奥行きを表現する 〜遠近法に関連して


■ 遠近法 〜透視遠近法と空気遠近法

○透視遠近法

透視遠近法というのは、近くのものは大きく見える、遠くのものは小さく見えるということを表現する方法です。
だんたん離れていくと小さく見えるその先に集約点を設けて、その集約点をもとに遠近の表現をしていこうという方法で、立体の3次元にあわせて、3つの透視遠近法があります。
一方方向からだけ集約をしていくと、
「1点透視」、平面の2方向で集約すると「2点透視」、さらに縦方向も含めた立体の集約をすると「3点透視」となるわけです。
実際にみてみましょう

○自作品にみる透視遠近法

元々この作品はなだらかな坂を描いているので、少し基本となる線からずれているところはあるわけですが、青い線が水準となる線で、集約される点は1点。それは坂を登りきって道がやや左にそれたあたりです。水準線と集約点を基準にして全体の風景をとらえた表現としてみたわけです。


○空気遠近法

透視遠近法が遠近による見え方の大小を表現の基準にしたのに対して、空気遠近法は「近くのものははっきり見え、遠くに行くほど莫として見える、あるいはかすんで見える」ということの表現を基準とした遠近法です。
例えば、すぐ近くの木では葉の1枚1枚が識別できるけれども、遠く見える山では1本1本の木々さえも識別できず、ましてやほんとは山の色は木々の葉の緑色なのに、青くかすんで見えるということは誰でもが経験しているでしょう。

では実際にどういう効果かをみてみましょう。


○自作品での空気遠近法

左のものでは静物画で遠近法?と意外に思うかもしれないですが、要は奥行きの表現です。静物の右側が奥方面になるので思い切りぼやけさせてみました。
右の風景画は、東寺五重塔を描いたものです。蔵(だったかな?)の陰から覗き見る構図を選んでみたので、その効果を出すために、蔵の柱はけっこうリアルに描き、間の木々はやや抽象的に、さらに塔は霞んで見えるよう青と紫を中心に表現してみたわけです。



と、ここらまでは絵画の描き方の基本として本などにも載っていることなのですが、距離感を表現するとか奥行きを表現する方法としては、実は別の方法もあるのではないか、とみっきは感じているところです。


■逆空気遠近法

空気遠近法の逆だから、遠くのものをはっきりと描き、近くのものをぼかすとかアバウトに描くという方法です。
まずは、自作品をみてみてください。


実はこの作品で一番ディティールをはっきり描いたのは赤い楕円の部分です。しかもそこはこの絵の風景で一番遠いところなんですね。それでも距離感の表現はできているのではないかと思っています。
空気遠近法では、近くをはっきりとさせてそこを見せるわけです。しかも遠景を遠いものと意識させることによって、元々見せたい近景を浮き立たせるというのが空気遠近法の真髄かと思うわけです。だとしたら、その逆もありで、遠景を見せるために近景はあえてアバウトな描き方にするというのも、遠近法として成立するのではないかと感じます。
そこで、今度は写真を2枚みてみましょう。

そうです。写真ではよくやりますね。焦点距離の移動は。
左は手前のフォックスフェイスに焦点を合わせています。ですから奥に見えるりんご、みかん、ももはぼやけて見えます。それに対して右の写真は奥にあるくだものに焦点をあてたために、手前のフォックスフェイスはぼかされています。
写真では手前にあるものと奥にあるものの距離の効果を利用して、自分の見せたいものを演出するというのが焦点操作の意図かと思います。そして
それはいつでも手前をはっきり見せなければならないというものではないのでしょう。
であるなら、絵画における遠近法の技法もそういうものであっていいのではないかと感じているというのがこの項のまとめです

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