八月のお話

【守護神とは、一般には国家や地域社会、個人を守る神・諸尊等を言います。】

　四天王は「持国天」が東方を、「増長天」が南方を、「広目天」は西方を守護しています。
毘沙門天は、「多聞天」とも言い、四天王の一人で北方を守護する方です。
上に座する「帝釈天」に仕え、八部衆の大部分を支配して、仏法と、仏法に帰依した衆生を守護して下さる方です。

　法華経では「序品」に列座し、「陀羅尼品」に於いては「法華経を受持する者を守護する」ことを仏前で誓われました。
薬王菩薩と勇施菩薩が呪を唱えたのに続き、毘沙門天王も次の呪を唱えました。

「真実の道、真実の教の力は限り無いのである。真実の教を弘める者は、いかなる者が来ても恐れないし、何者にも負けることはない。信仰に励むからには、いい加減の事ではいけない。仏の慈悲は無量であるという自覚をもつべきである。富とは人に優れて心の豊かという事である。この経以外にもっと優れたものは決してないということを固く信ずるのである。」

「この呪を唱えれば、大きな力となります。さらに、
自分（毘沙門天）、もこの経を保つ人を守って、百
由旬という長い間、もろもろの衰えや憂いのないよ
うに致します。」

また、七福神の一つに祀られている毘沙門天は、
財宝や富をもたらし、悪鬼を滅ぼす「戦勝の神」と
して崇められています。足利尊氏、上杉謙信、楠
木正成等は、守護神として祀り、牛若丸の伝説で
名高い鞍馬寺には「都の鬼門除け」として祀られて
います。

【八部衆】
１　天：梵天・帝釈等の天部の神様の総称
２　龍：竜王などと称せられる。海中の生物を支配する。仏法を守る畜類の代表。
３　夜叉：悪鬼神であったが、仏法に帰依して、護法善神となった。
４　乾闥婆：天上界で帝釈天に仕え、音楽を奏でる。
５　阿修羅：鬼神で戦を起こさせる魔と言われている。仏法を守る善神となる。
６　迦楼羅：金翅鳥（こんじちょう）と言われ、鳥類の代表。
７緊那羅：天上界で帝釈天に仕え、音楽を奏し、美しい声で歌う。
８摩睺羅伽：緊那羅と共に音楽神。