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“♪空が とっても低い
♪天使が 降りてきそうなほど” 荒井由美の歌『ベルベット・イースター』にこんな一節がある.
低く,そして厚く垂れこめた雨雲を気象学では乱層雲(ニンバスNimbus)と呼び,米国の気象衛星の名にも使われた.光輝く雲状のもやもやを表すネビュラ Neburaと同意であり,天使の頭につきものの光輪もまた,ニンバスと呼ばれている.洋の東西を問わず,神々しき身体の背後には、後光(オウレオールaureole)が発せられる.偶像崇拝を禁じ,聖なるものを図像化したキリスト教に比べて,仏教では,仏像の背後に様々な「光背」という装飾が施される.ニンバスに相当するものは「頭光」と呼ばれ,円光や輪光,ドラクエのスライムの形に似た宝珠光など,各種のバリエーションがある.これらの多くが太陽の表象,とも考えられよう.とりわけ,大日如来像から発せられる「放射光」がみごとだ.物理で放射光というと,シンクロトロン放射によるX線領域の高エネルギー光を指すが,こちらも自然科学諸分野にあまねく光明をもたらすものと期待されている.
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【上方への薄暮光】(菅平にて) | |||||||||
さて,写真は光の学習でおなじみの、雲間や山影、林間から射出する太陽光の一例である.上方照射される曙光線は『阿弥陀来迎図』、天上から下界へ向かうものは西洋的な天使の降臨を思い起こさせる。この,通称後光あるいはレイは大気中に浮かぶ無数の水滴や微粒子によって,見える.
レイよりもその仕組みは複雑だが,大気中の水滴や氷晶に起因する現象に,いわゆる“日かさ”“月かさ”がある.もっとも,巻層雲の氷晶によってできる半径22゜と46゜の暈(ハローhalo)を日本で目撃できるチャンスは少ない.平均して月に何日か好条件の日があるはずだが空ばかり見上げている訳にも行かず,特に46゜の“外かさ”はかつて1度しか見たこと
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| 【満月のHalo】半径22°の光環。自宅にて全天カメラのテスト中に出現した。薄い雲の流れがわかる。 |
ところで,このかさはとても破れやすい.セネカの『自然研究』によると,古代ギリシャの船乗りたちは破れの向き(消え方)によって風や嵐の到来を予測したという.一方,水滴の雲によってできるかさならよく見られ,こちらはコロナ(光冠corona)またはオウレオールと呼ぶのが正しい.
すぐ破れてしまう傘といえば,400円前後で売られているビニール傘が思いあたる.紛失してもさして気にならぬし,私のように毎日自転車で駅に通う者にとって,雨の日の透明ビニール傘は必需品だ.
先日,霧雨に煙る家路を急いでいた私は,ある大発見(?)をしたのであった.斜め前方にさした傘を通して見える街灯の光が,どれも両側に細長く延びているのである.傘を回転すると,どの部分も輻状方向に延びた光が見える.“何故だろう?…”傘を開いた際の引っ張りの向きに関係するかも知れない,と考え,帰宅後,台所からラップフィルムをとりだし両手で引っ張りながら街灯を観察.案の定,光は引っ張りの向きに垂直に延びている.ところが,念のため傘をたたんだ状態で観察したら,なんと光の様子はまったく変わっていないのだ.素材そのものに線条の光をつくりだす原因があることになる.ここから,私の“ビニール傘の探求”が始まった….
はたして,この光模様は,波間に沈まんとする太陽が海面につくる線条の光跡と似た現象〜たくさんの凹凸に起因する多重的な反射・屈折によるものなのか?それとも,成分の不均質性によって生じる不完全な回折現象なのだろうか?
また,そもそも私は何故,街灯をきょろきょろと眺めながら,自転車を漕がねばならなかったのか?
………(つづく)