり滝のごとく涙をほとばしらせてしまったりする!(このシークエンスはラッシュ段階でカットされてしまい本編では欠番、予告編でのみ確認できる))から、フェニックスがスラーグに銃を突きつけるまでのパート原画は、回り込むは、「金田タッチ」のレイアウトだわと、凄まじいの一語につきる、まさに「暴れまくる」(笑)痛快な作画なのだ。またハニーの髪の毛の線の省略具合などは白土班のそれを彷彿させる。
ところで、今回の脚本は雪室俊一なのだが、ハニーとフェニックスの会話が堅苦しく今ひとつそぐわないものとなってしまっている。

#23「SF大追跡」
『ハニーハニー』の「何でもあり」という要素を、大きく膨らませたハチャメチャ編となるのが、今回である。宇宙人の円盤に助けてもらってハニーを救出するフェニックスという、荒唐無稽なシチュエーションが強烈だ。しかもそれが、「ツングース大爆発」事件に絡めた史実オチになる辺りもニクイ! 演出はこうした話に打ってつけの浜田実だが、ストーリーそのものが込み入っている(原作の「ロシア編」には登場しないハイル達が絡んできたりする結果だ)ため、#20ほどの暴走はしない。とはいっても、フローレル姫をコメディリリーフにして徹底的に遊んでいたり(#3に続いて、彼女と機関車の相性は最悪だ!)、独特の軽妙でテンポある台詞のやりとりなどもバッチリ健在だ。
ところで、ハニーが牢屋に閉じこめられた求婚者たちを励ます場面があるが、このハニーの「ポジティブ・シンキング」こそが、本作の最大の魅力であることを改めてわかる、辻真先のメインライターとしての面目躍如というところだ。

#24「わんぱく王子」
ロシア編の最後を飾るこのエピソードは、ほぼ原作通りの展開である。コンテも#1同様おおむね原作のコマ割に忠実で、しらとたけしの手慣れた手腕を見ることができる。そしてこれが、メイン班の最後の担当エピソードとなるのであった。
原作ではいきなりハニーはこのタチアナ皇女の邸宅に連れ去られてくるのだが、アニメではすでに3回もかけており、おそらくは4クールでのシリーズ構成がこの段階でも崩れていないことをうかがわせる。
この前後から、辻脚本でのフェニックスはハニーに対して「けじめ」をつけるようになるのも注目すべき点だ。
それにしても、スラーグの野望が帝政ロシアを手中に収めることとは……。数年後には革命が起こってソビエト連邦が成立することを思うと、諸行無常である。

#22〜#24ストーリー

#25「売られたリリー」
今回も原作にのっとているとはいえ、オリジナル要素の強い展開を見せる本エピソード。ロシア編には本来登場しないフローレル姫は、ここ数回で完全にコメディーリリーフとしての位置づけが確立してしまった感がある。冒頭での、フローレル姫が#19に続いてフェニックスから求婚を受けるという妄想にかられるあたりも、三宅流の解釈が働いていると言えるだろう(そしてこれに続く、フローレルの台詞を受けて空へ飛び上がる自分の馬車に、「これだからマンガって好き!」という彼女のバカバカしさはどうだ)。この辺の引っ張りは、やはり三宅直子ならではのセンスをうかがわせる。
なお原作での奴隷売買をTVコードに引っかからないように、奴隷船を海賊船と置き換えるよなど、適宜変更を加えてある。

#26「魔法はまかせて」
今回が最後の三宅脚本となるが、あいかわらず彼女の描くフェニックスは3枚目要素が強い。三宅直子のダイアログワークは、軽妙でありその分ハニーとのスタンスも、原作同様のどこか「けじめのない」(言葉は悪いが)ものになっていて、他のライターと一線を画したところがある。ハニーに対してほとんど敬語を使わないところは好例だ。また、フローレル姫が具体的にハニーに対してジェラシーを露わにするのもポイントが高い。
ここで披露するサルタンの魔法は、むしろ「マジック」に近く、その辺も原作を適宜変更したものになっている。

#27「飛んで飛んでインド」
完全なアニメのオリジナルストーリーで、最終回2回前でもこの展開というのを考えるに、相当土壇場な状態で打ちきりが決定したことを匂わせる。エピソードそのものは、1・2クール目を思わせる内容だ。
浜田実の最後の担当であり、今回もシナリオに付加したコミカルな演出を見せてくれる。特に細かいところでのギャグがポイントで、トランシーバーをいきなり出すフェニックスに(この場面は原作にもある)、「ズルイ!」と突っ込むフローレルなのだが、フェニックスは「それがマンガのいいところ」と、涼しい顔で切り返したり、つかまったハニーがどういう訳か笑顔のお面をつけられていたり(油断させるためにしてはあまりにもマヌケだ!)、ラストでハニーにカメラ目線で台詞をいわせたりと、らしい「遊び」に溢れている。

#25〜#26ストーリー

#28「大スター花てんぐ」
原作にもある日本編だが、アニメオリジナルのゲスト・さくらを登場させ、ノリそのものは前回同様のシリーズ前半を思わせるものがある。
有りモノ(ストック音源)によるインチキ臭い和風BGMが、「外国人(ハニー)から見た日本」を演出していて、その確信犯的な使い方にはニヤリとさせられる。
このエピソードでは、原作同様にハニーに日本語が通じるか否かというギャグが織り込まれているが、話の構成をアレンジしてしまったために、明らかに欠点となってしまったのが惜しまれる。
なお、さくらを演じたのは本作の後番組『コロコロポロン』のヒロイン・ポロンでブレイク(?)した三浦雅子である。

#29「ハローさよならニューヨーク」
本作は全29話というはなはだ半端なエピソード数なのだが、これは打ち切りによる結果である。というのも、この最終回となる29話は、まさに「清算」というべき内容だからだ。ただ、急展開な分、逆にサクサクとしたストーリーテリングでこぎみよく、定番とはいえ、『キングコング』ネタは本作ならではのハチャメチャぶりで、それが不幸中の幸いといえなくもないが……。しかし、すべてのキャラクターがニューヨークを目指すというストーリーは、最終回の大団円にふさわしいものではある。また、「清算」といっても、原作通りに展開されるオチなど最低限のことをクリアしてることは評価できよう。
原作をきちんと追うには、最低もう1クール分のエピソードが必要であるし、本来はそれくらい(もしくは以上)の予定であったと思われる。それは、原作の第1巻分のストーリーを、アニメではオリジナルエピソードをふんだんに取り入れ、2クール近くまで使って描いてきた点からも明かだ。(放映当時のアニメ誌では、スタッフも28〜30話付近がが原作でのT日本編Uに相当すると語っている記事がある。また実際には未発売に終わってしまったが、サントラのリリース予定もあったようだ。)
『ハニーハニーのすてきな冒険』は、現在でも通用するセンスを多分に持ちつつも、結局「志半ばにして」終わりを迎えてしまうのだった。

#28・#29ストーリー原作でのその後の展開


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