冬至は、北半球では太陽の高度が最も低くなり、日照時間が最短になります。
 昔の人は「太陽を始めとする全ての生命の力が最も弱くなる」と考えて、そのエネルギーの復活と強化を願って、小豆粥・南瓜・芋・油揚げなどの食物によるエネルギー補給を実行しました。
また、「ン(運)」がつくようにと、蓮根・蜜柑・けんちん汁などを食べ、柚子湯に入って健康を願ったのです。
 そして、健康を願う信仰的行事として、この日に「星まつり」が行われるようになりました。
 星祭りは、推古天皇の時代に百済の僧の観勒(かんろく)上人が伝えたとされる「遁甲(とんこう)方術書」の占星術をもとにして「北斗修法」として発展してきました。
 大きな星空の中で動く事なく、いつも同じ位置にある北極星は、日本では「妙見菩薩」と称せられて、信仰の対象となったのです。この信仰は大阪の日蓮宗能勢の「妙見様」、河内の浄土宗降星山光林寺が有名です。

 石川教張上人が著した「日蓮宗仏事行事集」には、次のように書いてあります。
(1)妙見菩薩の利益は国土を護り貧窮を救う事にあり、長寿  ・延命・除災招福をもたらす諸天善神の一つとして法華守 護の誓約をした守護神である。
(2)曜星は月・日と共に星宿を神として崇め、星の光や運行 に基づいて吉凶禍福が決められる。
 ①日曜→日の精:智慧があり、性格も良いが病気がちである。
 ②月曜→月の精:智慧にすぐれ、人のために尽くす。布施の心を持つ。
 ③火曜→火の精:性質は烈しい。
 ④水曜→水の精:性質は穏やかである。
 ⑤木曜→木の精:金に困らず、安楽に暮らせる。
 ⑥金曜→金の精:性質は善良で、他人から慕われる。
 ⑦土曜→土の精:人への信義は厚いが、自分本位な所がある。
(3)この七曜に羅睺星(らごう:東北の方位にある阿修羅王の化身。怒りを相とし、月・日をさえぎ る悪星とされている)と計都星(けいと:西南の方位にある彗星で、不空羂索観音の化身。災 いを転じて福とする)を加えて九曜とする。
(4)いずれも吉凶禍福を決め、除病や除災は、これらの星宿を崇めて祈念する事によって得ら れる。

平成30年12月1日
妙心寺教会
老尼のお話の部屋
冬至・星まつり
 当教会では、星まつり祈願の申込みを受けて厄除け・健康を祈り、星まつり当日には御経百巻とお題目を唱え
て法味を言上致します。そして、来春の節分会まで御宝前に供えて祈願を続け、節分会に授与しております。詳し
くは11月にお渡しした別紙を御覧下さい。