東洋医学のお話

解剖実習日記。
えっと、ホントはパスワードで仕切って写真つきのレポートを書きたかったのですが、、、
パスワードのかけ方が分からないので文字だけのレポートをお届け。

8月16日からSouthern California University of Health Sciences(SUC)で、
実際の解剖実習がスタートしたわけですが、
まずは、背中からです。
普通は腹からですが、初心者集団なので、慣れる意味で背中からのようです。
今まで何回か解剖は見てますが、出来上がったものなので、一からは初めて。
皮膚に切れ目(割)を入れて皮膚をはがしていくのですが、この下にあるのが脂肪。
これを取っていくのですが、大変な作業です。
この脂肪の中に、皮膚にいく血管や神経が見えます。
その下に筋肉が見えてきます。
最初に出来るのが僧帽筋と広背筋ですね。
ネッターとかの写真の解剖の本みたいにきれいにするのはものすごい技術と根気がいるのか、
または、なんか裏技があるのかは不明。
あまりリアルに話を進めても面白くないので、脂肪の話。
普通筋肉と筋肉の間には脂肪は付かないんですが、中にはついている人もいるんです。
この脂肪見れば普通にある脂肪とは色が違うんです。
聞くと、燃える温度が違うとの事。
通常付かない所にある脂肪は融解温度が高いらしい。
つまり、最後に燃える脂肪になってしまうんです。
だから、いったん太りすぎると、飢餓状態にならないかぎりそこの脂肪は無くならないと言う訳。
ダイエットは太りすぎる前に小刻みにやるのが理想と言うわけ。
解剖の多くは脂肪の処理に時間を取られます。
筋肉てのは何層も重なっていて、繊細かつ微妙な動きを実現しているのだなぁと関心した。
首から腕にいく神経の束があるのだが、腕神経叢という部分だが、ホントに教科書どおり、
Mj字のような感じになっていたのは感激だった。
分かりやすくするためにそう書いてあるかと思っていたのだけど、ホントだった。
肩甲骨についている筋は非常に多彩だ。
腕を自由に動かせるのはこれらの筋の働きによるのであろう。
体幹から肩甲骨、肩甲骨から上腕とそのその種類は豊富だ。
残念ながら肩甲舌骨筋は確認することは出来なかった。
教科書では分かりにくい筋肉だけに実際見ておきたかった。
そして腰。
ここは興味深いところだ。
深いハリをさしてはいけないところ、ガンガン刺しても良いところ。
刺してもあまり意味があるとは思えないところと色々だ、
自分でやるから分かる人間の体内の曲線を理解した。

続いてお尻。
ここは鍼灸師にとって重要だ。
坐骨神経の出方を確認。
梨状筋の位置と深さを確認。なかなか深い位置にある。
そのまま下肢の走行を確認。
僕の当たったご遺体は非常に珍しい坐骨神経の持ち主だった。
普通神経は血管と併走しているが、この坐骨神経には坐骨動脈なるものは無い。
鳥類にはあるらしいが哺乳類は普通無いのだ。
ところがこのご遺体には坐骨動脈らしい太い血管は坐骨神経と併走していた。
まれなケースである。
そして、足底の筋肉の確認。
足弓を作る筋肉と層を確認。

で、ご遺体をひっくり返してお腹と胸の解剖に移行。
おっぱいの断面も確認。これは女性の生徒さんが強く希望してやったものです。念のため。。。
乳頭にむかって腺が向かっているのがわかる。
大胸筋、その下の小胸筋を確認。胸鎖関節の関節円板を確認。
その後上肢の切り離し。
さらに、肋間の筋肉の確認。
腹筋とその横の筋肉が三層になっているのを確認。

その後内臓のチェック。
あまり内臓そのものは鍼灸師は興味が薄い。
ふーん位で終わる。
心臓の講義はしっかりあった。
元ナースで現在技師装具科の人曰く。。。
ハリの人はマニアックに筋肉を覚えているとのこと、
ナースはあまり筋肉には興味が無いらしい。。。
内臓の方に関心が行くみたい。。。
色々医療ライセンスはあるけど、それによって興味を持つところが違うみたい。
この技師装具科の人は今回のテーマは上肢だそうな。
義手を作るときの勉強がしたいと言っていた。

関節も色々出していくと、股関節の人口関節が6体中2体あった。
他、ペースメーカーを埋め込んでいたご遺体が一体あった。

今回顎関節を一つのテーマにしていたので、顔は僕の独占場。
あまりやりたがる人がいないからだ。
で、表情筋、その下の咬筋、などを観察。耳下腺、顎下腺も確認。
顔面神経の出口「頚乳突孔」の確認も怠らない。
三叉神経の走行の確認は重要なテーマだ。

その後、脊髄を残したままの脳を取り出した。
で、おしまい。

思ったのは、鍼灸師が自信を持ってハリをさすには自分で解剖をするのは大切だと思った。
見ると聞くのとでは大きく違うところもあって、やる意味は大きい。
現在の日本では医学部、歯学部の学生しか解剖は認められていないが、
体内に異物を入れる治療をする僕らにも門を開いて欲しいと思う。

その他、同大学の付属病院を見学。
ここの大学はハリの学部とカイロの学部があって付属のカイロとハリの病院もある。
向こうではハリもカイロもドクターなんですね。
日本は現代医学を学んだ人のみが医者ですけど、
向こうでは東洋医学のハリ師も医者らしいです。同然頭にはDr.が付く。
だから、日本より出来る範囲が広い。
カイロは分からないですが、ハリは漢方薬が処方出来るのです。
アメリカなんですが、ハリは中国流で東洋思想の元で治療をしています。
お約束の「気」「血」「津液」と言った中医学独特の考えを守っているようです。
だからこそ、中医学的に「証」をたてて漢方薬を出せるんでしょう。
現代医学の病名から漢方薬を出すのは実はリスクがあるのです。
「証」を元に処方するのが正しいのです。
あと、レントゲン室があったので、おそらくハリ師も使えるのでしょう!
つまり、運動系の疾患、50肩とかでレントゲンで裏がとれる。
要は確定診断が出来るんですね。
ヘルニアとかも、画像で分かるから誤診は僕らよりはるかに少ないハズ。

他国の鍼灸事情を垣間見ると日本の鍼灸に規制が多いのと、厚生労働省の免許であるにも関わら ず、医療としての位置付けが低いのが分かる。
以前も書いたかもしれないが、
現在針灸学科は3年の専門学校がほとんどです。4年の大学もありますが少ない。
僕の提案は、2年制の漢方薬専門校を作って鍼灸学校を卒業した鍼灸師のさらなる勉強の場として欲 しい。
受け入れ先として、漢方が好きな薬科大学の一室。または夜間。
また、4年生の大学を5年または6年にして漢方薬を扱えるようにする。
ここを卒業と国家試験で漢方薬を扱える鍼灸師として幅広い東洋医療を提供できるんじゃないかと思 う。




為になったと思ったら投票をお願いします。
トップへ
戻る
前へ
次へ