平成20年9月1日
妙心寺教会
知っておきたい死後の忌日(W)
老尼のお話の部屋

【 「三七日」 宗帝王(本地:文殊師利菩薩) 】
 このお話は「十王裁断経」または「佛説地蔵発心因縁十王経」と呼ばれる教典を原典として日
蓮大聖人が著述されたといわれる「十王讃歎鈔」を拝読し、要約したものです。

亡者が  
「娑婆世界の財宝は持ってこられず、今は何も持っていません。」
と答えると
「この関所に来る者は、手足をもって種々の罪業を犯したのであるから、手足を出すべし。」
と言って、亡者の手足をブツ、ブツと切り放つのです。
 罪人はこの時も痛さのあまり失神してしまいます。しばらくすると気付きますが、この時、業の故に影のような手足が生えてくるのです。そして、自ら歩かなくても、業風に吹かれて宗帝王の前に出ます。
 罪人は泣く泣く我が身に罪のない事を申し上げます。
 しかし、大王は
「罪業の無い者はここへ来る事はない。汝の娑婆においての罪業は倶生神がくわしく書き留めてある。」
と言って読み上げます。
 その声は雷の鳴るように大きく、罪業の一つ一つ、殺、盗、淫、妄はもとより、心中に埋めた罪業までが委細に書いてあるのでした。
 罪人は言葉もなく、涙にくれますが、
「娑婆にいる子供の中に孝子もあるかと思います。きっと善根(追善供養)を送ると思いますので、少しお待ち下さい。」
と罪人が頼むと、大王は慈悲深い方なので待つことを許しました。
 罪人はこの上なく喜びます。

 このようにして待っているときに、孝子が善根を行うと、罪人は地獄へ堕ちる事を免れます。
 大王も追善を喜び、「汝に似ざる子供である」と言って褒美、讃歎したもうのです。

 宗帝王の御前で断罪が決まらぬ者は、次の王(五官王)の所に送られます。

 この王の御前に詣る道に、一つの関所があります。
関の名を「業関」と言います。関守は鬼です。
 頭に16の角があり、顔に12の眼があります。
 眼を動かすとその光は雷電のよう、口からは
炎を吹き出します。
 罪人はこの鬼を見ると、忽ち失神してしまいます。
 鬼は亡者に向かって「関役」を出すように言います。

得度式(平成20年8月10日)