平成21年7月1日
守護神(勇施菩薩)
【守護神とは、一般には国家や地域社会、個人を守る神・諸尊等を言います。】
勇施菩薩(ゆうぜぼさつ)は、法華経の中では「序品」・「陀羅尼品」に於いて説かれています。
勇施菩薩の名の由来は、「一切衆生に、仏法という宝を布施することを惜しまない」ので、勇施と称されました。
勇施菩薩は「陀羅尼品」に於いて
「末代の悪世に、法華経を受持し、説き、弘める人々に対し、その人たちが種々の魔によって妨害を受けることのないよう十三の呪を唱えて、守護する」ことを仏前で誓われました。
呪の内容は
「仏の教えは、太陽の光が、自ずから周囲を照らすようなもの
です。その教えを弘める決心が固まったなら、法を伝えること
に、恐れなく伝えられるように、守ります。伝法の火が燃えても、
薪がなくなれば、消えてしまいます。その為、火が消えないよう
に、常に努力しなければならないのです。
法華経は、諸々の教えの中で最高であり、その心を存続させ
なければならないのです。それが自分の喜びでもあり、義務で
もあると、考えられるようになることです。そして、順序立てて、
少数でも良いから、正しい教えをいただく者を集めればよいので
す。」
「この神呪(しんしゅ)は仏様達の所説(しょせつ)であり、仏様達は
この言葉をお喜びになります。もし、この法師を妨害するならば、
この神呪を説いた仏様達を侮辱し、迫害を加えるのと同じ事です。」
経中の「魔」には次のようなものがあります。
@夜叉(やしゃ):八部鬼衆の一つ。羅刹と併称され、人を傷害して食う悪鬼。
A羅刹(らせつ):悪鬼の総称。人の血肉を喰らい、空を飛び地を疾走する恐るべき悪鬼。
B冨単那(ふたんな):その身は臭穢(しゅうわい:臭く汚い)で人畜に災害を及ぼす。
C吉蔗(きっしゃ):起屍鬼(きしき)と言い、屍(しかばね)を起こして、怨みある人を殺させる。
D鳩槃荼(くはんだ):人の精気を喰らう鬼。疾き事、風の如し。
E餓鬼(がき):常に飢渇の苦を受ける鬼。
勇施菩薩の御像を探しましたが、判明しませんでした。
奈良の国立博物館に所蔵された「陀羅尼品」の絵図には袈裟をつけて合掌する姿があるそうです。損傷が激しく、写真でははっきりと解りません。どなたか尊像をお知りの方がありましたら、お知らせいただければ幸甚です。