卒業と始まり
俺は半屋の笑顔を見たことがない。 そんな事にふと気が付いた。 本当の笑顔。 心から楽しくて嬉しくて笑う、そんな表情を。 全てを知り尽くしたと思っていたのに。 気が付いてしまった。 そう、俺は半屋を怒らせてばかりで、笑わせた事がないのだ。 悔しい…。 何だか悔しいぞ? |
最近、梧桐さんの様子がおかしい…。 生徒会にもあまり出ないし、出ても何だか今までとは違うジャンルの本を一生懸命読んでいて…。 そして何より不思議なのは、あの強い梧桐さんの手が…。 手というより指が…何だか傷だらけと言うか…血だらけと言うか……。 とにかく酷い有様なのです。 クリフさんが「セージ♪その手どうしたの?お弁当作りに苦労した女の子みたいだよv」なんてまた言ってしまった時も、梧桐さんは激しく怒鳴り散らしただけで手は出しませんでした。 きっと人を殴る事も出来ないほど痛いんじゃないかな? ちなみにクリフさん…もう卒業してるのによく遊びに来るな…。 大学は良いのかな? それを言うなら梧桐さんも…もう生徒会長じゃないのにここに来るんだけど…。 |
もう何なんだよ! さすがのボクも怒るよ! え?何がって? 聞いてよ〜。セージったら突然「金を貸せ!」ってボクから3億円借りておいて、それ以来音沙汰無しなんだよ〜!? 最後に会った日からもう1週間! せめて電話にくらい出て欲しいよね! 全く…。3億円持ち逃げしようとでも思ってるのかな? 別に3億円くらいどうって事ないけど、連絡もくれないなんて酷いよね! あああ、セージどうしてるのかな〜? つまらないよ〜…。 |
昨日…俺は偶然梧桐を見かけた。 学校で、ではない。 俺の家から5分ほど歩いたところにある公園で、だった。 何やらすさまじく汚れた格好で椅子に座っていて、休憩中という感じだった。 缶コーヒーを飲みながら、一人で地図のような大きさの紙を眺めてぶつぶつ独り言を言っていた。 おかしい…とは思った。 だがその姿はいつものふざけた梧桐の姿ではなく、いつになく真剣な感じがした。 俺は声をかけずにそこを離れた。 何だか嬉しかった。 あれは悪巧みではなく、何か正しい事に真剣になっているのだ。 梧桐にも、何かが見付かったのだな。 |
昨日、勢ちゃんのこと尾行しちゃったv だって最近全然会えないんだもん!御幸寂しくって…。 朝、家を出た勢ちゃんのあとを追っていったら、駅まで歩いて行って…。 そして電車に乗って〜…。 そう、嘉神くんの最寄駅で降りたわ! でも歩いていく方向は反対方向で〜。 何だかすごく広い空き地に着いて、「立入禁止」って書いてあるのに、その柵の中に入って行っちゃった。 もちろん追いかけようとしたんだけど、そこで勢ちゃんに見付かっちゃったの…。 でもその奥に何だか不思議な建物が見えたような気がするわ。 あああ、結局また勢ちゃんにはちょっとしか会えなかった…。寂しい……。 卒業しちゃったらもっと会えなくなっちゃうのに、勢ちゃんたら酷いわ! |
今日…久し振りにこんな物が下駄箱に貼り付けてあった。 『決闘状』 何ヶ月ぶりだ?なんてどうでも良いことを考えつつ、開いてみる。 文章はいつもの決まりきった呼び出し文句だ。 ただ気になるのは日時が…卒業式の前日だという事。 場所も…全然分かんねぇ…。(ご親切に地図付きだった。) 今度は何がしてぇんだ?あのバカは。 そう苛立ちを覚えつつ…握り潰したその紙を、無意識の内に鞄に押し込んでいた。 こんなバカらしい事も、これで最後だ。 |
