第四回 高校生?小学生?
文 チョコナ
原作 策吉
今日もいつもどうりの朝………のはずだが、まどかの様子が変だ。
「はぁ…」
「どうした?まどか、学校に行く前から溜め息なんかついちゃって。あの日か?」
ううむ、女の子は大変だな。うん。
「…っ!違うよ!」
真っ赤になって否定するまどか。
「まどか…おれはな、ただ純粋におまえのことが心配なんだ…なにかあったら話して欲しい……」
「お兄ちゃん…」
「ほら、見てごらん…おまえの成長の記録を…」
「や、やだ…お兄ちゃんったらそんなもの持ってたの?」
そう言っておれは上着の内ポケットから一冊の手帳を取り出す。
そして一番最近の日付の記録を見せる。
そこにはこう書かれていた…『今日のまどか』と。
「な、なんか恥ずかしいね…」
「ほら、読んでごらん?」
「う、うん」
きっとこれでまどかはおれの麗しき兄妹愛に感動し、涙を流すことだろう…。
「っ!!………………」
「ん?どうしたまどか、肩を震わせたりして。感動でもしてしまったか?」
ふふふ…そうだろうとも!さぁ!遠慮せずに兄の胸に飛び込んでこい!!
両手を広げまどかを迎え入れる準備をする…。
「この変態兄貴〜!!」
ドスッッッ!!
手を広げちょうど無防備になった腹へと決まるボディーブロー。なんか中身がいろいろと出ち
ゃいそうだ…。
「ぐはっ…何故だ、まどか…」
「なんなのよこれ!」
「むぅ、どれの事だ?」
まどかが指を差したところにはこう書かれていた…。
『○月△日晴れ このごろまどかはまた胸が大きくなった様だ…かわいそうなのでお小遣いをあ
げることにする。女性の下着は値が張ると千恵ちゃんに聞いた。しかもまどかほどのサイズに
なるとなかなかデザインの気に入るものもないそうだ。これで新しい下着でも買うといい…』
「音読するなっっ!!」
ゴスッッッ!!
顔面へと決まる右ストレート。
「……ふむぅ…これのどこが気に入らないのだね、まどか君?」
涙を堪えながら、なんとかまどかとの会話を続ける。
「全部だよ!突然お小遣いをくれたりしたからおかしいと思ったら!セクハラだよ!極悪だよ!
死んじゃえ!」
ひどい…そこまで言わないでも…。
「おれはっ…ただ……おまえのことを…おもっ…て…」
泣きながらなんとか言葉を紡ぎだす…。
「お、お兄ちゃん…」
「そう…だよな……おれの独りよがりだったのかも…しれないな……」
「お、お兄ちゃん…泣かないで…わたしもちょっと言い過ぎちゃったと思うし…さ」
バツが悪そうに言うまどか…。
「ま、まどか…」
「どこか屈折してるのがお兄ちゃんの愛情だもんね……」
ん?
「頭のネジもはずれてたり、サイズの違う物が入っちゃってたり…」
んん?
「くだらない事に頭の容量のほとんどを使い果たしてるけど…」
んんん?
「そんな事にだってもう大分慣れたし…さ」
とりあえずおれは褒め言葉として受け取っておくことにした。
「ところでちょっと疑問があるんだけど…」
「ん…?なんだい…?」
「この千恵に聞いたって話はどうやって聞き出したのかな?」
「ああ!そんな事か!千恵ちゃんに『なんか最近まどか悩んでな〜い?』って聞いたらあっさり
と答えてくれたよ!」
「ふ〜ん…」
そう言ってどこからか取り出した小さな手帳にさらさらと文字を書いていくまどか…。
よ〜く見ると『お仕置きリスト』と書いてある……。
「あと一つい〜い?」
妙にかわいい声で聞いてくるまどかさん。
「な、なんだい?」
「この手帳の最初に書いてあるわたしのスリーサイズは誰から聞いたのかなぁ〜?」
「あ、ああそれは見た目「ほ・ん・と・は?」…千恵ちゃんデス」
ごめんっ!千恵ちゃん!おれも自分が物凄くかわいいから!!許してくれ!
