私の思い出。
 できるだけ楽しい思い出のほうがいいのかな? でも、私にとっての一番の思い出って何だろう? ちょっと、考えてみたけれど、ぜんぜん浮かんでこない。私には普通の子が経験するような楽しい思い出とかは多分無いのかもしれない。楽しい場所にいったことがあるとか、すごいものをみたとか、なんでもいいはずなんだ。どんなささいなことでも。
 でも、やっぱり浮かんでこない。
 きっと、普通の子と同じように学校に通ったり、ピクニックに行ったりしていれば、きっと浮かんでくるのだと思う。
 それが私にはないから。
 多分、あなたは私のことを大体わかっていると思う。そう、私は20年前に終わったあの戦争の敗戦国の生き残り。
 たった一国で、数十の国を相手にしたあの忌まわしき国民。
 国が滅亡した後、わずかに残った私達がどんな扱いを受けたか大体想像つくよね。私達は戦争なんて望まなかったのに、国の決定で無理やり戦争に関わることになった。それなのに私達は汚れた民族として扱われた。戦争を始めた政治家達は逃げ出したくせに。私が生まれた時には戦争は終わっていたけれど、その傷跡はまったく消えていなかった。
 でも、当然だよね。
 私達の国は戦争が終わる最後の最後で、世界で禁止されていた兵器を使った。戦争に関係の無い人達をたくさん殺したんだもの。
 たった一つの爆弾で世界の人口の1.7%の人間が消えてしまったのでしょう? 世界人口は毎年減少していっているというのに、そのことでさらに世界の人口が減ったのでしょう?
 だから、死刑制度がなくなったのかな? それとも、生まれてくる人間が減ったからかな? まぁ、それはどうでもいいや。
 とにかく、私達はひどい仕打ちを受けたよ。本当に酷かった。不条理なことばかりだった。私は好んでその国に生まれたわけじゃなかったのに。
 でも、当たり前だよね。みんな私達が憎かったのでしょう? 仕返ししたかったのでしょう? 悔しいし、悲しいよね。その気持ちは同じことをすることでしか消せないからね。
 いっそ殺してくれた方が……違う、生まれてこないほうが楽だったのに。
 自分が生きてるのか死んでいるのかわからなかった。どこにいてもどんなときでも私は敗戦国の人間で、憎むべき人間で、どうなってもいい人間だった。
 そう考えると、私が今の私だったころは暗いことしかないのかもしれない。
 せめて普通の子と同じような経験があったらなぁ。
 そうだ!
 楽しい思い出なのかわからないけど、一つだけ普通の子と同じようなことがあった時があるよ。いまでもよく覚えているよ。私には今まででたった一人だけ友達って呼べる人がいたよ。向こうは私のことを今ではそう思っていないと思うけど。
 そうだ。うん。それだ。あれ? でもいつのことだろう?
