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仏像スポット 国博阿修羅展拝観

2009 4月

 2009年4月25日(土)に仏像彫刻教室の恒例である仏像参観、東京国立博物館平成館に特別展 興福寺創建1300年記念 「国宝 阿修羅展」を見に行ってきました。私は生徒と一緒に展覧会が始まって早い時期に出かけましたので、それほど混み合っておらず心行くまでゆっくり見られました。生徒の何名かは、展覧会があまりに良かったので展覧会も終盤の6月に入ろうとする頃に、今度は家族も連れて行ったようですがあまりの人気で長い行列が出来ていて良く見られなかったようです。
 阿修羅像の魅力は何と言っても、まゆをひそめて、ういういしい、しかも切ない眼差しでしょう。美少年のような若々しく何かを見つめる哀愁のある目にたくさんの人が魅了されたことでしょう。あとでわかったことですが、このアシュラ像は合掌した両手の中心線がお顔やお体の中心線とずれているんです。これは、乾漆造りという技法で造られており火災などで何度も屋外に持ち出されるたびに手の位置がずれてきたんではないかと思います。
 私の弟子の仏師、瑞隆さんのあしゅら像がこの年お客様に売れたのですが、その仏像は両手の中心線をお顔やお体の中心線と合わせて彫ったものだったんです。これにお客様が気づいて、一時購入を躊躇されましたが、作者の良心から、わざとそのように彫ったということを承諾してもらい無事にお渡し出来ました。
 いまでも不思議なことと思いますが1000年もたてば手の位置ぐらいずれますよね。それとも、作者の仏師が気づかずに位置がずれて出来上がったものなのか、合掌の姿勢で大事なことは両手の中心と体の中心が一直線上にあることです。これは僧侶の修行で教わって来たことですが。
 あしゅらは元々、帝釈天と闘った神通力を持った恐ろしい暴れん坊の神でした、千手観音の部下、二十八部衆の一人として不動明王のように勇ましい忿怒形(ふんぬぎょう)です。
阿修羅像
仏師、瑞隆作 木曽檜材

 阿修羅の住む修羅世界

  阿修羅は梵名をアスラといい、もとはインド古来の異教の神で,怒りや争い,戦いなどが好きな鬼神でしたが、お釈迦様に帰依して、天・龍・夜叉・乾闥婆・アスラ・迦楼羅・緊那羅・摩護羅伽という仏教を守る八部衆に入りました。八部衆とは、天、地上、水中に住む八種の神秘的力を持つ神々のことです。六道のうち修羅道の主。須弥山の下の海底に住みます。
 私はアシュラのような世界が好きなのでGeorge Lucas監督「スターウオーズエピソード2」 は毎回観てきました。私は決してSF映画のマニアックではないのですが、20歳代で スタートレックを見て以来、卓越した特撮技術と物語が仏教の宇宙観ににている こともあり、毎回欠かさず観ております。 ダースベーダーがジェダイの騎士であった若い頃に御姫さまと恋に落ちる という色恋面が加わって上々の評判だった映画では特に特撮で驚いたのですが未来都市の セットが荘厳であること、キャラクターやジェダイの騎士がいっぱい出てくること など感動もの
でした。それは、もう私たちの住む人間世界とは違う想像の世界ですが、修羅界という世界もこのような驚くべき世界かも知れませんね。
 話は全く変わりますが、お釈迦様は最晩年、80才のとき、インドの村や町を 回っておられました。ガンジス川の小さな船着き場にパータリ村という所があって、 そこで熱心な仏教徒であるマガダ国の大臣がお城を築いておりますと、 お釈迦様は超人間的天眼で、千を越える神霊達がパータリ村に敷地を構えて いるのを見られ、大臣と村人に、 「聖賢の生まれなる人が、住居をかまえる地におい修行僧を供養するならば、 その地に敷地を構える三十三天の神霊達が喜んで、その地と人々に神霊の加護を 与え常に幸運を見る」とお説きになりました。 このパータリ村は後にナンダ王朝からマウリア王朝に至るインドの首都となって 繁栄しました。現在ののパトナ市に当たります。