ツバキ(椿) Camellia
ツバキ科ツバキ属植物の総称。常緑高木〜低木。
ツバキ属の原種は日本列島をふくむアジア東部と東南アジア(揚子江流域からインドシナ半島、西端はネパールあたりまで)に約200種が分布する。温暖で湿度の高い気候をこのむ樹木である。
日本は世界のツバキ属の北限に位置し、青森県夏泊半島と秋田県男鹿半島のヤブツバキ群落が「ツバキ自生北限地帯」として、国の天然記念物に指定されている。日本産の野生種で代表的なものはヤブツバキ、ユキツバキ、サザンカ。中国産ではチャ、トウツバキ、キンカチャ(金花茶)などが代表種である。
ツバキ栽培の歴史 ツバキは古代から油をとるための大切な木だった観賞用花木としての地位は、室町、安土桃山時代に茶の湯、華道、作庭の発達にともなって確立した。京都で隆盛したツバキ愛好熱は、幕府が江戸にうつると江戸の町に波及し、一般町民にも浸透、元禄時代はその爛熟(らんじゅく)期となって園芸品種は 200種に達している。
以後、いく度かの凋落(ちょうらく)期をのりこえ、第2次世界大戦後には海外のツバキ熱の刺激もくわわって、昭和元禄とよばれた高度成長期を中心に、ふたたび大ブームとなった。
現在は海外産のツバキをふくめると数千といわれる品種がある。
ツバキの園芸品種
園芸品種は、まず日本産ツバキと洋種ツバキに大別される。
日本産には江戸時代からおこなわれている産地別の分類がある。関東ツバキ(江戸椿の系統。岩根絞、光源氏、羽衣、花富貴など)、西ツバキ(京椿の系統。胡蝶侘助、隠れ磯、熊谷、加茂本阿弥など)、中部ツバキ(尾張椿の系統。細雪、玉霞、紅妙蓮寺など)、肥後ツバキ(王冠、日の丸など)を柱に、久留米、長崎、松江、金沢などの品種群がある。さらにユキツバキ(祐閑寺名月、雪小国、紅千鳥など)、ワビスケ(侘助)、ウラクツバキ(有楽椿)などの系統がくわえられる。
しかし、ツバキを地方別にわけることが無意味なほど地域相互の交流が増加し、現在では、花色と花形による分け方が一般化している。
洋種ツバキはジャポニカ系洋種、トウツバキ系交配種、トウツバキ系以外の交配種に大別される。
分類:ツバキ科ツバキ属。ヤブツバキの学名はCamellia japonica。
ユキツバキはC.japonica var.decumbens。
サザンカはC.sasanqua。
カンツバキはC.sasanqua cv.Fujikkoana。
チャはC.sinensis。
Microsoft(R) Encarta(R) 97 Encyclopedia. から引用
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