平成20年7月1日
妙心寺教会
知っておきたい死後の忌日(U)
老尼のお話の部屋

 「初七日」の審判王は秦廣王(本地:不動明王)です。
大王は罪人に向かい
「お前は何度ここに来ているのだ。かつて地獄の業つきて娑婆に帰る時に『人間になったら速やかに佛道修行をして成佛すべし』とあれ程言い聞かせたのに、また来たではないか。」
と嘆かれます。
「自分は果報もなく、金もなく、文字も読めません。まして、在家なので佛道修行など思いもよりません。ですから、身に過ちは無いと思います。」
大王、大いに怒り
「お前は在家の身と言うが、佛になる道を願うのに何の区別もない。成佛するのに知恵や才覚はいらぬ。汝は後世の事を思わずに、欲しいままに世を送ってきたので、また此処に来たのだ。」
と睨みつけました。
罪人は言い返す言葉もなく、ただ泣くのみでした。

 此処に来てから後悔しても遅いのです。だからこそ後世の在り方を心がける事が肝心です。いたずらに月日を送って、罪業を犯し、このような苦しみを受けたとしても、それは全て自分のせいなのです。信心を強情にして「即身成佛」を願い、成就する事が大切なのです。

ここの大王の御前で善悪の軽重が定まらないときは、二七日の王(初江王)の所に行きます。

【 「初七日」 秦廣王(本地:不動明王) 】
 このお話は「十王裁断経」または「佛説地蔵発心因縁十王経」と呼ばれる教典を原典として日蓮大聖人が著述されたといわれる「十王讃歎鈔」を拝読し、要約したものです。

 臨終後、7日目を「初七日」と言います。
死者(以下は罪人)断末魔の苦しみ、高所から落ちる
ような恐怖を味わってから、一人、暗い所に立ちます。
 そこは広い野原で、行き先も分かりません。ただ、あ
てどなく歩いて行きます。
これを「中有の旅に出る」と言います。
 辺りは暗く、時々聞こえるのは苦痛に泣きわめく声。
そのうちに羅刹が出てきて「死出の山」へ追い立てられ
ます。
 「死出の山」は高く険しく、岩角は剣のようです。
羅刹に追い立てられ泣く泣く行きます。
ようように「死出の山」を越えると広場に出ます。
 ここで大王の審判を受けるのです。