今日の半屋は…とても機嫌が悪そうだ。 多分ここまで来るのに苦労したからだろう。 この場所は半屋の家からは些か遠い。 しかも自分でも分かってはいるのだが…俺は地図を描くのが下手なのだ。 あの左手に握り潰されている地図らしき物は、役に立たなかったのだろう。 表情がいつになく険しい。 それでも、こうして律儀にここへ来る。 俺に会いに来る。 |
梧桐は本を読んでいる。 読んでいる、というより…。 「てめぇ…何笑ってやがんだ……。」 本から覗いたその顔はやはり笑っていた。 ここまで辿り着くのに2時間。 オレの怒りは頂点に達している。 それなのにこの男は…。 「半屋、こんな所まで呼び出して悪かったな。」 …? 「寒かったか?」 ?? 「もう少し歩くのだが、これでも飲んで我慢していてくれ。」 ??? そう言って、梧桐はまだ熱い缶コーヒーをオレに投げて、歩き出した。 何なんだ?この気色悪い態度は?? |
半屋は後ろを黙ってついて来ている。 とりあえず怒りは納まったらしい。 作戦は成功だ。 10分ほど歩いて「ここだ。」と言うと、半屋は我に返ったように顔を上げ、怪訝な顔をした。 中に入るように促すと、「立入禁止」の文字が気になるらしく抵抗する。 妙な事にまめなヤツだ。 「ここはオレの土地だ。だから安心して入れ。」 そう言うとますます怪訝な顔をする。 疑り深い…。 だがここでいつものように怒鳴ってしまっては元も子もない。 「ここは梧桐家の土地だ。ずっと使われていなかった土地だが紛れもなくオレの土地だ。だから入れ。」 そう言うと、半屋は疑いながらも中へ入った。 |
嫌な予感がする…。 目の前に現れた妙な建物……。 その前まで案内して、梧桐が「どうだ?」と自慢げに笑っている。 オレには何となく分かってしまった。 テーマパークにでもありそうな、変な形の建物。 子供じみた仕掛けの数々。 色合いといい、デザインといい、その全てが主張している。 この家(らしきもの)が、梧桐のものだと。 「これ…家か?」 何を言えば良いか分からず、とりあえず思い付いた事を聞いてみた。 梧桐は「見れば分かるだろう」と威張る。 …見ても分かんねぇ……。 「お前が住むのか?」 そう聞くと、待ってましたとばかりに梧桐が答えた。 「オレとお前が住むのだ。」 ……。 冗談じゃねぇ! |
「何故殴るのだ!」 この寛大な俺様だって、いきなり殴られれば怒る。 ここまで優しく接したというのに、一体何が不満なのだ! 「何でこんな妙な家にオレまで住むんだよ!こんな所まで連れて来て言う事はそれかよ、このバカ!」 半屋がまた怒っている。 何故怒るのだ。 確かに突然こんな事を言われれば驚くかもしれない。 だが、そこで何故怒るのだ。 怒る事はないではないか。 怒る事は……。 |
梧桐が殴り返してこねぇ…。 ただ恨めしそうにオレをじっと見ている。 その時初めて気が付いた。 似合わねぇ…手袋。 まだオレを睨んでじっとしている梧桐に近付き、その右手に手を伸ばすと、梧桐はその手を勢いよく後ろに隠した。 「なっ、何をするのだ!」 「別に…手袋似合ってねぇな、と思って。」 あからさまに隠しやがった…。 笑える…。 これは、是非とも見てやらねぇとな。 「何隠してんだよ。ちょっと見せてみろよ。」 「別に何でもない!」 向きになって…バレバレだ。 昔っから、嘘をつくのは下手だよな…コイツって。 「…だったらオレの事、殴ってみろよ。」 そう挑発してみた。 「オレが殴ったのに、殴り返してこねぇなんて、らしくねぇよなぁ?」 案の定、梧桐は利き手で殴りにかかった。 その腕を掴んで封じる。 梧桐は顔をしかめた。 腕を掴まれても痛いのか…。 抵抗する梧桐を無視して、手袋を外す。 想像していたよりもずっと酷い状態だった。 手が…手の色じゃねぇ……。 何をしたらこんな事になるんだ?と考えてみて、思い当たった…。 「この家、自分で建てたのか?」 梧桐の顔が一気に赤くなる。 そのまま手を振り解いて背を向けた。 |