 そういえば、私は今生まれてきて何年経っているのだろう? 誕生日はいつの間にか忘れてしまったし、季節が変わっても私はなにも変わらなかったから。でも、今はそんなことはどうでもいいや。
 とにかく、今より少し前だと思う。
 私が大きな屋敷で働いていた時。働かされていた時のこと。
 その屋敷はすごいえらい人が住んでいてとても大きな建物だった。そこではたくさんの人が働いていた。私もその一人だった。でも、そこで働いている人達の中にも順位があって、もちろん私は一番下。だから、辛いことをするのも、人が嫌がることも、たくさんの仕事をするのも私だった。
 一日中働いてばかりだった。
 朝早くに起きて、まずは庭師が仕事をするために必要な道具を準備して、それが終わると馬のいる部屋の掃除をして、えーっと次は、住み込みで働いている人が使う大きなお風呂の掃除だった。それが終わるとやっと朝ご飯。
 その朝ご飯も15分で食べ終わらせなくてはいけなかった。それからは誰かに指示されたように行動すればいいのだけど。それでも仕事は大変なことばかりだったけどね。重いものを運んだり、あまりに単純すぎることとか、寒い部屋で何かしたりとか、とにかく大変だったよ。
 一日が終わる頃には、ふらふらしてもう何もしたくないって思うくらいだったよ。
 それでも、それだけなら一日に三食とお風呂とベッドあったからずっとできたと思うよ。最低限の人間らしいことはさせてもらえたからね。でも、一つだけどうしても耐えられないことがあったんだ。
 そこにはとんでもないものがあったんだ。
 一番嫌だったのは、いわれのない暴力だった。
 それは昼休みとか休憩時間とか普通なら休むはずの時間に行なわれたよ。一番最初は私が休憩時間にベンチに座っていたときだった。
 ベンチは建物と建物とを結ぶ渡り廊下に置いてあって、足元にたくさんの花が添えられていたんだよ。恋愛映画の一場面に出てくるような場所だった。困難を乗り越えた二人がそこで誓いの接吻を交わす。勝手にそんな物語を想像したりしたよ。そこにいくとすべての嫌なことが、消えていってしまうように思えたんだよ。
 そこは私が大好きな場所の一つだった。
 でも、今は違う。
 あの美しい花や景色を思い出そうとしても、どうしても思い出せないんだ。その代わりに思い出されるのは口の中に広がる塩と鉄の味だけ。
 急に数人に囲まれたの。何も知らなかった私はどうかしたの? って聞いたんだ。
 次の瞬間だった。気が付くと地面に顔をつけていて、それから痛みが襲ってくるんだ。みんなが私のことを踏みつけていたんだ。私が泣きながら止めてって叫んでも、全然止めてくれなかった。休み時間が終わるまでずっと。
 私がボロボロで次の仕事の場所に行っても、誰もそのことについて聞いてくれなかった。私が暴力をふるわれて体が痛いって言っても、誰も相手にしてくれなかった。それなのに上手く仕事ができないと怒られたんだ。
 もちろん、私はこんな納得のいかない行為を受けたんだって主張したよ。でも、誰も私のことを気に留めてくれなかった。それどころか、みんなは私が暴力を受けてもいい存在だって考えるようになったんだ。
 私が暴力を受けてもいい存在だとわかると、みんなが私に暴力をふるってきた。みんなは私を転がっている空き缶のように扱った。休み時間となればみんなが私の方に寄ってきて、逃げられないように髪をつかんで、それからタオルで目をふさいで、何もできなくなった私を殴ったり蹴ったり……本当に大変だったよ。おかげで歯は何本か折れたし何回も骨折した。
 だから、私は休み時間には隠れることにしたんだ。仕事が終わってすぐに逃げ出すことにしたんだ。だけど、それがみんなにはおもしろくってたまらなかったみたいだった。無抵抗な私をいたぶるのではなく、逃げ惑う私を捕まえていたぶる方が楽しかったみたいなんだ。掃除用具入れに隠れたりしたよ。近くで足音がすると震えが止まらなかった。そんな生活が結構続いたよ。
 もちろん耐えられなかったよ。
