【冬の日本海は厳しかった】
第三十四回 平成18年3月28.29日 「犀潟駅」から信越本線「柿崎駅」 約8km
犀潟から柿崎への行脚。Yさんのお話です。
平成27年3月1日
日蓮聖人を偲んで 私達の行脚の旅(8)
【妙蓮寺】
【柿崎のお茶は美味しかった】
【岩野屋の箸袋】
初日に伺った妙蓮寺様の奥様が淹れてくださったお茶が、とても美味しかったです。
私達が
「美味しい。美味しい。」
と連呼したせいでしょうか、
「お土産にどうぞ。」
と、お茶を4袋もくださいました。
旅館でいただいたお茶も、同じ味がするのです。ほのかに汐の香りがします。
「こちらではみな、このお茶を使っていますよ。」
と教えられ、土地によってお茶の味が違うことを知りました。
そして昨年、団体参拝で静岡のお上人からいただいたお茶を飲んだとき
「あっ。」
と声が出てしまいました。
10年前に柿崎の行脚でいただいたお茶と同じ味なのです。やはり、ほのかに
汐の香りを感じます。
「海の近くの茶畑のお茶は同じ香りがするのだろうか。」
と考えながら、柿崎での行脚を思いだし、幸せなひとときを過ごしました。
【柿崎駅】
【冬の日本海】
犀潟には昼頃に着き、そこから行脚が始まりました。天気もまずまず、
たまに陽が射し、修行衣の下は半袖でも快適です。
途中で道に迷い、遊んでいた子供たちに
「妙蓮寺というお寺を探しているのよ。」
と聞くと、一人の男の子が
「道案内をしてあげるよ。」
と言って先に進みました。
そこで、私たちはお題目を唱えながら子供たちの後を行脚でついていきま
した。
どういうわけなのか私たちが行脚で行くと、正面から寺に入らずに裏口
から参拝する事が多いのです。今回もまた然り、裏道から墓地を横切り、
本堂の裏から参拝する事になってしまいした。子供たちにとっては、これ
がいつも通っている道なのでしょう。
「雨池」という池のほとりにある妙蓮寺は、正面から見ると道路よりずっと
下のほうにあり、まるで池の底に建てられているような感じです。
門の脇に祖師像があり、屋根つきの御堂に入っておられました。今までに
見たことのない形です。きっと風雪から大聖人をお守りしたいという気持ち
の表れだと思いました。
それにしても犀潟・柿崎の人は、大人から子供まで心の優しい人が多い
ので驚きます。昔からご先祖様も大切にされてきているのでしょう。
旅館「岩野屋」に着いたのは、夕方の5時半頃です。宿のご主人が
「あんた達が来るから、朝、船を出して漁をして夕食の用意をしたよ。」
と言いながら、ふぐ・蛸・甘海老などの大変なご馳走を出してくました。
「冬の海は荒れるので、雲と競争して船を動かさないと命を取られるんだ。」
と何とも厳しい話もしてくれました。命がけの漁をしているのですね。
有難く腹に収めさせていただきました。
その夜、風が強くなり、外は朝から吹雪となりました。 2日目の行脚は中
止となり、吹雪の中を駅まで歩き、昼の電車で帰途につきました。
冬の日本海は天候がとても変わりやすく、海鳴りが怖い程でした。
「いつも心を引き締めて修行をするように」と天の声が叫んでいたように思
いました。
2m先も見えない吹雪の中をやっとの思いで駅まで着くと、待合室には
ストーブが赤々と焚かれ、とても暖かかった事を思い出します。幸いな事
に遅れながらも電車が動いていたので、無事に帰ってくる事が出来ました。
【屋根付きの祖師像】