「よしっ…と」
なんだかイロイロと書き終えた様なまどかさん…。
「さてっと…お兄ちゃん?」
「は、はひっ!」
「おしっこはすませた?神様にお祈りは?部屋の隅でガタガタ震えながら命乞いをする
心の準備はOK?…まぁ全部やっても助けてあげないけどね♪」
…その日…おれは過去最高のまどかの笑顔を見た……。
「あっ、学校遅れちゃう!わたし先に行くからお兄ちゃんも遅刻しないでね♪」
……ふっ、無理を言うな…登校出来るかも厳しい…ぞ……ゲフッ………
「よっしゃ〜っ!今日もなんとかぎりぎりセーフ!」
で、普通に来れてるし…。まぁおれはある程度は耐性があるしな…。
千恵ちゃん……大丈夫かな…?
目につくやつ全てに挨拶をしながら自分の席に向かってる途中、聞きなれた声に呼び止められた。
「おっはよ〜政貴君!……って、なんかやけにボロボロだね…」
「ああ、紗菜か…今日おれは初めて世界のレベルを知ったよ…」
高かったなぁ…世界の壁は……。
「そ…そうなんだ…」
「あれ?そういや寺岡のやつ来てねぇのか…」
「ふふっ、政貴君は寺岡君と仲いーもんね?」
「そっ、そんなんじゃねぇよ!」
この娘の名前は『高町紗菜』ところどころボケてるが頭はいい。
このクラスの女子の中でも特に仲がいい。
そしてなぜかこいつには頭があがらない…。
ガラッ
「ふぃ〜危なかった〜!出席日数ギリだかんな〜!」
「お、待望の親友が来ましたよ♪」
「だからちげーって…」
「おっす!なんだおまえら朝からラブラブトークか!?」
…死語の世界の住人め、貴様何歳だ。
「ち、違うよ〜…そんなんじゃないんだから……ね?」
いや、そんな赤面しながら『ね?』と言われても……。こんな顔されると……からかいたくな
るではないか!?
「ふっ、そんなに照れるなよ紗菜。おれ達の熱さで南極を溶かしてやろうぜ?」
決まった…ありえない程に…!!
「ダメだよ。そんなことしたらペンギンさんの住むところがなくなっちゃうもん」
……あ〜そうですね〜。それはたいへんだ〜。
「遠回しにフラレたな!政貴よ、見てろ!これが本場イタ〜リアの口説き文句だ!HEY!マド
モワゼ〜ル?」
あ、バカが一人いる。HEYは英語だし、マドモワゼルに至ってはフランス語じゃ。
「な、なに?」
「人生という名のレールを列車でミーと共に行かないかい?」
だからレールもミーも英語だ。
「ごめんね、あたし乗り物酔いするから遠慮しとくね」
おお、見事なボケ。
「オーノー!!」
「一生やってろ…」
「はい、授業を始めるから席に着いて下さーい」
「お、アーストか…んじゃまた後でな、政貴、高町」
「おう」「うん」
「んじゃあ、寝ますか!」
「そんなことに気合いを入れないでよ…」
「むっ!なにを言うか!生きていくうえで睡眠と言うのは必要不可欠な「はいはい、おやしゅみ
なさ〜い」…くっ!幼稚園生扱いしやがって!いいさいいさ寝てやるから!」
「子供じゃないんだから…ってもう寝てるし……はぁ…」
「おい!起きろよ政貴!おい!」
「んぁ…?」
「もう昼だぞ?」
「ん〜………いつもながらもっと早く起こしてくれよ…」
「偉そうだな、おい。なんか高町がいろいろやってたけど起きなかったんだよ…」
う〜ん、すばらしき寝つきだなぁおいら!
「で、その高町はどーした?」
「ああ、なんでも食堂に例の小学生高校生がいるってんで見にいったぞ?」
なに!?
「小学生高校生ってどっちだよ!?日本語おかしいだろ!」
「あ〜はいはい、悪かった悪かった」
…寺岡にまで呆れられた……なんかへこむ…。気晴らしにその子でも見に行きますか。
「ふん…寺岡よ!おれには急用が出来た!さらばだ!!」
「……相変わらずこういう事への食いつきはいいな…」
「やけに騒がしいな…」
「あっ!お兄さ〜ん!」
どこかで聞いた声……この声は…
「すずちゃんか!」
「こんにちはっ、めずらしいですね〜お兄さんが食堂にいるなんて」
「いやーそんなことないですよ」
う…つい先日の癖で敬語を使ってしまう…。
「…なんで敬語なんですか?」
うっ!ぴ、ぴ〜んち!
