如月の16日は、日蓮大聖人の御誕生の佳日にあたります。そして、2年後には日蓮大聖人御誕生800年の慶事をお迎えする事になり、日蓮宗宗門を始め、宗徒はその日を目指して種々の祝賀式典を計画・奉行しています。
800年という長い間、宗門には様々な歴史が伝えられています。その長い時を越えて、今、大聖人御誕生の佳日をお迎え出来るのは、御弟子六老僧を始めとする先師先哲のお上人方、信徒方の熱い信念とたゆまぬ努力の故と考えております。
昔から、大聖人御誕生の慶事には沢山の行事が奉行され、100年ごとに弘通誓願や寺領下賜などの大きな
行事が行われてきました。
このような歴史を経て、2年後には御誕生800年の御報恩の記念の日を迎えるのです。これらの行事が奉行
出来たのは、日蓮大聖人が発願された「世を安穏にする第一の良薬である法華経の弘通」という遺志を繋いだ
心の表れであると思うのです。
「繋ぐ・繋がる」、この一言こそが、今の私達が御誕生800年を祝するための大切な心がけであると考えます。
私が尊敬するお上人のお一人、奈良県M寺のO上人は、半世紀以上前から葉書による伝道布教をされていま
した。そして、昭和46年の日蓮大聖人御誕生750年に「菴羅樹の果(あんらじゅのみ)」として総集されました。そ
の折りに「読みたい方にはお送りします」というお言葉があり、早速に頂戴致しました。その御縁により、毎月の葉
書をいただく事になったのです。
昔の印刷は、鉄筆のガリ版刷りです。拝見する度に、お上人の御苦労が偲ばれました。一度お会いして御礼を
申し上げたいと願い、昭和48年に奈良までようように旅してお会い致しました。大変に喜ばれ、部屋に通して下され、
「これが菴羅樹というのだよ。」
と指し示し、日蓮大聖人の御遺文の一節の「菴羅樹の花は多く咲けども、果となるは少なし」についてお話しして
くださった事を、今でもはっきりと覚えております。
しかし、その後御法嗣上人よりO上人御遷化を報されました。
御遷化されて35年を経ていますが、現在でも法嗣上人が師父の志を継がれて「葉書布教」をされているのです。
「繋ぐ・繋がる」とは、このような事なのではないのでしょうか。
日蓮大聖人御誕生800年の佳日を迎えます。宗門一同では様々な行事を計画・奉行しております。願うのは「日
蓮大聖人の御魂を次世代に繋ぐ事」。この目的を達成するために、如何にして佳日を目指していくのかが大切な事
だと考えているのです。
平成31年2月1日
繋ぐ