トップページ>星の信仰 >アメリカインディアンの星>アメリカインディアンの真の星のイメージとは
〜「アメリカインディアンの星の説話」からのつづき〜
母親の代わりにスター・ボーイは村に帰り、英雄となりました。
ならば、前の二つの話も星の暗いイメージとして終わらせていいのでしょうか。
ひょうたんの若者は、その場を離れてはいけない約束を破ったことに対して、
いたずら好きの男の子の話は、いたずらと恩知らずという
いわば、これらの行為の戒めではないかと思うのです。
では星に伴う、この雲の上の世界は何なのでしょう。
天上には地上と同じような別の世界がある
この世界観は、アイヌ民族にも当てはまります。
アイヌの「あの世」とは、高い山をさらに越えたすなわち天空の先です。
そこは「この世」と同じような環境で、
山も川も家もあり、人々に神々も暮らしているといいます。
アイヌは自然現象など、
人間が素手で立ち向かえないような相手を神と位置づけていますが、
死んだ人も神の範疇に入れています。
インディアンの死後の世界は、
地下または地平線の彼方、もしくは天空の中であり、
空の国といっても、ふわふわな地面ではなく、
地上とよく似ており、家もあり草原がひろがっています。
そして、一部のインディアン部族には、
星は死んでしまった人々すべての魂であるとされているのです。
では、星のイメージはというと、神秘的で善悪様々だったともいえます。
しかし、そのような単純なものではなく、
星はその出現の規則性から、人々へ暦はもちろん規律の重要さを教え、
その模範となり得たのではないでしょうか。
ここから、人々は自ら教訓や思想を学び、
それを後代に伝える対象の一つとして、星を選んだのでしょう。
星の動きは人間には扱えないものです。
それを神とするならば、神は天上世界に存在するものとして、
星もそのひとつとして考えるとします。
無数の星を目にして、それら教訓を伝承してきた無数の祖先(死んだ人々)を、
死後の世界の化身として、星に見立てるとするならば、
星の輝きから、
その教訓の恩恵として、戒めや英雄伝説が生まれても不思議ではありません。
以上より、星のイメージの根本にあるものは、
星の規則性が教訓・恩恵・思想という概念を生み出し、
これらを伝承する上で、味付け・発展として、善悪のイメージを人々が選び、
物語・説話として、現代に伝わっているのだと考えるのです。
【参考文献】
◆再話/北山耕平・作画/菊地慶矩、『星の少年』、ビイング・ネット・プレス、2002年
◆小沢俊夫編、中村志朗・青山隆夫訳、『世界の民話 11 アメリカ大陸T』、ぎょうせい、1981年
◆藤村久和、『アイヌ、神々と生きる人々』、小学館、1995年