悲しみは憎しみへ続く
憎しみは争いへ続く
でも私には争う力がなくて
ただただ悲しみと憎しみだけが蓄積されて
気付いたら「そこ」には誰もいなくて
誰が作った世界なの?どうしてこんな世界があるの?
いっそ、すべての命が消えてしまえば……
「え……何、これ……?」
目の前に広がる赤い血。
いつも綺麗に磨かれた大理石の上に広がる水たまりのような赤い血。
それは上から雨漏りのように落ちてきてる。
天井にいるのは……
「ペリオット……?ペリオット……なのか……?」
天井に、まるで教会を見下ろすように磔にされた金髪の少女。
よほど振り乱したのか、いつも艶を帯びていたそのブロンドの髪は、赤い血で垂れさがっていた。
ペリオットの血が、ポタポタと床に落ちる。
「何、が……」
教会の祭壇へと目を向ける。
そこには一本の血で濡れた長く怪しげに輝く剣を力なく握りしめる神父の姿があった。
協会が神と定めたステンドグラスを見上げたまま動かない。
「ラッジ神父っ……ラッジ神父が……どうしてこんなことを……?!なぜペリオットをっ……!」
祭壇を1段上がっても、ラッジ神父はこちらを見ようとしない。
ただ、ステンドグラスを見上げるだけ。
その口端から垂れるものに気づいたのは、ラッジ神父の正面に立ってからだった。
「……しん、ぷ……なぜっ……なぜっ……」
ステンドグラスを見上げ、胸に手を置いたラッジ神父は、もう二度と動くことがない。
その目が、慈愛に満ちている。
ラッジ神父が行ったことではないと、すぐに判断できた。
ならばこんなことをしたのは、ペリオットを殺したのは誰だ。
光が絶えることのないこの教会をこんな姿に変えたのは、一体何者か。
「……ペリオット……ラッジ神父……俺がここにいたら、2人の運命は何か変わっていましたか……?
ペリオットがあんな姿になることを、ラッジ神父は望んでいましたか……?俺も誰も、教会のこんな姿をっ……」
言い様のない悲しみが胸に押し寄せる。
今はただ、この教会の姿を、ラッジ神父を、そして最愛のペリオットの無残な姿を、見ていることしかできない……。
神様、ここで何があったのか教えてください。
ラッジ神父が血塗れになってまで、武器にはしないと誓っていた剣を手にしてまで。
ペリオットがあんな姿になるようなことが、ここであったのかを……。