 屋敷から逃げ出そうとしたよ。屋敷の周りには高い壁があって、出口は屋敷の正面にある一つだけ。誰もいない隙を狙って、そこから飛び出せば大丈夫だと思ったんだ。だけど、駄目だった。出口は機械によって厳重に監視されていたんだ。そこにはまったく隙というものがなかったんだ。
 逃げ出そうとしたことがみんなにばれると暴力はさらに激しくなった。一番ひどかったのは火が消えたばかりの暖炉の中に体を入れられたこと。死んでしまうのではないかというくらい痛かった。火傷の傷痕が何個もできた。それなのに暖炉から這い出た私のことをみんなは笑うんだ。すすで真っ黒に覆われて醜くなった私を笑うんだ。
 だから私は一回聞いてみたんだ。私がボロボロにされた後、なぜこんなことをするのかって。そうしたら即答でお前が一番下だからって言われたよ。一番下にいるお前が悪いってね。弱いことでいるのは罪だって。
 その時、昔聞いたことのある話を思い出したんだ。生物の世界の話。大きな肉食動物がいて、その下に食べられる草食動物がいて、その下には昆虫がいて、その下にはもっと小さな昆虫がいるって話。みんなに食べられる小さな昆虫は、植物を食べたり動物の死体を食べたりして生きているんだよね。上手く循環しているんだよね。
 そこでよく考えるとその屋敷で本当にえらい人は、別に私なんか気にしないってことに気づいたんだ。私に暴力をふるう人間は私より少し立場が上の人間だった。その人達はえらい人に何か言われていらいらして、その感情を私に暴力をふるうことによって解消してたんだ。何か似てるなって思ったんだ。だから、人間の世界でも当てはまるんだなって思ったんだ。
 でも、私が一番下だとして、全然うまく循環してないなって思ったんだ。私の受けた憎しみは、この醜い感情はどうやって消し去ればいいの? 誰にぶつければいいの? って思ったんだ。私より下の存在なんていなかったし、一番えらい人に逆らっていいはずなんてない。何かおかしいなって思った。
 だから、私より下の存在がいればその状況を抜け出せると思ったんだ。
 そうしたら彼女が現れたんだ。
 ある日、私の部屋に同居者が来るって言われたんだ。その時、一瞬でわかったよ。私と同じくらい立場の低い人間なんだって。だって、今まで私が一人で使っていた部屋って光が当たらないし、隅にあるし、窓が無いし、明らかに下の人間が使う部屋だった。そんなところにいれられる人間は、やっぱりそんな人間なんだと思ったんだ。
 そうしたら、やっぱりそんな人間だった。私より少し年上だったけど、何かそんな雰囲気を持っていた。初めて部屋に入ってきたときも、私に何も言わなくてとても暗い雰囲気だった。私を見て、ただ黙っているだけだった。だから、私も何も言わなかった。長い髪の毛で顔がよく見えなくて、何を考えているのかよくわからない人だなと思ったよ。
 私達はしばらくの間、まったく口をきかなかったと思ったよ。彼女は仕事が終わると食事やお風呂の時以外はずっと本を読んでいるんだ。本当にずっとだよ。だから、私達が会話をする必要は無かったんだ。それに彼女は私に何も興味を持っていなかったみたいだからね。
 でも、私はその間ずっと考えていたんだ。この人は私より下の人間かもしれないって。みんながそのことをわかれば、私に向けられる暴力は彼女に向けられるって考えたんだ。だから、何としても私のほうが上だってみんなに見せつけたかった。
 どうすれば見せつけられるか一生懸命に考えたんだ。暴力で体がボロボロの状態でも一生懸命考えた。今思うとそんなに頭を使ったのはその時くらいかもしれない。
 だけどね、私が何かするまでも無く、勝手に私の望んだ状況になってくれたんだ。
 彼女がきてから一ヶ月くらいしてからのことだったかな。私が部屋で休んでいると、彼女がボロボロの格好で入ってきたんだよ。顔中に叩かれた痕とか血がついていてね。彼女、唇をかみ締めていたけどベッドに入って、シーツを頭からかぶって泣き出したんだ。必死に声をおさえようとしてたけど無理だったみたい。
 その時、私も彼女と同じようにシーツを頭からかぶった。
 そして、大声で笑ったんだ。
 あの時は、おかしくてたまらなかったよ。あんなに心から笑ったのはあの時くらいかもしれない。そう考えると私の一番楽しかったのってあの時になるのかな?
