(Last Update 1998/10/14:Complete)

#1「みほ、華麗なる変身!」(98/04/05)
脚本/望月智充 絵コンテ・演出/大森貴弘 作監/大西貴子
原画/宮川治雄 新田靖成 君島 繁 舟川朗子 森山美津子 橋本淳一 いがらしみちこ 岡たつや

小学3年生のみほは新学期の朝、古代の村が恐竜に襲われるという不思議な夢で目を覚ました。新しいクラスで上手く自己紹介できずガックリのみほは、学校の帰りに立ち寄った文房具店で二匹の恐竜のぬいぐるみを見つける。ひょんなことで万引きと勘違いされたみほを助けてくれたのは、今朝の夢にでてきた男性そっくりの人だった。その夜、ぬいぐるみが喋って動き出した。二匹は「時の記憶の世界」の妖精ピグとモグで、みほを魔法で大人にしてくれるという。

解説
スタジオぴえろ設立25周年・『クリィーミーマミ』から15年というメモリアル的な意味合いもあり、まさに満を持しての本作。内容的には、10年ほど前にセイカノートでファンシー文具展開をしていた『ファッションララ』をリファインしたものだが、コンセプトそのものを相当に練り込んであるため、#1からそんな印象はすっ飛んでしまうほど、フレッシュな感覚に溢れている。
意表をつく石器時代のプロローグは、シリーズ全体を象徴するような思わせぶりの見せ方で興味津々。以降はほぼ全編、みほの新学期第1日目をリアルタイムで追う細かく丁寧な日常描写に終始させ、みほを取り巻く環境を過不足なくスムーズに描ききっている(特にみほとちさが同時に父親を呼びに行く辺りで見せる関係描写が巧い)。
また、初めての変身後に思わず胸元をのぞいてみたり、みほの時との身長差を確かめてみたりするララの描写などもニヤリなコンテだ。この辺のコダワリは、わざわざ大人の服に着替えなくてはならないという(#2でみほに「面倒くさい」とまで言わさしめる!)基本設定あってのものだ。

今回の華麗なるもうそー
記念すべき最初のみほの妄想は、Aパートで新しいクラスで自己紹介シーンだ。野崎あんなの饒舌な紹介を横目で眺めつつ、机にイタズラがき(この描き込みがまた細かい!)しているみほは、自分の番が回ってきたときに、あんな以上の自己紹介でクラス中の喝采をあびるというイメージに、思わず照れ笑い。だが実際は……という、みほというキャラをズバリ見せる抜群な対比として挿入されている。
またBパートでは、不思議さんがタレントスカウトで、自分をスカウトしに来たというイメージに笑みがこぼれてしまうというシーンも(しかもそれに続いて、不思議さんがくしゃみをする場面もある!)。

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#2「ララの原宿デビュー!」(98/04/12)
脚本/望月智充 絵コンテ/石原立也 演出/島 美子 作監/池田和美
原画/京都アニメーション 上宇都辰夫 村山健治 中野恵美 米田光良

ララに変身できるようになって初めての日曜日。みほは、変身して原宿に出かけることにする。だが特に目的もなくやってきたために、ララはただ街角で人波をながめるだけ。妙なスカウトに誘われて、思わず逃げ出したララは、そこでタレント事務所リリカルプロの女社長・羽根石と出会った。彼女は至急にモデルを探しており、会ったばかりのララに撮影の仕事をしてみないかと声をかけ、強引に撮影スタジオへと連れて行く。戸惑いつつもカメラの前に立ったララは、見事に仕事をこなしたのだった。

解説
#1がみほ側の設定編とするならば、この#2はララ側の設定編ということになる。#1以上に斬新な描写に溢れており、特にみほがララに変身したことで、大人の世界をかいま見るワクワク感がバツグンだ。例えば、電車内で見せるララの細かいしぐさ(座席から吊革に向かって手を伸ばす──おそらくララの時の座っている高さが、みほの身長なのだ)や、ラストで羽根石からもらった携帯に、相川ひろやが電話をかけてきて舞い上がってしまうところなどだ。特にここで、みほにとって携帯電話が魔法のアイテムと同等に扱われている点は多いに注目したい。まさにみほを大人の世界とをつなぐ「魔法の電話」であり、だからこそ相川ひろやから電話がかかってくるのだ!
また、『クリィーミーマミ』などでは「メルヘン」ゆえに暗黙の了解的に描かれなかった、タレントとしてのギャラの発生についても言及しており、ぴえろ作品の特色でもある「社会的に実在する魔法のヒロイン」をより踏み込んだものにしている。
それにしても、トラックの陰で着替えをしようとは、さすがおこちゃまだぞ、みほ!

今回の華麗なるもうそー
自己主張の苦手なみほが毎回見せる空想癖。字面だけで見るとネガティブだが、イタズラがき風にアレンジされたデフォルメキャラによるポップなテンションで、本作のコミカルな見せ場となっている。さて今回はAパート、ララは電車の中で、街でいきなり相川ひろやにナンパされちゃうという妄想におぼれるあまり(笑)、乗り過ごしてしまうのであった。続く、ララが子供料金の切符で改札を通れないシーンも併せて、姿は大人になっても中身はみほのままという見事な演出が冴えている。

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#3「どきどきテレビ出演!」(98/04/19)
脚本/横山雅志 絵コンテ・演出・作監/久米一成
原画/スタジオれんげ 久米一成  林 桂子 安部直樹 岡田和久 片岡恵美子 田島栄子

ララとして、なんとなくだがタレントの仕事を少しずつ始めるようになったみほ。授業中に羽根石社長から携帯のコールがあったり、放課後もオーディションがあったりと、ちょっとしたタレント・ライフの日々だ。そんな中、ララは化粧品のイメージガールとして、TVのバラエティ番組で商品の宣伝をすることになる。その内容が元悪役女子レスラーとのプロレスと聞いてビックリ。一瞬出演をためらうララだったが、スタイリストのコミさんの「芸能界は楽しんだ人の勝ち」という言葉とスタジオで見かけたあの不思議なおじさんの姿に励まされ、初めてのTV出演を楽しく終えたのだった。

解説
#2からすでに数週間以上経過しているようで、前回の撮影のギャラが支払われていたり、撮影した写真が雑誌に掲載されていたりしている。AパートとBパートでそれぞれ独立したようなエピソード構成となっているものの、みほ側とララ側のシーンがバランスよく配されており、充実した印象を受ける。今回特筆すべきは、主にAパートでみせるみほと吉田太郎のやりとりだろう。いかにも「小学生の女子と男子の会話」という二人のダイアログは秀逸きわまりない。またラストでの、太郎に向けたララのメッセージにTVの前の太郎が、思わず「はい」と返事をしてしまうというくだりもニヤリ。
なおこのエピソードで、人気タレントの夢野美樹が太郎のいとこであることが分かったり、みほが例のおじさんを「不思議さん」と名付けるなど、基本設定が完全に紹介されたことになる。ところで、今回ララが出演したバラエティ番組「底抜け脱線ゲームDEポン」は、#1でちさが見ていた番組だ。

今回の華麗なるもうそー
みほは、相川ひろやの大ファンというワケで、#3に引き続いて今回もララがひろやと撮影の仕事でツーショット&優しく接してくれるというイメージのトリコに。ところが、現実の目の前の男は吉田太郎で大幻滅(しかも「きたなーい!」というみほの反応が、とってもらしいのダ)。妄想中のみほは完全に周囲が見えていないというか、「イっちゃってる」目線になっている演出も愉快だ。

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#4「ダブルデートの日曜日」(98/04/26)
脚本/村井さだゆき 絵コンテ/石踊 宏 演出/高田 淳 作監/柳瀬雄之
原画/野田康行 松本勝次 渋谷一彦 藤田正幸 津野満代

今日は日曜日。ララとしての仕事がキャンセルになり、暇をもてあますみほは、ちょうど家にいたお父さんと昼食を兼ねてお出かけすることにする。やって来たのはデパートの恐竜展で、みほは巨大な恐竜の模型に驚き、アクセサリーに変身していたピグとモグは、再現された恐竜時代のジオラマに思わず実体化してしまう。そんな時、この恐竜展にちさがボーイフレンドと一緒にいるところを見かけたみほは、ララに変身して、二人の様子を見ることにする。実はお父さんもちさに気づいており、はからずともララと二人で後をつけることに……。一方ピグとモグは、見学中の子供に動いているところを見られてしまった!