「あ、あんまり気にしないでね」
「?…はい…わかりました」
すずちゃんは渋々といった感じで頷いてくれた。
「そういやなんで食堂がこんなに混んでるの?」
ナイス機転おれ!!
「あ〜どうやらみなさん例の9歳で高校に入ってきた女の子を見に来たみたいです」
なるほど。
「あ、あと一ついいですかお兄さん」
「ん?」
「なんで先日は先輩の家で泊まってたんでしょう?」
ビックゥ!ぴんち再び!
「え〜と、それは…ほら!あれだよ!すずちゃんは疲れてたのかな?パーティが始まる前に寝ち
ゃってさ」
ナイスフォローおれ!!
「そうだったんですか…。なんか思い出そうとすると頭が痛くって……」
摩耶ちゃん…一体何を盛ったんだ…?
「あとなんだか最近摩耶ちゃんが前以上に積極的になってきて……この前二人で体育倉庫に閉じ
込められた時なんか…うっ……ぐす…」
くっ…!摩耶ちゃんめ、何をしたんだ!すずちゃん、不憫すぎる!
「…あら、お兄様…?」
ビクッ!
「ああ摩耶ちゃん…」
当事者め。すずちゃんがまるで蛇を前にした小動物の様に震えている…。
「…あら人聞きの悪い…お兄様も共犯みたいなものじゃない…」
「オ願イデスカラ水晶ヲ見ナガラ人ノ思考ヲ読マナイデ下サイ」
切実に。変な事考えられないじゃないですか。
「…占い同好会…会長だから…」
「ダメです。却下します。受理しません」
「…けち…」
「まぁどうでもいいが摩耶ちゃんは何しに来たんだ?」
「…食堂に来る訳なんか…一つしかないじゃない…」
「それもそうか。ご飯?」
「…すずちゃんよ…」
え?
「…だから…すずちゃんがいるから…」
あ〜最近すっかり忘れてたけどすずちゃんのいる所に、摩耶ちゃんあり。だったな。
「ところですずちゃん…いつまでおれの後ろに隠れてるの?」
「うっ……だってだって…」
しょうがないなぁ…。
「摩耶ちゃんちょっち来てくれる?」
「…なに…?」
「なぁ、体育倉庫ですずちゃんになにしたんだよ…」
「…ちょっと…さわったり…キスしてみたり…」
キスとな!!随分思い切った事を…。
「……ちなみにどこに…?」
「………ほっぺ…」
……嘘だな。
「ホントのホント?」
「……もちろん…」
そう言いながらも目をそらす…。
「まぁいいや、謝っときなよ?」
「…いざとなったら記憶…消せるのに…」
ぼそっと呟く摩耶ちゃん…おいおい…。
おっと、当初の目的を忘れるとこだった。
「すずちゃん、例のあの子まだいるかな?」
背伸びをして遠くを見るすずちゃん。
「え〜っと、まだいるみたいですね」
食べるのが遅いのかな?
「じゃあおれは見てくるけど二人はどうする?」
「えっと……じゃあわたし達はなにか食べてきます」
「ん、わかった。じゃまた後でね」
「はい、じゃあ…摩耶ちゃん行こうか?」
「…ええ…♪」
じゃあおれはさっさかと野次馬しに行きますか…。
「へぇ…あれが…」
おおきな食堂のテーブルで一人、自分の顔より大きそうなどんぶりに入ってるラーメンを一生
懸命食べてる子がいた…。
髪型はセミロング…とでもいうのだろうか、身長は約135cmほど。
顔は…間違いなく美少女の部類に入るだろう…将来が楽しみだ。
「へぇ〜かわいいですね!」
「ああ、そうだな〜」
「…ず〜っと見てるけど先輩まさかロリコン?」
「ち、違う!断じて違うぞ!」
ん?っておれ誰と喋ってるんだ?
すずちゃんは摩耶ちゃんと一緒に行っちゃたし…。
「ち、千恵ちゃん!?」
「今頃気付いたんですか〜?」
ちょっと待て……この子がいるという事は……。
「お兄ちゃんもあの女の子を見に来たの?」
「あ、ああそんなとこかな…」
「大丈夫だよ、もう怒ってないから♪」
………絶対、確実に、はっきりと怒ってるよ…。
そういえば!
