【守護神とは、一般には国家や地域社会、個人を守る神・諸尊等を言います。】
法華経の「陀羅尼品」で、薬王菩薩・勇施菩薩・毘沙門天・持国天に続いて神呪を説いたのが「鬼子母神」と「十羅刹女」です。「十羅刹女」は、「鬼子母神」と共に佛前に進み、持経者を守護する事を誓い、「神呪」を唱えました。
日蓮聖人は、この神様方に強い信仰を持っておられました。
御遺文の「祈祷鈔」の中には「二聖、二天、十羅刹女等、千に一つも来たりて守り給わぬこと侍らば、上は釈迦諸佛をあなずり奉り、下は九界をたぶらかす失(とが)あり」と言われ、その他の御遺文でも、その信仰について51箇所も現されています。(日蓮宗の守護神 宮崎英修著)
十羅刹女は次の十名と言われています。
一 藍婆(らんば)
二 毘藍婆(びらんば)
三 曲歯(こくし)
四 華歯(かし)
五 黒歯(こくし)
六 多髪(たはつ)
七 無厭足(むえんぞく)
八 持瓔珞(じようらく)
九 皇諦(こうたい)
十 奪一切衆生精気
(だついっさいしゅじょうしょうけ)
参考:十羅刹女が表記されている資料
【梁塵秘抄(今様)】
*ゆめゆめいかにも譏る(そしる:誹る)なよ 一乗法華の受持者をば 薬王・勇施・多門・持国・十羅刹女の陀羅尼を説いて護るなる
*法華経をたもてる人ばかり 羨ましきものはあらじ 薬王・勇施・多門・持国・十羅刹女に夜昼護られたてまつる
*持経法師ははらら門 悩ます人だにたとひあり 頭割れなん七分に これをきく人信ずべし
【鎌倉から室町にかけて宴席で歌われた「宴曲」の中から】
*天諸童子の給仕のみかは 十女も擁護を垂れ給う
【詠法華経百首和歌】
*我妹子も け疎き様に思いしよ 深く御法の 花を詠めて
【拾玉集巻第四】
*十の名を 法の席に聞きしより げに懐かしき 妹が言の葉