解説
#1でも片鱗をみせていた、「みほと仲良しの父親の、ある日の日曜日」という展開に完全にフォーカスさせた#4。このエピソードが、本作のホームコメディとしての間口を大きく広げることになるだろう。『ケロケロちゃいむ』『きこちゃんスマイル』の石踊宏による、シチュエーション・コメディ路線の絵コンテがなかなか見事。テレビ局で羽根石と真美子が、互いにみほに電話をしながらすれ違うシーン(みほが携帯と受話器を両手に七転八倒するさまも愉快)や、みほがトイレでララに変身する際、外まで呪文が聞こえてしまったりと、ユーモラスな場面も多い。また、ラストでおんぶされたみほと洋一郎とのやりとり(「みほは大人になんかならなくていいんだぞ」という父親に「それは無理だよ」と寝ぼけまなこで返すシーン)がハートフルで、温かい余韻を残している。
なお#2・Aパートで、ちさが電話をしていたボーイフレンド・今市が初登場する。二人の関係が今後もシリーズに織り込まれて行くのかどうかも、興味のマトだ。

今回の華麗なるもうそー
今回のみほの妄想シーンはAパート、ひとり部屋でコミックスを読んだりマンガ原稿を描くときに挿入される。超売れっ子マンガ家のみほが、担当編集の羽根石の催促を受けて、アシスタントのあきるや太郎に指示をとばす(羽根石以外みな、小学生のままなのがおかしい)というイメージに浸って「休みがほしー」の自分の声に、我に返れば暇を持て余した日曜の午前中。という、落差の演出としてもバツグン。

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#5「みほとララの多忙な一日」(98/05/03)
脚本/荒木憲一 絵コンテ・演出/山崎たかし 作監/南 伸一郎
原画/新田靖成 久高司郎 須貝恵美 橋本淳一 矢木正之 鎌田美樹 藤谷正幸

みほは、親友のあきると一緒にTVの視聴者参加番組「テレビ驚天動地」に出演することになった。みほ自身は本当は乗り気ではなかったのだが、審査員として相川ひろやがゲストで出ると知り二つ返事で引き受けたのだった。ところが、その収録日は新番組のアシスタントのオーディションの日でもあった。場所が同じ撮影所なのを幸いに、みほは、TV出演とオーディションのダブルブッキングをこなすことにする。当日どうにか決勝戦までたどり着いたみほたちだったが、競技の途中であきるの体調が悪くなり病院へ運ばれてしまう。みほは、オーディションの最終審査をあきらめあきるを見舞うのであった。

解説
ダブルブッキングものという定番的なシチュエーションらしくクライマックス直前まで、徹底的にコミカルな娯楽編という展開を見せつつ、最後は体調を崩してしまったあきるが心配で、オーディションをドタキャンしてしまうという苦みを利かせた構成はお見事! 今回は、みほが相川ひろやに対してことごとくウットリ(親爺ギャグにさえ!)という、ギャグタッチな演出が施されているが、あきるのことを知ってオーディション会場を飛び出したララが、鉢合わせたひろやも眼中に入らない、という部分の引きにもなっている。また、収録日当日までのみほとあきるのトレーニング風景をララの歌声(歌唱トレーニング)に乗せて見せる辺りも、心憎い演出だ。
このエピソードから、理々香がララのマネージャーに抜擢されるのだが、羽根石から言い渡されてスケジュールを慌ててメモる辺りも初々しくてグー(いわゆるフレーム外の演出が効果バツグン)。
ところで、#3から連続してララと洋一郎がワンポイントで出会うシーンが用意されており、今後の展開に関わる予感も……。
それにしても、再三競技を抜け出したみほに対して、あきるちゃんのなんと寛大(鈍感?)なこと!

今回の華麗なるもうそー
今回の妄想は、みほの楽天的な一面をクローズアップするような形で登場する。Aパート、ダブルブッキングをこなそうと決意を固めた直後、すでに彼女の思考は、オーディション合格&テレビ驚天動地優勝の美酒にヘベレケ状態。しかも、相川ひろやに「優勝おめでとう」と言われて「カ・ン・ゲ・キ!」という、処置無しぶりを発揮してくれている。

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#6「ララはライバル?」(98/05/10)
脚本/横山雅志 絵コンテ・演出/島 美子 作監/池田和美
原画/京都アニメーション 上宇都辰夫 村山健治 中野恵美 米田光良 笹井昌治

ララのタレントの仕事も次第に増え始め、みほの忙しい日々が始まった。しかし小学生との二重生活(?)のために、いつも入りの時間ぎりぎりで、マネージャーの理々香はハラハラしどうし。そんなある日、吉田太郎の家に彼のいとこである人気タレントの夢野美樹が遊びにやってきた。優しく接してくれる美樹に、みほは親しみを感じるのだった。撮影の仕事でララは美樹と一緒になったが、美樹の冷たい態度にララは当惑してしまう。あげくにララを撮影から外せとまで言い出す始末。ついにララは直接美樹に、意地悪をしないで欲しいと訴えた!

解説
意外にも、#2以来のララ側に完全にフォーカスしたエピソードだ。今回からOPはもちろん#1でもチラリ(相川ひろやとの共演CM)と登場した夢野美樹が、ようやく本格的に登場する。ライバルキャラとしては定番とも言える「意地悪さと優しさの二面性」を早速披露してくれるわけだが、みほに対してプライベートな優しい面から先に見せており、吉田太郎のいとこという設定を生かした構成がポイント高い(普通は意地悪い面から先に見せるものだ)。このギャップからくるみほ(ララ)の当惑ぶりがミソで、今後も美樹は、ライバルであるララと妹みたいなみほに対して異なる態度をとってゆくのだろう。
なおセミレギュラーとなる美樹の所属事務所の鳴海社長も今回より登場する。だが、実は一番セミレギュラーになって欲しいのは、売れないタレントコンビ(笑)の安西涼子(as三石琴乃)増田さりな(as岡村明美)だ! ちゃんとフルネームが設定されてるし、声優さんもビッグネーム&中堅どころというのキャスティングとくれば、そうした期待も当然。「アイドルもの」で、こういう「お仕事フレンド」という位置づけのキャラというのは、ありそうでなかった(あえて言うなら『ようこそようこ』のサキくらいかな?)ので、使い方如何によってはララ側のストーリーを大きく掘り下げることも出来るだろう。
ちなみにオンエア時は、プレゼント告知のため予告編は短縮版が流された。

今回の華麗なるもうそー
今回は、Aパートのみほがテレビ局へ急ぐシーンで挿入された。ひろやの出待ちをしているファンの声に、思わずマラソンしている自分(しかも、「ガンバレ!ニッポン」(笑))を想像してしまい、ついつい転んでしまうという、おドジな展開だ。その上、ピグとモグにまで「ぼんやりしてるんじゃない」とまで言われてしまうのだった。

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#7「恐怖のもっこ当番」(98/05/17)
脚本/望月智充 絵コンテ/池端隆史 演出/矢野 篤 作監/林 桂子
原画/スタジオれんげ 久米一成  林 桂子 安部直樹 岡田和久 片岡恵美子 山崎鏡子
今日は休日だが、みほはあきるやあんな達と学校で飼っている羊・もっこの世話の当番になっていた。だが撮影の仕事で遅れてしまったたため、みははララの姿のまま学校へ。校舎に誰もいないことを確かめると、みほに戻るのだった。ところが、変身するときの瞬間的な輝きを飼育小屋にいたあんなや太郎に目撃されてしまい、彼らはそれを幽霊のものだと勘違いしてしまった。幽霊騒動の大元が自分だとは知らないみほは、その話を聞いて幽霊探検をしようと提案。ところが、誰もいないはずの校舎でピアノの音色が聞こえてきて、驚いたみほ達はバラバラになってしまう。そして、太郎の前に包丁を持った男が……!

解説
抱腹絶倒なノリの強い本エピソードは、『ケロケロちゃいむ』で強烈なギャグ演出を見せつけていた池端隆史がコンテを担当している。朝霞先生が家庭科室で料理をするシーンを、ホラー映画風にインサートしたり、先生が恐がりであるのに、平然とみほたちが幽霊の話をして盛り上がったり(先生の話を聴いちゃいない演出がミソだ)と、ここでも独特のギャグセンスを発揮している。
一般的に魔法少女モノで幽霊のストーリーを作ると、おおむね幽霊が実在しヒロインが魔法で解決するという、メルヘン指向のエピソードに陥りがちだが、ここでは最初から幽霊の正体がララである「枯れ尾花」オチを、見ている側に示しているところもニクイ(実は、このネタは望月監督自身が脚本を執筆(坂本郷・名義)した『勇者指令ダグオン』ドラマCD「春はあけぼの」でも使われている)。
しかし今回の一番重要なポイントは、具体的に吉田太郎のみほに対する想いが画面に登場すること(一年生の時の「お願い」を書いた紙を偶然発見するシーン)だろう。これ以降のエピソードでは太郎の立場は、より明確になってゆくことになる。また、ここまでほとんど出番のなかったあんなの見せ場もふんだんに用意されており、望月智充自身が執筆したシナリオだけのことはある。

今回の華麗なるもうそー
今回、初めて妄想シーンはお休み。でも、それを気がつかせないほどのスラップスティック色豊かな内容なので、物足りなさは感じない。その辺はケースバイケースというスタンスで、時にはこういうのもアリかな?

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#8「ちび猫リルと魔法の秘密」(98/05/23)
脚本/村井さだゆき 絵コンテ/うえだひでひと 演出/高田 淳 作監/大西貴子
原画/宮川治雄 君島 繁 舟川朗子 佐々木隆司 森山美津子 いがらしみちこ 藤田靖弘 松村和子

撮影の仕事で使った子猫を、みほはすっかり気に入ってしまった。その日帰宅したみほは、姉のコンパクトをなくしたことに気がついた。そこで魔法のスケッチブックにコンパクトを描いてみると、本物そっくりの物が現れた。さらにCDやカメラも描いてみるが、どれもイミテーションであった。最後に子猫を描いてみるが、やはりそれも本物ではなくみほはガッカリ。ところが翌朝目が覚めると、その猫が本物になっていた。大喜びのみほは1日がかりで名前を考え、子猫はリルと名付けられた。そしてみほとリルの楽しい生活が始まった。だが数日後、みほがスケッチブックの魔法を解いた時、リルも消えてしまうのだった。