 そう、それで私より下の存在ができたんだ。私に向けられる暴力は無くなるんだって思ったよ。これから休み時間になっても隠れなくてすむんだ。人の足音に怖がらなくてすむんだってね。
 でも、違った。
 みんなにとっては一番下の存在が一人増えただけだった。私に対しての暴力は止まなかった。私の考えは簡単に崩れ去った。
 それからは毎晩のお互いをこっそり観察する生活が続いたんだ。あっちの方が傷が多いとか、色々考えていたのだと思う。それでも私達は一回も言葉を交わすことは無かった。
 一度、彼女が暴力を受けていた現場に出くわしたことがあるんだ。もちろん、私は陰に隠れてとばっちりをうけないようにしたけどね。彼女、すごいんだ。何回も何回も叩かれたり蹴られたりしても、決して暴力をふるう人の前では泣かないんだ。私は絶対に泣いてしまう。だって、そうすれば暴力が弱くなるときがあるしね。強がっても無駄だってわかっていたからね。それに本当に泣きたいくらい痛かったからね。彼女がなかなか泣かないから、振るうほうもむきになって、さらに力を込めるんだ。だから、終わった頃には本当にひどい状況だったよ。
 その後、彼女のことを影で見てたんだ。彼女はゆっくりと立ち上がってボロボロの体に言うこときかせて、自分の部屋に戻って、シーツををかぶって思い切り泣き出したんだよ。
 最初それを見たとき、この女は馬鹿なんだなって思ったんだ。ここでは強がっても何にも意味がないってわからないんだってね。だけど、それは違ってたんだ。まぁ、それは後で話すよ。まだ、時間はあるようだしね。
 それからしばらくたったある日、初めて彼女と言葉を交わす出来事があったんだよ。
 偶然、私達二人が近くにいたんだ。それを見たあるグループが私達二人を取り囲んだんだ。そして、その内の一人が私に彼女を殴れって言ってきたんだ。
 迷わずに私は殴った。
 だって、そうしなければ私が殴られる。そうしたら、今度は誰かが彼女に私を殴れって言った。
 彼女はためらっていた。
 そうしたら、また別の人が私に彼女を蹴れって言ってきた。もちろん、蹴った。そうしている内に、いつの間にか二人は喧嘩状態になっていた。その時、誰かが負けたほうは罰ゲームって言った。だから、私は本気になって彼女を傷つけた。
 途中はよく覚えていないけど、私が勝ったんだよ。すごい?
 気が付いたら、私は自分の手がじんじん痛むのを感じたんだ。目の前には彼女が倒れていたんだ。
 周りには笑いながら拍手していた人もいれば、喜んでいる人もいたし、悔しがっている人もいた。なんだか、どっちが勝つか賭けていたらしいよ。
 で、そうだ。彼女と交わした言葉。戦いの最中に、一つだけ覚えていることがあるんだ。ボロボロの顔をした彼女が、小声でもう止めようって言ったんだよ。私は無視して殴ったけど。すごく悲しそうな目をしていたと思う。なんの意味があるのって言ってるみたいだった。私にとっては、その時彼女に勝つことが意味があった。だから、まったく気にしなかったけどね。
 その出来事は不幸といえば不幸だけど、一つだけ大きな幸いを私に与えてくれたんだ。その出来事は私達の関係をはっきりと決めてくれたんだ。
 彼女は私より下。
 私はみんなから受けた感情を、彼女にすべてぶつけてあげた。寝ている間に彼女のところにいって、たくさん叩いたり蹴ったり、首をしめたり、いろんな手をつくしたよ。彼女の大切なものを壊したりして、精神的にも傷つけた。彼女もそれがわかっていて、私のすることに対して反抗はしなかった。黙って私の感情を受け止めてくれたよ。
 我ながら凄いと思ったのは彼女が掃除をしているときに、私は空になったお酒のビンを手にとって突然背後から殴りかかったこと。
 あの時、割れたビンの破片と彼女の頭から流れた血で、掃除したばかりの床を汚してしまったんだよ。あまりに突然のことで彼女は、混乱してふらふらしていたよ。でも、私はおまえのせいで汚れたから、お前が一人で掃除をしろって言ったんだ。
 あれはやりすぎたかもしれないなぁ。それでも彼女は私に何も言わなかったからいいのかな?
