妙心寺教会
平成21年11月1日
守護神(普賢菩薩)
老尼のお話の部屋
【守護神とは、一般には国家や地域社会、個人を守る神・諸尊等を言います。】
 普賢菩薩は釈迦如来の脇侍です。脇侍(きょうじ)とは、
仏の両側に立つ像で、仏の功徳と働きを表現し、その働
きをなす侍聖です。
 左の文殊菩薩は仏の知恵を表し、右の普賢菩薩は、
六牙(六波羅蜜を表す)の白象に乗って、諸菩薩の上首
となり、常に仏の救済活動を援助なさる菩薩様です。
 法華経の最終章に、「普賢菩薩勧発品」があります。
普賢菩薩が東方の「宝威徳上王仏」の国から神通力を
以て、娑婆世界に来現し、仏に「法華経を得るための心
得」を尋ねました。

 仏は次の四法を説きました。

1 諸仏護念
仏は普賢菩薩の「呪」を聞いてお褒めになり、次のように言われました。
「後の世に、法華経を受持し読誦する人は、世の中の名誉や物資に貪着しないであろう。
この呪を本願として生活すれば、必ず報いられ、現世において福徳を得るであろう。若し
この人を軽んじたり、侮辱したりした者は、現世において悪病にかかるのである。」
と、説かれました。

それを聞いた人々は、歓喜し、仏の言葉を受持することを誓ったのです。
【普賢菩薩】
「自分一身の利害得失を忘れて、人の為に尽くせば、世の人
の心が皆正しくなる。そして、その事が解らないといって、腹を
立ててはならない。」
「心を柔軟にして経を読めば、仏の心の一端が解ります。これ
を続けていれば、仏の心と一致します。自分の心の持ち方に
よって、自分を置く境界(心境の世界)が変わるものです。法
華経を学び実行すれば、世の中の人々に利益を及ぼすという
事を確信し、進む事です。」
「自分を捨てて、ひたすら人の幸せをはかる事。仏の真意を知
れば、どのような災難にあい、迫害にあっても、常に仏と共にあ
るという法悦の気持ちでいられるのです。それを悟って法華経
に帰依したとき、修行者は無上の悦びを知ることが出来ます。」
【普賢菩薩騎象像 大倉集古館】

│「守護神」に関する参考文献│

│ 久保田正文 著       法華経新講
│ 田中日淳 講述       法華経講話
│ 平川彰 望月良晃 著  法華経を読みとく
│ 鈴木修学 著        妙法蓮華経略義
│ 三枝充悳 著        法華経現代語訳
│ 宮崎英修 著        日蓮宗の守護神
│ 日蓮宗            日蓮宗事典
│ 産経新聞社         大日蓮展
│ 町田甲一 著        仏像イコノグラフィ
│ 紀秀信 著         仏像図彙
│ 速水修 著         日本の仏像
│ 石井善應 著        仏と菩薩
 仏の本願である「一切衆生の成仏の願い」をそのままいただいて、自分の本願とする。そのような気持ちになれば、必ず「仏に護念されている」という確信を得る。
2 諸々の徳本を植える
 「徳本」とは多くの善き行いの根本であり、その心に至る基の事。功徳を積む事。
3 正定聚に入る
 「正定聚」とはいかなる悪世になっても、人間として正しい在り方を求めて進む人。
4 「一切衆生を救う」の心を発(おこ)す。
 仏の心の本体である「慈悲の心」をたもち、自分が生きている事により、世の中が少しでも良くなるように念じながら生きる事。

 「この四法を成就すれば、必ず法華経を得るであろう」と、おっしゃいました。
 これを聞いた普賢菩薩は仏前にて
「末法に於いて、法華経を受持し行ずる者を守護いたします。」
と誓われました。
続いて
「修行者に種々の魔物が取り憑かぬように護り、三七日の願を立てて修行し、成就したら、その修行者の前に白牙の象に乗って現れ、喜びを与え、その者に陀羅尼呪を与えます。」
と申し上げ、次の「呪」を唱えられました。