解説
とてもシビアで、おそらくシリーズ全体を通しても異彩を放つであろうこのエピソードは、『ウルトラマンダイナ』で「ユメノカタマリ」や「怪獣戯曲」などを執筆した村井さだゆきの脚本である。
そのコンセプトは、サブタイトルが示すとおり、スケッチブックの魔法のルール確認(出現させた物を消去する呪文「ぶかぶか」や、みほが衣類関係以外を描かない理由など)にあるわけだが、展開されるストーリーは、そのルールがもたらした、みほと子猫リルとの哀しく儚い「楽しいひととき」だ。本編中に悲劇的な描写が一切ないあたりも、より悲劇性を強めている。特にリルを描くまでのコミカルなもって行き方や、みほとリルとの生活を細かく丹念に描いた──名前付けに始まり、お風呂やこっそりエサを与えたり、あるいは行方不明になってしまい必死に捜したりと、まさにペットネタの定番シチュエーションをつぎ込んだ構成は、見ている側の心をえぐらんばかりだ。それは確信犯的にミエミエな伏線(冒頭のモグのモノローグや、リルにつけられた首輪)が見事に機能しているからでもある。
また、迷子になったリルを、雨の中みほと一緒に吉田太郎が捜すくだりでは、彼の優しさやみほとの心のふれあい(雨が上がった後も、二人とも傘をさしたまま歩いているなど)も描いており注目だ。
そして、リルが首輪だけを残して消滅してしまうラストシーン。がらんとしたみほの部屋の俯瞰のFIX画面に、リルを呼ぶみほのoff台詞(はつらつとした大森玲子の演技がこれまた、切なすぎてグサリ!)をかぶせて白フェードという、あまりにも苦い後味と余韻を残す幕切れはどうだ!
本作の持つ魔法のスタンスを明確に描ききった傑作といえるだろう。

今回の華麗なるもうそー
妄想は今回もお休み。極端にシリアスなストーリーだったので、この配慮は適切&納得というところだ。

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#9「歌手になんてなれない!」(98/05/31)
脚本/荒木憲一 絵コンテ・演出/山崎たかし 作監/南 伸一郎
原画/清水健一 佐藤道雄 鈴木雄大 須貝恵美 橋本淳一 小菅 洋  南 伸一郎

ララに歌手デビューの話が舞い込んだ。しかも相川ひろやの番組でのエンディング曲として使用されるという。すっかり舞い上がってしまうみほだったが、翌日の理科の授業で自分の声を自分で聞くという実験で、その違和感に驚愕してしまう。そのショックは大きく、レコーディングの仕事も断りたいと言い出すほど。すっかり落ち込んだみほを元気づけてくれたのは、なんと吉田太郎であった。そしてレコーディングの当日、ララは景気づけに太郎のお得意の歌を唄い収録に臨む。見学に来ていた相川ひろやは、ララに「これからはライバルだ。一緒にがんばろう」と暖かく声をかけるのだった。

解説
OPではおなじみであった、ロングヘアーのシンガースタイルのララが、ついに本編中にお目見えする。今回はララがデビューシングルをレコーディングするまでの顛末を描いたストーリーだが、みほの日常生活を巧みに絡めた展開はお見事。ことに理科の実験で、録音された自分の声の違和感にショックを受けたみほが、レコーディングはおろか普通に喋るのさえ苦痛になってしまうというシチュエーションは、「コロンブスの卵」のごとき発想だ! そして、ここでも落ち込んだみほを精神的に助けるのが吉田太郎であり、彼の自作(?)の歌を夕暮れの川辺でみほと唄うシーンは、二人の今後の関係と位置づけを如実に示していると言えるだろう(それは、次回でより明確となるのだが)。ララのレコーディングを見ていた相川ひろやの表情も、単なる興味以上の関心を表しているが、このエピソードを見ただけでも、最終的にみほ(ララ)は吉田太郎と結ばれるであろうことは明白だ。
なお今回は、ひろやが「お互いがんばろう!」とララに声をかけるラストシーンから、エンディング曲のイントロをかぶせる演出がなされているが、次回の冒頭ではこれに呼応して、「トランスバランス」のメロオケがサブタイトル部分から流れるという凝った構成にもなっている。

今回の華麗なるもうそー
久しぶりの妄想シーンは、Aパートでの羽根石から歌手デビューのニュースをみほが聞くところで挿入された。歌手になる、と聞かされた途端新人賞受賞のイメージ(ここでのララはショートヘアというところが芸コマ!)にトリップしてしまう。しかしその耽美な世界(笑)も、吉田太郎の妙ちきりんな歌によってブチ壊されてしまい、思わず大激怒となるのだった。だがBパートにおいて、この太郎の歌がきわめて重要な役割を果たすことになる。なんと心憎い構成だろう。

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#10「すったもんだのキャンペーン」(98/06/07)
脚本/横山雅志 絵コンテ・演出/島 美子 作監/池田和美
原画/京都アニメーション 上宇都辰夫 中野恵美 米田光良 笹井昌治

ララのデビューCDが発売され、プロモーションビデオも撮影された。そんな中で、デビュー曲「トランスバランス」のキャンペーンが静岡で行われることになった。ところがその日は金曜日で、やむを得ず羽根石はレコード会社に断りに行くがそこで鳴海と出会い、売り言葉に買い言葉でキャンペーンを強行することに……。弱り果てたみほたが、ララに変身して朝霞先生を説得し土曜日の静岡への社会科見学を、金曜にずらすことに成功する。そして当日、みほは自由行動時間に抜けだしキャンペーン会場へ。客足の鈍いステージ&サイン会だが、偶然通りかかった吉田太郎がCDを買ってくれた。ララの最初のサインは、太郎が受け取ったのだった。

解説
『クリィーミーマミ』や『マジカルエミ』では、デビューと同時にブレイクしてトップアイドルの仲間入りという、ある種「ご都合」な展開だったが、本作の魔法はあくまでも「きっかけ」に過ぎない。言い換えれば「万能ではない」ものとして捉えられているため、ララは『アイドル伝説えり子』よろしく(笑)地方での営業仕事をこなすことになる。その地方でのキャンペーンが平日と重なってしまい……という定番ネタではあるが、ここではかなり大胆不敵な解決方法をとることになる。みほはララに変身して、占い師として朝霞先生に近づき、社会科見学の日程をずらすように要求してしまうのだ。この二人のやりとりはコミカルでおもしろいのだが、学校行事を簡単に変えることが出来るのかどうか、という部分はいささか疑問の残るところだ(例えそれがクラスレベルの行事であってもだ)。しかしシナリオ的に多少の弱点を作ってでも、社会科見学と地方キャンペーンを同日にした意義は大きい。なぜなら、これによって吉田太郎がララのシングルを最初に買った人物に出来たからだ(太郎がCDを買うときの、「下積み云々」という知ったような口振りもケッサク)。またそれより先にララのCDに興味を示すのが不思議さんという構成もニヤリだし、ラストカットが、太郎に最高のスマイルで応えるララの止め絵という演出もナイスだ。
なお、この#10もトータル的には学校生活に重点を置いた構成になっており、あきるが最近みほと一緒に遊べないことを淋しく思っていたりするシーンや、社会科見学の場面では、みほが抜け出した後のあきるやあんなたちの行動もキッチリみせるなど、細かい配慮や描写がなされている。
ところで、冒頭でのララとコミさんの会話で言及される「思春期の少女のみがもつ感性」こそ、本作の(というよりもぴえろ魔法少女作品に共通する)「魔法」の本質ではないだろうか。

今回の華麗なるもうそー
今回はBパートのキャンペーンシーンに2回挿入され、客の有無をあまり気にしないララ(みほ)の自己陶酔的マイペースぶりを巧みに演出している。
最初はステージ中。客はまばらだが、ララは人前で歌うというシチュエーションそのものに酔っており、コンサートホールでフルオーケストラをバックに従えたイメージに浸ってしまう(ここでのララは妄想タイプではないところがポイント)。2度目はそれに続く即売&サイン会で、ここでも閑古鳥ながらララは、自分のサイン(試しに書いたものを得意げに見つめる表情もバツグン!)を待つ長蛇の列のイメージのトリコに……。そこで理々香に「自分だけの世界に浸らないでよ!」と突っ込まれてしまうのだった。

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#11「華麗なるピンチヒッター」(98/06/14)
脚本/望月智充 絵コンテ/石踊 宏 演出/高田 淳 作監/佐々木かづひろ
原画/野田康行 松本勝次 渋谷一彦 藤田正幸 津野満代 君島 繁 舟川朗子 岡たつや
 
ララとして高校野球地区大会の始球式を務めたみほは、強豪PLO学園の星沢選手の話を聴いて野球に興味を持つ。そんな時、みほはあんなとあきるから、太郎の所属するガンバローズと宿敵ブラッキーズの試合の応援に行こうと誘われる。太郎のがんばっている様子を知ったみほは、彼を応援しズボンを繕うことにする。ところが繕いは失敗してしまい、スケッチブックで同じものを出してごまかすことに。試合当日、みほの想いとは裏腹にあんなたちが応援していたのは、ブラッキーズの投手である星沢選手の弟だった。そして迎えた最終回。ガンバローズ一打逆転のチャンスに監督は、星沢選手の受け売りを連呼するみほを、なんと代打に指名した!