「千恵ちゃん…大丈夫だった…?」
ピクッ
「な、何がですか〜?」
一瞬震えた後、何もなかったの様に振舞う千恵ちゃん…。
「……いや…だから…まどかのこと…」
「…ごめんなさい、今は何も聞かないで…下さい…。思い…出しちゃう……から」
うっすらと涙を流し応える千恵ちゃん…この子をここまで精神的に追い込むとは……一体なに
をしたんだ、まどかは…。
そんなやり取りをしていると後ろから誰かに呼ばれた。
「あ、お兄さんまだいたんですか?」
まだ…って、すずちゃん…ひどいや…。
「…そういえば手に持ってるものは食べないの?」
摩耶ちゃんとすずちゃんはトレイにのった鮭定食にまだ手をつけていないようだった。
「食べたいんですけど席が全部使われてて…」
そう言われてみれば今日はいつもより人が入ってる気がする…。
「どうしましょうか…」
「う〜ん…そうだな……」
「ねぇ!一緒に食べよー!」
すずちゃんとおれがが悩んでいると横から聞き慣れない声が聞こえた。
ふと横を見るとさっきの女の子がにこにこ顔で手を振っていた。
「どーしたの??一緒に食べようよー!」
「え…いいの?」
遠慮がちに聞くすずちゃん。
「うん!みんなで食べた方がおいしいよきっと!」
「いいって言ってくれてることだし…お言葉に甘えますか!なぁまどか?」
「えっ!?う、うん」
急に話しをふられてあせったようだ。
「じゃあおれ達はなんか食い物買ってくるわ。まどかも千恵ちゃんも食事まだだろ?」
「うん」 「えっ?は、はい」
「じゃ先に食べててくれ」
そう言っておれはまどかと摩耶ちゃんを残し食券を買いに行った…。
「でもびっくりしましたね〜あっちから声をかけられるなんて…」
やっと復帰した千恵ちゃんがおれに話しかけてくる。
「そうだね」
「でもどうやってこの学園に入ったのかな?」
まどかのいう事も確かに気になる、この学園はそこまで偏差値は高いというわけではないが決
して低くはない。
「やっぱ飛び級ってやつじゃないですか?」
「いや意外とこの学校の関係者のお子さんだったりして」
「…お兄ちゃん、さすがにそれはないんじゃないかぁ……」
まぁ後で聞けばいいか。
「さってと、腹も減ったことだしちゃっちゃか買ってさっさか食べるか!」
「そーですね」
なんだか周りが満席なだけに遠くから見るとあのテーブルだけ目立ってるな…。
「わり、待ったか?」
「あっ、おかえり〜!」
曇りのない笑顔で笑いかけてくる女の子。
「………………」
「♪〜♪〜♪〜」
ふと横を見ると摩耶ちゃんがどこか不機嫌な顔していて、すずちゃんは幸せ絶頂といったよう
な顔をしている。
「…こりゃなんかあったな…」
「……そだね」
まどかもどこか疲れた表情をしている。
「とりあえず座りますか」
今この六人用のテーブルには手前の一番左側に女の子、その隣にすずちゃん、そのまた隣に摩
耶ちゃんといったところだ。
とりあえず反対側の女の子の前におれ、その隣にまどか、千恵ちゃんといった順番で腰掛ける。
「そういや自己紹介がまだだったな」
「…私達はもう済ませたわ…」
と、めずらしく摩耶ちゃんが応えた…やはりどこか不機嫌だが…。
「じゃ次はおれ達だな」
「だったらねいからするね〜、えっとね、ねいは芹乃宮音唯っていうの〜!9さいだよ!」
えへへ〜、とはにかみながら自己紹介してくれた音唯ちゃん。
「おれは「しってるよ〜『黙ってると普通な政貴お兄ちゃん』と『政貴お兄ちゃんにいつも振り
回されているまどかお姉ちゃん』に『口は災いの元の語源になった千恵お姉ちゃん』でしょ〜」
えらいでしょ、えっへん。と締めくくった音唯ちゃん。
その仕草を見てすずちゃんが身悶えてる…、なんとなく摩耶ちゃんが不機嫌なのがわかった気
がする。
「ちなみにその説明はだれが?」
「えっとね!まやお姉ちゃんがしてくれたよ!」
摩耶ちゃんに視線を合わせようとするとふいっと視線をそらす摩耶ちゃん。
「「…摩耶ちゃん…」」
苦笑いなまどか、ちょっと涙目な千恵ちゃん。
「まぁ当たらずも遠からずってところだな」
「あれ?ねいまちがえちゃった??」
「ううん!音唯ちゃんは何も間違ってないよ!」
ここぞとばかりにフォローに入るすずちゃん。
「そっか、教えてくれてありがとう!まやお姉ちゃん!」
上目使いに摩耶ちゃんを見上げ必殺技の『音唯ちゃんスマイル』(命名おれ)を繰り出す。
「……い…いいのよ…気にしないで…」
おおっ!あの摩耶ちゃんにまで有効とはっ!!恐るべし!
