妙心寺教会
老尼のお話の部屋

六波羅蜜のお話〔Y〕

平成19年10月1日

六波羅密とは梵語で菩薩(悟りを求める人)が涅槃(悟り)の彼岸に至るために修行する六種の行のことです。

【智慧】(般若波羅密:はんにゃはらみつ) 覚る

  諸法に通達し迷いを断ち、理を証る(さとる)智慧を
得る修行を言います。これは五波羅密(布施・持戒・
精進・忍辱・禅定)を行ずる根源となるものなので般
若波羅密は「諸佛の母」とも言われてをります。

無量義経十功徳品に「雖未得修行 六波羅密 六波羅密 自然在前」(未だ(いまだ)六波羅密を修行することを得ずと雖も(いえども)六波羅密は自然(じねん)に在前せん)とあります。
 日蓮大聖人はこの経文から「六度満行の礎(いしずえ)は慧に限る。慧が堪えられなければ信を以て成す。信は慧に代わる。」と説かれ「以信代慧 信心為本(信を以て慧に代わる、信心を本と為す)」と私たち下根の者に教えてくださいました。

私は30代で縁あってお題目修行を知り、師の教えのままにひたすらお題目をお唱えして現在に至ってをります。その修行を通して「未だ(いまだ)六波羅密を修行することを得ずと雖も(いえども)六波羅密は自然(じねん)に在前せん」の文を実感として味わってをります。これは精進、これは布施などと別々に考えることはなく、修行をしてゐる中で自然にそれらを行じてゐることに気付くのです。

平和で安心できる世の中をつくることが一番大事だと知った人が、各々の生き方の中でそのための努力をすることが菩薩道(六波羅密の修行)であると思ってをります。世の人々の心の中に菩薩様があります。人は迷うからこそ考え、真実を求める心が起き、真実を知ることができるのです。

 今回で六波羅密のお話は終わりました。
 私たちは日常の迷いから脱する術(すべ・方法)を知りません。そして嘆き、苦しみ、恨み、呪います。しかし迷いから脱する術はあるのです。釈尊の教えを信じ、自分を信じ「以信代慧」の文のまま唱題修行(お題目を唱える)をすることによって、必ず迷いから脱け出すことができます。
 迷っている方も、迷っていることにさえ気付かない方も、むずかしい考えをやめて唱題修行にお出かけください。
 真の平和と安心を得るために。お待ちしてをります。

     【唱題修行の時間】  
   月曜日〜土曜日 午前8時30分〜9時15分まで  
   水曜日と土曜日  午後8時〜9時30分位まで