解説
ファンシーララ版『プリンセスナイン』(爆笑)な今回は、大きくホームコメディ指向がフィーチャーされたストーリーで、みほの家族(洋一郎・ちさ)も登場する。なかでも、少年野球の塁審を頼まれて不必要に張り切る洋一郎の描写(オーバーアクションなジャッジなど)はユーモラスだ。
これ以外にもユーモラスな場面は多く、ララが星沢選手に「CDを買った」と言われて、#11同様ついTお店屋さんごっこUになってしまうのも楽しい。また、ガンバローズの監督に代打を頼まれるシーンでは、みほの意外に調子のいい面も見ることが出来る(ユニホーム姿のみほを見る、あきるとあんなのあんぐりな表情がケッサクだ)。さらにスケッチブックで出した太郎のユニフォームが、みほが自分用のユニフォームを描き直してしまったため、消えてしまいパンツ姿に、というシーンも(予想通りだが)。そんな哀れな太郎の姿に、みほの「なにやってんの?」という素っ気ない反応がケッサクだ。
こうしたコミカルな展開にあって、みほが割と素直に太郎を応援してやるシチュエーションが心憎いばかりで、まさに望月智充ならでは。主審が不思議さんだったという辺りもニヤリな構成だ。
冒頭の始球式依頼から大会当日までのくだりも、パラレルに分散させなおかつトランスバランスのDNまで加えて、解説的になることなくコンパクトに描いており、石踊宏の巧みなコンテも光っている。 
なお、先々週分よりキャラの私服設定がすべて夏服に切り替わる。衣替え後も、全キャラとも作中内で日付が変われば前日とは違う服を着るという、作画マン泣かせなコダワリは健在だ。今回は特に、応援の相談をしているときのあんなのチャイナドレス風の服がポイント高い!
さらにスケッチブックを閉じると魔法が消えるという、スリープ機能(笑)も披露されている。

今回の華麗なるもうそー
またしても妄想シーンはおやすみ(今回は変身シーンさえもない!)。フォーマットとしては、それほど固執していないようだ。

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#12「あなたはだあれ?」(98/06/21)
脚本/村井さだゆき 絵コンテ・演出/箕ノ口克己 作監/柳瀬雄之
原画/宮川治雄 新田靖成 森山美津子 いがらしみちこ 橋本淳一 小川みずえ  柳瀬雄之

廃屋になった病院を使ったドラマの撮影を終えたララは、その一室で変身を解いた。だがみほに戻った瞬間、彼女の周囲の現実は変化してしまっていた。自宅に帰ってみると、家族は彼女のことを知らず、しかももう一人のみほがそこで暮らしているのだ。みほは自分を知っている人物を捜しに街へ出かける。だがそこもみほの知っている世界ではなく、気がつくと不思議なサーカスの前へやってきていた。そのサーカスでみほは、見せ物になっていたピグとモグに再会した。何かの影響で時間の記憶が氾濫してしまったらしいと知ったみほはピグとモグをつれて、魔法を解いたあの病院へ戻ろうとするが……。

解説
オールデイズな特撮ファンには『ウルトラセブン』のフック星人を彷彿とさせる(笑)サブタイトルの本エピソードは、シュールで不条理なシチュエーションだけが引き延ばされた、まさに「悪夢」のようなファンタズム・ストーリーだ。『ウルトラマンダイナ』で実相寺昭雄・服部光則両監督(余談だが、この二人は江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』の監督と助監督でもある)とコンビを組んだ村井さだゆきならではの脚本でもあり、演出の箕ノ口克己も、気持ち実相寺(もしくは押井守)的な画面レイアウトをみせ、イメージを膨らませることに貢献している。
みほが迷い込んだ奇妙な世界(というよりも、自身が現実世界に対して、ドッペルゲンガーになってしまったというべきか)へ、次第に時代を遡る形で深みにはまって行くという構成がポイントで、その変わり目ごとに画面を平板に横切る乗り物(自動車や路面電車)も雰囲気を高めている。また、サーカス団員に追われるみほを土壇場で不思議さんが助ける辺りも、興味深い使い方だ。時間が混乱してしまった謎解きそのものよりも、みほが自分自身を見つめるような形となる結末は、いい意味でミニマムな展開である。
しかし今回は、こうしたメインストーリー部分以外でも、いろいろな見どころが多い。例えば、#7同様あきるが町内の七不思議(笑)に詳しかったり、シリーズ初の変身を解くシーン(これはぴえろ魔法少女作品としても特筆すべきシーンだ!)が挿入されたりする。なかでも重要なのは、夢野美樹が太郎たちギャラリーの前では「いい人」を確信犯的に演じていたり(ララに対して挨拶をした後、彼女が振り向きざまにもらす冷たい笑み!)、太郎だけが共演しているララに気がつき、それに対してララも手を振る(しかも太郎の嬉しそうなこと!)あたりで、こうしたシリーズ構成的な細かい演技も光っている。
ところで、この#11・#12はメイン班の原画マンを二班に分けて、他のスタジオとの混成という形をとっている。

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#13「ララとひろやのスキャンダル」(98/06/28)
脚本/横山雅志 絵コンテ・演出/山崎たかし 作監/南 伸一郎
原画/清水健一 佐藤道雄 鈴木雄大 馬場俊子 松村和子 橋本淳一 佐久間しげ子 清島裕子 神戸 環  南 伸一郎

歌番組の収録を終えたララと理々香は、車が故障してしまいテレビ局の駐車場で立ち往生してしまう。そこへ偶然相川ひろやの車が通りかかり、彼の好意でふたりは同乗させてもらった。自宅近くまで送ってもらったララだったが、ひろやの車から降りて彼とふたりでいる瞬間をフォーカスされてしまった。しかもそのショットは、一見するとキスをしているような構図であったため、マスコミは大騒ぎだ。写真週刊誌を見たみほも仰天。羽根石社長をはじめ、リリカルプロの面々は群がるレポーターたちの応対に大わらわ。その上今日はテレビ局での仕事が入っており、どうにか事務所にはたどり着いたララだったが、ついに局の前でレポーターの大群に囲まれてしまった……。

解説
本作では芸能界サイドのストーリーを多く手がける、横山雅志による、アイドル物の定番「スキャンダル」ネタのエピソードだ。しかしここで展開されるのは、ララが相川ひろやとのでっち上げスキャンダルに揺さぶられたり振り回されたり、といった定番的なものではない。リリカルプロのキャラたちを、より描きわけるためのコミカルな描写の連続なのだ。冒頭からヨシオの三枚目ぶり(すっかりイロモノ路線が板に付いた上田祐司の演技が楽しい!)がサクレツしていたり、事務所の前に陣取るレポーターたちに嬉々として(!)インタビューを受けてしまう理々香のミーハーぶりや、菅野女史のハンドルを握ったときの豹変ぶりなど枚挙にいとまがない。特に理々香が得意げに入社の理由なんかを答えてしまうあたりがケッサクだ。もちろん、毎度の鳴海の嫌みな言動にこめかみピリピリ状態の羽根石という、コミカルな見せ場も#10同様にある。(この時鳴海の事務所が登場するが、どういう訳か863系な雰囲気だ)
したがって、本筋であるはずの「ララとひろやのスキャンダル」は少々うやむやな感じである。実際、ラストでのトーク番組のひろやのコメント(「残念ながら恋人じゃありませんけどね……(中略)、僕も応援してます」)は、決着が着いているとは思えない。が、これはシリーズ構成的にみると、夢野美樹によりララに対するジェラシーのモチベーションとさせる布石である可能性も高いので、放映中の現段階ではなんともいえない部分がある。
なお細かいポイントとしては、吉田太郎がひろやの車から降りるララを見かけるシーンで、#9での歌(しかもTPOに合わせて(?)、夜バージョン!)を口ずさんでおり、これが#9の演出も担当した山崎たかしによるものであることをうかがわせる。また、ララの控え室が個室であることにも注目だ! ところで、今回も変身シーンがない。ということは、魔法のアイテムはそれっぽいデザインではあるが、もしかすると玩具展開は考えられていないのかもしれない。
なお今回の原画を担当した神戸環と清島裕子は、『姫ちゃん』や『あずきちゃん』でもおなじみだ。

今回の華麗なるもうそー
4週連続で妄想シーンがない(泣)。しかし、ララ(みほ)の妄想モードは理々香にも完全に知られているということが、ふたりがひろやの車で送ってもらうシーンの会話で明らかになる。いまやララの妄想は、ひろやの知るところにもなってしまったというワケだ。

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#14「おもちゃの国のみほ」(98/07/05)
脚本/荒木憲一 絵コンテ/松本 淳 演出/渡辺健一郎 作監/大西貴子
原画/宮川治雄 新田靖成 清水健一 今野淑子 須貝恵美 橋本淳一

みほやあきるたちは、ある日古くなった玩具を修理している老人と出会う。その家に置かれていた玩具たちをみたあきるは、「古くなって壊れれば捨てられるだけ」の玩具がかわいそうだと言うのだった。その言葉にみほは、幼い頃大事にしていたクマのぬいぐるみを思い出していた。まさに古くなっため、捨ててしまったからだ。そしてその夜、みほは突然高熱をだして寝込んでしまった。熱にうなされるみほの夢の中に、大きなクマのぬいぐるみが現れ、みほと一緒に囚われのお姫様を救いに行こうと誘う。3歳の頃の姿に戻ったみほは、クマさんと不思議な玩具の国へと旅立つのだった……。

解説
#1の不思議さんの台詞「過去……(中略)。それは何処にも残っていない。過ごしてきた時間はすべて無意味なのですか?」に対する答えが、このエピソードに集約されている。つまり、みほにとって「未来」の象徴がファンシーララであるならば、「過去」の象徴が今回の3歳児の姿のみほということになろう。みほ自身は無意識に3歳児になってしまう(この辺が「夢」らしい)のだが、クマさんや博士に抱き上げられたり、とらえられた牢屋の鉄格子をスルリと抜け出せたりと、さりげなく「幼児」をアピールしている。
夢オチを前提とした定番的なヒロイックファンタジー風のストーリー(オルゴール時計の人形が王子様だけというフリも含めて)だが、これが逆に絵本を思わせる雰囲気をつくり出している。『ダグオン』や『戦隊シリーズ』など、ヒーローアクション系の印象が強かった荒木憲一の、新たな一面を見るようなハートウォームな脚本だ(#9同様、ストーリーと授業内容の交錯も細かい!)。このみほの夢が、「時の記憶の魔法」によるもの(みほが変身した直後に倒れるという構成や、看病しているちさとふれあった瞬間、みほの夢にシンクロしてしまうなど)を示唆する描写の数々が、単なる「夢オチ」に終わらせない憎い作りになっている。しかも、魔王の正体が「賞味期限切れ」のローストチキンという、真美子の台詞を引っ張ったオチには脱帽だ! 
冒頭の捨てられた犬のぬいぐるみをきっかけに、フラッシュバックするクマのぬいぐるみなど、巧みな演出もストーリーを膨らませている。特に、王子様がお姫様を救出した時、それまでクマさんから離れなかったみほが、スッと手を離して二人(この二人がひろやとララそっくりなのも意味深だ!)に近づくシークエンスは、「幼年期」から「少女期」への変化を匂わせるものとなっている。さらに、ラストの虹を見上げるみほと老人の脇にクマさんがいるというカットが、みほの夢の中で、博士とみほがロボットを見上げるそれと同じレイアウトなのも見逃せない。老人の「使い古された方が、玩具には幸せ」という旨の台詞とあいまった、なんともさわやかな幕切れだ。

