スタートレック・ゲーム

 スタートレック・ゲームというのは、ご存じスタートレックTOS(The Original Srieseの略、早い話が『宇宙大作戦』のこと)をモチーフにした、コンピュータゲームです。“モチーフにした”というのには理由がありまして、このゲームの基本は、惑星連邦の領域内に潜伏しているクリンゴンの戦艦を一定期間内に、殲滅するのが目的という、TOS……というようりも、スタートレックの生みの親であるプリデューサーの故ジーン・ロッデンベリーの理念──人類の相互理解──をまったく無視した(笑)コンセプトに基づいてるからなんですね。
 でも、このゲームはパーソナルコンピュータの黎明期に、(少なくともアメリカと日本では)かなりメジャーなタイトルでした。逆に言えば、それだけTOSのメカSFとしての欲求不満な部分──艦隊戦の少なさ──を、見事に補完したコンセプトだったということになるわけです。

その歴史
 スタートレック・ゲームの歴史というのは、相当古いです。元々は、学術用などの大型コンピュータ、いわゆる“メインフレーム”マシンをプラットフォームとして開発されたゲームです。そのため、この古式ゆかしいゲームは「メインフレーム・スタートレック」と、一般に(?)呼ばれております。
 かつてコンピュータのディスプレイが、CRTではなくプリンタだけだった頃、半二重式(要するにFAXのような要領で、コンピュータと応答しつつ作業を進行させる)で、テキストのみで艦隊戦をシミュレートするゲームがあったわけです。基本的なアルゴリズムは、これに乗っ取っているわけですが、スタートレック・ゲームの場合は、CRTディスプレイに適したインターフェイスを採用しています。
 ゲームの進行そのものは、テキストのスクロールで展開されて行きますが、キャラクタ(文字や記号のコトですな)を適度にグラフィカルに配置した構成になっており、レーダーや星間地図がそれらしく再現されておりました。また、武器を発射した場合、光点がブリンクしつつグリッドを移動し、命中すればBeep音がなるというという、サウンドやビジュアル面も重視したものでした。
 メインフレームで開発されたプログラムですので、言語はフォートランが使われていたそうです。これが、ベーシックへの移植を楽にしたともいえるでしょう。オリジナル版のベーシック・バージョンのスタートレック・ゲームは、Apple][にバンドルされていたもの、というのが通説でが、その移植を誰が行ったのかは不明と言うことです(この辺のアンノウン加減が「歴史」っぽい(笑))。
 日本で大々的(?)に紹介されたのは、おそらく「文芸春秋デラックス・宇宙SFの世界」という文春のムック本(そういうサブカルチャー指向のムックを文芸春秋は出していたのだ!)で、小松左京が二人の息子と一緒にデモ・プレイするという、8p.ほどのコーナーが最初ではないでしょうか。少なくとも一般誌で取り上げられたのは、これが間違えなく最初でしょう。なんと言っても、当時12歳だった自分もそれで知ったのだから!

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