現在、私の顔にシミが沢山あります。しかし、このシミを見るたびに
「このシミは私の勲章である。」
と思うようになりました。日焼け止めクリームをつけるようになったのは、ここ5~6年
前からです。
しかし、シミは増える事はありますが、無くなる事はありません。

 網代笠の補修ができたことを嬉しく有難く思いながら、「撃鼓行脚頭陀行」を始め
た頃を思い出しました。この勲章をつけながら、今後も精進したいと思っております。


 現在、私は朝勤後に境内に祭祀された浄行菩薩や霊山塔等を行脚で詣り、法味を言上しています。その後に近辺
を「撃鼓行脚頭陀行」で廻っています。
 先日、行脚から戻り網代笠を取ろうとしたときに、何箇所か笠が傷んでいるのに気づきました。古い笠なのですが
修理ができないかと裡の者と相談し、とりあえずは糸を巻いて接着剤で補修してもらいました。

 この笠の裏には昭和47年10月13日と日付があり、それより大きめのお題目が書かれていて、「行田市中野浄蓮」
と記してありました。日蓮大聖人の報恩御会式に使い始めた事がわかりました。すると、もう45年近く経っているのです。
今までにも何度か補修して使っていましたが、今回ほど傷んだ事はなく、もう使用不能かと思われました。しかし
補修してもらったらまだまだ大丈夫、「これからも、まだまだ私は行脚ができる」と示されたと思い、有難く感謝しました。

 私が行脚修行を始めたのは、昭和41年に東松山の妙昌寺へ行って修行させていただいた時からです。その頃は網
代笠ではなく頭巾をかぶっていたので、顔が三角形に日焼けして知り合いに笑われたことがありました。昔のことなの
で日焼け止めの薬があることも知らず、また、そんなことも考えもせずに行脚修行を続けていました。

平成29年6月1日
妙心寺教会
  網代笠は竹の皮を薄く削って網のように編みこんだ笠で、禅宗の方々によく用いられています。毎年8月15日に千鳥が淵で第二次世界大戦で亡くなられた方々の慰霊法要が奉行されます。その時に日蓮宗の青年僧が参席し、網代笠をつけて太鼓を叩いて行脚している姿をご覧になった方も多いのではないでしょうか。

 当教会の涌唱会の修行の一つに「撃鼓行脚頭陀行」があります。直径一尺三寸の団扇太鼓を叩き、お題目をお唱えして「その土地を浄め、住む人々の心の煩悩を払うこと」を目的とし、広宣流布の一翼としております。日中に行うので、日除けのために網代笠を用いるようになりました。
老尼のお話の部屋
網代笠