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#15「その夢は終わらない」(98/07/12)
脚本/望月智充 絵コンテ・演出/島 美子 作監/池田和美
原画/京都アニメーション 上宇都辰夫 米田光良 池田晶子 笹井昌治 中野恵美 高橋博行 佐藤 綾 森本真嗣 上野真理子

ララは、スタジオで5歳くらいのやんちゃな男の子・達平と出会った。達平は、ひろやの音楽の先輩で彼のバック演奏も務める、スタジオミュージシャン・岸の一人息子であった。事務所まで岸の車で送ってもらったララは、そのことを理々香に話すと、彼女はビックリ仰天。岸は、羽根石の元旦那さんだったのだ。それを知ったララは、達平が寂しがっているのではないかと、羽根石に訴える。だが、逆に「人のことにあまり口出しをするものではない」と諭されてしまう。どうしても理解できないララは、翌日楽屋でひとり遊んでいる達平と話をすると、彼は離婚した今の方が、両親ともケンカをしないので嬉しいと語るのであった。

解説
羽根石と元旦那の岸にフォーカスさせた、まさに「淡麗辛口」な大人のストーリーだ。この二人の微妙な関係がまことに巧みで、実写ドラマもかくやの仕上がり。特にクライマックスとなる二人が携帯で会話をしあうシーンから、ラストカット、ララの看板の前の羽根石の止め絵までは、まさに白眉を究めている。岸の新しい婚約者(おそらく、達平が話していた「お姉さん」という人物)の顔を一切見せない演出もニクイ限り。また、達平の前で正体をみせてしまうピグとモグもなかなかハートフルだ(しかし、どうやってみほの家に戻ったのだろう?)。
今回のララ(みほ)は、傍観者としての立場しか許されない。彼女はちさに諭されるまで、現在の羽根石や達平たちのスタンスをどうしても理解できない。つまり達平に直接話を聞いても納得できないのだ! 達平と楽しい時間を過ごす羽根石という描写を、話が展開する前に集中させており、それだけにララ(みほ)の子供ならではの無理解ぶりが際だつのである。
こうしたエピソードにあって、理々香とヨシオがコメディリリーフとして、無理なくコミカルなシーンをみせてくれる。ララに岸のことを話すときの彼女は、いかにもおしゃべり好きな女の子といった感じのケッサクシーンだ。
ところで、岸は珍しい左利きギタリストで、彼のギターは弦が逆に張ってある。また、ひろやの言葉から察するにアレンジャーでもあると思われる。

今回の華麗なるもうそー
実に一ヶ月ぶりの妄想シーンだ。羽根石と岸のいきさつを知らされたみほは、河原で休日を楽しむ多数の親子連れを見ていて、もし自分の両親が離婚してしまったら……という、悲劇のイメージを膨らませてしまうのだった。その黒ベタ背景に、白影(!)というショッキングな演出(笑)が、マンガチックな妄想キャラに対してアンバランスでおもしろすぎ! だが、悲しそうな表情を浮かべて無言で去って行く洋一郎と真美子というシチュエーションは、小学生のみほにとっては、決して笑い事ではないのであった。

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#16「みほの最初の一人旅」(98/07/19)
脚本/村井さだゆき 絵コンテ・演出/高田 淳 作監/佐々木かづひろ
原画/君島 繁 舟川朗子 小菅 洋 藤田靖弘 いがらしみちこ 森山美津子 長崎重信

夏休みに入り、みほは洋一郎の田舎・飴川に一人で旅行することになった。ちょっぴり大人気分にわくわくしながら準備をするみほに、洋一郎は細かい計画表を作り、これにしたがって行動するように言う。翌日、計画表通りに出発したものの、計画通りにいったのはそこまで。最初に乗り換えるべき急行電車に乗り遅れてしまったのだ。すぐ次の電車に乗り込んだみほだったが、それは、みほが降りる予定のひなこ坂駅は通過してしまう特急だった。途中さらに乗り換える電車を間違えつつも、ひなこ坂へなんとか戻ってきたみほは、ようやく本来のルートで飴川駅へとたどり着いた。しかし今度は、空腹に耐えかねたピグが勝手に飛び出してしまったのだ。

解説
普通なら省略されがちな田舎までの道程をリアルタイムに追った、なかなか挑発的(笑)なエピソードだ。みほがことごとく乗り換えに失敗して傷口を広げて行く過程をコミカルに描いた、シチュエーションコメディとして仕上がっている。特急に乗ってしまったために、ひなこ坂を通過したときのショッキングな効果や、ド田舎のひなこ駅(!)に連れてこられてしまったみほの途方にくれた様子など、「お約束」に近いものだが、テンポのよい展開がユーモラスな効果を巧みに上げている。なかでも、ひなこ駅で電車を待つ間、ララに変身して「モデルごっこ」をして暇を潰すというシーンはケッサク! オチの「飽きちゃった!」というララの台詞もナイスだ。
加えて、洋一郎が徹底的に細かい(ほとんど親ばか的な)計画表を作成してみほに持たせる辺りの舞い上がりぶりも楽しい。それに対して、真美子は仕事の合間を縫って田舎に電話をして、みほを気遣うというコントラストも鮮明で、彼女の母親ならではの一面をかいま見ることができる。
また車中で、みほが3年前の田舎での出来事を回想することで、今回のラストにみほを助けてくれる「ミミズベーダー」こと坂本翔一の登場をスムーズにさせている。ところで、その翔一とみほが自転車を二人乗りするシーンがあるが、いわゆる「テレ東チェック」には引っかからなかったようだ。

今回の華麗なるもうそー
今回はワンポイントで、飴川駅に到着したときピグとモグが行方不明になってしまったシーンに登場する。そこで、出かけに出会った吉田太郎の意地悪い言葉を思い出してしまうというシチュエーションだ。厳密には妄想ではないのだが、Aパートでの回想シーンとの差別化の意味からも、この選択は的確だ。

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#17「かっぱの出てきた日」(98/07/26)
脚本/荒木憲一 絵コンテ・演出/箕ノ口克己 作監/柳瀬雄之
原画/佐藤道雄 鈴木雄大 近藤伸隆 橋本淳一 小川みずえ 松村和子  柳瀬雄之

飴川村にTV番組のロケ隊がやってきた。それは、相川ひろやと夢野美樹がレポーターとして村を紹介するバラエティ番組だ。だが、村長がかっぱのたたりで熱を出したという噂と、ロケ現場に居合わせたみほの、昔かっぱを目撃したという話を鵜呑みにした番組のディレクターは、急遽内容をかっぱ捜索に変更。しかも、美樹がピグとモグをかっぱと勘違いして失神してしまったため、番組はますます本格的にかっぱ探索モノとなってゆく。そして美樹の代役として、急遽ララが出演することになる。かっぱの存在を信じるみほは、番組のレポーターで出演できることに大張り切り。だが、そのかっぱとは、実は翔一がイタズラで作ったコスチュームだったのだ。そのことを知ったララ(みほ)は意気消沈してしまう……。

解説
テレビクルーのロケ現場に偶然ヒロインが居合わせたという、ある意味で、ぴえろ魔法少女らしいシチュエーションだ。しかし徹底的に娯楽編として作られたストーリーは、相変わらずかっぱの実在を言外に否定する立場を守っている。その「正体見たり枯れ尾花」に踊らされるレギュラー陣をコミカルに描くことに集中させており、ここでもヨシオのギャグ&トラブルメーカーぶりが遺憾なく発揮されている。偶然翔一の作ったコスチュームを発見すると、ついついそれを着てしまう(!)ことで、さらに騒動が大きくなってしまうのだ。ここでポイントなのは、かっぱの存在云々よりも、そうしたモノを「信じられるかどうか?」がこのエピソードのテーマになっている点だ。みほも、かっぱ捜索番組に変更してしてしまったディレクターも、(あるいは少年時代の父親も)かっぱを信じているのだ。それだけにストーリーは、みほ(ララ)のかっぱの正体についての一喜一憂を軸に展開して行く。特に、見ている側には「美樹が見た最初のかっぱ=ピグとモグ」であることを知らせておいて、みほには最後まで分からせない辺りが、そうしたテーマ性を如実に語っている(「やっぱりかっぱはいるんだー」と、ラストシーンで土手に大の字に寝転がるみほのしぐさもすがすがしくて良い)。

今回の華麗なるもうそー
かっぱ騒動の今回だが、妄想シーンもテレビクルーが船で湖を探査する場面に挿入されている。ララとひろやがレポーターとして同船してスタッフの調査の様子を紹介するのであるが、かっぱの存在を信じないひろやに、さすがのララもイライラしてしまう。そんなところに、突如湖からかっぱの大群が押し寄せ、クルーザーは大ピンチ! かっぱに取り囲まれたひろやは、思わず自分が間違っていたと謝るのだった……という、都合のいい(笑)空想に耽るのであった。だがその後、カメラが捉えたかっぱがヨシオだとは知らないひろやはララに謝るが、正体を知っている彼女は複雑な気持ちであった。

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#18「ララは恋のキューピッド」(98/08/02)
脚本/横田雅志 絵コンテ/うえだひでひと 演出/島 美子 作監/池田和美
原画/京都アニメーション 上宇都辰夫 高橋博行 中野恵美 池田晶子 笹井昌治 米田光良 上野真理子

