守護神(不動明王)
平成22年11月1日
【守護神とは、一般には国家や地域社会、個人を守る神・諸尊等を言います。】
不動明王は「お不動様」と呼ばれ、観音や地蔵様と同じように信仰されております。
源はインドの「シバ神」の異名なのですが仏教に取り入れられて、如来の使いとなり、修行者を擁護する神とな
りました。
中国を経て日本に伝わった不動明王信仰は、空海(弘法大師)による密教の導入のもと、大きく発展し、「大日
如来」に仕えた明王(降三世、大威徳、軍荼利、金剛夜叉)の中の主尊とされ、単独の不動明王の信仰になった
とされています。
また、「智正大師円珍」が25歳の時に「不動尊」を感得し、それを描いた事により、独立して信仰されるようにな
ったとも言われております。
かつて仏が人を導くために、三つの方法を考えられました。
(1)仏様がそのままの姿で、人を導く。
(2)人それぞれの環境や立場・境遇に応じて、その人にふさわしい姿となって、共に生活し導く。
観音様などの諸々の「菩薩様」といわれる方々です。
(3)教えを説いても聞き入れようとせず、反抗する者に対しては、目を剥き歯を出して怒った姿を
示し、威力を以て説き伏せる方法。
この第三の姿として現れたのが、不動明王、その他の「明王」と呼ばれる方々です。尊像が右手に持つ剣は、
悪業や煩悩を打ち砕く智慧を表し、左手の羂索(縄)は、仏の世界に引き入れ、繋ぎ留める慈悲を表していると言
われます。それと同時に、自分の野望や迷いを断ち、勝手気ままになりがちな心を縛りつける剣と紐ともいわれ
ております。
日蓮大聖人の表された曼荼羅御本尊には、向かって右に不動明王、左に愛染明王が梵字で書かれてありま
す。生死即涅槃、煩悩即菩提を表し、定慧の二法を説かれていると言われています。
真言宗では、不動明王を主尊とし、「不動明王法」として「護摩壇修法」が確立され、息災延命の祈願やその他
の祈願が行われています。有名な祈祷寺は、関東では成田山新勝寺、目黒の龍泉寺、高幡不動の金剛寺など
があります。
関西方面には数多く祭祀され、国の重要文化財に指定されている尊像が沢山あります。
大威徳明王 軍荼利明王 不動明王 金剛夜叉明王 降三世明王