何だか…背後がおかしい気が……。 後ろを振り向くと、半屋が俯いている。 「半屋…?」 声をかけると、不思議な事に大声で笑い出した。 「??」 訳が分からない。 何故笑うのだ? 分からないが…。 「半屋、笑ったな?」 「あぁ?だって…お前バカ……。」 まともに喋れないくらい、笑いが止まらない状態らしい…。 俺はバカにされているらしいが…そんな事はこの際どうでも良い。 今日、俺は初めて半屋を笑わせたのだ。 初めて見る半屋の笑顔は、想像していたよりもずっと…。 何というか…ずっと……。 俺は何も言葉に出来ず、半屋を抱きしめた。 もう手の痛みなど気にはならない。 逃げ出せないように、強く、強く。 この俺の情けない顔を、半屋に見られてしまわないように…。 |
いきなり抱きついてきた梧桐に驚く。 オレまで顔が熱くなってきた…。 離れようと抵抗すると、梧桐が呻く声がした。 相当痛いだろう、あの手…。 それでも梧桐は離そうとしない。 だから、とりあえずオレが諦める。 「半屋、卒業したらオレとこの家で暮らさないか?」 そんなとんでもない事を言い出したので、思いっきり首を横に振る。 「一緒に住むよな?」 「住まねぇよ、バカ。」 そう答えると、梧桐の腕に力がこもった。 「…住むよな?」 声が低くなった…。 怒りたいのはこっちの方だ。 「何でてめぇなんかと暮らさなきゃなんねぇんだよ…。」 「オレと暮らすのが嫌だと言うのか!?」 信じられないとでも言うような口調…。 バカか、こいつは。 この何年も、あんなに嫌いだって言い続けてきたじゃねぇかよ…。 少し黙った梧桐がまたしつこく聞いてくる。 「そんなにオレと住むのが嫌か?」 「あたりめぇだろ…。」 「本当に、か?」 「嫌だ。」 梧桐が、一層腕に力をこめた。 傷付いて…いるのかもしれない。 少し浮かんだ罪悪感らしきものを打消す。 オレが悪いわけじゃねぇ。 また少し黙った梧桐が、今度は聞き取れないほどの小さな声で呟いた。 「何故頷かない…。オレが嫌いなのか……。」 ガラにもねぇ声。 そこまで真剣に「嫌いか」と問われても…困る。 返答に詰まる。 ここで「嫌いだ」と答えてしまって良いものか…。 梧桐の事は「嫌い」だ。 でも何故か、傷付けたいとは思わない。 「半屋、オレが嫌いか?」 もう一度、同じ事を問われてしまう。 その声は一層弱くなっていた。 オレが一番嫌いな声。 この卑怯者…。 「嫌いじゃねぇよ…。」 そう、声に出していた。 |
何だか…まずい所を覗いちゃったみたいなんだよね…。 最近梧桐君の様子がおかしいから尾行してみるように言われたんだけど…。 まさかこんな半屋君とのラブシーン(?)に遭遇するとは…。 どうしよう…。 俺…動くに動けないんだけど……。 さっきから途切れ途切れに会話の内容が聞こえてくる。 立ち聞きなんて悪いな、とは思うんだけど…。 どうやら、梧桐君はこの謎な建物に半屋君と住みたいらしいね。 半屋君はもちろん嫌がってるみたい。 でもちょっと途中から様子がおかしいな…。 半屋君、珍しく笑ったりしてるし…。 その後あたりから声が聞こえないんだけど、何だか抱擁中なんだよね。 困ったな…。 と、その時梧桐君の信じられない言葉が聞こえた。 「結婚するぞ!」 って………。 俺の空耳かな…。 そうだと良いな……。 |