夏休みを飴川で過ごすみほは、翔一に誘われてサッカーの練習試合を見に行く。意外にも翔一はエースストライカーで、女の子達の人気のマト。そんな翔一を一歩引いたて見ている少女・はるかがいた。彼女は翔一の幼なじみで、小学生の頃の翔一は女の子にまったく人気がなかったという。まるで吉田太郎のようだと思うみほだが、同時にはるかが翔一のことを好きなのではと思う。そんなはるかに、みほも内心は太郎が好きなのではないかと言われてしまうのだった。翌日、山菜採りに山へ出かけたみほは、ひとり見知らぬ場所に迷い込み気を失ってしまう。そんなみほを発見したのは翔一だった。だが周囲は険しい断崖で、さすがの翔一もみほをおぶって登ることが出来ない。みほは助けを呼んでくるといって身を隠すとララに変身した。

解説
夏休み3部作の最終篇。実はシリーズ構成的にも大きい意味合いを持つエピソードだ。まずはみほと太郎と、はるかと翔一の関係の対比だ。あまりに近すぎる幼なじみの男の子を、ある時まぶしく感じてしまったはるかが、みほをかつての自分と重ね合わせてしまう構成は、定番ながらもお見事。ことに、はるかの回想シーンなどでつなぐのではなく、バスの中などで、飴川村の風景を見せながらみほとの会話で見せて行くところが心憎いばかりだ。それだけに、ラストではるかが吉田太郎のためのおみやげ(かっぱのお面!)を用意してくれる展開にもニヤリとさせられてしまう。
さらにBパートで、山の中で迷子になってしまったみほが、#1アバンに登場した古代の森にやって来てしまう点も見逃せない(つまり、古代の篠原家は飴川に居を構えていたということになろう)。ここで、同じく#1にチラリと登場した巨大恐竜と再びみほは遭遇するのだ! そこで失神したみほを森から連れ出してくれたのが不思議さんというのも意味深で興味津々。
細かいところでは、みほと祖母が夕景の中で唄うというシチュエーションで流れる大森玲子の持ち歌「うたた寝日和」の使い方がバツグンだ。またラストシーン、車中で祖父の手紙を読むみほの姿も、ハートフルきわまりない白眉の仕上がりとなっている。

今回の華麗なるもうそー
今回の妄想はBパートで、ララに変身するため翔一の元を離れた直後に設けられている。
山岳レスキューの装備を持った大人のララに変身することで、見事に翔一を断崖から救い出し「お姉さんありがとう!」と、実際は年上の翔一から感謝される……という背伸びなイメージに一人ほくそ笑むのであった。で、実際今回はほぼみほの妄想通りにことが運ぶことになるのだが、ララと翔一が一緒に下山してくるところをはるかと鉢合わせしてしまい……という、「あちらが立てばこちらが立たず」な構成となっている。

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#19「お姉ちゃんの忘れ物」(98/08/09)
脚本/望月智充 絵コンテ・演出/池端たかし 作監/南 伸一郎
原画/宮川治雄 君島 繁 小柳信行 本山浩司 藤田靖弘 今野淑子 長崎重信

ある日みほは、朝霞先生からちさの小学生時代の作文を手渡される。返却し忘れていたので、返して欲しいというのだ。帰宅したみほは、ちさから鯛焼きの買い食いをとがめられた上、携帯電話欲しさにバイトをしていたことを母親に告げ口したと文句を付けられる。腹立たしくて仕方のないみほは、自分に妹がいれば、ちさのような態度は決してとらないだろうと考える。その時、魔法のペンとスケッチブックが光り輝き、次の瞬間、みほの意識は、過去(小学3年生)のちさにリープしていた。愕然となるみほだが、どうすることも出来ず、ちさの行動を見守ることにする。そしてみほは、姉が意外にも臆病だったり、割と泣き虫な女の子であったことを知る。

解説
#14に続いて「過去」をみせる今回は、いきなりクァンタムリープ(笑)なエピソード(……『タイムマシーンにお願い』知らない人、ゴメン!)。ちさもかつてみほと同じくらいの頃(ここががミソ)不思議さんと出会っており、また不思議さんが少女に「時の魔法」を与える人物であることが判明する(持っているトランクの中に、多数の魔法のペンとスケッチブックが入っているところが、ちょっとおかしい)辺り、ニヤリである。ストーリーそのものとしても、みほが知らない、ちさの一面──彼女の幼い頃の感情、あるいは姉という立場をまさに「体験」することで、姉の心情を知り、自分とちさとの関係を再認識する、ハートウォームな仕上がりとなっている。また、みほは完全に過去のちさの意識と融合しているわけではなく、常に傍観者として「見守る」位置づけであるため、姉の行動や言動にいちいち一喜一憂する展開もケッサクだ。特に迷子になって泣き出してしまうちさに見せる、どこか「お姉さん」なみほの口調や、その夜自分のオネショを幼いみほのせいにしてしまうちさに対する、手のひら返しの反応(「さっき心配して損しちゃった」というみほの台詞もナイス!)のコントラストは、コミカルな見せ方と相まって大変印象に残るものとなった。なお、今回のみほと幼い頃のちさは同じ服装であることから、みほの服は姉のお下がりであることが容易に想像できる。この辺も、言外にみほの姉に対するコンプレックスの要因を匂わせるものだ。
ちなみに今回は、ララはまったく登場しない。

今回の華麗なるもうそー
今回は凝った形で、2段構えの妄想シーンが用意されている。
まずはAパートに挿入される、みほが「もし自分に妹がいたら……」というシーンでの空想だ。スケッチブックに幼児を抱っこする自分のイラストを描きながら、自分なら妹が何をしても怒らないと、ピグとモグに語るのだが、空想の中は、空想の妹にイタズラされてムカついてしまうという、ギャップが楽しい。
Bパートでは、なんと幼いちさが道に迷った恐怖心が生み出した妄想(カラスや不思議さんが襲ってくる)が、みほの意識に流入してくる(!)という変わったシチュエーションで登場する。ちさの妄想もイタズラ描き風の同じスタイルである辺り、「この姉にしてこの妹」といった心憎い演出である。

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#20「お母さんと一緒!?」(98/08/16)
脚本/村井さだゆき 絵コンテ・演出/山崎たかし 作監/大西貴子
原画/宮川治雄 君島 繁 小柳信行 鍵山亜子 重本雅博 本山浩司 藤田靖弘  大西貴子

ララは偶然、真美子のプロデュースする番組に出演することになった。仕事をする自分の母親の姿を初めて目にしたララ(みほ)は、ちょっとドギマギ。ところが番組のスタッフの間で母親の評判が良くないことを知ったみほは、大きなショックを受ける。それを契機にみほは、母親が働いていることに疑問を感じ、ついに仕事を辞めて欲しいと言ってしまう。それを知ったちさは、真美子は家庭を大事に思うからこそ仕事を一切持ち込まないのだと教える。そんなこんなで、番組の収録にも今ひとつ集中できないララであったが、そこへ美津子が現れる。彼女はララに、何か悩みがあるのではと優しく接するとともに、自分も娘に仕事を辞めろと言われ悩んでいるとうち明けるのだった。

解説
久々に芸能界サイドのエピソードなのだが、そのサブタイトルとは裏腹に(笑)、ここでクローズアップされるのは、働く母親に対するみほのさまざまな感情と、そこでの真美子の戸惑いという、テーマ的にはオーソドックスなホームドラマである。「母親が働く意味」に完全にスポットを当てた展開にあっては、ララが真美子のプロデュースする番組に出演する顛末はそれほど重視されない。だが、みほとララが同一人物と知らない真美子が当然ながら見せる「仕事と家庭のふたつの顔」とそれに伴う「ふたつの評価」のギャップにみほが思い悩むシチュエーションは、本作のような「魔法少女・アイドルアニメ」だからこそ出来る──逆に言えば、普通のドラマでは不可能なものだ。この辺の設定の活かし加減がポイントでもある。
また、ちさが幼い頃のことをみほに聞かせる場面があるのだが、前回のエピソードの直後だけに、みほはもちろん、見ている側もなかなか実感が湧いてくる。ここで、ちらりと洋一郎が姿を見せるのだが、このちらりな登場がなかなか「重鎮」なのだ!
だが今回の最大の見せ場は、なんいってもラストでの、真美子が編集室でオンエア用VTRをチェックするシーンだ。ララの「ファンレターへの答え」(本当はみほの本心なのだが)を聞いて、真美子の目には無意識にララにみほの姿がオーバーラップしてしまう……というまさに泣きの演出が冴えている。

今回の華麗なるもうそー
今回はAパート、エクランTVから帰宅したみほが、仕事をてきぱきとこなす母親を空想するという形で挿入される。「仕事の鬼」で周囲のスタッフに指示を与えたり檄を飛ばす中、ララ(みほ)にだけは優しく「ララちゃんはなんでもできるのねー」と甘い言葉をかけてくれる真美子を思い描き、照れまくってしまうみほであった。だが、このみほの妄想は、現実には真美子と夢野美樹の関係だった。

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#21「朝霞先生の恋人?」(98/08/23)
脚本/横田雅志 絵コンテ・演出/高田 淳 作監/南 伸一郎
原画/佐藤道雄 須貝恵美 長崎重信 古宇田文男 森山美津子 谷口嘉浩 近藤伸隆 舟川朗子 今野淑子 橋本淳一 鈴木雄大 小柳信行 南 伸一郎

