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湘南 理工学舎

 楽しく学ぶ…初歩の数学

 基礎数学/数学用語1


•公約数(common divisor)
2つ以上の正の整数に共通する約数のこと。
例:6と18の公約数:1, 2, 3, 6
最大公約数 (greatest common divisor):上の例の”6”です。
•公倍数(common multiple)
2つ以上の正の整数に共通する倍数を公倍数。
例:2と3の公倍数:6, 12, 18, …
最小公倍数 (Least common multiple):上の例で"6"です。
 
•素数(prime number)
素数とは"1"より大きい整数で、1と自分自身でしか割り切れない数(整数)。
例:2, 3, 5, 7, 11, …97,101,…
 
•命 題(proposition)
真偽の判断の対象となる文章または式、または客観的な真偽が必ず決まる文などのことです。
例えば、「1+1 = 2」は真の(=正しい)命題で、「3は5よりも大きい」は偽の(=正しくない)命題です。
下図おいて「AならばBである」の命題に対して:
 「BでなければAではない」が対偶
 「BならAである」が逆
 「AでなければBではない」が裏
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•必要条件・十分条件 (necessary condition・sufifient condition)
P[地球]ならばQ[太陽系]であることが成立する:
 Q[太陽系]はP[地球](であるため)の必要条件
矢印の先が必要条件 P:地球 ⇒ Q:太陽系
 P[地球]はQ[太陽系](であるため)の十分条件
 (太陽系に行こう!地球にいるから十分だ!の意味)
 但し地球は太陽系の必要条件ではない。
 「P:地球 ⇐ X Q:太陽系」は成立しない。
 参考 {太陽系の惑星は:水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星}

P=5、Q=奇数  奇数は「5」の必要条件。
 「5」は奇数の十分条件。
 「5」は奇数の必要条件ではない。

必要条件かつ十分条件のとき必要十分条件(if and only if)という。
必要十分条件は:
P⇒Q と Q⇒P の両方が成り立つときです。
すなわちP と Q が同値のときです。
集合P とQ が等しい時:P はQ の必要十分条件である。
矢印は双方向: P⇔Q 

2の倍数の集合A と偶数の集合B である。
 A とB は同値(A=B)であるから A はB であるための 必要十分条件です。
 すなわち A ⇔ B です。
 
•任意の数…とは  
数学での「任意の…」とは日常語とすこし異なります。 
「すべての数」、「勝手な数」と同じ意味で使われます。
英語ではany, allで使われています。
これを知っていると次の数学的帰納法の理解の助けになります。
 
•閉じているとは
【例1】整数は、「割り算について閉じていない」とは、整数どうしの四足演算のなかで、割り算での答えが整数にならないときがあるから閉じていない。
 (除算以外の四則演算については閉じている

【例2】\(x\)の定義域の閉区間[ 0 , 5 ]とは:\( 0 \leqq\ x \leqq\ 5 \) (端点を含んでいる)

【例3】\(x\)の定義域の開区間( 0 , 5 )とは:\( 0 \lt\ x \lt\ 5 \) (端点を含んでいない)

例えば\( y=\frac{2}{x}\)の関数について、上の閉区間[ 0 , 5 ]では微分不可能です。
∵ 閉区間なので\(x\)は0 を含んでいる。
(x=0 →分母が0 で不定形となる)
しかし開区間( 0 , 5 )なら微分可能となる。
丸括弧 ( 開 )と角括弧 [ 閉 ] はある場面では重要になる。

【注】:特別な意味をもつ括弧としての波括弧 { }:
 (1){ \( a_n\ \)} :数列を示す。 
 (2){ \( x | P(x) \)}:要素\(x\)の条件\(P(x)\)を満たす集合を示す。
  
  
•3段論法とは
「ならば」を使った推論。
(1)AならばB
(2)BならばC
この両方の(1)、(2)が成り立るとき
A=C が成り立つことを結論とする証明 。

•互いに素とは
互いに素とは2つの整数の最大公約数が"1"であること。

互いに素の例:
1 と3、5 と7 、9 と14、 …

互いに素でないの例:
2と4、5と10、9と18、 …

互いに素に関連する性質

(1)連続する整数(2と3、9と10 など)は互いに素である。
(2)互いに素な a,b に対し、ある整数 k があり、a k が b の倍数ならば、k は b の倍数である。
2 と 3 の例: k=6として、a k= 12 ➝ これが b=3 の倍数ならば、k = 6 は b = 3の倍数である。

•因数=約数ともいう(factor)
数(または式)A が 2つの数 a、b の積で表しているとき、a, b をA の因数(または約数)という。 

•因数定理(factor theorem)
多項式\(f(x)\)は\(f(a)=0\)となるとき\((x-a)\)の因数をもつ。
すなわち、\(f(a)=0\)なる a を探せば、多項式は\((x-a)\)で割り切れる。
因数分解などに応用できます。
\(f(a)=x^3-4x^2+x+6\) を因数分解せよの例。
\(f(a)=0\)なる a は「-1」です。
すなわち\((x+1)\)が因数となります。
これが分かれば、あとの因数分解は容易に判りますね!
•記号「 \( \equiv \) 」
文章の流れ、勉強の内容などにより次の意味を識別しなければなりません。
(1)恒等的(いかなる場合でも)に成り立つ等式。これを強調したい場合に使われいます。
 以下の式は恒等式です。
(下式は公式だが、強調を表現したいときに使われます)
  \( sin^2\ A + cos^2\ A  \equiv 1 \)
  \( log\ A + log\ B  \equiv  log\ A\ B \)
(2)2つ整数 A ,B が、M を法(割る数)とした割り算の余りが等しい時の式を合同式という。:
 (5と9は4で割ると、残りは1等しい)
 例:\( 5\equiv 9 \ mod4 ,\quad 7 \equiv 4 \ mod3 \)

(3)図形AとBは幾何学的に>合同:\( A \equiv B \)
(4)A と B は 同値である。(A,Bには式また事実)

•既約分数
正の分数 \( \frac{b}{a} \) (a,bは自然数)において,
a と b とが互いに素 (1以外に共通因数をもたない)のとき
\( \frac{b}{a} \) を既約分数という。
正の有理数は既約分数の形に書くことができる。


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[コーヒーブレイク/閑話]…数学書の読み方

[参考文献] 細井 勉「イプシロン・デルタ/数学の論理と日本語」(日本評論社)
 従来の一般的な数学の本は、できるだけ簡潔に完成されています。 展開も無駄を省いて論理的にまっすぐ目的に進めている。
同じ説明の繰り返しはしていません。 読んだことは理解されたとして、同じことは繰り返しません。
(紙面数の制約もあったでしょうね)
 しかし読者はどこか見逃したなどと迷い、前に戻り何度も読み返す必要があります。
また数学固有の、説明されてない、数学語があります。
これらが数学を難しくしている要因と参考文献に書かれています。
同感しています、でも最近は読者にわかりやすく書かれている本も増えています。
本を購入する前、読む前にはこれらも考慮するといいですね!