ガラス、ビニールなど透きとおったものを描く


みっきの描く絵は静物画が多く、特にガラスやビニールなど透きとおったものとか、金属など表面が光るものを多く描いています。風景でも水面のある風景が好きで、「光りもの」好きなんですね 笑。
そうしたことから、ここでは透きとおったものをどう描いているのかについてまとめてみました。

透きとおったものを描く上でのポイントは、次のように要約されます。
@透きとおるということは、対象の向こう側の状況が見えるということなので、「向こう側」をどう描くのかという問題
A透きとおるものの材質にも関係するわけだけれども、「向こう側」はスト レートに表面に映し出されるわけではなく、豊かな屈折をして対象の表面に映し出されるわけです。その屈折〜つまり、透きとおるものを通したところとそうでないところの「ずれ」と して現れますが〜をどう表現するのかという問題
Bこれもまた材質に関係するし、対象の形状にも関係してくるわけだけれど、対象の表面に、どう対象の外側の状況が反映するのか〜つまり反射してみえる周りの景色がどう対象の表面に写り込んでいるのかという問題
に集約されるのではないかと思います。



さて、そういう観点から左の絵(上からT〜Zとする)を見てみると、

T.タンブラーの軸に背景となるランプが映りこんでいるけれど、場所の距離のずれが、映り込みのずれとして表現されています。軸のくびれでは複雑な映り込み方をしています。

U.ビニールの手前のふくらみの部分では、トレーの色が映り込んでいけれど、外光の反射もあり、薄い緑となっています。左はじの結び目より先は、複雑な反射のために影、光の反射、トレーの映り込みが交錯しています。

V.色のついたガラスの洋酒瓶。ガラスの色が濃いためにほとんど透過性はないけれど、その分外光や周囲の状況を表面に映し出しているといえます。ここでは隣(光源方面の)にあるグレープフルーツの色が瓶の形状に合わせて、複雑な形で映しだされています。

W.ガラス面だけでなく、中の水も透きとおっているために、茎の部分が明確に屈折しています。同時にその太さも水中では太くなっています(ぼかしで表現しているわけです)。

X.材質は透明なアクリル樹脂板。光の位置関係から直接の反映もなく、背景となる対象の形はないけれど、微妙な色の濃淡で透明な板の存在を表現しています。

Y.グラスの台座部分は、ガラスを描く上での集約ポイントともなっていることが多いと思います。その豊かな形状が光と影をたいへん魅力的に映しだします。ここの表現一つで一枚の絵としての生命力を表している場合もあると思っています。

Z.この絵はほとんど、このガラスへの外光の映り込みに目がいきますね。主役になるべき花(紅花だったようです 笑)が脇役にまわっているという失敗作でもあります。「光りもの」に負けない花の描写が必要だったかなと反省する一枚でもあります。








ガラスのコースターにのせられたアイスティのグラスを描いたものです。
ガラスものを描く時には、ガラスが透き通るので、その背後に色のあるものを置くとその色が屈折・透過するので、単純なプラスチックの色のピースを配置してみました。
ガラスものは光と影を集約するため、黒と白の表現が多くなります。

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