1944年6月19日 マリアナ沖海戦



最初に、マリアナとは、
どのあたりだか分かりますか?
観光地の「サイパン」「グアム」近辺です。

日本軍はマリアナを絶対国防圏とし、なにがなんでも守りきらねばならない土地である。
なぜかというと、ここをアメリカに奪われた場合、B29戦略爆撃機により、日本本土が空襲される
からである。

日本軍は、島の防備を固めると同時に空母などの艦隊を送り込む。
日本の空母は、500kg爆弾を飛行甲板に受けても耐えれる、最新鋭の装甲空母「大鳳」を
旗艦とし、提督の小沢治三郎中将が座乗。

この小沢中将は、アメリカ軍が、日本の優秀な提督の名をあげるとするならば、真っ先に出てくる人物。

他の空母としては、真珠湾攻撃など、歴戦を経験している「瑞鶴」「翔鶴」と、商船から改造した
「準鷹」「飛鷹」などがメインである。

大鳳の搭載出来る航空機は、53機、瑞鶴・翔鶴は84機、準鷹・飛鷹は57機。
大鳳は、装甲が厚いため、格納庫が狭く、あまり搭載できないのである。

提督の小沢中将の作戦は、日本の空母艦載機はアメリカよりも航続距離が長いため、
先制攻撃を仕掛け、その後、空母は退避させる基本でありながら先手必勝の作戦。

まず、日本機がアメリカ艦隊に攻撃を始める。

が、この頃の日本パイロットはベテランが相次いで戦死し、未熟パイロットばかり。
勿論、歴戦の勇者もいるが、数が圧倒的に少ない。

しかるに、それを差し引いても想像を絶する被害を「受ける!!」

アメリカは新鋭戦闘機の「グラマン F6F ヘルキャット戦闘機」が艦隊上空で待機
これは、通常考えられることではあるが、この戦闘機の前に
日本機はバッタバッタと打ち落とされる。

これが、名高い「マリアナの七面鳥撃ち」である。

勿論、日本も爆撃機の護衛に零戦52型がいる。つまりは名高いゼロ戦である。
この52型というのは、一般的に言われているのは21型であるが、
それを改良・改造し、性能を向上させたものである。

が、いかんとも、ゼロ戦自体が旧式化していたためと、未熟パイロットのため、
次から次へと撃墜される。

このアメリカ戦闘機から逃れると、次はアメリカ艦隊の対空砲火の出番である。

これが、またやっかいな最新対空砲なのである。

なにが、最新かというと、今までの対空砲は、高度○○mに到達したら、弾丸が破裂するように
なっていたのだが、この最新兵器
「VT信管」は、飛行機が発する磁気を感じて爆発するものだ。

少し説明を加えると、この対空砲火は、機銃(機関銃)ではなく、大砲?の一種の
「高角砲」 というものである。

これは、連射が効かない物で、機銃が届かない所にいる、飛行機を落すものであり、
また、砲弾を飛行機に当てるのではなく、弾丸の破片で飛行機を撃墜するものである。

この、対空砲でまた、かなりの数が撃墜され、残った日本攻撃隊は
敵艦の機銃、回避運動、爆弾、ならびに、魚雷を敵艦に当てるための操縦技術を
駆使し、敵艦に肉薄。

結果、戦果は、微々たる物で、実に失った飛行機は93%にもなる。


一方、日本空母のほうも被害を受けている。
それは、アメリカ軍の航空機による被害ではない。

なにかと言うと、潜水艦の攻撃である。

装甲空母の大鳳は、艦尾付近に魚雷を1発受ける。
勿論、こんなものでは、通常沈没などはしない。

だが、この大鳳は気密性を重視した作りになっており、魚雷を受けた影響で、艦内にガスが充満。
4時間後に引火し、大爆発を起こし、沈没。
なんとも あっけない最期である。

被害はこれだけに及ばず、空母 翔鶴まで及ぶ。
翔鶴もまた、大鳳とは違う潜水艦の攻撃を受け、魚雷4本で沈没。

翔鶴ほどの大型空母が たった4本の魚雷で沈むのも、なんとも不甲斐ないと感じる。

この後、アメリカ空母の攻撃が始まる。
だが、この時には、すでに攻撃圏外にいたのだが、ここで、日本艦隊を
撃滅しなくては、と考えがあり、攻撃は夕方、空母に戻って来るころは、夜間着陸となる。
もちろん、攻撃圏外のため、燃料切れもありうる。

この攻撃で、改造空母の飛鷹が爆弾1発、魚雷1本を受け沈没。
改造空母は、装甲が弱いため、実質魚雷1本で沈む。

大型艦の場合は、通常爆弾だけでは 沈みません。
が、浸水にたいして、防水扉などの装備が不十分だったのかもしれない。


こうして、日本軍は、なんら戦果を挙げることが出来ず、サイパン・グアムを奪い取られることになる。





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