平成21年6月1日

妙心寺教会
守護神(薬王菩薩)
老尼のお話の部屋

【守護神とは、一般には国家や地域社会、個人を守る神・諸尊等を言います。】

 薬王菩薩は、法華経の中では

「法師品」に於いて、佛より成仏の記別(きべつ:未来成仏の予約)を授かり、

「勧持品」では、仏滅後の弘教(ぐきょう)を誓い、

「嘱累品(ぞくるいほん)」では塔外付属(とうげふぞく:佛より末法に於いて法華経を弘める事を委託される)をされました。

「薬王菩薩本事品(本事とは菩薩の過去世の事跡)」では、過去世にて「一切衆生喜見(きけん)菩薩」として「日月浄明徳佛(にちがつじょうみょうとくぶつ)」のもとで精進し、法華経を聞き得た恩に報ずる為、最高の供養とされる焼身供養をいたしました。

「妙荘厳王本事品(みょうしょうごんのうほんじほん)」では、妙荘厳王の王子となって生まれ、外道(佛教以外の教え)を信ずる王の前で神変を現し、弟の「薬上菩薩(やくじょうぼさつ)」とと共に、父王を佛教に入らしめました。

 この菩薩は薬術(やくじゅつ)を以て一切衆生の諸業の病苦を抜き、楽を与えたもうこと自在であるので、「薬王」と名付けられたと言われます。

「陀羅尼品(だらにほん:陀羅尼とは梵字の音写で、
漢字では『総持』と書きます。善を以て悪を遮り、未
然に防ぐという意味があります)」では、
薬王菩薩は佛に向かい奉り、

「私は法華経を受持し、説き、弘める人々に対し四十
三の呪を唱え与えました。この神呪(しんしゅ)は非常
に多くの仏様達の所説(しょせつ)であります。もし在
家・出家の人の中で、この法華経を説く人を見て、それ
を妨害するならば、その人は、この神呪を説いた仏様
達を侵毀(しんき)することになるのです。私は、この呪
を以て、法華経受持の人を守護することを誓います。」

と申しあげ、法華経受持の人の守護神となりました。

この佛像のお姿は、元禄3年指月軒義山(しげつけんぎさん)が集めた絵を天明年間に土佐の将曹、紀秀信(きのひでのぶ)が増補した「佛像圖彙」より転写したものです。