妙心寺教会
守護神(地蔵菩薩2)
平成22年6月1日
老尼のお話の部屋
【守護神とは、一般には国家や地域社会、個人を守る神・諸尊等を言います。】
【六地蔵尊】

 地蔵菩薩を本尊とした寺院は、全国に無数あります。
 また、村の入り口、街の角、田畑の隅、峠の頂上、お墓の中など、このくらい人に親しまれている菩薩様はあ
りません。
 今から1200年前(平安時代)、この菩薩の信仰は卒然として現れました。
 この菩薩は、全ての衆生を救う偉大な力があるとされ、その功徳の表徴として「六地蔵」が造立されました。

 人間は、
 貪欲(とんよく:むさぼり)、嗔恚(しんい:いかり)、
 嫉妬(しっと:ねたみ)、  慳貪(けんどん:ものおしみ)、
 邪智(じゃち:わるぢえ)、 驕慢(きょうまん:おごり)
などの悪い心を常に起こします。
 そんなとき、地蔵菩薩の名を呼び、一心に帰依すれば、それらの苦から解脱でき、涅槃、安住の楽を得るこ
とが可能である、という現世利益の信仰が起きたのです。
 その信仰が、さらに発展し、「過去に死去した人の罪障を浄化し、解脱する」という信仰になりました。
 また、早く亡くなった子供の未来を救ってくれる菩薩として信仰され、世の母親たちの無限の信頼を得るよう
になったのです。

【恐山と賽の河原】

 比叡山3代目の座主円仁慈覚上人が、東北を巡錫しました。
 そして、松島の「瑞巌寺」と、山寺で有名な「立石寺」を開きましたが、地獄と極楽の場所だけは、見つけること
ができなかったといいます。
 その後、仏のお告げを受けてやっと探しあてたのが、下北半島の北端にある「恐山」だったと言われています。
 そこには、お産で死んだ女の行く「血の池地獄」や、「賭博地獄」、「女郎地獄」、「修羅王地獄」などがあり、そ
の一つ一つの地獄に地蔵尊が立っているそうです。
 また、幼くして死んだ子は、賽の河原で小石を積み上げ、親に先立つ不孝を詫びて供養するとされています。
 しかし、積んでいると鬼がやってきて壊す、それをまた積む、の繰り返しだと言われています。そこへ、地蔵が
現れて子を救う、という仏教説話から生まれたのが「賽の河原」とされています。
 7月18日からの7日間に、恐山に死者が帰って来るとされ、遺族は「いたこ」の口寄せによって死者の言葉を
聞き、涙するという風習は有名です。

【「六地蔵」の役割】(宗派によって異なります)

1 地獄 大定智悲地蔵(だいじょうちひじぞう) 左手は宝珠、右手は錫杖
2 餓鬼大徳清浄地蔵(だいとくしょうじょうじぞう) 左手は宝珠、右手は与願印
3 畜生大光明地蔵 (だいこうみょうじぞう) 左手は宝珠、右手は如意棒
4 修羅清浄無垢地蔵(しょうじょうむくじぞう) 左手は宝珠、右手は梵篚(ぼんきょう)
5 人大清浄地蔵 (だいしょうじょうじぞう) 左手は宝珠、右手は施無畏印
6 天大堅固地蔵 (だいけんごじぞう) 左手は宝珠、右手は経册

 人の心境を十界に分けた仏教の教えの中で、上記の六界を「六道」と言います。
 人は、この「六道」を輪廻し、苦から解脱できないので、六地蔵菩薩に救いを求めたのです。 「六道」の上の四
界は、佛界・菩薩界・縁覚界・声聞界で、「聖界」とも言われます。

【行田神仙寺の六地蔵】
【賽の河原の地蔵尊】