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さようなら、6月の雨

ごみ処理工場の吐き出す煙が広がって
  空に溶けて行っても
  問題はひとつも解決しない
土曜のプラットホームに立ち
上り下る車両を見送った
僕が行きたい方向
前向きなふりした表情
どれが本当で どれが偽りで
はがれたもう1人が背中で嘲笑う

6月の雨が降る車窓
  一滴の雫を眺めて
  「さようなら」 自分と重ねてみる
  この場所にいる大勢のただ一粒だった
 

  口の中の苦みが意識を少しずつ遠ざける
今は眠れるように
真っ暗な中 目覚めぬように 目を閉じる
深夜に降り出した雨が
何も感じなくなった僕のために
泣いてくれている気がしてた
「明日」はまた訪れた
いつものように あたり前のように
こんな自分よりふさわしい人がいるだろう

  6月の雨が降る路上
  行く宛てはあるのかと聞いた
  「さようなら」 もう会うこともないと
君の言う台詞は いつも正しかった


6月の雨にもたれてた
行く先は見えないままで
「さようなら」 今日がまた逝けば
夏の日の凪のように ここに立ちつくす

6月の雨にただ 「さようなら」と言った

信じるとか愛するとかいう感情
もう自分には 湧くことはないのだろうか・・・?


さようなら、6月の雨

さようなら、6月の雨

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09/06/21
no.222

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