平成24年10月1日
仏教とは(21) 法事
【法事の意味】
仏教行事すべてを「法事」と言います。
しかし、現在では年回や追善供養会をさすようになっています。
年回等で「お経をあげる」ということは、故人に直接あげているのではなく、その場に御本尊様においでいた
だき、御本尊様にお経をあげてその功徳を故人に手向けることなのです。
例えば、故人の写真や位牌の前でお経をあげていても、後ろには御来臨いただいた諸仏・諸尊がおられる
のです。その諸尊・御本尊に向かって唱えたお経の功徳を「故人にお届け下さい」とお祈りしているのです。こ
れを「回向」と言います。
そして、皆さんが僧侶のお経の読誦を真剣にお聞きになったり、僧侶と一緒にお経を読誦したりすることで
その功徳が積まれ、故人に巡らされていくのです。
宗派によって「供養」についての考え方の違いはあると思いますが、私たちはその差を越えて年回や追善
供養会を行っていきたいものです。
【菩提寺の護持】
菩提寺は、檀家の御先祖様始め各霊位、有無両縁の霊をお守りし、さらには家内安全・身体健全などお祈りし、その上に墓地の管理や布
教活動、そして内外の清掃をして、おいで下さる方々が少しでも心安らかになられますよう努力を重ねています。
朝の勤行も、欠かせない法事の一つです。
こうした寺の維持管理の費用を考えた時、檀家は「お付届」をいたします。春と秋の彼岸、お盆、暮れや正月に「ありがとうございました」と財
施をお供えするのです。
現在では寺によっては「護持会」などの組織が設けられているところもあります。月毎に幾分かの財施を奉納し、それによって寺の景観・補
修・需要費等を賄うのです。これは、菩提寺を護持するための大事な財施ですので、檀家は特に留意しなくてはなりません。
【主な追善供養】
①祥月命日の供養
故人が亡くなられた月日を「祥月」と言います。
②月忌の供養
「月命日」や「月次(つきなみ)」と言い、毎月めぐってくる故人の命日のことです。「月忌参り」 と言って墓参りをしたり、菩提寺さんに出
向いて頂き、お経をあげていただいたりします。
③中陰と百ヶ日忌
中有・中蘊(ちゅううん)とも言います。人が亡くなり、次の生を受けるまでの期間です。
インドの「世親」という人の「倶舎論」に中有のことが説かれ、この教えが中国に渡って発展し、日本に渡って日本化したものが今日の
中陰思想です。
中陰の期間を七日で区切り、七回・四十九日あるとしました。しかも「十王」と呼ばれる裁判官がおられて、七日ごとに生前の行いをあ
らゆる角度から調べ上げ、御本尊様にお目にかかれるか、地獄に落とされるかが決まるとされています。
そのため、四十九日忌供養の 大切さがあるのです。
最近では「時間節約」とかの理由で、骨あげの後、すぐに初七日法要、甚だしい場合は四十九日忌供養を希望する方もいると聞きます
が、家族だけでも集まり菩提寺様に出向いていただいて、七日毎にお経をあげていただきたいものです。
中陰が終わると、百ヶ日忌があります。
中陰から百ヶ日忌までの法事については、地方によって差があります。それぞれの風土や気風もあって生まれたものと思われますが
、法事の意味を知って、その心を大切に守っていくことが大事なのです。