心室中隔欠損症とは、その病名のとおり、左心室と右心室を隔てる壁が欠損(孔が開いている)先天性の心疾患です。(上の図を参照してください)
この病気は、赤ちゃんの先天性心疾患の50%を占めていると、ある本に書かれていました。
1.代表的な症状
運動時の動悸、息切れ
と言われますが、これはある程度成長して自覚症状として見られる症状と思います。赤ちゃんは、喋れませんから、異常に気がつかないかも知れません。大抵は、生後1ヶ月検診時に見つかる様です。また、軽度だと全く日常的に問題なく、かつ自然に治癒してしまう場合もあります。
また、この病気だけに限った事では、無いのですが、お子さんに何らかの異常が見られて、近所の病院で診てもらっても、”異常なし”の診断。でも、やはり異常だと感じて、大学病院で診察してもらうと重大な病気であったりします。子供に対する母親の直感は、目をみはるものがあります。異常と感じてかつ、近所の病院で”異常なし”と言われても納得行かない場合は、迷わずに大学病院などの大きな病院を受診する事をお勧めします。
(大学病院で妻が知り合ったお母様は、娘さんの様子が変と感じて、この病院で受診したところ”異常ありません”と言われ一度は、帰ったもののどうしても気になるため、再度病院へ行き、MRIを取って確認するまで、私は帰りません。と言って、先生にしぶしぶMRIを取ってもらった所、重大な病気が確認されたという事でした。発見が遅れたらと思うとぞっとします。が、医療現場の実態かも知れません。)
納得の行く、医療の必要性を感じます。
”りょう”の場合は、
生後3週間程の時点で、息が「ゼロゼロ」して苦しそう。及びミルクの飲みが悪いという事で、小児科の診断を受けた所、心雑音があるので、心臓病の疑いがある。という事で、大学病院を紹介してもらい、心エコー、心電図などの検査結果から、病気が特定されました。心臓と肺に負担がかかります。
2.治療
孔の大きさ位置に依存します。孔の直径が2〜4mm程度であれば、心臓と肺にかかる負担が少なく、体の成長と共に孔がふさがって、直ってしまうケースが多いそうです。
孔が大きい場合(直径10〜20mm程)は、心不全を生じ、呼吸が速くなり、お乳を飲めなくなり、体重が増えなくなります。
この場合は、大抵、手術が必要です。
また、上の図からもわかるとおり、本来、大動脈から全身へ送られる血液の一部が、肺動脈の方へ行ってしまうため、心臓自身が全身へ送る血液を増やそうとして、心臓に負担がかかります。その結果、心臓肥大となります。また、肺高血圧となり、肺に負担がかかります。(左心室は、全身へ血液を送り出す必要があるため、ポンプとしての力が強く、右心室は、肺へ血液を送りだしているだけなので、ポンプとしての力は、弱いのですが、心室中隔に孔があいていると、左心室の力強く送り出される血液により、肺高血圧となります)
孔の大きさは、心エコーでおよその大きさがわかります。心エコーなどの検査結果、経過観察などから、手術の時期が決まってきます。
”りょう”の場合は、孔の大きさおよそ10mm前後、生後1年くらいで手術ということになりました。
生後2ヶ月の間に、心不全が出て、1〜2日間の入院を2回しました。
以降は、大きな異常が無く、1ヶ月に1回ほど、通院し、強心剤と利尿剤で、心肺の負担の低減を行っていました。
手術前までは、体が大きくなるにつれ、息が「ゼーゼー」するとか、ミルクの飲みが悪く、体重があまり増えないという症状がありました。
また、1ヶ月に一度ほどの検査でも、だんだん心臓が肥大してきました。
当時(1992年)でも、生後間もない赤ちゃんの心臓手術は、可能でしたが、やはり、体が大きくなってからの方が、手術のリスクは、少なくなるものと思います。
病状と手術時期の兼ね合いを適切に判断出来る先生に出会えたらラッキーです。
”りょう”の場合は、結果的には、少し手術時期が遅かった様です。(だからと言って術後の経過が悪かったわけでもありませんが)
3.注意点
起こりやすい合併症として、感染性心内膜炎があります。
抜歯のときには、抗生物質を飲んで、予防をする必要があります。
また、風邪をひくと非常に悪化しやすいので、風邪をひいた人との接触は、絶対にさけなければ、なりません。
もしも風邪をひいたら、直ぐに医者にかかる必要があります。
これは、手術後半年くらいも同様です。
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