【日本海を目指して】 

第三十一回  平成17年4月4.5日   「長野駅」から信越線「黒姫駅」   約27km
第三十二回  平成17年8月26.27日 「黒姫駅」から信越線「二本木駅」  約27km
第三十三回  平成17年10月28.29日 「二本木駅」から信越線「鵜の浜駅」 約35km

 ようやく長野県の山間部を越えていよいよ新潟県。北国街道をひたすら北に進みます。Tさんのお話です。

平成27年2月1日
妙心寺教会
日蓮聖人を偲んで 私達の行脚の旅(7)
老尼のお話の部屋

 日本海を目指して歩いた私たちが着いた所は、人魚の像がある素敵な浜でした。近くに「人魚の館」と
いう建物があったのですが、遅かったので閉館していました。なぜ日本海に人魚があるのか・・・? 
この謎を解く鍵は、「人魚の館」でしょう。再びこの地を訪れたいと思っています。


 日朝寺に着いた時、お上人は庭の手入れをされていました。
お聞きしたところ「やがて降る雪に備えて樹木にロープを張って
いた」という事でした。境内の木々ばかりでなく、壁にも雪除け
をかけるそうです。
「全部、私がするのですよ。」
とニコニコしながら話されましたが、雪国に住むことの大変さが
偲ばれました。
 前回、私たちが何故か遠回りをして赤倉温泉に宿泊した時に
毘沙門天が祀られていた事を話すと、

 今回の旅は新潟の日本海を見ることが出来る日程です。
「明日は日本海が見られる。楽しみね。」
と顔を見合わせ、話が弾む初日でした。
 新井の町を目指して一本道を歩き出しました。行脚を始め
てすぐに皆の心が一つになったお題目が出てきました。
いつにも増して力強いのです。
 新井の町は、古い街並みと新しい街並みが入り組んでい
るところです。北国街道がすぐに途切れてしまい、結構迷っ
てしまいましたが高田の日朝寺を目指しました。

 二日目、高田城の掘には蓮の葉が生い茂り、その周りを行
脚しながら直江津に向かいました。昼まで持ってくれた空が雨
になりました。海が近いと風の吹き方も埼玉とは違い、持った
傘が飛ばされないように歩くのがやっとです。
「直江津まで行けば目の前は海だ。」
とだって思って歩くのですが、歩けども歩けども海に出ないの
です。
そんな中、浄鏡さんの
「今日は必ず日本海を見ようよ。」
という一声に励まされて、雨も小降りになった夕方に日本海を
一望できる「人魚の浜」に到着し、大きな声で喜び合いました。

「赤倉の毘沙門天は当寺から分祀したものなので、毎年お経をあげに行くんですよ。」
とにっこりされました。
「ああ、赤倉温泉に泊まりたいなと思ったのは、このようなご縁だったのか。」
と驚きました。
 余談ですが、この時奥様が出してくださった「ハヤトウリの漬け物」がとても美味しくて、あっという間になくなっ
てしまい、おかわりまで出していただきました。
 遠慮を知らずにパクパクと食べる私達を、ニコニコしながら見守ってくださった、お二人のお顔が今でも思い出
されます。

 門をくぐると大きな杉木立があり、その奥に築五百年という
本堂がありました。この寺は「日蓮聖人が佐渡よりお帰りにな
る折に、毘沙門天が童子に姿を変えてお出迎えをした」との
言い伝えがあります。その「出迎えの毘沙門天」の御尊像を
大切にお護りされているのです。
 御住職夫妻がお招きくださり、休憩を取らせていただきまし
た。とても温かく迎えてくださり、この地方は雪が多い所なの
で寒行の行脚では足をとられて大変な事や、松代の蓮乗寺
のお上人を良くご存じな事等のお話を伺うことができました。
また、「道中の安全祈願に」と毘沙門天のお守りまで用意して
いただき、有難く頂戴致しました。

 高田の町は、高田城を中心に東城町・西城町・南城町・北城町とあり、日朝寺はその隣の寺町にあります。
寺町は、その名の通り寺が集まっている町で、道の両側に軒をつらねるように寺が続き、片側だけでも20ヶ
寺はありそうです。静かなたたずまいの通りを進んでいくと、中ほどのところにに日朝寺がありました。