妙心寺教会
守護神(弁才天 Ⅰ)
老尼のお話の部屋
平成22年9月1日
【守護神とは、一般には国家や地域社会、個人を守る神・諸尊等を言います。】
各家庭で、稲荷様の次に多く祀られているのは弁財天です。
今月は、その弁才天の話です。
 源は、古代インドで、「サラスヴァティー」と呼ばれる河の神で、
女神です。
仏教や神道に取り込まれ、「弁才天」と呼ばれるようになりま
した。
 川の水は、土地に潤いを与え、食物を育て、人の生命を養い
「全てを育む」という「水の力」につながっています。

 日本の弁才天信仰は古く、奈良時代から始まり、東大寺の法華
堂(3月堂)には八臂の立像が
祀られており、「日本最古の尊像」と言われています。
【八臂弁才天】
仏典の「金光明最勝王経」には、行者を守護する女神として説か
れ、弓・箭(や)・矟(さく:矛)・斧・長杵(ながきね)・鉄輪・羂索(けん
さく)の8つを持った「八臂弁才天」が説かれています。
また弁天様が琵琶を持っている像もあります。「大日経疏(だい
にちきょうしょ)」という密教の経典に説かれてある像です。

「弁才天」を「弁財天」と書くこともあり、「才」を「財」に書き換え
たと思われますが、本来の意味から見れば、誤りと言えます。
 「弁才天」は人々に富を授けるのが、本当の役目ではありません。
 仏様の教えを説く人が文句や意味を忘れた時、それを助けてくれ
るのです。そして、間違いや誤った教え方をしないように、無量の知
恵を授けるのです。
【琵琶を持つ弁才天】
 同時に、人々の願いを聞き、優れた技術を持った人々が仏教に入れるように手を貸すのが、「弁才天」の役目な
のです。
 その役目を遂げやすくするために、人々に富をもたらし、寿命を延ばし、災難を除いて、願い事
を叶えて下さるのです。

※次回は 日本の三大弁才天と当教会の弁才天についてのお話です。※
 弁才天の特徴は、風光明媚な水辺に祀られて、白蛇を使いとしているところです。
 また、白蛇そのものと同一化されることのある弁才天は、龍神を神として崇める日本古来の民
俗信仰と合致し、「現世極楽」のイメージが、竜宮の乙姫様と重ねられる信仰も起きてきました。
それが、あの有名な厳島神社の社殿楼閣になったとも伝えられています。
 そして、七福神の一つとして祀られる弁才天は、農業神・穀物神である宇賀神と習合し、頭上に宇賀神像
(人頭蛇身の老人像)をいだいている像が多く見られます。