半屋の時が止まっている。 相当驚いたらしい…。 実は俺も驚いているのだが。 半屋が笑った。 俺の事を「嫌いじゃない」と答えた。 それがこんなに嬉しい事だとは、自分でも思わなかった。 気が付いた時には口に出していた。 俺は、半屋と結婚したいらしい…。 その内、言われた言葉の内容を理解しはじめたらしい半屋の顔が真っ赤に染まった。 そして案の定、怒った。 「何が結婚だよ!てめぇふざけるのも大概にしやがれ!!」 怒鳴ってはいるのだが…あの耳まで赤く染まった顔のままでは迫力がない。 相変わらず面白いヤツだ。 「俺はふざけてなどいない。お前と一緒にいたいのだ。だから一緒に住もうと思って家も建てた。」 「ああそうかよ、家を建てたのは別にてめぇの勝手だからこの際どうでもいい。」 「そうか、なら結婚だ。」 不思議な事に、一度口に出したら止まらなくなってきた。 今までは考えた事もなかったのだが、何だか無性に半屋と結婚したい。 考えれば考えるほど、それが幸せな事だと思えてきたのだ。 「だから!どうしてそこで結婚なんだよ!!」 「分からんのか?結婚すればお前と俺は一生を共に出来るのだぞ?こんなに楽しい事はないではないか。」 そうだ、一生半屋が傍にいたら、俺は楽しいに違いない。 もちろん、半屋も。 「半屋、結婚しろ。」 「しねぇよ!」 「結婚しろ!」 「しない!!」 どうしたらコイツは頷くのだ? さすがの俺も困る…。 と、その時、植木が妙な音を立てた。 |
「そこに誰かいるな?」 どうしよう…。 梧桐君に気付かれたらしい…。 怒るだろうな二人とも。 殴られたら嫌だな…。 明日卒業式なのに…。 とりあえず誤魔化しようがなさそうなので、姿を見せてみる。 「八樹か。」 梧桐君は何でもなさそうな表情だ。 気の毒に、半屋君はショックで固まってるみたいだけど…。 「ごめんね、二人とも。立ち聞きするつもりは無かったんだけど、ちょっとみんなに様子を見て来いって頼まれて…。」 人のせいにしても何ともならないかな…? でも、本当に今日だけは殴られたくないんだけど。 梧桐君は一瞬いつものように怒ろうとして…何かを思い付いたらしく俺に近寄ってきた。 そして俺に耳打ちする。 ……。 半屋君、ごめんね。 俺、本当に今日だけは殴られたくないんだ。 半屋君はまだ固まっている。 俺は半屋君の後ろにまわって、動けないように肩から押え付けた。 「なっ!?」 驚いた半屋君が抵抗するけど、ここで離す訳にはいかない。 本当に悪いんだけど。 半屋君が俺の腕から逃れようともがいている間に、梧桐君は生徒手帳から何か光る物を取り出した。 …もしかして、指輪? なるほどね……。 半屋君、ご愁傷様。 俺が押え付けている半屋君の左手を取って、梧桐君は半屋君の薬指に指輪をはめた。 女物らしいその指輪は、半屋君の薬指にピッタリだった。 |
今日は卒業式当日。 一つ上の幼なじみをこの高校から送り出すことになりました。 私が送辞を。 彼が答辞を読みました。 もう会えないわけではないのに、不思議な気持ちです。 今日の朝、彼はとても機嫌が良くて、幸せそうでした。 私が「卒業式なのに、嬉しそうね。」と声をかけると、 「卒業というのは終わりではない。始まりだ。旅立ちだと考えれば頷けるだろう?」 と言いました。 彼はいつも前向きで、私は密かに尊敬しています。 別れもあれば、出会いもある。 そういうもの、ですよね。 卒業式を終えて、人気のある彼はとても忙しそうです。 私はこれからも会えるので、とりあえずお祝いの言葉は後で言おうと思います。 人ごみを抜けて校門へと向かう途中、私は校舎裏に一人で座っている半屋さんを見かけました。 