平成24年9月1日
仏教とは(20) お布施の心得
菩提寺さんとのお付き合いの中で、皆さんが苦労なさる一つに「お布施の金額」があるのではないでしょうか。
例えばお盆の棚経に住職を迎えた時のお礼、また仏事等の何らかの相談をした時のお礼、卒塔婆を建立した時のお礼の金額等沢山のお
付き合いがあると思います。
それらの事は皆「お布施」と言います。そして「お布施」について大きく分けると3種類あります。
【法施】
仏の教えを説くこと、僧侶が法を説くことを言います。
しかし、在家の方でも自分が理解したお経や経験を他に語
ることも法施なのです。ですから、在家の方が仏の教えを知
り、実行し、他の方に語るようになることは、仏教国日本にと
っては喜ばしいことと考えられます。
【無畏施】
他人の恐れやおののきを取り除いてあげること。
宮沢賢治の「雨にも負けず」の詩は有名です。あの詩の中
には「無畏施」の心が表れているのです。
また、観音様のことを「施無畏者」と言います。観音様は三
十三身に変化して私達を苦しみから救ってくださるので、「施
無畏者」と呼ばれているのです。
【財施】
仏様に物品をお供えすること。
法を聞かせていただいたお礼に金品を奉納することをいいます。
「布施」とは、本来は仏教徒が一般社会に対して奉仕させていただくことから生まれた行いなのですが、現在はお寺に対するお礼の意味
となってしまいました。
ですから、お布施は金額が定められるものではありません。それが現在では葬儀の時に戒名料、卒塔婆料、御経料といって金額を定め
るところがあると聞きます。
「布施」は、「施主が自分のできる精一杯の真心を奉納すること」なのです。
どうしても自分で決められない場合は、知人に相談することもよいでしょう。土地の風習を聞いたり考えたりしながら決めることも大事です。
また、葬儀のときに寺に奉納する上書きですが、戒名料、御経料、法礼などとは書かないのが本当です。その全部が含まれているのが
「布施」なのですから、「御布施」と書くことと覚えてください。 【仏事のこころえ(菅野啓淳)参照】
【御霊前と御仏前】
亡くなられた方の御冥福を祈り金品をお供えする場合、四十九日忌までの間は「御霊前」、それ以後は「御仏前」と上書きするのが一般
的です。
その源は四十九日忌までを「中有」、それ以後は「死有」とする考え方だと思います。そして「御仏前」とは、死者の成仏を願い「仏様 (お
釈迦様 )」にお供えする布施なのではと考えられます。
人は死して直ちに成仏するとは考えられませんから、その成仏を願って追善供養が行われているのです。