「…ご…ごめんなさい…用を思い出したから…お先に…」
なんともありきたりで摩耶ちゃんらしくない事を言って席を立とうとする摩耶ちゃん。
「まやお姉ちゃん…いっちゃうの?」
「……うぅ…ごめんなさいっ…また今度会いましょうね…」
そう言って立ち去る摩耶ちゃん…なんつーか、こう、凄いものを見たな…。
「凄いね…」
「あの摩耶ちゃんを…」
まどかも千恵ちゃんも同じ感想の様だ。
横を見てみると音唯ちゃんの口についたスープの飛び汁をすずちゃんがせっせとハンカチで
拭き、音唯ちゃんに『ありがと〜』と音唯ちゃんスマイルで返され至福の表情をしている。
恐らく摩耶ちゃんがいなくなった事にも気付いてないだろう…。
「なんだろ…おれちょっと摩耶ちゃんがかわいそうになってきた…」
「「同感…」」
その後いろいろと話した結果、どうやら音唯ちゃんはこの学園に一年生として入ってきたらし
い事・学園長の娘さんで音唯ちゃんが「ねぇねぇ!おとーさん、ねいね高校生になりたいなー」
と言ったらここに入れてくれた事がわかった……子煩悩もここまで来るとすごいな…。
ところで音唯ちゃんはどこのクラスに入ってるんだろう?
「ねぇ音唯ちゃん、クラスはどこなの?」
この質問をした途端すずちゃんがピシリ、と固まった。
どうやら聞くのを忘れていたらしい…。
「えっとね〜おとーさんが『どこでも音唯が入りたいところでいいよ』って!」
キラ〜ン!!
不気味に光るすずちゃんの目。
「今まではおとーさんのへやにいたんだよ!」
理事長室かな?
「じゃ、じゃあ私達のクラスに来ない!?」
ここぞとばかりにすずちゃん。
「…いいの?」
ブンブンッ!
頭がおかしくなりそうなくらいに首を縦に振るすずちゃん。
「お兄ちゃん」「先輩」
「「なんかすずちゃんが怖いよ…」」
大丈夫、おれも怖い。
「うんっ!じゃこれからはすずお姉ちゃん達のクラスに行くね!」
惚れ惚れするようなガッツポーズを決めるすずちゃん。まるで『いよっしゃぁ!』とでも聞こ
えてきそうだ。
「えへへ〜、これからよろしくねっ!」
と言い、まどかと千恵ちゃんに『音唯ちゃんスマイル』を繰り出す。
「「うっ…!」」
「まどかちゃん…」
「うん…確かに反則だね、この笑顔は……」
そんな事を言い合うまどかと千恵ちゃん。
「ふぅ…これからも大変になりそうだな…」
そんな事を言いながらも顔には笑顔を浮かべてるおれだった…。
おまけ
ここは屋上。
そこに物憂げに佇む女生徒が一人…。
「…はぁ…」
口から出るのは溜め息ばかり。
「…どうして…どうして……」
告白にでも失敗したのだろうか?
「…どうして……すずちゃん以外にときめいてしまったのかしら……?」
………とりあえず今日もこの学園は概ね平和そうだ…。
「……はぁ…」
あとがき
え〜…すいません!!書くの遅い上に中途半端!
次の音唯メインの時にはもっと目立たせますから!
とりあえずこれは音唯登場編とでも考えておいてください。
ちなみに新キャラ『高町紗菜』は『たかまちしゃな』と読みます策吉さんが名前を考えてくれ
ました!きっと挿絵も書いてくれる事でしょう(笑)
お楽しみに!
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