 だから、彼女は私が自由にしていいもの、私の所有物だと思った。だから、彼女に私の名前を刻んだんだ。自分の物には自分の名前を書くよね。それは当たり前だから、別に問題ないと思ったよ。
 私は刃物を使って彼女の右肩に私の名前を刻んだんだ。
 最初は血がたくさん出て大変だったよ。だけど、治ってくると私の名前だけがよく見えるようになった。すっごくよくできたんだよ。だれが見ても、名前が彫ってあるってわかるくらいにね。
 あの時は本当に充実していると思っていた。私にふりかかる暴力は止まなかったけど、私にたまる負の感情を発散できていたと思ってた。上手く循環していると思っていた。
 でも、それから少ししてそう思っているだけってわかるんだ。
 ある時、体への暴力ではなくて、ねちねちと言葉の暴力を受けたことがあったんだ。言葉の暴力は前からあったけど、別に耐えられないことは無かった。血が出たり痛い思いをするよりはいいと思っていたし、私は忘れやすいから大丈夫だった。でも、その時の言葉の暴力は、叩かれたりするより痛かった。今でもよく覚えているよ。それだけ強烈だった。
 だから、悲しくて泣きながら部屋に戻ったと思う。彼女も部屋にいたから彼女を痛めつけてから寝ようと思ったけど、そんな気にすらならなかった。とにかく、ベッドにもぐって早く寝ようって思った。そうすれば苦痛から逃げられると思ったから。
 でも、その時私がベッドにもぐっていると突然声をかけられたんだ。聞いたことの無い声だった。恐る恐るシーツから顔を出すと、彼女が私のベッドに座っていたんだ。私は彼女を睨みつけて何か用って聞いた。
 彼女は少しの間何も言わずに私のことを見つめていたよ。とても和やかな表情だった。その表情は、傷ついた私を嘲笑っているように見えたんだ。その表情を不快に思った私は死ねって言った。
 そうしたら、彼女は言ったよ。
 嫌なことがあったんでしょう? いつものように私を叩かないの?
 そんな風に普通に言葉を交わしたことは、初めてで少し驚いたけど、私は無我夢中で彼女に飛びついた。その時の彼女に対する攻撃はとても激しかった。私は意味の無い言葉を叫びながら、思い切り彼女を叩いた。体が暖炉に入れられたときのように熱かった。口の中には、しょっぱくて生々しい血の味がした。
 どのくらい時間が過ぎたのはわからなかった。気が付くと彼女が私のベッドの上で低い呻き声をあげていた。本当にひどい有様だったよ。顔のやわらかい部分が切れてたくさん血が出て、服もびりびりに破れて、体中にはたくさんのあざがあった。陸にあげられた魚のように呼吸していた。彼女は死んでしまうんじゃないかって思ったよ。
 でも、その後、彼女はゆっくりと顔を上げて言ったんだ。
 気持ちは晴れた?
 私はわかったんだ。
 全然、晴れてなんかいないことに。むしろ彼女の無惨な姿を見て胸が痛くなった。だから、私は首を振った。そして、彼女に言った。全然、気持ちは晴れないって。そうしたら彼女が言った。
 それが普通だということ。人のことを傷つけて平常を保っていられる人は、存在しないということ。
 私はその言葉を聞いたとき泣いてしまった。彼女の前で声をだして。何でそんな風になったのかは、今でもよくわからない。でも、泣き終わった後はすごく気分が晴れていたんだよ。人を叩いて得られた感情とはまったく違うものだった。
 それをきっかけに、私は彼女を傷つけることを止めようと思った。彼女を私の下とか思うことを止めようと思った。それで彼女にあやまったんだよ。何回も何回も。もし、納得できないなら、私が彼女にしたことと同じことを、私にしていいよって言った。
 そうしたら、彼女は言ったんだ。いつもはよく見えないけど、その時の顔は覚えてる。すごくやさしい笑顔だった。
 友達になろう。

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