みほのクラスに、教育実習生の黛ゆかがやってきた。ところが、朝霞先生は緊張の連続。そんな様子を、あんなは朝霞先生には彼女がいないからだと決めつけるが、太郎とクラスメートでミステリーマニアの古畑三郎は、先生が携帯電話を購入し、校内で彼女らしき人物(実は母親)と会話しているのを見かけたという。そこで、みほやあきるも巻き込んで朝霞先生の恋人調査が開始された。そして、放課後朝霞先生と黛先生が一緒に商店街を歩いているのを目撃する。本当は生活指導の一環だったのだが、あんなや古畑達は先生が不倫していると勘違いしてしまう。先生の部屋に行けば真実か判る、という太郎の言葉に意を決したみほは、その夜ララに変身して朝霞先生のアパートを訪ねた。

解説
シリーズ中唯一、朝霞先生にスポットが当たるエピソードだ。そんな訳で、彼の朴訥ぶりがいつも以上にクローズアップされる。例えば冒頭での太極拳を行うシーンでは、彼だけがまわりの人たちの動きより半テンポずれていたり、算数の授業で例題の間違えを指摘され、慌てて上着の袖で黒板を消してしまったりという具合だ。またクライマックスでの、ほとんど無礼千万な(笑)ララの朝霞先生宅の訪問にも、彼は戸惑いつつも、ついつい丁寧に応えてしまうという「人の良さ」を発揮してしまうのだった。だが、話題がクラスの子供達の及んだ途端(カレンダーにつけられた印が、あんなの誕生日であるというシーン)、朝霞先生は顔をほころばせ話をする展開がとてもハートウォームだ。
ゲストである教生の黛先生もちょっとピンぼけな女性で、なるほど、みほ達から見たとき「似たもの同士」に見えるように描かれている。この辺の確信犯的勘違いは、本作がキッズ向けを意識していない証拠とも言えよう。ところで、あれほど朝霞先生の恋人捜査に盛り上がっていた太郎やあんな達が、黛先生の実習期間が終わると同時に、古畑(もちろん古畑任三郎のもじりだ。ラストには名前だけだが、SF好きの筒井(!)というクラスメートも登場)以外、そのことに興味を失っているのも、いかにも小学生っぽくてニヤリだ。
なお今回は、話が完全に学校側に偏重していることもあって、ピグとモグはまったく登場しない。しかしながら、ララの芸能界での活躍は、クラスの間で話題になっているミステリードラマのレギュラー(殺された男の娘役)という「劇中劇」としてインサートされている。#6での特撮ヒーロー作品のゲストを考えると、その赤丸急上昇ぶりをうかがわせるものがある。

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#22「スクープ!ララの正体」(98/08/30)
脚本/荒木憲一 絵コンテ・演出/大畑清隆 作監/くわがたこうじ
原画/清水健一 橋本淳一 藤田靖弘 小菅 洋 岩崎由美子 いがらしみちこ 三宅雄一郎

ある日みほは学校で、双子の姉妹・サヤカとアスカから校内新聞のための密着レポートを敢行すると宣言される。二人が出している新聞は学校未公認のゴシップ専門誌で、誰からも相手にされていなかった。そこで起死回生のスクープとして、かっぱ特番で一緒に出演していたララとみほとの関係をでっち上げようと考えたのだ。ところが、ひょんなことからララがみほの算数のテストを持っていたことを知り、想像力を駆使した結果、みほとララが同一人物であるという結論に達する。いきなり真実を突かれてたじろぐみほに、二人は確信を深めるのだった。悩んだみほは、ララオタクの青年・杉尾拓也が事務所に送ってきた合成写真を思い出し、彼にララと自分が一緒に写っている写真を作ってもらう。だが運悪く、アスカとサヤカにそれが合成だとバレてしまった!

解説
昔から魔法のヒロインは、魔法の秘密を知られてはならない、という慣用的な不文律に縛られている。それは『ララ』も同様だが、本作のおもしろいところは、その不文律をみほ自身の人間的な常識に依存しているところだ。ララとみほが同一人物であると知られそうになる今回、ピグとモグはあまりピンとこない反応を見せ、みほはひとりで思い悩むのだ。こうした、実際的にはシリアスな状況であるにもかかわらず、だがシリーズ中屈指の抱腹絶倒編として仕上がっている。演出の大畑清隆はその後『ジェネレーターガウル』や『よいこ』で、このギャグセンスをさらに炸裂させることとなる。
その最大の要因は、なんといってもメインゲストである、そろって三角ブチのメガネ(常に黒目は見えない!)というちょっと陰険タイプなキャラ意匠の、二木サヤカ(as横山智佐)と二木アスカ(asかないみか)姉妹につきる。アヤシサ大爆発の二人の言動は、ひたすらスラップスティックでエキセントリックに描かれ、まるでギャグアニメをみているかのようだ。それは、彼女達が随所に見せる「スクープをねらえ!」という、ゆーとぴあ(懐かしい!)を彷彿とさせるポーズ・ギャグや、『ウテナ』の影絵少女A子とB子の掛け合いの如きコミカルなダイアログの賜物だ。しかしここまで暴走しながら、サヤカとアスカはどこか憎めないキャラクターでもある。二人とも実はララのファンであるというのもポイントなのだが、見逃せないのは、みほをつけ回した結果彼女が足をくじいてしまった時に見せる、心配と反省の表情だろう。特にこのシーンでは唯一彼女達の黒目が、メガネ越しに見えるのだ! さらに、もう一人のゲスト、ララオタクの自称ラララー(笑)杉尾拓也のボケた行動も、ギャグ度を高めている(岩田光央のダメすぎ演技がケッサク)。

今回の華麗なるもうそー(特別編)
今回、みほの妄想シーンはない。だが、二木姉妹の新聞部拡充計画、人呼んで「藤が丘小学校新聞部・生き残れるか新聞部、キャー!みんなが期待してるわ、がんばってね二木さんたち大作戦」(そのまんま!)で見せるバラ色の未来(笑)は、みほに負けじ劣らじの大妄想だ。マンガチックな演出は同じだがキャラクターはリアルなのが、みほとは違うジャーナリストなトコロ?

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#23「お姉ちゃんのボーイフレンド」(98/09/06)
脚本/望月智充 絵コンテ/大森貴弘・島 美子 演出/島 美子 作監/池田和美
原画/京都アニメーション 上宇都辰夫 笹井昌治 池田晶子 高橋博行 米田光良 上野真理子 佐藤 綾 森本真嗣

ちさは、ある日森尾という同じ高校の2年生からデートの誘いを受ける。そのことを偶然知ったみほはビックリ。姉のボーイフレンドはてっきり今市だと思っていたからだ。だが、二人の関係は「友達以上恋人未満」といった感じで、ちさは週末に森尾とデートに出かけてしまう。みほはララに変身して、ちさに近づき本心を知ろうとするが失敗。怒らせてしまう。そんな彼女の「不倫」(笑)を心配するララ(みほ)に、コミさんは「その子はもう答えを出しているんだよ。だから怒ったんじゃない」と語るのだった。

解説
これまた、魔法少女という設定を活かしたアットホームなエピソードだ。望月監督の脚本に、実に#2以来、大森監督が自らコンテを担当するという、なかなか入魂の作となっている。特に、驚くほどきめの細かいカメラワークのコンテが素晴らしい! 随所に挿入される2カメを想定したカット割りやFIXショットでの会話シーンと、実写顔負けのメリハリの利いた演出には、目を見張らんばかりだ。クライマックスでの、ちさとララがトラック上でランニングしながらの、横顔口元のアップだけの切り返しも上手い。
話はちさと今市との関係を掘り下げる展開だが、魔法でみほがちさと同世代の少女に変身して、妹の立場では立ち入れない彼女の「部分」を知ろうとする辺りが巧みだ。しかも、「高校生になって学校に潜入してもどうなるもんでもない」とみほ自身に言わせるトコロが、いかにも『ララ』らしい。久方ぶりに登場するコミさんの使い方も憎い! これまでこのタイプの話では、もっぱらちさの役どころであった「みほの相談相手」という位置づけだが、ちさとは違って答えをララ(みほ)に示さないところがまた良い。このようにきわめて密度の高い内容だが、ラストパートはさらに充実している。冒頭のシーンに呼応した形で挿入される、宿題をしにやってきた太郎にみほが文句をつけるのを見て、ちさがみほに「ケンカするなよ」と言う場面はニヤリとせずにはおれないし、今市にちさとのデートのアドバイスをするみほが、「お姉ちゃんのことなら、何でも知ってるよ!」とにこやかに話す(勧める店が、森尾がちさと入った店とは逆のタイプばかりというのも憎い!)幕切れの台詞など、姉妹両方にスポットの当たる構成にはもう脱帽だ!
ところで、相川ひろやの日比谷野音でのコンサート・シーンがあるが、バックバンドのメンバーにちゃんと岸がギターで参加してる辺りも細かい。細かいと言えば、ラストで鯛焼きを買い食いしているちさというのも、#19を引っ張ったものだ。

今回の華麗なるもうそー
今回は、ララがコミさんにちさの「二股」を話すところに挿入される。女王様のちさを前に(柊美冬の高笑いがイカしてる!)、決闘する今市と森尾! それを止めに入るメイドの(笑)みほ……。「ああ! まってぇ〜」と情けない声をあげてしまうララに、「あんた。その癖、なんとかなんないの?」と、呆れるコミさんでありました。なお、これがシリーズ最後の妄想シーンとなった。

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#24「ララのファーストコンサート」(98/09/13)
脚本/村井さだゆき 絵コンテ・演出/池端たかし 作監/南 伸一郎
原画/宮川治雄 君島 繁 本山浩司 小柳信行 重本雅博 橋本淳一 大西貴子