「半屋さん、卒業おめでとうございます。」 そう声をかけると、とても迷惑そうな顔をされてしまいました。 悪い事をしてしまったのかもしれません。 半屋さんは何だか左手を隠しているような気がします。 私は気になって「怪我でもされているのですか?」と問いかけてみました。 今度はもっと触れられたくない事だったらしく、「構うな」と怒られてしまいました。 その時、少しだけ覗いた左手に、見慣れた光を見た気がしました。 「その指輪…。」 半屋さんは驚いて更に左手を隠します。 「お願いです。その指輪を見せて下さい。」 そう、お願いすると、怪訝な顔をしつつ、優しい半屋さんは左手を差し出してくれました。 「この指輪…セージから貰ったのですか?」 「何で分かる?」 焦った半屋さんの顔が赤く染まっていきます。 何となく事情が分かってきました。 半屋さんの薬指に接着剤か何かで取れないように固定された、この指輪。 セージの機嫌の良さも頷けます。 「この指輪は、セージのお母さんの物です。」 そう言うと、半屋さんは驚いた顔をしていました。 「セージに唯一残された、形見の品なんですよ。」 私は、何も言わずその指輪を見つめる半屋さんに、 「セージはまだ学校にいますよ。」 とだけ声をかけて、校門へ向かいました。 あの指輪の銀色の輝きは、半屋さんにもとても似合っていると思いました。 |
卒業式が終わって三日経った今日、何故かオレはここへ来ていた。 派手なオレンジ色のドアを空けると、外の奇抜さとは裏腹に中の落ちついた雰囲気に驚く。 何とか人の住めそうな家だと安心した。 あの後、オレは様々な事を知った。 梧桐に最近のオレについて聞かれた姉貴が、「卒業したら家を出たいと言っていた」と伝えた事。 オレの夢を聞かれた母親が「小さい頃はこんな家に住みたいと言っていた」とアルバムを開いて語った事。 そう言われてみれば、この家は昔好きだった遊園地の城にそっくりだ。 その後、やっと取れた指輪を見ると、その裏には名前が彫られていた。 石の付いていないシンプルな作りから見ても何となく分かる。 梧桐の母親の結婚指輪なのだ、と。 すっかり梧桐の周りのヤツは結婚云々を知っていて、無責任に「おめでとう」だの何だのと言ってきた。 その後に嘉神だけ困った顔でこう言った。 「男同士で結婚などというのは正しくない…。だが、梧桐は本当に真剣にその家作りとやらに取り組んでいたぞ。その気持ちは正しいと思う。」 相変わらず真面目なヤツだ…。 そんな事を思い出していると、梧桐が部屋に入って来た。 「どうだ?気に入ったか?」 そう言って近寄ってくる梧桐にオレは指輪を差し出した。 「返す。」 「な!ここまで来てまだ嫌だと言うのか!?」 梧桐は子供のように泣きそうな顔で怒った。 また…笑いそうになった。 「嫌だけど、もういい。でもこの指輪はてめぇの大切な物らしいから返す。」 梧桐はふっと笑って、オレの指にまた指輪をはめた。 「確かに大切な物だが…お前がオレの傍にいる限り、どちらが持っていても同じだ。この指輪、お前には良く似合う。だからお前が持っていろ。」 オレはもう外す気になれず、「部屋を案内する」と手を引く梧桐に黙ってついて行った。 春には梧桐は大学生になる。 八樹や嘉神も大学に行くらしい。 御幸は専門学校に行くと言っていた。 梧桐のいなくなった高校ではあの青木が生徒会長、伊織とかいうあの女が副会長を勤め、今の所上手くやっているらしい。 オレは一人だけこの先の事を何も決めていないが…とりあえずは梧桐とこの家に住む事だけは決まってしまった。 |