ララのファーストコンサートが決定した。「ララの将来への、大きなステップ」と、リリカルプロの面々は大はしゃぎ。ところが、その話を聞きつけた鳴海社長は、やっかみで「実力のないアイドルには時期尚早」と美樹に漏らす。それが巡り巡って太郎の口からみほへと伝わってきた。みほ自身、内心「ララの将来」に疑問と不安を抱きはじめていただけに、動揺しきりだ。おかげで、コンサートのためのダンスの特訓にも身が入らない。しかも、週刊誌に「ララには実力がない」とかき立てられ、みほはララに変身するのを辞めると言い出してしまった。そんなみほに自信を与えてくれたのは、不思議さんの言葉と偶然ラジオから流れてきた「トランスバランス」へのリクエスト葉書だった。

解説
今回から、いよいよ最終回シリーズへと突入して行く。これまでララのプロ意識といった部分にスポットの当たることを、あえて避けてきた本作だったが、ここにきて初めてみほがララに変身してアイドルとして活動して行く意味を、正面から捉えることになる。
特に注目すべきは、話の端々に挿入される「スターオーディション」に応募したアイドル志望の名もない少女だろう。なんとなくアイドルになってしまったララ(みほ)と、アイドルになりたくてもなれなかった彼女とのコントラストも抜群なのだが(並べて張られた、ララのコンサートとオーディション告知のポスターが象徴的だ!)、捨て鉢になってしまったみほが、おそらくその娘が書いたであろうリクエスト葉書によって、すべてを吹っ切ってやる気が湧いてくるという展開が、たまらなく感動的だ。そこから続く「トランスバランス」に乗せたミュージッククリップ風の、コンサート当日──本編ではコンサートの模様を描かないところが、これまたミソ──までの顛末を流麗に見せる演出も白眉を究めている。気持ちコミカルに綴られたこのシーンは、望月脚本で登場したゲストキャラを巧みに配し、また#10での太郎とララとのいきさつを引っ張った場面(太郎にだけ、みほはわざわざララになってコンサートのチケットを手渡す!)を挿入するなど、シリーズを俯瞰した構成にもなっており、感ひとしおだ。またここに限らず、今回の吉田太郎はとにかくララの将来に心を砕いており、その辺も心憎い限り!
全体にちょっとシビアな部分の見え隠れするエピソードだが、池端たかしの演出は、無理なくコミカルなシチュエーションを散りばめ(冒頭でのリリカルプロの面々のはしゃぎぶりや、ララのコンサートについての「伝言ゲーム」などなど)、陰鬱になることなく緩急を効かせた展開となっている。加えて、ララ(みほ)とピグ・モグが「自分の将来」という作文について会話するコンサートのオープニングから、そのままEDタイトルへと流れて行く構成は、シリーズ中最高のカタルシスである。
なお細かい部分だが、#19の引っ張りとして、ちさが携帯を購入済みで、それが今市とのホットライン(!)という使い方にもニヤリである。

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#25「消えてしまったララ」(98/09/20)
脚本/望月智充 絵コンテ/うえだひでひと 演出/渡辺健一郎 作監/清水健一
原画/宮川治雄 小柳信行 本山浩司 須貝恵美 橋本淳一 今村麻美 藤田靖弘 松村和子  清水健一

ララのコンサートは大成功を収め、翌日リリカルプロで簡単な祝賀会が開かれた。事務所に届いたファンからのたくさんのプレゼントを前に驚くララに、羽根石達はこれからもっと仕事が増えるだろうと声を弾ませる。そこへ花束を持ってひろやが現れ、ララと知り合えたことがラッキーだったと告げる。そしてひろやは、ララから以前より自分の大ファンだったとうち明けられ、心底喜ぶのだった。
その夜、明日の仕事に備えてスケッチブックに衣装を描こうとしたみほだったが、もって帰ってきたプレゼントの山の中に、自分のリュックがないことに気がついた。魔法のアイテムはすべてその中に入っていたのだ! 翌日心当たりを探してみるが、とうとう発見できず、みほはララに変身できなくなってしまう……。

解説
久しぶりの変身シーンで幕を開ける最終回シリーズの第2弾。Aパートは、すっかりアイドルとしての活動に自信と希望を持ったみほ(ララ)の、晴れ晴れとした姿を描き、いつもと変わらぬ、少しリラックスしたコミカルなテンポで話が進んでゆく。そうしたムードは、#16ゆずりの細かい帰宅までの行程の描写(ストーリー的にはここがポイントとなるのだ!)や、太郎にララのマンガを見られて、みほが思わず焦ってしまうといったシーンも要因だろう。そうした中で、ひろやのララに対する本心が、チラリと見えたり、あるいはみほと吉田太郎の関係が、無意識のうちにちさと今市の関係に近づいているのをアピールしたり(宿題を見せてもらうため、みほの大荷物を太郎が持つシーン)と、抜かりのない構成だ。太郎といえば、Bパートでふさぎ込んでいるみほに、おもしろ半分・知ったかぶりで生理痛だろうとからかうのだが、それがどういう意味を持っているのか太郎自身判っていないところも楽しい。
ここから一気に曇天して、急速に破局へと向かって行くBパートは、あまりにもシビアだ。しかもその元凶は、自分の不注意によるものなのだ。Aパートの「いつも通り」過ぎる展開との落差も効果的だ。みほは明らかに「魔法のアイテムをなくしたこと」よりも「ララに変身できないこと」に苦痛を感じている(次のララのコンサートに期待を寄せるあんなとあきるの会話は、みほには残酷すぎ)。今やララという存在が、9歳の少女には酷なほどの「社会的な責任」を持っているためだ。ぴえろ魔法少女ものの特徴に、虚像であるはずの変身後のヒロインが、社会的には実在しているというものがあるのだが、この特徴がヒロインを苦しめてしまうところが、このエピソード(ひいては『ララ』という作品自体)のポイントでもある。また『マミ』や『エミ』と異なり、みほがリリカルプロの面々と面識がない(#17でのみほは、理々香達にとってあくまで見知らぬ一般の人だ!)のも、間接的にみほを絶望的な想いにかき立てているという、余念のなさはどうだ!
それにしても、大森玲子の声優としての成長ぶりには驚くものがある。特に今回、吉田太郎に対して再三発する「ふーんだ!」という台詞が、バツグンにラブリー!

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#26「みんな大好き!」(98/09/27)
脚本/望月智充 絵コンテ・演出/大森貴弘 作監/大西貴子
原画/南 伸一郎 君島 繁 いがらしみちこ 森山美津子 重本雅博 佐藤道雄 近橋伸隆 鈴木雄大 志田ただし

ララがいなくなって一週間が過ぎようとしていた。ピグとモグも姿を消し、久しぶりに普通の小学生の生活を、どこかむなしく過ごすみほ。そんなみほを励ますよう、朝霞先生は太郎に助言を与える。同じ頃、ひろやはララが消えたことで、初めて自分が彼女に惹かれていたことに気がついていた。美樹も、こんな形でライバルが消えたことにため息をつく。
みほは、真美子に頼んでエクランTVに連れていってもらう。そこで、ララ失踪にうなだれるリリカルプロの面々をみかける。その夕方、みほは不思議さんと出会い、魔法をなくしてしまったことをわびるが、彼は「それも一つの手だよ」と、軽く笑って応えるとみほの前から去って行くのであった。
……それからしばらくして、また新しい日常が始まろうとしていた。そして、みほは再び原宿へと出かけた──。

解説
静かな、だが胸の奥に、グッとハートウォームなものがこみ上げてくるエピローグだ。
レギュラーキャラクターがまんべんなく顔を見せ、どれも味のある台詞や表情を見せてくれている。特にどこかぼんやりしているみほを、太郎に励ましてやるようにアドバイスを与える朝霞先生が憎い。それに続いて、太郎が自分の家に遊びに来たみほを送ってやるシーンでの二人のやりとりも、小学生らしいラブストーリーの決着(とても大事な親しい関係)を見せている。ラブシチュエーションといえば、ひろやが、ララが自分の前から姿を消してしまったことで、自身の奥底の恋愛感情に気がつくという展開も見事だ。
これまで、どちらかといえばコミカルに描かれてきたリリカルプロのメンバー(菅野・理々香・ヨシオ)が、ララの失踪で落ち込む姿も印象深い。特に、「ララとはいい友達になれると思ったのに……」と泣き出してしまう理々香が、芸能界側のキャラクター全員に拡がっている『喪失感』を、もっともストレートにあらわしている。
今回白眉を究めているのは、洋一郎とみほとの会話だ。「地層」を「時の記憶」の比喩として捉える台詞は、本作のテーマの一端をうかがわせる。また、先週の引きにもなっている「古代遺跡の壁画に描かれた二匹の恐竜」(おそらくピグとモグであり、#1アバンにも引っかけているのであろう)=「当時の人間が知り得なかったもの」という見せ方が、未来へのベクトルとして「ララ」=「数年後のみほ」であるというスタンスも抜群!
エピローグ・パートにあっては、もはや誰もララのことを口にしない。各キャラごとに新しい日常が、今まさにスタートしつつあるというさわやかな構成は、「ララ」という存在が、それぞれの心の地層の中に大切にしまい込まれたのだという、巧みな演出だ。
だが、今回の最大の見せ場は、ラストで偶然みほの横を通り過ぎるコミさん(ここは、『マミ』#46「私のすてきなピアニスト」(絵コンテ・演出はもちろん望月智充!)のラストを彷彿とさせる)に尽きる! コミさんも、実はかつて不思議さんと出会い魔法をもらったことがあるという、掟破りなオチは衝撃的だ。思えば、#10冒頭でのコミさんの台詞は、こののことだったのね。うーん深い! 
この物語は、次のコミさんの台詞に応えるみほの笑顔で幕を閉じる。「君は、もう少ししたら本当のララになれるんだよ」。そしてかぶるEDテーマは、おなじみのララが歌うバージョンではなく、みほが自宅で口ずさむシチュエーションなのもポイントだ。

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